#60 フォレストの中で会議と巨大生物の謎を求めて
お待たせしました。第60話公開です! クラーケンがいよいよ来るのかな?
カイトが新たな仲間に加わり、レン達は朝からフォレストの中で朝食を取っていた。
「おい、お前ら、何で俺とカイトの体内で朝食を取るんだ」
レン達は宿の人に言って、料理を部屋に運んだ後、フォレストの中に入り、テーブルに料理を並べて朝食を取っていた。
「えっ、朝食を食べながらクラーケンの対策の話をしようと」
「いや、そうじゃなくて、わざわざ俺とカイトの中で取る理由を聞いているんだ。本来なら、お前らが運んだ朝食は全部、俺らに吸収されるんだぞ」
ファングが色々言っているが、アリスに見抜かれていた。
「それはないわね。レン君がいる限り、勝手に吸収出来ないでしょう? と言うか、フォレストの体はレンによって伝達信号を変えられているんでしょう」
「うっ、何でそれを知っているんだ。レン、アリスに言ったのか?」
アリスに確信を突かれて、焦っていた。
「えっ、言ってないけど、雰囲気で大体分かるよね」
「ファング、レン君とアリスさんには敵わないね」
「あぁ、そうだな。こいつらは絶対に敵に回したくないよ」
カイトは二人の鋭さに敵わないと思っている横で、ファングはガックリとうな垂れていた。
「それにしても僕達もお腹が空いたね」
「あぁ、そうだな。俺とカイトも食べて良いだろう?」
「良いけど、僕達の料理を全て取り込まないでよ」
「はぁ、そんな事はしないから安心しろ」
四人は心配そうな表情をしていたが、ファングとカイトをソファーに座ると食事を始めていた。
「へぇ、普通の人間みたいに食事が出来るんだね」
「でも不思議だわ。ここは二人の体内だから、どうやって吸収しているのかしら?」
ファングとカイトが普通に食事をしているので不思議に見ていた。
「そんなのいちいち気にするなよ。まぁ、面白いのを見せてやるよ。レン、料理をこぼして見ろよ」
「えっ、うん分かったよ‥‥‥えっ、何この気持ち悪い細胞は、どこから現れたの」
料理をスプーンですくって、下に落とすと突然、気持ち悪い細胞が現れて、落とした料理を食べて吸収していた。
「はぁ、美味いぜ、レン」
「レン君、君達がいる床は僕とファングの細胞が化けているだけだよ。だから、料理を零すと、一部が変化して料理を捕食するんだよ。まぁ、床が汚れないから良いでしょうアハハッ」
「いや、笑いごとじゃないよ。いつの間に変えたの? 前はちゃんと木で隠していたのに。しかもちゃんと味覚が繋がっているし」
「えっ、二人で木を分解して、細胞に染みこませて再形成したんだぜ。ちゃんと肌さわりは木の質感だから凄いだろう! この床一面そうだぜ。味覚は俺とカイトの体だから繋がっていて当然だろう」
ファングとカイトが自慢して、レンとアリスが呆れていた。
「何か凄いわね、この二人」
「そうだね、何か気持ち悪いを通り越して怖いよ」
「そうね。今頃、外では私達の分身がカモフラージュしているしね」
四人がフォレストの中にいることがバレないように、フォレストの能力を使って自分と同じ姿の分身を放っていた。
「ファング、僕達の分身が変な行動しないよね」
「するわけないだろう、普通に過ごしているよ。俺とカイトがちゃんと見ているから安心しろ。お前らのデータは触れた時に回収したから、ほとんど見分けが付かないよ」
フォレストの細胞を体内から出して、四人は白と黒が混ざった、液状に触れて、分身を形成させていた。
「しかし、良く出来ているよファング、前に見た時は全身黒だから、バレると思ったけど、あれは完全に僕達だね。肌さわりや色まで完全にコピーされているよ」
前に見たのは、黒い体の分身だったのでに、今外にいる自分の分身は肌色や体の作りが完璧にコピーされているので、疑問に感じていた。
「当たり前だよ、レン君。僕がファングと一つになった事で完全な力を取り戻しているからね。レン君が前に見たのは、僕とファングが単体時の力だね。ファングは闇に特化した分身を作るんだよ。因みに僕は光に特化した分身を作れるよ。それが二つ合わさる事で完全な姿の分身を形成することが可能なんだよ」
カイトの説明を聞いて、頭を押さえていた。
これ完全にチート級の能力だよね。しかも、あの分身達は普通にフォレストの能力を持っている化け物だよ。あんなの大量に放ったら、あらゆる物を喰らい尽くす軍隊を持てちゃうよ。何で皆気付かないの? それとも気付いてあえて言わないの?
レンは頭をかなり痛めながら、今後の事に悩んでいた。
「レン、どうかしたのか、カイトの説明に不満があるのか?」
「いや、この分身達を大量に生み出したら世界征服出来ると考えてしまってアハハッ」
ファングが見詰めるので、つい口を滑らせていた。
「レン、それは俺とカイトも思っていることだよ。だけど、そんな能力があっても嬉しくないだろう?」
「レン君、仮に大量に分身達を生み出すとしても大量の魔力が必要なんだよ。彼らの維持は大変だから、基本的に長く使えないよ。使うとしたら、戦争や大量のモンスターくらいだよ」
「カイトの言う通りだぜ。利便性的に偵察や一時的のカモフラージュくらいだろう。だから、レンが考えている事は無理だから安心しろ。仮にお前の身に何か起きたら例外かも知れないけどな」
「アハハッ、よかった。ごめんファング、カイト、変な事を聞いて。だけど、例外で変な事をしないでよ」
レンは二人に聞いてホッとしているとファングが言った。
「良いよ、お前が危惧するのは分かるから、だけど、お前の身に何か起きたら、俺は絶対にやった奴を許さない。それだけは譲れない」
「そうだね、だけど、僕を困らす事はしないでよ」
「うん、それは大丈夫だよ。殺したりはしないから、二度と立ち直れないように、恐怖を植え付けてやるから」
「レン君、ファングがあんな事を言っているけど良いの?」
「良いよ、ファングは言葉では恐ろしい事は言うけど、根は優しいから」
ファングの事は理解しているので、ファングの好きなようにさせていた。
「それでレン君、話を戻すけど、クラーケンをどうやって倒そうか?」
「それなんですけど、僕はレン師匠とアクトの精霊依を使うべきかと思います」
クラーケンとの戦闘を行う時、海での戦闘は避けられないので、水を得意とする精霊アクトと精霊依するのが冴え的だと言っていた。
「レイス、正気で言っているのか、レンを危険な場所に行かせないよ」
ファングがレイスの意見に難色を示している。
「私もレイス君の意見には賛成よ。ファング、どうやって海の中で戦うつもりなの?」
「うっ、それは‥‥‥」
「ファングも分かっているでしょう?」
「分かっているけど、レンを危険な所には‥‥‥」
ファングは俯きながら話していた。
「大丈夫よ。レン君はアクト達が護ってくれるわ。私達は可能な限り、遠くから強力な魔法を放てば良いでしょう?」
「そうだな、分かったよ。レン、無理だけするなよ」
「分かっているよ。そんな顔をしないのファング」
ファングはかなり心配していた。
「ファングはカイトとフォレストの姿で戦わないの?」
「それはないな。レンとの約束があるから、レンがフォレストと呼ぶまでは、普通のファングとして戦うつもりだよ。レンに人間らしくやるように言われているから」
「えっ、ファング、それで良いのですか、僕は反対ですよ」
ファングの説明を聞いて、カイトが難色を示していた。
「お前の気持ちは分かるけど、これは俺とレンの約束なんだよ。それにお前は俺として生きるのなら、我慢しろ」
「はぁ、分かったよ。僕が言った事だから。だけど、その戦いには僕も戦うよ」
「えっ、カイトも戦うのか?」
カイトが皆と戦いたいと言っているので、ファングが驚いていた。
「うん、僕とファングはいつでも分離したり、フォレストの姿に自由になれるよね」
いちいちレンに聞かなくても、ファングとカイトの意思で自由にする事が可能である。
「確かにレンに言われなくてもなれるけど、お前が表に出たくないと言っているわりには、出て来るんだな」
ずっとファングやフォレストとして生きると思っていたのでカイトの意見は意外だった。
「だって、ファングの姿だと、僕は何も出来ないよね。ファングの傷を修復したり、力を貸すくらいで見ているだけでしょう。だから戦闘時だけ表に出ようと思って、僕も戦えば戦闘時は有利になるよね」
ファングの姿になっている間、カイトは何も出来ないので、自分も一緒に戦おうと考えていた。
「確かに、だけどお前は王子なんだぞ! 良いのか王子が戦って」
カイトはリノワール王国の王子なので、危険な場所で戦って良いのか聞いていた。
「良いよ別に、もう僕は王子ではないし、それにありのままの僕を見て欲しいから」
「分かったよ。なら一緒に戦おうぜ。レン、良いだろう」
「分かったよ。カイト、ファングを宜しくね」
「ありがとうレン君。僕とファングは一心同体だからね」
ファングとカイトは戦闘時のスタイルを決めると、六人は朝食を食べ進めていた。
しかし、相変わらず化け物だよな。僕達の分身がフォレストの体内に戻って行くよ。
朝食と会議を終えて、四人がフォレストの中から出て来た時に、自分達の分身を回収している、フォレストの姿をレンは見ていた。
「それじゃあ、一旦食器を返そうか」
料理で使用したお皿をナンシーに渡すと再び部屋に戻っていた。
「レン、今日はどこか行くのか?」
ファングは詰まらないのか、レンに予定を聞いていた。
「そうだな、ならフォレストの姿でアクト達と海の方を見てきてよ。僕とアリス達はちょっと図書館で情報収集するから」
「オッケー、分かったよ。なら行こうぜ皆」
【本当に忙しいなお前。レン、何か見つけたら連絡するよ。行くぞお前ら】
フォレストとアクト達はレンの命令で海の調査に向かった。四人はレイン王国の街中にある、図書館に来ていた。
「さて、さっさとクラーケンに関する書物を探しましょう」
四人は手分けして、クラーケンに関する本を調べていた。
うーん、本があり過ぎて、どこにあるか分からない。せめて僕がいた世界みたいに、分類するか、ひらがな順に並べて欲しいな。
本は適当に敷き詰められているため、探すのに一苦労していた。
「レン、聞こえるか!」
「フォレスト、どうしたの?」
ファングがレンとコンタクトを取っている。
「いや、ファングで呼べよ。フォレストは精霊の姿の通称で中身は俺とカイトだよ」
ファングが説明すると、レンは微妙な表情をしているがファングには見えなかった。
「えっ、別にフォレストで良いよね。フォレストの姿で行動しているんだから」
「お前、分かっていて、わざと言っているだろう。人前ならフォレストで構わないけど、今は姿消して行動しているんだぞ」
「はぁ、本当に面倒いなファングは‥‥‥」
「やっぱりわざと言っていたんだな」
レンがファングをからかっていたので、ファングが軽く怒っていた。
「それで、何かあったの、僕とコンタクトして」
「あぁ、それが!」
ファングはレンに海での様子を説明していた。
「えっ、大量のモンスターがこっちに向かっているの?」
「まだ断定出来ないけど、今はアクトが潜って確かめているよ」
「そう分かったよ。引き続き調査をお願い、カイトは何をしてるの?」
「あぁ、カイトはフォレストの体を動かしているよ。その間にお前とゆっくり通信しているんだろう」
「何かファングとカイトが凄いよ。ちゃんと役割を決めているんだね」
ファングとカイトの役割に呆れていた。
「ファング、レン君は何か言っていたかな」
「いや、特には引き続き調査をしろだってさ。それとお前の事を聞かれた」
レンとの通信を終えたファングに内容を聞いていた。
「そんな事を聞いていたのレン君らしいね」
「レンは興味があると何でも聞くからな。まぁ、言った内容は間違いないよな」
「そうだね、僕とファングがフォレストの体をそれぞれ分担しているのは本当だからね」
ファングとカイトは自分達の体の事を話していた。
「それで皆、聞こえているか、さっきレンと話した内容を伝えるぜ」
ファングは精霊四人に説明をすると引き続き海の調査を進めているのだった。
はぁ、全然見付からないよ。ファングが邪魔するから時間が勿体ないよ。
なかなか目的の本が見付からないので、ファングに八つ当たりしていた。
「レン君、そっちは何か見つかった?」
アリスが声を掛けていた。
「いや、何も見付からないよ」
「そう、なら少し休みましょうか」
レンとアリスは近くの机と椅子を見付けて座っていた。
「レオスとレイスは頑張るわね」
二人に声を掛けたけど、引き続き探すと言って休憩しなかった。
「まぁ、疲れる事はしてないから、引き続き頑張りたいんだよ」
「そうね、それにしても本の仕分けがなってないわね。あれじゃ何処にあるか分からないわ」
アリスもレンと同じ事を考えていた。
「まぁ、国によってやり方は違うから仕方ないよね。それより、さっきファングから連絡があって、ちょっと気になる事があるんだ」
ファングと通信した内容をアリスに報告すると、腕を組んで悩んでいた。
「うーん、ファングがそんな事をね。ちょっと気になるわ」
「とりあえず調査はそのまま進めているよ」
「なら良いけど、私の感があまり良くないわ。もしかしたら何か起きそうだわ」
「アリス、変な事を言わないでよ」
レンとアリスがファングの報告について話し合っているとレオスとレイスが戻って来た。
「クラーケンに関する本はあった?」
「いや、見付かりませんね」
「僕は兄さんに変わって探していたけど無いって言われた」
「そう、なら二人も少し休みな」
クラーケンに関する書物を見付けられなくて、二人が机にうつ伏せしていた。
「やっぱり簡単には見付からないわね」
「仕方ないよ。本の数があり過ぎるから」
レンとアリスは本棚を見渡していた。
「とりあえず休んだから、僕とアリスは探そうか」
「そうね、二人は少し休んだら、再開させなさい」
レンとアリスが本を探しに行こうとした時、見覚えの声が聞こえていた。
「はぁはぁ、見付けたぜレン」
「ファング、何でここにいるの? フォレストの姿で調査していたはずじゃないの? もしかして何かあった?」
ファングが慌てた表情で戻って来たので、何かあったのか確認した。
「悪ぃレン、ちゃんと人目のない所でやって来たから安心しろ。それよりも大変なんだよ。大量のモンスターがこの国に向かっているんだよ」
「えっ、ファングそれ本当なの?」
「あぁ、間違いないよ。アクトと今も通信しているけど、こっちに来ているぜ」
ファングの説明を聞いて、アクト達と通信すると事の重大さが分かった。
「アクト達は、大量のモンスターをそこで食い止めて、魔法使用とか許可するから」
【分かったよ、レン。何とか食い止めるけど無理だったら、すぐ連絡するな。そっちも万が一に備えて対応を頼む】
アクト達に指示を出すと、レン達は慌てていた。
「本を探している場合じゃないね」
「そうね、もしかしたらクラーケンがモンスターを引き連れている可能もあるわね」
「とりあえず一旦、宿に向かって武器を装備して、自衛団本部のクリスさんに報告しよう」
「分かったわ、ファングはアクト達と定期的に通信をしてよ」
「分かっているよ。今は急いで武器を取りに行こうぜ」
危機が直ぐ目の前まで、来ている事を知り、五人は急いで宿に戻って走っているのだった。




