#62 決戦!海の魔物クラーケン襲来
お待たせしました。第62話公開です。いよいよ第5章第3節最後になります。いよいよクラーケンと勝負、結末はどうなるの?(。>ω<。)
レンは海の中にいる魔物を退治しながら、クラーケンがいる場所に向かっていた。
「水流旋龍剣」
水系の剣技を繰り出して、海の中の魔物を切り抜けていた。
「うーん、やっぱり水系だから、相性悪いね」
【うるさいよレン。いちいち言わないでよ。あくまでも海の中何だから、相性がイマイチなのは分かっているよね】
相性が悪いことが分かっているのにレンはアクトにいちゃもんを付けていた。
「まぁ、基本的に海の中なら楽だけど、水系のモンスターには不向きだね」
【だから、いちいち言わないでよ。俺もう死にそうだよ】
レンにダメ出しされて、うな垂れている声が響いていた。
「それにしても、クラーケンが見当たらないけど?」
精霊三人の指示通りに移動していたが、精霊三人に会う気配を感じなかった。
【おい、アルトニス、お前らどこに入るんだ。本当にこっちで良いのか?】
アクトはアルトニスと通信をしていた。
【アクト、急いで、アリス達の方に戻って】
【すみません、私達エレナの方向音痴にやられましたわ】
【ごめん、レン、アクト】
【何で、エレナにやらせたんだアルトニス、エレント】
エレナは極端な方向音痴なので何で任せたのか聞いている。
【それが、僕達も方向を見失って、エレナが大丈夫って言っていたから信用しちゃったごめんレンさん、アクト】
エレントとアルトニスも方向音痴になっていたので、アクトが頭を痛めていた。
【お前ら、何をやって入るんだ。レン、急いで戻るぞ】
「うん、そうだね。三人は終わったらちょっと来てね」
レンが怒っていたので精霊三人は反省していた。
「あれの黒い影は何だ」
「あれって、レン君が追いかけたクラーケンのハズ何でこんな近くにいるの?」
【アリスさん、すみません。僕達がレンさんに指示を間違えたんです】
「えっ、エレント、アルトニス、エレナどう言う事よ」
精霊三人が戻っていたので、アリスが説明を求めると素直に話していた。
「はぁ、分かったわ。レン君が戻るまで、三人は私と一緒に行動してよ」
【はい、分かりましたわ。アリスさん】
「グォーン!」
「現れたわね、行くよ皆」
巨大なクラーケンが姿を見せて、巨大な脚で攻撃し始めていた。
「魔法部隊は一斉に攻撃を開始しろ」
クリスの合図で魔法部隊は一斉に魔法を攻撃を始めていた。
「サンダーボルト」
【ウィンドカッター】
【ファイアーフレア】
【ボルティックスパーク】
アリスと精霊三人もクラーケンの脚を目掛けて、魔法を放っていた。
「何て巨大な脚なの、こんな一つ一つ相手したら、勝てないわよ」
巨大な脚がレイン王国の街に向かって、伸びるて行こうとしているので、必死に止めている。
「グッフ」
「ウァー」
「お前ら、大丈夫かぁ」
クラーケンは次々に巨大な脚を使って、自衛団の人達を襲っていた。
「クリス団長、危ない」
「なっ!」
「炎龍剣」
「光衝剣」
「お前達は‥‥‥」
クリスが見上げるとそこには、レンの仲間ファングとカイトがいた。
「大丈夫かぁ」
「間一髪ですね」
「ファング、カイト、無事だったのね。向こう側は終わったの?」
ファングとカイトは別の場所を担当していたので、終わったのか確認していた。
「あぁ、ある程度はな」
「残りは、国の騎士団がやっているよ」
「国の騎士団が動いているのか?」
「あぁ、そうだよ。俺達はそいつらに任せてこっちに来たんだよ。レイス達もそのうち来るだろう? それよりもレンはどうしたんだ」
ファングはレンの姿が見えず、憤りを隠せなかった。
「レン君はクラーケンに向かって、海の中を泳いでいたんだけど、この三人が指示を間違ったみたいなんだよね」
アリスが事情を説明すると、ファングは頭を押さえていた。
「お前ら、レンに何をしているんだ。確実に怒られるぜ」
【もう怒っているよ。この件が終わったらレンさんの罰が待っているし】
「はぁ、そうかよ。俺も何とかしてやるからそんな顔をするな」
【ありがとうファング】
「ファング、今はそんな話をしている場合じゃないでしょう」
「あっそうだった。クリスさん大丈夫ですか」
「あぁ、大丈夫だよ。君達のおかげで命拾いしたよ。それじゃあ時期に国の騎士団達が来るんだな」
「あぁ、多分そうだぜ」
ファング達がクリスと話していると、レオスとレイスが到着していた。
「ファングさん、カイトさん、先に到着していたんですね」
「あれっマスターはどこにいるの?」
「あぁ今到着したばかりだよ。レンはこいつらの指示ミスで急いで戻っているみたいだよ」
ファングが説明するとレオスとレイスが納得していた。
「それじゃあ、レンさんが戻るまで、クラーケンの足止めをしないと行けませんね」
「そう言う事だよ」
レンを除く仲間達が全員揃い、レンが戻るまでクラーケンの足止めをしていた。
「ファング、こいつ美味しそうだよね。こんなに巨大なら、膨大な魔力を得られるよ」
「カイトやめろ。お前、何か前の精霊フォレスに似ているぞ」
カイトが不適な笑みをして、精霊フォレスと似た事を言っているので注意していた。
「えっ、ファングだって食べたいくせに、僕とファングは精霊フォレスの体なんだよ。体が餌を求めているのファングも分かっているくせに」
ファングはクラーケンを見た時から食べたい仕草をしているので、カイトに見透かされていた。
「黙れカイト、俺はあいつとは違うんだよ。俺はレンの命令がない限りは絶対にしない。それにあんな過去はごめんだよ」
「そうなんだ残念だよ。体はあれを吸収従っているのに、あれを吸収すれば僕とファングはより完全な姿になれるんだよ」
「完全な姿かぁ、俺はそんなのいらないよ。レンと居られればそれで良いから」
「ファングは本当に欲がないよね。あれを吸収すれば、レン君を護れる力が手に入るのに」
カイトは吸収したくて体がうずうずしていたが、ファングに止められたので仕方なく、普通に攻撃していた。
「カイト、そんな顔をするな。俺達は精霊で化け物何だから、仕方ないだろう? そんな事をしたらレンに切り捨てられるよ」
「僕は別に切り捨てられても良いけど、ファングが許さないでしょう」
「そう言う事だよ。ほらレンが戻るまでにある程度は弱らせようぜ」
「はぁ、分かったよ。本当、レン君の事になると人が変わるんだから」
ファングに呆れていたが、カイトはクラーケンの脚に向かって攻撃をしていた。
「はぁ、かなりのロスだよ。アクト、アリスの所にクラーケンが現れたのは本当なの?」
【あぁ間違いないよ。アルトニスから連絡があったから】
「なら急いで」
【急いでいるだろう。レンも俺の動きに合わせろ】
レンは急いで戻っているとクラーケンの姿を捉え始めていた。
「いた、アクト行くよ」
【あぁ、任せろ】
レンは海の中を勢いよく進んだ後、上空にあがると攻撃を始めていた。
「氷擊剣、やっぱり相性悪いね」
【レン、分かっていてやっているだろう。一旦陸に上がって、精霊を交換しろ】
アクトに言われて、陸に着くと精霊依を解除していた。
「レン、無事なのか」
「ファング、それに皆、無事だったんだね」
「当たり前だろう。俺らがやられるかよ。それよりもどうするんだこの大量のモンスターとクラーケンは」
ファングに聞かれると、レンは険しい表情で言った。
「うーん、それなんだけど、ファングとカイトは人目の無いところでフォレストになってくれない? 指示はなってから言うから」
「お前、この状況で無茶苦茶だろう。自衛団の人達に上手く言わないといけないだろう。何を企んで入るんだ」
レンの提案が無茶振りなので、ファングは頭を押さえていたが、やるしかないと思っていた。
「クリスさん、ファングとカイトを街の方に向かわせて良いですか?」
「レン君、街の方は国の騎士団達がいるから大丈夫だと思うが何かあるのか?」
クリスが首を傾げていた。
「はい、二人には国の騎士団達の護衛に入って貰います。二人は魔法より剣を使った攻撃が得意なので適切かと」
「成る程、よし分かった。なら二人には街の方を頼むよ」
「ありがとうございます。ファング」
「あぁ、分かったよ。カイト行くぞ」
「えっ、どこに行くのファング?」
「良いから黙ってついてこい」
ファングはカイトを無理やり連れて行った。
「大丈夫なのか、あの二人は」
「アハハハ大丈夫ですよ。僕達も頑張りましょう」
クリスが二人を心配していたので、レンは笑って誤魔化していた。レンはエレナを呼んで、精霊依になっていた。
「行くよエレナ」
【任せてレン、初めての実戦だけど頑張ってサポートするよ】
レンは上空から、電撃を放ってクラーケンに攻撃を開始していた。
「ファング、どこに行くの?」
「良いから、ついて来いよ」
カイトはわけも分からず、街の方に向かっているのでファングに確認していた。
「よし、ここなら誰にも見られないな」
ファングとカイトは建物同士の薄暗い所に来ていた。
「ファング、こんな所に連れて来て何をするの? レン君を見捨てるの?」
「はぁ、そんな事はしないよ。カイト、俺と一つになるぞ!」
「えっ、もしかしてこの為にここに連れてきたの?」
カイトが驚いていた。
「そうだよ。レンも無茶振りし過ぎだぜ。ほらさっさとやるぞ! レンを待たせるな」
「うん、分かったよ」
ファングとカイトが一つになると、急いでレンの所に向かっていた。
さて、ファングの方はカイトと一つになったかな?
レンは精霊フォレストを呼ぼうとしていた。
【レン、よそ見しない】
「うん、ごめんエレナ。ちょっと考えごとをしていたよ」
レンがボーッとしていたので、エレナが注意していた。
「フゥ、フォレスト来い」
レンが叫ぶと、フォレストが目の前に姿を現した。
「レン、もう少し早く呼んでくれないか、お前が呼べばワープ出来るんだから」
「そんな事を言われても、無理だよね。どうやって確認するの?」
レンはクラーケンの方を見て攻撃している中、どうやってフォレストになったのを確認するのか聞いていた。
「うっ、それを言われると何も言えないよ」
「それよりもレン君がこの姿にしたって事は何か理由があるんだよね」
フォレストの姿を極力控えていたので、カイトはレンに理由を聞いている。
「それなんだけど、フォレストの方が強力な魔法を使えるでしょう?」
「そうだけど、大量の魔力を使うぜ」
フォレストの姿になれば強力な魔法を使えるが、使用する魔力量を気にしていた。
「構わないよ。今はそんな場合じゃないでしょう。もし魔力が足りないなら、僕の魔力を使っても良いよ。それとモンスターの捕食も許可するから」
「お前の魔力は使わないよ。お前が言った捕食だけで充分だよ。そうだろう、もう一人の俺」
ファングとカイトの名前が仲間以外にバレないように、上手く俺や僕などを使って隠していた。
「そうだね、僕の半身。久しぶりの大量のご馳走だよ。早く食べよう。もう一人の僕」
「あぁ、そうだな。レン、俺達は行くぜ」
「頼んだよフォレスト」
フォレストに指示をすると、フォレストは勢いよく魔法を放ち、白と黒の触手を伸ばして、モンスターを体内に入れて吸収していた。
「アハハハ、美味い、美味すぎるぜ。もっともっと、俺を満足されろ」
「はぁ、美味しいよ。もっと僕のエネルギーをくれよアハハハ」
「ちょっと、フォレスト、その不気味な笑い声をやめなさい。自衛団の人達が怯えるでしょう。モンスターを食べる精霊何て化け物よ」
フォレストが奇声を上げながら、モンスターに攻撃した後、弱らせたモンスターを生きたまま体内に頬張っているので、アリスが注意していた。
「良いだろう、ここのモンスターは全部俺の餌何だから」
「ぺっ、ぺっ、そうだよ。別に人間は襲っていないでしょう?」
ファングがモンスターを捕食して、吸収が終わった残骸をカイトが排泄していた。
「それはそうだけど、人々から見たら悪魔よ」
フォレストの言動にアリスが頭を痛めていた。
「アリスさん、あれもレン君が管理している精霊何ですか?」
クリスが慌てた様子でアリスに確認していた。
「そうです。見た目は化け物ですが、レン君が契約している、光と闇を司る精霊フォレストですよ。あの精霊は他の精霊と違ってモンスターを食べる習慣があるんですよ」
クリスを納得させるために、アリスが本当と嘘を混ぜて信じ込ませていた。
「そうか、モンスターを食べてくれる精霊が存在するのか? レン君に仕える精霊達は化け物揃いだな」
「そうですね、アハハハ。意外と簡単に信じたわね」
あっさり信じたので、アリスが意外な表情をしていた。
「うん、いま何か言ったか?」
「いえ何も言ってませんよ。それよりも、そっちの部隊は大丈夫何ですか?」
複数の負傷者がいるので、救援に向かうか確認していた。
「いや、大丈夫だよ。我々にも救援部隊はいるからね。君達は引き続き、大量のモンスターとクラーケンに対抗してくれ」
「分かりましたわ。フォレスト聞こえた、全部食べて良いわよ」
「何でアリスが命令するんだ。レンがそんな事を言ってないだろう」
「大丈夫よ、私がレン君に言うから」
「本当かよ、もし嘘だったら殺すからな」
「はいはい、その時は謝るわ。レオスとレイスは私達と来て」
「了解しましたアリスさん」
「分かったよ、マスターの為に全力でサポートするよ」
レンの指示を背いて、アリスが勝手に指示を出していた。
アリスが勝手に指示をしているし、しかもフォレストに余計な事を言ってない。もの凄い勢いでモンスターを食べているんだけど。
レンはアリスやフォレストを見て頭を痛めていた。
【レン、来るよ】
「そうだね、サンダーレイ」
レンは空中を飛びながら、雷の雨を振らせていた。
「これでも、倒れないのか」
【レン、危ない】
「えっ、ウァー、ゴッフ」
レンはクラーケンの巨大な脚に捕まり、勢い良く海の中に叩かれていた。
「レン君!!」
「レン」
「レン師匠」
「マスター」
レンが勢い良く海の中に消えていたので、五人に憤りを隠せなかった。
「アクト、急いでレンの所に行け、こっちは俺達がやるから」
【分かっているよ。今行くよレン】
アクトは急いで、レンの所に向かっていた。
「さて、さっさと片づけるか、カイト」
「そうだね、ゆっくり味わっている場合じゃないね。さっさと食べようか」
フォレストの体が変化して、一面いた大量のモンスターを包み込み、奇声を上げて吸収し始めていた。
イテテ、油断したよ。今ので仲間達が凶変してなければ良いけど。
レンの思いとは裏腹に、仲間達は既に凶変している。
【レン、大丈夫?】
「大丈夫だよ。エレナが護っているからありがとう」
【えっ、照れるよレン、私は精霊としての役割をしただけ】
【レン、無事なのか】
「アクト、心配して来てくれたんだね」
アクトが焦った表情でレンとエレナの所に来ていた。
【当たり前だろう、お前の精霊何だから。エレナ、ちゃんとレンを護れているな】
【うん、ちゃんとやっているよ。レンを死なせたりしないから、アクトはそんな顔をしない】
【そうだな。エレナに言われると自分が惨めだな】
【何だとアクト】
「喧嘩しないの、行くよ。アクト、エレナ」
【了解!!】
レンは再び上空に上がり、クラーケンに攻撃を開始して、アクトは海の中でクラーケンの足止めをしていた。
「サンダースパーク。これでもダメなの」
【アクトも動きを止めれるのが精一杯って言っているよ】
エレナはアクトと通信をして状況を逐一報告していた。
クラーケンを足止めしても倒せないと意味がないよね。アリス達も魔法で応戦してくれているけど、険しい表情をしているし。
魔法をたくさん撃っても、クラーケンが倒れないので、皆の表情が辛そうだった。
「このままだと、魔力が保たないよ」
【レン、危ない】
「えっ、しまった」
考え事をしていたので、クラーケンの攻撃に気付かなかった。
「シャドウチェーン」
「シャイニングレイ」
「フォレスト! 何でここに」
間一髪の所でフォレストに助けられていた。
「レン、大丈夫だよな」
「うん、ありがとうフォレスト、大量のモンスターの方は大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だよ。見てみろ! 国の騎士団達が来たみたいだぞ」
フォレストに言われてみると、多くの人達がモンスターとやり合っていた。
「よかった。なら大丈夫だね」
「レンはアリス達の所にいろ」
「えっ、何を言っているの?」
フォレストが突然、アリス達の所に戻れと言っていたので、レンが確認している。
「ここは俺達がやるから、レンはアリス達の援護に向かえ」
「えっ、何かクラーケンを倒す。強力な魔法があるの?」
「あぁ、あるぜ。だけどレンを巻き込みたくないから、下がって欲しいんだよ」
「そうなんだ、分かったよ。ここはフォレストに任せるよ。やられたりしないでよ」
「俺がレンを置いてやられるかよ」
「レン君、僕を信じて」
「分かったよ。それじゃ僕は行くよ」
フォレストが何をするのか聞かずに、レンはアリス達の所に向かっていた。
「レンを何とかこの場所から遠ざけたな」
「そうだね。下手したらレン君まで巻き込んじゃうからね」
「さて、始めるか、レンもある程度離れたしな」
「うん、始めようか、僕達の大事な食事を」
「あぁ、そうだな。お前には悪いけど俺らの餌になれよ。そしてその膨大の魔力を俺らに寄こせアハハハ」
フォレストの体がスライム状に巨大に広がると、勢い良くクラーケンを襲いかかり、捕食を始めようとしていた。
「レン君、怪我はない」
「大丈夫だよ。精霊達に護られていたから」
レンはアリスから状況を聞いていた。
「そう、そっちはフォレストが何とかするんだね」
「そうなんだよ。だけど何をするのか教えてくれなかった」
「グアアア!」
「えっ、今の何の声?」
「レン君‥‥‥あれを見て」
「あれって‥‥‥まさか」
レンとアリスが話し合っている最中、突然何かの声が聞こえたので、振り向くと巨大なクラーケンがフォレストに捕食されているのが見えた。
「あれってフォレストだよね」
「そうね、やばいわね。クラーケンを取り込んで膨大の魔力を得ようとしているわ」
生々しい姿を見て、レンとアリスが呆然としていた。
「アハハハ、スゲーよ。魔力が全身に広がるよ」
「アハハハ、そうだね、もっと僕にその魔力をくれよ。はぁ暴れるクラーケン最高だよ」
「そうだぜ、暴れれば暴れるほど、どんどん体内に引き釣り込まれるから、もっと暴れて俺らに刺激を与えろアハハハ」
フォレストは不気味な奇声を上げて、暴れているクラーケンを包み込んで逃がさない態勢を取って捕食していた。
「フォレストがやばい声を出しているよ」
「レン君は見ない方が良いわ。とりあえずクラーケンが死ねば、このモンスター達も海に戻るはずよ。今は目の前の敵を対処しましょう」
「そうだね、レオス、レイス行くよ。精霊四人も行こうか」
フォレストの事を無視して、目の前のモンスターを対処しようとしていた。
「レン君、あれは君の精霊だよね。あんな巨大な化け物になって大丈夫なのか」
クリスや自衛団の人達が怯えていた。
「大丈夫ですよ。フォレストに攻撃しなければ、襲ったりしませんから、僕達は目の前の事をしましょう?」
「レン君が言うのなら、君の指示に従おう。お前ら、クラーケンの方は無視して、近くのモンスターに対処をしろ」
クリスはレンの指示でクラーケンの攻撃をやめて、目の前のモンスターに切り替えていた。やがてフォレストがクラーケンを吸収終えると、モンスター達は海の中に戻って行った。
「ふぅ、何とか終わったね」
「私達が勝ったんだね」
「なんか疲れましたよ」
「僕もヘタヘタだよ」
クラーケンを倒した喜びに浸っていたが、魔力をかなり消費してみんなへばっていた。
「君達、何てお礼を言えば良いんだ。本当にありがとう」
クリスや自衛団の人達に祝福されていた。
「しかし、君の精霊は凄いよ。あの海の魔物の一瞬で食べるなんて、普通はあり得ないよ」
「アハハハ、そうですね」
アルベルトに言われて、苦笑いしていた。
「それで、ファングとカイト君は確か街の方にいるんだよね。彼らにも感謝を伝えてくれないかな」
「はい、分かりました。二人には伝えておきますよ」
「それじゃ、私達は後始末などがあるので、君達は明日、自衛団本部に来てくれないか、お礼をしたいんだよ」
クリス達と分かれると、四人は宿に向かって歩いていた。
「しかし、フォレストの力は危険だわね」
「そうだね、まさかクラーケンを食べるなんて普通は考えないよ」
「俺が何だって」
「ファング、戻って来たの? カイトは?」
フォレストは人目のない場所で人間の姿に戻ると、レン達と合流していた。
「戦闘が終わったから、もとの状態に戻ったよ」
「そうなんだ、カイトらしいね」
「それよりも、早く宿に戻ろうぜ」
「そうだね、アリス、先にレオスとレイスを連れて戻っていて、僕はファングと少し出かけるから」
「分かったわ、行くわよ。レオス、レイス君」
「えっ、先に戻るんですか」
「レイス、マスターの気持ちを考えて」
レンとファングを残して、三人は宿の方に向かっていった。
「レン、俺になんか用事でもあるのか?」
「良いから付いてきてよ。ファングは僕の護衛でしょう」
ファングはレンの不可解な行動に疑問しながらも付いていくと、森の中に来ていた。
「ふぅ、ここまで来れば誰も見られないかな」
「レン、こんな森に来て何をするんだ」
「それはこっちのセリフだよね。クラーケンを完全に吸収出来てないでしょう? 顔が辛そうだし、体内で暴れているんじゃないの?」
ファングの表情を見抜かれていた。
「アハハハ、やっぱりレンには敵わないか、皆と宿に戻ったらこっそりやるつもりだったのにやっぱり限界だよ。うっ、ウァー」
「ファング!」
ファングの体は激しく揺さぶられて、お腹が膨らんだり、口からクラーケンの足が時々出ていた。
「大丈夫だよ。あいつは絶対に体内から出られないから、うっ、レン、フォレストになって良いか、カイトだけに任せられないよ」
ファングはレンから許可をもらうと、フォレストの姿になり激しく暴れていた。
「フォレスト、大丈夫なの?」
「大丈夫だよレン君、僕と彼が必死に弱らせているから」
「すまないレン、暫く落ち着くまで休んでいてよ」
「分かったけど、変な奇声をあげないでよ」
「あぁ、分かったよ」
レンは地面に座り込むと、フォレストの事をずっと見守っていた。
はぁ、かなり苦しそうだね。クラーケンを取り込むとか普通はあり得ないよ。多分誰も考えないよね。これじゃフォレストが完全な悪魔だよ。こんなのがまかり通ると何でもありだよね。
フォレストが化け物級に成長しているので頭を痛めていた。
これで僕の人生は終わったな。フォレストは完全に魔王だよ。僕に歯向かう人はフォレストに食べられる可能性があるし。
フォレストはあらゆる物を吸収して成長するので、レンが魔王を従えているように感じていた。
はぁ、これから僕の生活はどうなるんだろう。精霊達も沢山従えているのがバレたし、僕のマッタリ冒険ライフが既に危ういよ。
これから先、安全に冒険が出来るのか心配だった。クラーケンをある程度弱らせると、ファングの姿に戻っていた。
「レン、ずっと考え込んでいたけど何か悩みか」
「いや、ファングが魔王と化しているから心配だなと思っただけだよ」
「そんな事を考えていたのか、確かにあんな姿をみたら魔王だって言われてもおかしくないな。だけど、俺は魔王じゃないよ。俺とカイトはお前と契約して管理されているんだから暴走しても抑え込めるだろう。それにあれは、俺とカイトに与えられた力だよ」
ファングの説明を聞いて、レンは安心していた。
「そうだね、それでクラーケンを吸収したの?」
顔色が良くなったので確認していた。
「いや、体内で縛り付けているよ。もう暴れる事はないからゆっくり味わうんだよ。俺とカイトでな」
「そうなんだ、でもクラーケンを吸収したから相当な魔力を手にしたよね」
「あぁ、それなんだけど、さっさとクラーケンから魔力をちょっと抽出した事で俺とカイトは新たな力を手にしたよ。ほんのちょっとなのに凄い魔力量だよね」
ファングはお腹を触りながら、話していた。
「そうなんだ、それはよかったね」
「レン、待てよ。カイトに会いたいだろう」
「えっ、カイトならいつでも会えるよね」
ファングが意味不明の事を言うので困惑していた。
「そうなんだけど、面白いの見せてやるよ。クラーケンを取り込んだ事で俺とカイトの体は完全な物になったんだよ。カイト、出て来いよ。レンに本当の姿を見せようぜ」
ファングはお腹を触りながら、カイトに合図を送ると、ファングの体が変化し始めていた。
えっ、何かファングの背中が変化しているよ。
ファングは苦しみながらお腹を押さえると、背中が裂けてカイトが上半身剥き出しで現れると、下半身はファングの肉体と融合して、ファングの後ろから抱きかかえていた。
「はぁ、やっと出られたよ。これでファングと完全に一つになったね」
「えっ、カイト、何故ファングの肉体を変化させて出てくるの? 普通に分離した方が良いよね」
わざわざ一つの体で二つ作る必要があるのか疑問だった。
「確かにそうだけど、この状態だと一瞬でフォレストになれるよね。いちいち、くっついている時間が勿体ないよ。それにこの姿は人目のあるところではやらないから良いよね」
「はぁ、分かったよ。それなら良いよ。ファングもしっかり管理してよね」
言っても無駄なので、ファングに丸投げしていた。
「あぁ、任せろ! それじゃカイト、戻れよ」
「はいはい、相変わらず手荒いね。それじゃクラーケンでも食べているよ」
「あぁ、そうしていろ、お前は俺の体を管理する身何だからな。ただしゆっくり消化しろよ。クラーケンはあくまでも保存食だから、冷凍でもして、腐らせないようにしろ」
「了解、レン君、早く帰ってご飯にしよう」
カイトはお腹が空いたのか、ファングのお腹を触っていた。
「いや、クラーケン以外に大量のモンスターを食べたよね」
「あれは別腹だよレン君」
ファングとカイトがまだ食べる気だったので呆れていた。
「はぁ、カイトは何かファングに似てきていない」
「そうか、お前がそう感じるなら、そうなんだろうな」
カイトはファングの中に戻っていた。
「はぁ、何か色々気持ち悪いの見たから、帰ろうか」
「相変わらず酷い言われようだよ。まぁ、仕方ないけど」
ファングは既に化け物だと認識しているので、反論する気はなかった。
「エレント、アルトニス、エレナの罰は無しにするよ。ちゃんと頑張って皆と戦っていたからね。だけど今度は気を付けてよ」
「よかったなお前ら」
【レン様、ありがとうございます】
【レンさん、ありがとう】
【レン、次は失敗しないよ】
【本当にお前は甘過ぎだよ。もう少し怒れよ】
精霊三人に甘いとアクトが呆れていた。
「それを管理するのはアクトでしょう。精霊のリーダー何だからな」
精霊達を束ねるリーダーを努めているのはアクトなので、アクトが決めれば良いと言っていた。
【そうだな。レンは許したけど俺は許さないぜ】
【えっ、それはないよアクト】
【アクト、酷いですわ。折角良い雰囲気を壊さないで下さい】
【アクト、酷い】
【お前ら、いい気になるな】
精霊三人が深いな表情をしたのでアクトが怒っていた。
「相変わらず元気な精霊達だよな」
「そうだね」
レンとファングは元気に飛び回る精霊達を見ながら、宿に向かって森の中を歩いているのだった。
次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(__)m
次回更新から第5章最終節に行きます。




