#58 船の中での雑談と暴走するカイト王子
お待たせしました。第58話公開です。カイト王子がファングを求めて暴走中(^-^;)それよりもクラーケンはいつ現れるの?(。>ω<。)
レンとファングはカイトの相談ごとを終えて、アリスの部屋に来ていた。
「レン君、どうしたの、疲れた表情をして?」
二人の表情がかなり辛そうに見えていた。
「いや、何でもないよ。ちょっとねアハハハ」
さっきまで、カイト王子と揉めていた事などアリス達は知らなかった。部屋に入り、床に座ると早速アリスが鋭い質問をしていた。
「それでカイト王子と何の話をしてきたの?」
「えっ、それは‥‥‥」
カイトが半精霊で、ファングの半身だって事が言いにくかった。
「ねぇ、レン君。隠し事はしないんでしょう?」
「うっ、分かったよ、ファングも良いよね」
「あぁ、良いよ。俺も隠すのは無理だと思うから」
ファングの許可を貰うと三人に話していた。三人はカイト王子の相談の内容を説明すると、かなり驚いていた。
「えっ、カイト王子が精霊なの!」
「さっきから驚くなよ。俺だって驚いたんだから」
アリスは未だに信じられない様子だった。
「それじゃ、ファングさんはカイト王子と繋がっているんですか?」
「あぁ、そうだよ。カイトの魔力が流れているのが分かるよ」
「半身だから、魔力リンクがされているのね」
ファングは胸に手を当ててカイトの魔力を感じていた。
「あぁ、それにレンの魔力も流れるようになっているよ。レン、ちゃんと回復したんだな」
レンの魔力が流れているのに気付いて喜んでいた。
「それにしても、まさかカイト王子が精霊ねぇ。レン君、これからどうやって接するの?」
カイトの今後の生き方や接し方を聞いていた。
「とりあえず、カイトはファングになるって言っているから、尊重しようかと」
「分かったわ、レン君に一任するわ。でも王子って事はこれからのやり方で目線がこっち来るわよ」
カイトはリノワール王国の第二王子なので、今後の対応次第では何が起こるのか予測出来なかった。
「分かっているよ、だからカイトがわざわざ、自分の父親と母親に会わせてくれるんだよ」
「それにカイトは俺が半精霊にさせた、フォレスの事を知っているから聞き出すんだよ」
レンとファングはカイトの父親と母親にあって、フォレスの事やカイトが王子をやめる趣旨の説明を聞こうとしていた。
「そうね。それには私達も同行して良いんだよね」
「うん、構わないよ。だって仲間だから、知った方が良いよね」
カイトの意見は聞かなかったが、レンはアリス達を連れて行くつもりだった。
「アクト達はファングとカイトの事どう思うの?」
アクト達はファングとカイトの真の姿を見ていたので、今後も仲間としてやって行けるか確認していた。
【俺は別に構わないぜ、ただあの姿はちょっとな】
【確かに、あの姿には慣れないね】
【威圧感が半端ないですわ】
【あの姿になると恐い】
「何か凄い言われようだなおい。でも、ちゃんと仲間として見てくれて嬉しいよ」
「ファング、泣いているの?」
「泣いてないよ、アリス、これは嬉し泣きだよ」
精霊四人に見捨てられず仲間として認めていたので、泣いているファングの姿を四人は神妙な表情で見ていた。
「それじゃ、レン君。今ここでカイト王子を呼ぶ事は可能なの?」
「えっ、それは無理だよ。今は護衛がいるから呼んだらバレるよ」
アリスが突然、カイト王子を呼んでと言ったのでレンは必死に断っていたが、ファングが悪巧みをしていた。
「良いぜ、呼べよレン」
「何を言っているのファング」
「あいつには、まだ許してないからな。それにこれも試練だよ。人に見られないように来る修行だと思えば良いだろう」
「それはそうだけど、何でアリス、レオス、レイスが近付いて来るの?」
レンは嫌がっていたが、四人が迫って来るので、仕方なく呼ぶ事にしていた。
「はぁ分かったよ。呼べば良いんでしょう。ファング良いの」
「あぁ、アリス達に俺の姿を見て欲しいから」
「それじゃ行くよ。カイトごめん。フォレスト来い!」
「えっ、ファングやカイトじゃなくてフォレストなの?」
レンが別の名前を言ったので、アリスが驚いていた表情をしていた。
「そうだよ。精霊ファングやカイトだと変でしょう。だから名前を決めたの」
「へぇ、そうなんだ。確かにその名前ならバレることはないわね」
アリスが納得していると、ファングは姿を変えて黒い液状の球体になり宙に浮いていた。
「これがファングの体何だね。相変わらず、気持ち悪い動きするわね」
「そうだね、アリス」
カイトが来る間、話していた。
「それでカイト王子はまだ来ないの?」
「多分、もう直ぐ来るよ、ほら来たよ」
「えっ、あれがカイト王子なの。何でファングの同じ姿なの、しかも白いし」
「アハハハ、仕方ないよ。カイトはファングの半身何だから」
カイトが白い液状の球体で現れると一つになり化け物の姿になっていた。
「レン君、酷いよ。僕を急に呼ぶなんて、何とか護衛に気付かれずに来たけど、今頃大騒ぎだよ」
カイトは何かしらの理由を言って、飛びたしたので今頃護衛が必死に探していると怒っていた。
「ごめんね、なるべく早く済ませるから」
「はぁ、別に良いですよ。レン君の頼みですから」
カイトは怒っていたが、また一つになったので内心では嬉しかった。
「へぇ、これがファングとカイトが一つになった精霊フォレスト何だね。なんか気持ち悪いわ」
「アリスはそれが言いたいだけだろう?」
「何ですって、ファングもう一回言って見なさい。今度は強力の魔法を撃つわよ」
「アリスとファング、落ち着いて、何で直ぐ喧嘩するの?」
ほんの些細な事で喧嘩をするので、頭を押さえていた。
「それより君達は確かレン君の仲間だったかな?」
カイトはアリス達の姿を見ているが、名前を知らなかったので、アリス達は自己紹介していた。
「へぇ、君達がレン君の仲間何だね。僕の名前はカイト・リノワールだけど、今後はファング君になるから宜しくね」
「本当にファングになるんですか?」
「そうだよ」
「レン君が言った通り何だね」
カイトがファングになると言っていたので、レンが言った事を信じていた。
「しかし、凄いわね。ファングの姿を見ていたけど、前よりも威圧感が半端ないわ」
「確かに、前よりも体が大きいし、吸収量も増えて、完全に喰らい尽くす化け物ですね」
「お前ら、本当に酷い言葉しか言わないんだな」
「アハハハ、仕方ないよファング君。僕達は所詮化け物何だから、僕はレン君冴え入れば充分だよ」
「あぁ、確かに、後は全て俺達の餌だなぁ」
ファングとカイトが恐ろしい事を口ずさむので頭を悩ませていた。
ファングとカイトは何を言っているんだよ。悪い人間を食べるのは絶対に駄目だからね。
話が終わるとファングとカイトは分離していた。
「はぁ、またもとに戻されたよ」
カイトは早くファングに成りたいのに、レンが許可しないのでため息を吐いていた。
「うぁ、カイト王子だわ。握手して下さい。白銀の王子様」
カイトが人間の姿に戻るとアリスが奇声をあげて喜んでいた。
「アハハハ、アリスさん、その白銀の王子って何ですか」
自分が白銀の王子と呼ばれていることを知らない様子だった。
「白銀の王子は学園や人々が付けた異名よ。外見はイケメンで、物事もこなし、頭も良いし、しかも国の王子様、まさに理想の王子様だわ。ちなみに白銀はカイト王子の髪が白銀色をしているのでそこから来ています」
「アリス、お前は何でも知っているんだな」
アリスの知識に、ファングが呆れていた。
「当然よ、学園の女の子達はいつも叫んでいたから知らない人はいないわよ。それにリノワール王国にいる人はほとんど知っているわ」
「レン、お前は知っていたのか」
「うん、知っていたけど、アリスの方が詳しすぎて驚いたよ」
「へぇ、そうなんだ。だけど、その異名も終わりだね。僕はもうじきファングになるから」
カイトはアリスに握手をした後、好きに体を触らせてあげようとしていが断っていた。
「おや、握手だけで、良いのかい? もうじき僕は消えるのに」
「はい、大丈夫ですよ。それにカイト王子は消えると言っていますがファングの中で生きているんですよね。レン君に言えば姿を変えてくれると言っていたので」
「確かに、僕はファングの中で生きているよ。全部レン君から聞いたんだね」
「すみません、カイト。一応仲間なので隠す事は」
「うん、分かっているよ、レン君は隠し事が嫌いだからね。もし僕の姿にしたいのなら、いつでも呼んでよ。レン君の為なら協力するから」
カイトはレン達の事情を直感して、許可していた。
「それじゃ、僕は戻るよ。レン君、僕は早くファングと一つになりたいからね」
カイトはレンに伝言を言うと足早に、戻っていった。
「カイト王子、レン君に念をしていたわね」
「そうだね、どうしてファングになりたいのかな?」
「さぁな、あいつの事情なんか知らないぜ」
「でも、普通ならあそこまで言いませんよ」
「そうよね。何か理由があるのかしら」
「とりあえず悩んでもしかないよ。僕は部屋に戻るよ」
カイトの事情は気になるが、レンはアリス達と一旦分かれて、自分達の部屋に来ていた。
「はぁ、やっと普通のベッドだよ。フカフカだよ」
「そうだな」
ファングはレンを見つめていた。
「ファング、僕はもう中には入らないよ」
「別にレンを中に入れる事、何て考えてないよ。ただお前が元気になって嬉しいんだよ。やっとお前の魔力が流れてきたから」
レンの魔力が再び供給されている事が分かり、ファングは笑顔を見せていた。
「ごめんね、ファング。今まで心配掛けて、アクト達も今まで辛かったね」
レンはファングとアクト達に改めて謝ると、困った表情をされていた。
「レン、頭をあげろよ。お前は何も悪くないぜ」
【ファングの言うとおりだぜ。お前は人々を助ける為に使っただけだよ】
【レンさんは、その力で多くの人を救ったんだよ】
【レン様が悔やむ必要はないですよ】
【レンは守りたい人の為に力を使っただけだよ。自分を責めないで】
「だけど、僕は今まで」
レンは五人に励まされていたが、思い詰めた表情をしているのでアクトが言った。
【はぁ、お前は背負い過ぎだよ。たかが魔力の事で落ち込むなよ。俺達はレンの魔力が無くても頑張っていただろう。俺達が一番危惧しているのは、お前の体何だから、お前に死なれたら、俺達の居場所は無くなるんだぞ! だから、あまり俺達に心配を掛けないでくれよ。頼むから】
「アクト!」
アクトは今にも泣きそうな表情をしていた。
【そうだよアクトの言うとおりだよ】
【アクト、たまには良いことを言いますね】
【アクト、天才】
「レン、見ろ。お前は一人じゃない。お前の悩みや苦しみは俺達も背負う、だから全部背負うなよレン」
「うん、みんなありがとう。ごめん今まで心配を掛けて」
ファングは精霊の姿になると、アクト達と一緒にレンを抱きしめていた。それから暫く部屋で休むと扉を叩く音がした。
「コンコン!」
「誰だ、扉を叩くのは?」
「レン、俺が出るよ。ノックだけで怪しいからな」
扉を叩きながら、声が聞こえないので不審に思い、扉を開けるとカイトが目の前にいた。
「カイト、何でここが分かった。てか何で声を掛けないんだ。不審に思うだろう」
「いや、部屋が分からないから、手当たり次第にノックて誰かに聞こうと」
カイトはレン達がいる部屋までの間、引っ切り無しに扉を叩き、人が出て来るのを確認していた。
「お前、本当に国の王子なのか、マナー違反だろう」
「いや、ファングもだよね」
カイトがマナー違反をしていたので注意していたが、ファングも過去にマナー違反を連発しているので、他人の事を言える立場になかった。
「いや、あの時は‥‥‥分かったからそんな目で見るなよ。所で何の用だよ。お前はまだ王子だろう。護衛が傍にいるんじゃないの?」
「いや、大丈夫だよ。護衛は眠らせてあるから、今頃爆睡中だろう」
魔法や飲み物に睡眠薬を入れて、護衛の人達を眠らせていた。
「お前、王子がやる事なのか?」
「良いんだよ。あの人達がいると、僕は君と一つになれないから」
「お前の事情は知らないけど、成るつもりはないぜ。とりあえず部屋に入れよ。立っているのも疲れるだろう」
ファングはカイトを部屋に招き入れていた。
「でっ、僕達に何か用でも」
「連れないねレン君。僕がわざわざ尋ねたのに」
レンは早くゆっくり休みたいのに、邪魔が入るので苛立っていた。
「カイト、俺達は島での生活で疲れたんだよ。だからこうして、ゆったりしているんだろう? お前の相手なんかしてられないよ」
「大丈夫だよ。別にレン君を邪魔しに来てないから、それに用事は直ぐに終わるよ」
レンとファングはぐったりした様子だったがカイトはお構いなしにレンに頼んでいた。
「えっ、嫌だよ。僕は言ったよね、今はダメだって。護衛の人が起きたら大騒ぎだよ。おとなしく戻りなよ」
「レンの言うとおりだぜ、さぁ、早く帰りなカイト」
二人に言われて、カイトは納得していない様子だった。
「はぁ、仕方ないな。あまり使いたくなかったけど、レン君がフォレストと言わないなら、こうするだけです」
カイトの目が光るとファングに異変が起きていた。
「くっ、カイト、てめえ、俺に何をした」
「何って、君の体には僕の魔力が流れているから、魔力を通して、操っているんですよ。さぁ、ファング、僕を食べるんだ」
「レン、今すぐカイトを止めろ! ‥‥‥何で背を向けるんだよ」
レンを見ると背を向けて、耳を塞ぐ仕草をしている。
「いや、言っても無駄だよね。なんか気持ち悪い光景になりそうだからこうするよ。終わったらどうするか考える」
「レンの裏切り者!」
「安心してよ、直ぐに楽になれますよ」
「頼むからやめて、カイト!」
ファングの体は操られ、カイトは姿を変えると、白い液状に伸ばして、勢いよくファングの口に飛び込んでいた。
ファング、大丈夫かな。かなり悲鳴をあげているけど。それに気持ち悪い音が聞こえるよ。
レンは背を向けて、二人が終わるのをジッと待っていた。
「グビッ、グビッ、グビッ、ゴックン、はぁはぁ、あいつ絶対に殺す」
ファングはベッドに倒れ込んでいた。
「ファング、殺したら消えちゃうよ。それよりカイトと一つになったの」
「いや、まだだよ。俺の腹を見ろよ」
ファングのお腹は膨れあがっていて、カイトが一つになろうと激しく動いていた。
「うぁ、気持ち悪い」
「気持ち悪い言うな、少しすれば、カイトの肉体は俺の中に溶け込むよ。レンがフォレストと言えば、早かったんだよ。あんまりジロジロ見るな」
レンはファングのお腹を観察していた。暫くするとお腹の膨らみは消えて、カイトはファングと一つになっていた。
「ようやく一つになったな。あいつを感じるよ。だけど、絶対に一発は殴りたい」
ファングはお腹を触りながら、カイトと一つになったのを感じていたが、やり方に切れていた。
「まぁまぁ、これから運命共同体何だから、あんまりキレない。それにしても、カイトはファングに似て強引だよね」
「はぁ、俺の成分が強く出たのかな?」
「さぁ、それは分からないけど、カイトがファングに成りたいのはこれで分かったね」
「あぁそうだな。そこまでして、一つにこだわる理由が俺には分からないけどな」
「それは、カイトの家族に会えば解決するよね」
「で、いつ解除するんだ」
「直ぐには無理だよ。多分カイトが怒るから、少しファングの中に居させてあげよう」
「はぁ、仕方ないな分かったよ」
カイトがそこまでして一つになりたがる理由を聞きたかったが、二人はカイトの家族に聞くまで、伏せて置くことにした。レンはベッドの上に転がると、次第に昼寝を始めていた。
「はぁ、レン、また寝たのかよ」
ファングはレンに布団を被せていた。
「カイト、聞こえているよな。お前は何故あんな事をしたんだ」
ファングはお腹に手を当ててカイトに訴えていた。
「何故、それは君と一つになりたいからだよ」
カイトはファングに答える為、お腹を少し膨らませて答えていた。
「それは、聞いたよ。俺はお前のやり方が気に食わないんだよ。何だよ、あの強引さわ。レンにドン引きされたよ」
「ごめん、それは謝るよ。僕はただ君になりたいんだよ」
カイトが同じ事を言うので、ファングは何かを悟った。
「お前が何を企んでいるか知らないけど、俺はなりたくないよ」
「それはダメだよファング、僕と君は同じ体で半身何だから、僕はね、ずっとこの時を待っていたんだよ、完全な体を」
「お前、本性を現したなぁ」
「君に隠しても無駄だよね。なら、言った方が良いでしょう。僕はこの体で、復讐したいんだよ。僕は愚弄した王族達をこの力で喰らってやるんだ。そうすれば、僕達は人間の魔力を大量に手に出来るんだよ」
「お前、何を言っているんだ。人間を食べるなんて絶対に許されないぜ」
カイトが復讐の為に、フォレストの力を使って、自国の王族達を食べようとしていたのでファングが止めていた。
「どうしてファング、僕達は化け物であらゆる物を吸収出来るんだよ。悪い奴らは全部消せば良いじゃん」
「そうかも知れないけど、レンが認める分けないだろう。そんな事されたら、契約解除以前に俺は仲間から外されるよ」
ファングは一瞬、カイトに揺さぶられたが、レンの事もあるので断っていた。
「大丈夫だよ。解除されても僕が付いているから」
「それはダメだ。お前がそんな事を言うのなら、俺はお前と一つにならない絶対に」
ファングはレンとずっと居たいので、カイトの提案は受け入れられなかった。
「それは無理だよ。だって君と僕は力が解かれて、どこに逃げても探す事が出来るから」
互いに魔力を感じるので、ファングが逃げても探す事は可能だった。
「出来るよ。レンに制約を掛ければ、僕とお前は一つになることはないよ」
契約者の命令は絶対なので、レンに封じて貰おうと考えていた。
「はぁ、そうなんだ。そこまで否定するんだね。レン君を殺しても良いと思ったけど、君が抵抗されたら一つになっても上手く制御出来ないな」
「お前、絶対に許されない発言したな」
「それが何なのファング、僕と君は半身で半精霊何だよ。別に契約者がいなくても大丈夫だよね。それに僕は本気を出せば君の体を動かせるんだよ」
「分かった、お前がそんな腐った王子なら俺が消えれば解決だよな」
レンを侮辱したのでファングは断魔の剣を抜いて、お腹に当てていた。
「ファング、何をするき、僕達はそんな剣じゃ死なないよ」
「いや、簡単に死ねるよ。これは伝説の断魔の剣だから、精霊特有の力を無効化出来るから」
カイトは断魔の剣を知らず安心していたが、ファングが説明すると焦った表情をしていた。
「何で伝説の剣を持っているのファング、やめろ、今すぐその剣をしまえ。グッ、グアア」
「痛いだろうカイト、俺も痛いぜ。さすが断魔の剣だな」
ファングは自分の体に剣を突き刺して、強引にカイトを更生させようと考えていた。
「やめろファング、グアア、痛い、痛い」
「一つになっても痛いだろう。俺達は不死身じゃないんだよ。今すぐ撤回して、謝れ。そして、二度と人間を食べるとか言うな」
ファングは何回も剣を刺して、言い聞かせるとカイトは謝っていた。
「ごめんファング、もう言わないから、剣をしまって頼むから」
「分かった。だけど、もし言ったらまたやるからな。お前がどんな闇を抱えているか知らないけど、もう忘れろ。お前は俺になるんだろう? なら、全ての記憶を消して、俺になれよ。そしてレンを絶対に護れ、それがお前に与えられた命だよ」
「そうだね、僕は君になるって言ったからね。でも僕は何を思い詰めたんだろう、僕は王族達が憎かったのかな? それとも王族の生活が嫌になったのかな?」
カイトは弱音を吐いていた。
「お前は国を守る立場何だから、悩みはあるだろう。だけど、もうお前は王族でなくなるんだろう? なら、もう過去に囚われるな。お前は目の前の事をすれば良いんだよ」
ファングが珍しく、カイトに向かって良いことを話していた。
「そうだね、もう言わないよ。ファングに全て打ち明けて、なんかスッキリしたよ」
カイトはファングに全てぶつけて、感情が豊かになっているのを感じ取れた。
「なら、もうするなよ」
「うん、分かったけど、そこにある赤い布はどうするの?」
ファングの体の傷は修復していたが、生々しい血が付いていた。
「これは俺が何とかするから安心しろ。それよりもお前はさっさと分離して戻れよ」
「えっ、もう少し良いでしょう。僕はファングの事をもっと知りたいの、それに僕の細胞の意思を早く君に移行させたいの」
「はぁ、分かったよ。ただしレンが起きたら帰れよ」
「うん、ありがとうファング」
レン達はレイン王国に着く間、船内で過ごす事になるのだった。
次回更新は明日です。温かくお待ち下さいm(__)m




