#57 カイト王子の秘密とフォレストの誕生
お待たせしました。第57話公開です。えっいきなりカイト王子が暴露、レン君に新たな悩みの種が(^-^;)
グロテスクシーンが大量にあるので読むさえは気をつけてね(ゝω・)
レンとファングは船内の通路を歩いて、リノワール王国の王子がいる部屋に向かっていた。
「はぁ、何か部屋に向かうと緊張するよ。まさか自国の王子に会うなんて」
カイト王子に初めて話しをするので緊張していた。
「俺だって緊張するよ、こんなの貴族達のパーティー以来だよ」
ファングは貴族達が集まるパーティー以来なので、こういった場面には強いと思っていたが、やはり国の王子なので緊張していた。二人はカイト王子がいる部屋に着くと扉をノックしていた。
「すみません、レン・フォワード、ファング・ドレイド、今来ました」
「はい、今開けます」
扉の奥から声が聞こえると、突然扉が開き奥にカイト王子が座っていた。
えっ、今勝手に扉が開いたんだけど魔法でも使ったの? しかし祭り以来だなぁ。あの時はあまり見えなかったけど、本当に白銀の王子なんだな。
レンとファングは恐る恐る、カイト王子の部屋に入ると扉が突然閉まり鍵が掛けられていた。
「なっ、これはどう言うつもりですか、カイト王子」
「そんなに警戒しないでよ二人共。二人とゆっくり話したいから、僕の部下は出払っているよ」
レンとファングは警戒していたが、カイト王子に言われてソファーに座って、飲み物を飲んでいた。
「それで、僕とファングに話って何ですか?」
「へぇ、いきなりそれを聞くの? もう少し話してから良いと思うんだけど?」
「いえ、僕も島の生活で疲れたので早く休みたいんですよ」
カイト王子から異様な空気を感じたので、早く相談ごとを聞いてゆっくりしようと考えていた。
「そう、分かったよ。なら率直に言うけど、そこにいるファング・ドレッドはフォレスの力を持つ半精霊だよね」
「なっ!」
「お前、何故その事を知っている」
「やっぱり、当たってたね」
カイト王子が突然、ファングが半精霊かつフォレスの力を持つ事を知っているので二人は驚いていた。
「答えろ、カイト王子、何でフォレスの事や俺が半精霊だって事を知っているんだ」
「ファング落ち着いて、目の前にいるのは僕の国の王子なんだよ。言葉遣いには気をつけてよ」
「ごめんレン、つい熱くなって」
「カイト王子、何故、ファングがフォレスの力を持った半精霊だって知っているんですか?」
レンがカイト王子に質問すると忠告が返ってきた。
「話すのは良いけど、これを聞いたら、君達は逃げられなくなるけどそれでも構わないの?」
「はい、構いません。それでファングの事が分かるのなら教えて下さい」
レンはファングが半精霊になった経緯を知りたいので、頭を下げて頼むとカイト王子は答えていた。
「分かりました。なら、レン・フォワード君、僕と契約してくれませんか、そうすれば全て分かりますよ」
「えっ、それって、カイト王子も半精霊何ですか!」
レンは驚いていた表情で尋ねると、軽く頷いていた。
「おい、ど言う事だよ、何でカイト王子が半精霊なんだよ」
「知らないよ。だけど何か嫌な予感がするよ」
レンはカイト王子から放つ異様な空気を悟っていた。
「それって契約したら、カイト王子がお前の精霊になって行動する事だよな、そんな事になったら大騒ぎだな」
カイト王子と契約すると、ずっとレンに付いて行くので、自国にとどまらず、多くの国で騒がれると思っていた。
「それもあるけど、何かカイト王子から異様な空気が流れているんだよね。僕の直感がやっちゃダメだって」
何か異様な空気がレンを悩ませていた。
「でも、ここまで来たんだぜ。聞かないで帰るのか?」
「うっ、そうだけど、カイト王子と契約するんだよ。上下関係が逆転するんだよ」
契約するとカイト王子の立場が逆転するので、頭を痛めていた。
「そんな事を言われても困るよ。とりあえずやろうぜ。その後、カイト王子と話して、契約破棄すれば良いだろう」
「あっ、そうだね、その手があったよ」
契約しても、契約者の意思で無効にすることは可能なので、とりあえずカイト王子との契約を承認することを決めた。
「話は終わったかな?」
レンとファングがコソコソと話しているので、カイト王子はずっと待っていた。
「はい、カイト王子、僕と契約して下さい」
「それが答えなんだね。後悔はないのかな?」
「はい、大丈夫です。ファングと決めましたから」
「契約したら、フォレスの事を話して貰うからな」
「分かったよ。君の決意は受け取っておく。ただしもう後戻りは出来ないよ」
「それってどう言う意味ですか、カイト王子?」
カイト王子が意味深な発言をしたので、レンは首を傾げていたが、ファングが早くやれと急かすので、カイト王子の所に来ていた。
「契約はどうやってやるのかね、レン・フォワード君?」
カイト王子は初めて契約するので、契約の仕方を聞いている。
「普通にリラックスしていれば良いですよ。僕が全てやるので」
「そうか、なら契約を始めようか」
「分かりましたカイト王子、それじゃ行きます。僕の精霊になって下さいカイト!」
レンはカイト王子に触れて叫ぶと、白と黒の光に包まれていたが、何故かファングも白と黒の光に包まれていた。
「なんだよこれ、何で俺の体が光っているんだ」
「カイト王子、これはどう言う事ですか?」
「アハハッ、アハハッ!」
「カイト王子?」
カイト王子が突然笑い出したので、問いただしていた。
「いや、やっと僕の不安や苦しみから解放されると思うと、つい笑いがね」
「カイト王子、これはどう言う事なんだ答えろ」
「君は僕の半身なんだよ」
「なっ、それって」
「君も、気付いたみたいだね」
レンはカイト王子の糸に気付き、ファングに声を掛けていた。
「ファング、早くここから逃げて」
「無駄だよ、レン・フォワード君。僕は言ったよね。もう逃げる事は出来ないと、君は真実を見届けるんだ。さぁこい僕の半身」
「ファング!」
「うっ、レン、俺消えるのか嫌だよ。折角レンに会えたのにここで死ぬのは、うぁ‥‥‥」
ファングは苦しみながら、異形に姿を変えると、黒い液状の球体になり、宙に浮いていた。
「カイト王子、あなたって人は、それでも国の王子がすることですか」
「侵害だよレン・フォワード君。僕と彼は本来の姿になるけだよ。君にはその資格がある、うっ、僕もこの姿を維持するのは無理みたいだな、うっ、うぁ‥‥‥」
カイト王子もファング同様に、異形な姿になると白い液状の球体になり、宙に浮いていた。やがて、白と黒の液状の球体は引かれ合うと、一つに混ざり新たな姿を形成し始めていた。
嘘だろう、こんな事があっていいのか、ファング、僕は‥‥‥。
レンは一つに混ざりあった様子を目撃すると、声も出せずただ、見ているしかなかった。
【これが、精霊フォレスの本来の姿だと、何て生々しい姿で魔力を放っているんだよ】
あまりの魔力にアクト達が一斉にレンの傍に現れて、生々しい姿を睨み付けていた。
「アクト、ファングは死んじゃったの?」
ファングはカイト王子に取り込まれたのと同じなので、レンは弱々しい声でアクトに確認していた。
【ファングは多分生きているよ。レンよく確認してみな気持ち悪いけど、白と黒の動きが違うだろう?】
【レンさん、体はファングの時に見た姿に白が加わっただけだからちゃんと見れば分かるよ】
目の前にいる異様な化け物は、ファングの時とほとんど変わらず、黒と白が互いにくっついた状態が組み合わさった姿をしているので、それぞれ乖離しているのが見て取れた。
「それじゃ、ファングは生きているんだね?」
【あぁ、そうだよ、声を掛けてみれば、多分反応すると思うぜ】
アクトとアルトニスの説明を聞くとファングが生きている事が分かりホッとしていた。レンは化け物に向かって、ファングと叫ぶと、黒い液状の部分だけ反応して、黒い腕を形成すると、レンを撫でていた。
「ファング、僕だよ。ねぇファングの声を聞かせてよ」
ファングに叫んでいたが、黒い腕がレンを撫でているだけで、化け物は無反応だった。
「何で、答えてくれないの?」
【俺に言われても困るぜ、声には反応しているから、まだ完全に形成出来てないのかも】
「何故、勝手に動いているんだよ!」
【何だ今の声は!】
「アクト、今、あの化け物から声が」
アクトと話していると突然、声が聞こえたので化け物の方を振り向くと喧嘩している声が響いていた。
「黙れカイト、俺はレンに呼ばれたから、俺が生きている事をこうして、示したんだ」
「僕に対して酷い言われようだな。ファング、完全に一つになるまで暴れないでくれ、これは君の為なんだ」
「黙れ、俺はお前と一つになるつもりはないぜ。いい加減に離れろ」
「それは、無理な話だな」
化け物からファングとカイト王子の声が響いていた。
「ファング!」
「その声はレン、俺が聞こえるのか」
「うん、聞こえるよファング」
ファングはレンに声が届くようになると喜んでいたが、レンの声を聞くと何かを悟っていた。
「お前、泣いているのか、なら早く命令して解除しろ」
ファングは早く解除して本来の状態に戻せと、レンに言っていたが、カイト王子が忠告していた。
「レン・フォワード君、解除することは許さないよ。君には見届ける立場にあるんだから、ここで不完全体で解除すると僕と彼の命が危ないよ」
「てめえ、レンを脅すのか」
レンに向かって脅し取るので、ファングがキレていた。
「これは脅しじゃないよ、真実だから」
「分かりました。最後まで見届けますよ」
レンはカイト王子と約束したので、最後まで見届ける事にした。
「レン、お前‥‥‥」
ファングはレンの決意を悟り声を詰まらせていた。
「ファング、僕は信じているよ。絶対に消えないでよ」
「あぁ、絶対に消えないよ、必ずお前のもとに帰るよ」
ファングとカイト王子の声が再び消えると、化け物の体は活発に動き始めていた。やがてバラバラに機能していた体は同じ動作に変わり完全な姿へと変わり果てていた。
これが、ファングとカイト王子を乗っ取ろうとした精霊フォレスの姿なんだね。
化け物の体は白と黒が交互に混ざり合って、水玉模様になっていた。
「うーん!」
「ファング!」
声が聞こえたので、レンは叫んでいた。
「レン、聞こえるよ。俺消えてないんだな」
「当たり前だよ。僕と君は別々の体で成しているから」
「それって、どう言う意味ですかカイト王子?」
ファングは死んでない事が分かるとホッとしていたが、カイト王子が意味深な事を言っていたので、尋ねていた。
「確かに体は一つになったけど、僕と彼は別々の体を動かすんだよ。何故僕が白い液状でファングが黒い液状の姿になったか考えた事はないの?」
「それってまさか‥‥‥!」
「何か気付いたみたいだね、レン・フォワード君」
レンはファングが言っていた事を思い出して、ある仮説を言っていた。
「もしかして、ファングは闇でカイト王子は光を司っているんですか」
レンが確信を突くと、カイト王子が話し始めた。
「そうだよ、つまり、僕とファングは別々の役割をしているんだよ、僕とファングの魂はそれぞれ、白と黒に宿っているけど、どちらか死ねば、自動で消滅するんだよ」
「それじゃあ、カイト王子が不安や苦しみと言っていたのは、ファングが死ねば、自分が苦痛で死ぬのが嫌で半身を探していたんですか」
カイト王子は人に気付かれずに、死んでいく恐怖から半身を探していた事を始めて知った。
「そうだね、まさかこんな形で君達を騙す事をして済まなかったよ。本当にごめん」
「お前の事情は分かったけど、俺はもう人間でなくなったな。それに俺はずっと光と闇を司る精霊だと思っていたのに、俺は闇でしかも半身とか、急に言われてもついていけないよ」
カイト王子は二人に謝っていたが、ファングは自分の状況について行けてない様子だった。
「本当にごめん、ファングには謝っても、許しきれないよ。全ては、僕の父上が招いた事だから」
「それって、どう言う意味だよ。答えろカイト」
ファングが半精霊になった経緯をカイト王子が知っているので、ファングはキレながら、尋ねていた。
「ごめん、それは今ここでは言えないよ。君達には直接父上と話す資格があるから、君達は僕の父上から経緯を聞いて欲しいんだ。何故、ファング・ドレッドが半精霊になる必要があったのか? 実は僕もあまり詳しい事を覚えていないんだよ。記憶が所々抜けているから」
カイト王子の説明を聞くとファングは納得していない様子だったが、レンはカイト王子の言葉を信じてあげた。
「はぁ、分かったよ。だだし、お前の父親に会ったら全部話して貰うからな」
「分かったよ。その時は全部話すよ。それとそこで正式にレン・フォワード君に言うつもりだから」
「えっ、僕に何を言うんですか?」
カイト王子がまた意味深な事をレンに言っているので、首を傾げていた。
「それは、僕がファング・ドレッドとして生きる事だよ」
「なっ、お前、何を言っているんだ。そんな事を出来るわけないだろう」
カイト王子が爆弾発言をしたので、ファングが叫んでいた。
「出来るよ! 僕と君は一つの体何だから、ファングの姿を変える事は可能だよね。安心してよ、全て君に譲るから人格から全て、僕はその間、眠りつくから安心してよ。もし困った事があったら、僕と君は繋がっているから何でも答えるよ。僕は常に信号を送りあっているから」
「レン、何とか言ってよ」
「無理だよ、ファング。カイト王子は本気だよ」
カイト王子があり得ない事を言ったので、頭を押さえながら、問いただしていた。
「カイト王子、ファングの姿になると言った意味は何ですか?」
「僕は国の王子をやめるからだよ」
「なっ!」
カイト王子が更に衝撃な事を言ったので、開いた口が閉まらなかった。
「お前、王子をやめるってどう言う意味だ」
ファングも驚いていた。
「そのままの意味だよ。君達には父上の所で説明したかったけど、ここで話すよ。僕は国を継ぐ事が出来ないんだよ」
「原因は半精霊ですか?」
レンが確信を突くと、カイト王子は続いて話していた。
「そうだよ、半精霊だと、何百年と生きるから、人々から見たら変に恐がられるだろう。だから、僕はもう一人の半身に成り代わり自分を殺すんだよ。僕と言う存在を消すために! 時期に君達が通っている学園も諸事情で辞めることになるだろうね。もちろん高等部の生徒会長も」
「カイト王子はそれで良いんですか、かつての仲間を見捨てて」
カイト王子が作り上げた、仲間や人生を捨ててしまうのか確認していた。
「うん、良いんだよ。僕の仲が良い友達には全て事情を話しているから、もう悔いなんてないよ」
「はぁ、分かりました。ファング」
「レン、本当に良いのか?」
「良いよ、カイト王子の熱意は伝わったから」
カイト王子は真剣に答えていたので、かなり悩み決断したと思っていた。
「ありがとうレン・フォワード君、僕の頼みを聞いて、これからはレン君と呼ばせて貰うよ。多分、僕はもう表側に出てくる機会はあまりないけど、僕はファングの一部で生きていくよ。よろしく僕の主」
「こちらこそよろしくカイト、もう王子じゃないから普通に呼ばせて貰うよ」
レンとカイトは互いに呼び合う言葉を決めていた。
「あぁ、構わないよレン君、なんか庶民的で新鮮だよ」
「お前、国のお偉いさんだったんだから、呼び方が違うの当然だろう」
「アハハハ、確かに」
「まぁ、お前は俺の一部に成り代わるんだから、完全に俺になって貰うからな。俺はお前でお前は俺何だから、俺とお前の知識や性格は混ざり合わせるからな」
「それは、嫌だな。それじゃ、僕でなくなるよ。ちゃんとやるから良いでしょう。ファング」
「冗談だよ。てかお前が年上何だからもっと反論しろよ」
カイトの方が年上なのに、あまり反論しなかったので、ファングはちょっと不安だった。
「それじゃあ、ファング、カイト、その姿の時、呼び方を変えても良いかな?」
「レン、どうしたんだ?」
「レン君、何か問題でも?」
レンの説明では、いちいち二人に別々の指示をするのが大変なので、名前を統一すれば、二人は一緒に信号をやり取り攻撃出来ると考えていた。
「そうか、ならフォレストってどうだ?」
「それって、フォレスに一字加えただけだよね」
ファングがフォレスの名前に一字加えただけだったので、レンは渋っていたが、ファングが頑なに断らなかった。
「良いだろう、元々の精霊はフォレス何だし、あいつはもう消えたから、俺とカイトが新生フォレストとして生まれ変わったんだよ、今日ここで」
「良いねファング。それにしようよ、名前も呼びやすいし、ねぇ良いよねレン君?」
「はぁ、分かりました。フォレストと呼びますよ」
カイトも気に入っていたので、レンは諦めていた。
「それじゃあ、今日からこの姿はフォレストで決まりだな。カイト、今から肉体の信号を書き換えるぞ! レンの命令でこの姿になれるように」
「分かりましたファング君」
「はぁ、何かファングとカイトが意気投合してるよ」
ファングとカイトは肉体を気持ち悪く、動かすと命令信号を肉体に刻み込んでいた。
「よし、これでオッケーだぜ、レン」
「はぁ、分かったよファング。少し黙って」
「えっ、フォレストって呼ばないのか」
「それは人前の時だけね、ファングは一応学生何だから正体がバレたら困るでしょう?」
「あっ、そうだなアハハハ」
「僕は薄々気付いていましたよ」
「嘘をつくなカイト」
白と黒の体をした化け物は次第にファングの姿に形取るとファングは体を確認していた。
「ファング、何ともないの?」
「あぁ、大丈夫だよ。ただ体にスゲー違和感を感じるぜ。カイトが完全に俺になろうとしていやがる。うっ、やめろカイト、うぁあ」
ファングが突然垂れ込むと、ファングの体に変化が起きていた。
えっ、ファングの髪が二色に、それに目も左右違う色だし、体付きも変わっているよ。何か前より男前になってない。
ファングが苦しみ終わると、異様な空気を放っていた。
「はぁはぁ、あいつ余計な事をして」
「ファング、大丈夫なの?」
「あぁ、問題ないよ、レン、僕の体に何かあるのか?」
「えっ、カイト?」
喋り方がカイトになっているので驚いた表情をしている。
「はぁ、僕はファングだぜ。何を‥‥‥! うっ頭が割れそうだ」
ファングは頭を押さえながら話している。
「まさか、ファングとカイトの人格体や性格が混ざっているの?」
「多分そうだな、今の僕はファングであってカイトでもあるんだから」
ファングの発言を聞いて、レンはついて行けなかった。
「だから、レン。僕をフォレストと呼べよ。僕はフォレスト・ドレッドに改名するから」
「それはダメだよ。僕はファング以外は仲間にしないから、何なら契約破棄しようか?」
「やめてレン、僕にそんな事をされたら、どうやって過ごすの?」
「はぁ、ファングとカイトがグジャグジャしているよ。ファング、何とかして喋り方などを直してよ」
「分かっているよ。おい、聞こえているんだろう、僕の半身カイト。カイトは完全に僕になるって決めたならちゃんとやれよ。うっ、そうか、なら早くやれ、うっうぁあ」
「ファング!」
「大丈夫だよ。ちょっと僕が生まれ変わるだけだよ。雰囲気は変わるけど、ちゃんとカイトの存在は消さないから安心してよ」
再び苦しみ始めると今度は白と黒の光が現れて、包み込み消えるとファングの姿になっているが異様な空気が漂っていた。
はぁ、やっぱり、目と髪は無理かぁ。まぁ、魔力を使えば変えられるから大丈夫だな。
ファングは部屋にある鏡を見て、自分の姿を確認すると、二人の魔力を流して、髪や目をもとの状態に隠していた。
「ファング、カイトは消えてないんだよね」
「あぁ、大丈夫だよ。俺がファングでカイト何だから、もしカイトに会いたいのなら、俺とカイトを分離させるか、カイトの姿に変えるか、俺の中に入れば良いだろう」
ファングの説明を聞くとレンはホッとしていた。
「それじゃ、分離させようか、確かカイトは護衛の人がいるんだよね」
「えっ、それなんだけど」
ファングはカイトから送られる事を話すと頭を押さえていた。
「えっ、自衛団がいるから、護衛を付けなかったの?」
「アハハハ、悪いレン」
「笑い事じゃないよ。はぁ目の前にいるのはファングだけど、雰囲気は明らかにカイトだよね」
「だから、さっき言っただろう。俺はファングであってカイトでもあるんだぜ。好きな方で見れば良いだろう」
「それはそうだけど、完全にカイトがファングになっているから区別がつかないね」
ファングとカイト、どちらが今喋っているのか区別がつかなかった。
「まぁ、そのうち慣れるよ、別にカイトが喋っても分からなかっただろう?」
「確かにそうだけど、学園では完全にアウトだよ。知識や実力はカイトの方が上なんだから、苦手科目で楽すると、後々疑われるよ」
「うっ、レン、それは言わないでよ。カイトも信号を通して笑うな」
レンとカイトに注意されて、ファングがガックリしていた。
「しかし、本当にファングだな」
「レン、くすぐったよ、アハハハ、やめてレン。カイトも死にそうだって、信号を送ってくるから」
ファングとカイトが一つになった姿を触っていた。
「ちゃんと人間だよ。ファングとカイトが一つになったから、体の作りが変わったと思ったけど、特に何もないよ。呼吸時のお腹もちゃんと人間と同じ動きしているから」
「お前は、何を調べているんだ」
「えっ、二人が一つになったら、普通は腕が増えたり、あそこの作りが二つになっているとか」
「そんな気持ち悪い姿になる分けないだろう」
レンが色々と変な想像を膨らましていたので、ファングは頭を押さえていた。
「そうなんだ、もの凄く興味があったんだけど、どう言う作りなっているのか見たかったな」
「レン、そんな目で見られても、なれないからな!」
「はぁ、残念。それより、さっきカイトが信号とか色々言っていたけど、どうやって会話しているの?」
ファングとカイトが一つになった体に興味を示していたが、拒否されたのでガックリしていたが、新たな興味を思い出して聞いていた。
「俺とカイトの体は細胞の集合体だから、常にネットワークみたいになっているんだよ。つまり、俺の頭にはカイトの脳があって、俺とカイトが常にやり取りしているんだよ。俺が話しているのは、俺とカイトの意見が一致したのを言っているから、これは俺とカイトの意思なんだよ」
「へぇ、良く分からないよ。直訳すると、レオスの兄弟みたいに話せる事だね」
レンが簡単に纏めていたので、ファングが反論している。
「お前、俺とカイトが一生懸命説明したのに何でレオスを持ち出すんだ。カイトがその人誰って、言っているぞ」
「カイトの事なんか知らないよ。今はファングでしょう?」
「お前、カイトが泣いているぞ! ちゃんと声は聞こえているんだからな」
ファングとカイトが一つになった途端、扱いが面倒になっていた。
「はぁ、なんか扱い辛いよ。何とかならないのファング」
「うっ、そうだな、俺はファングだな。カイトじゃないよ」
ファングは自分の体に攻撃して、カイトに言い聞かせていた。
相変わらず強引にやるよな。カイト大丈夫何だろうか?
ファングが何回も自分の体に向かってパンチしているので、カイトが心配だった。
「よし、これで完璧に俺だよな」
「ファング、その体はカイトも含んでいるんだよ」
「あぁ、そうだけど、カイトは俺になるって決めたんだから、俺が何をしようと文句言わないだろう、うっ、やめろカイト」
ファングがお腹を抱え込んでいた。
「ほら、カイトが怒っているじゃん」
「大丈夫だよ、これくらい。うっ、黙れカイト、俺の体に何をする、うっうぁあ」
ファングのお腹が突然激しく動いていた。
「大丈夫ファング?」
「はぁはぁ、大丈夫だよレン。あいつ絶対に許さない」
「はいはい、カイトあまりファングを苛めないでよ‥‥‥凄い、今ファングのお腹からカイトの相槌が来たよ」
レンはファングのお腹に優しく当てて、カイトに言うと、ファングのお腹が動き、頷く仕草をする反応があった。
「あいつ、レン対して、優しくしやがって、うっやめろカイト」
「カイトは僕達の声が聞こえているってさっき言ったよね。余計な事を言うからだよ」
「うるさい、これは俺の体でカイトの体何だぞ、当然カイトにもダメージがあるはずだぜ」
「分かっていて、やっているんだよ。これはカイトからの忠告だよ」
ファングは納得がいかず、カイトに罵声を言うと激しく激痛が全身にくる状態を暫くやっているので、レンは頭を痛めていた。
「はぁはぁ、まじであいつ殺す、レン。俺とカイトを分離させる命令をしろ」
「えっ、ちょうどやる所だったよ」
「まじがレン、なら覚悟しろよカイト、うっ、やめろカイト、暴れるな、腹が割れる」
二人に戻そうと考えていたので、カイトはその言葉を聞いて、ファングのお腹を使って必死に抗議していた。
「カイト、分離したくない気持ちは分かるけど、今は駄目だよ。急にカイトがいなくなったら大騒ぎでしょう」
カイトの姿は自衛団の人達が見ているので、もしカイトが消えると国家を揺るがす事態になる事を気にしていた。
「そうだな、レンの言うとおりだよ。諦めなカイト」
ファングの体で暴れていたカイトはレンの説明を聞くとやめていた。ファングは白と黒の化け物に姿を変えると、レンの命令で白と黒が分離して、それぞれの姿に戻っていた。
「ふぅ、やっともとに戻ったぜ、覚悟は良いなカイト」
ファングはさっきやられた事に怒っていた。
「アハハハ、やめてくれないかなファング君、今は王子なんだよ。こんな事をして許されるのかな?」
カイトは必死に弁明をしていた。
「うるさい、さっきお前はレンに向かって、王子はやめた宣言したよなレン」
「そうだね、確かに言ったよ」
ファングに言われた事を素直に答えると、カイトは険しい表情をしていた。
「ちょっと待ってレン君、確かにあの時は言ったけど、まだ王子には変わりないよね」
「諦めなカイト王子」
カイトは必死に抵抗したが、ファングにボコボコにされていた。
はぁ、ちょっとカイト可哀相だね。だけど、これも試練だと思ってよ。これが王族と庶民の違いだから。
カイトは人に対して苛められた事がないので、初めて体験していた。
「大丈夫カイト?」
「うん、大丈夫だよレン君。でもなんか新鮮だよ」
「お前、ボロボロなのに何で笑顔なんだ」
ボコボコにやったのに、カイトが反抗しないので、ファングが唖然としていた。
「だって、苛められた事ないし、それにこれから僕はファングになるんだから、色々体験しないとダメでしょう?」
「それはそうだけど、これじゃ、俺がカイトに利用されただけじゃんか」
ファングはカイトに利用されたショックでうな垂れていた。
「それじゃ、ファング行こうか」
「あぁ、そうだな。じゃあなカイト王子さん」
レンとファングが扉に手を掛けたが何故か扉が開かなかった。
「えっ、何で開かないの? 鍵が開いているのに」
「カイト、貴様」
「駄目だよレン君、僕を置いて行くのは」
カイトは魔法で扉が開かないようにしている。
「いや、置いて行きませんから、今はおとなしくしてくれませんか?」
カイトが駄々を捏ねるので、レンとファングは頭を痛めていたが、何とか説得して分かれていた。
「はぁ、何てわがまま王子何だよ。白銀の王子の異名が一切無いよ」
「俺も、あいつと今後、運命共同体になるの嫌だぜ」
レンとファングはカイトの説得で疲れ、うな垂れながらアリス達の部屋に戻っているのだった。
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