#50 島に残された二人
お待たせしました。第50話公開です。レン君とファングが離ればなれになったアリス達はレン君の為に動きます。そしてレンとファングは(。>ω<。)
おかげさまで、累計ユニーク数4000人突破ありがとうございますm(_ _)m
※第50話以降はファングの能力や力の一種でグロテスクな場面が度々出ます。気持ち悪いシーンが大量にあるので、読むさえは気をつけて下さい。気分が悪くなる可能性がありますm(_ _)m
アリス、レオス、レイスはアクトの魔法の中で仮眠を取りながら、精霊四人と自衛団の人達を連れて、レイン王国に向けて移動していた。
「アクトさん、あとどのくらいで着くの?」
アリスは目を覚まして、レイン王国まであとどのくらいで着くか確認していた。
【あと二時間程度で着くよ、着いたら起こすから、もう少し休んだら】
三人はあまり寝れていない様子だったので、アクトが気遣っていた。
「ごめんアクトさん、レン君の事が気になって眠れないの」
レンが海に投げ出された現場を目撃してしまったので、レンを助けたい気持ちで中々寝られなかった。
【アリスさんの気持ちは分かりますわよ。レン様が目の前に居ないんですから、だけどレン様はアリス達を必死に逃がそうと頑張っていたのも事実ですよ】
【多分レンさんはアリス達を助けようと必死に護ったんだよ】
エレントとアルトニスが必死にアリスにレンがやった事を説明していた。
「分かっているわよ、レン君が私達を助けようと必死に精霊四人に頼んでいたんだから、だけどどうしてレン君が犠牲になる必要があるの、それなら私もレン君の傍に居たかったよ」
アリスは未だに現実を受け入れられなかった。
【それは‥‥‥すまないな、お前らを苦しめることをして、だけど俺達はお前らを安全にレイン王国に届けてと言ったのはレンなんだよ。その気持ちに応えてあげてよ】
「分かっているわよ。だから早くレイン王国の自衛団本部に行って、レン君を救出する方法を考えましょう。レン君、私達が迎えに行くまで絶対に生きていてね」
アリス達は急いでレンを助けるためにレイン王国に向かって引き続き海の中を移動しているのだった。
レン、しっかりしろよ。クソ、何とかレンの体を借りて移動したけど、もう動けないよ。何とか精霊依でレンの命は繋ぎ止めてるけど、心拍が弱くなっているよ。
ファングはレンの体を借りて操りながら、どこかの島の砂浜まで移動して倒れていた。
レン、頼むから絶対に死ぬなよ。俺が絶対に助けてやるから。
ファングは時々レンの体の体調を確認しながら操り、安全な場所でレンを寝かせることにしていた。
はぁはぁ、ここまで移動すれば大丈夫だろう。レンゆっくり休めよ。俺はずっとお前の傍にいるから。
ファングはレンの鼓動を感じながら、レンが目覚めるのをずっと待っていた。
「レン君、何寝ているの? 早く行こうよ授業が始まるよ」
「えっ、うん、今いくよ」
レンは転生する前の夢を見ていた。
「さぁ、レン、ここ開けて行きな」
「えっ、どうしたのみんな、早く行こうよ」
「ダメだよ、レンには行く所があるでしょう。それが全て終わったら来なよ」
レンの友達が、レンの背中をゆっくりと押していた。
「えっ、ちょっと待ってよ。僕は君達と一緒に‥‥‥」
レンはかつての友達に背中を押されて、光に包まれていた。
うーん、昔の夢を見ていたのか僕は、なんか懐かしいよ。しかも僕を叱って、もう一度この世界に引き戻されたな。
レンは目を覚まして、上空を見ながら昔の友達を懐かしんでいた。
それよりもファングは僕の体を操って、安全の場所まで移動してくれたんだね。
目を開けると海の中では無く、陸地にいるのでファングが必死にレンの体を操って運んでいた事が分かった。
それにファングの声が聞こえるよ。ファングにはかなり心配を掛けたかな?
ファングはレンを目覚めさせる為に、必死に語りかけて起こそうとしていた。
「ファング、うるさいよ。僕はもう大丈夫だから、そんな声で僕に語りかけるのやめてよファング」
「レン、お前気が付いたのか? よかった、本当によかったよレン」
ファングはレンが目覚めて、レンの中で大声で泣いていた。
「ごめん心配を掛けて、ファングが必死に僕を護ってくれたんだね」
「当たり前だろう、俺はお前の精霊なんだから、それに約束したよな、お前は俺が必ず護るって」
「そうだね、ありがとうファング」
「良いんだよレン、もしお前を失っていたら、俺は二度もレンとの約束を破る所だったから、お前が助かって本当によかったよ」
レンは胸に手を当てると、ファングの鼓動を中で感じながら、感謝をしていた。
「それよりも、精霊依を解除しようか、ファングも疲れたでしょう」
「いや、精霊依は絶対に解除するな。俺の心配はしなくていいから」
ファングが精霊依を解除するなと何回も言って来るので、理由を聞いていた。
「えっ、何で精霊依を解除しちゃダメなの?」
「精霊依を解除したらお前は俺が助けた時の状態に戻るんだぞ! そんな事をしたらお前は低体温で死ぬぞ」
精霊依を解除すると、もとの状態に戻るので、再びレンを危険な状態にさせない為にファングが気を利かせていた。
「そう言うことかぁ、ごめんねファング、君に迷惑を掛けて」
「気にするなレン、俺は精霊なんだからレンを護るのは当たり前なんだよ。俺が良いと言うまでは絶対に解除するなよ。お前の魔力が少しでも回復したら、その魔力で俺がお前の体を回復させるから」
「うん、ありがとうファング」
レンとファングは精霊依の状態で移動を始めていた。
「ここは何処なんだろうねファング?」
「さぁ、分からないな、だけどそれ程時間は経ってないと思うから近くの島だと思うぜ」
レンが気絶している間、ファングが代わりにレンの体を借りて移動していたが、それ程時間が経ってないとファングが移動までの経緯を説明していた。
「そうなんだ、なら見付けやすいかもね」
レン達が襲われた所から、それ程離れてない事が分かればアリス達が自衛団の人達を引き連れて迎えに来ると思っていた。
「いや、それは分からないよレン。俺は必死に泳いでここまで来たけど、ここが船の沈没した場所から近いか分からないし、それに俺達は帰る方向すら分からないんだよ」
雨風の海の中を必死に泳いで来たので、ここがどの位置にあるのか全く分からない状況だった。
「うっ、確かにそうだね。それじゃ精霊依で戻るのは、無理なの?」
「そう言うことになるな。方向が分からない以上むやみにこの場所から移動しない方が良いよ」
体力を回復させたら、レイン王国に向けて飛行する予定が、方向すら分からないため、レンはガックリとしていた。
「まぁ、気を落とすなよ。アリス達の助けが来るまで、俺が出来る事をしようぜ」
「うん、そうだね」
レンとファングはアリス達の助けが来るのを信じて、暫くこの島を拠点にする事を決めて、レンは食料を探しに動き出していた。
「なぁ、レン。暫くお前の体貸してくれないか?」
「えっ、急にどうしたの?」
食料を探しに山の方に歩こうとしているとファングに止められていた。
「俺が代わりに取って来てやるよ。こういうサバイバルは慣れているから俺がやった方が早いだろう。それに俺が体を借りている間、ゆっくり休めるだろう。お前はまだ衰弱気味なんだから」
ファングがレンの体を借りている間、レンの体力を少しでも回復させようと考えて、レンに提案をしている。
「ファング、本気なの? 僕の体を動かすのはファングに取ってかなりの負担が掛かるんだよ」
「あぁ、分かっているけど、今はそんな事を言っている場合じゃないだろう。どれだけ俺を心配させれば気が済むんだ。たまには俺の言うことを素直に受け入れてよレン」
ファングは今にも泣き出しそうなくらい、弱々しい声でレンに言っていた。
「分かったから、そんな声で言わないで、僕だってファングが心配なんだよ。ファングはいつも無理ばかりするから、僕より先に死ぬんじゃ無いかと思ってしまうんだよ」
「レン、ありがとな、俺を気遣ってくれて。俺はスゲー嬉しいよ。だけど俺はレンが思っているほど簡単には死なないよ」
ファングは普段聞けないレンの本音が聞けてよかったと思っていた。
「前向きに捉えるのはファングだけだよ。はぁ好きに使いなファング、ただし不自然な動きはしないでね。いくら人がいない場所でも、人がいる可能性はあるから」
レンは前向き過ぎるファングに降参して、体を自由に貸してあげる事にした。
「ありがとなレン、俺の意見を素直に受け入れてくれて。必ずお前が喜ぶ食料を取って来てやるから、お前は少し寝ていろ。ある程度食料が確保出来たら、お前を起こしてやるから」
「はぁ、分かったよ。ファングの言葉に甘えさせて貰うよ。多分この状況は今回限りかも知れないから、少し楽しませて貰うよ」
精霊依の状態で、長い時間を過ごす事は今回限りだと思い、レンは精霊依で思う存分、別の楽しみ方を模索して、ファングに体を貸していた。
「お前、自分で精霊依を悪用してないか、なんでそんなに楽しそうな声なんだ」
「えっ、良いじゃん、ファングが全てやってくれるから、楽出来るし、好きな時に寝れるから、それに無駄な力とかいらないよね?」
「お前、完全にダメ人間が言う言葉だぞ」
ファングと入れ替わると、レンがやる気ない事を言っているので、ファングは頭を痛めていた。
「それじゃ、ファングあとは宜しくね。僕は少し眠るよ」
ファングに言いたい事を言うとレンは深い眠りについたのがファングにも伝わっていた。
「はぁ、相変わらずマイペースだよ。まぁ、レンが元気になっているから俺は嬉しいけどな。さて、レンの為に食材を探しに行くか、レンの体は寝ているけど、俺が動かしているから問題ないな」
ファングはレンの体を動かして、動きを確認した後、食材を探しに山の方に向かって歩き始めていた。
【アリス、そろそろレイン王国に着くよ】
アクトがアリスに声を掛けていた。
「分かったわ、みんなを起こしてくれるかな?」
アリスに言われて精霊四人が直接、みんなの頭に話し掛けていた。
【そろそろレイン王国に着くので、皆さん起きて下さい】
「これが、精霊様の声なんだな」
アルベルトを始め、自衛団の人達が聴き慣れない声に耳を傾けていた。やがてレイン王国周辺の砂浜に着くとアクトの魔法が解けて地面の感触を確かめていた。
「本当に君達には感謝するよ」
アルベルトがアリス達に感謝していたが、アリスはキッパリと否定していた。
「やめて下さい、私達は助けてません。全てレン君がいたから出来たんです。レン君がいなかったら私達は助かってませんよ」
「確かにそうだな。一刻も早く自衛団本部に行って、君達の仲間を救出する部隊とクラーケン討伐の部隊を作って貰おう」
アリス達とアルベルト率いる自衛団の人達を連れて自衛団本部に向かい、クリスに事情を説明していた。
「そうか、早く戻って来たから、調査が早く終わったと思っていたが、そんな事態になっていたのか」
クリスはアルベルトに説明されて、険しい表情をしていた。
「あぁ、そうだだからこの子の仲間を助けてあげたいんだ」
アルベルト達はレンに助けられたので、一刻も早く助けに行きたい様子だった。
「それはダメだ。その周辺にはクラーケンが入るんだろう? むやみにお前達を危険な場所に行かせる分けないだろう?」
アリス達や自衛団の人達はクラーケンに襲われて、為す術がなく、レンの持つ精霊で助けられていたので、再び危険な場所に自衛団の人達を巻き込みたくなかった。
「それじゃ、レン君を助けに行ってくれないんですか?」
アリスが今にも泣き出しそうな声で言っていた。
「別に助けに行かないとは言ってないだろう。クラーケンが存在する以上、それなりの装備をする必要があるだろう?」
「クリス、お前」
「ありがとうクリスさん」
「君達の仲間には感謝しているからな。だけど直ぐには出発は出来ないよ。それなりの装備が必要だから、私もレイン王国の国王に話をつけて、武器や船を出して貰えるように要請をするから」
レンの捜索が決まるとアリス、レオス、レイスは喜んでいた。
「三人には悪いけど、暫くの間待つ事になるけど大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。直ぐにでも助けたいですけど、クラーケンがいる以上、それなりの装備は必要ですからね」
アリス達は今すぐにも助けに行きたいが、必死に感情を抑えて受け答えをしていた。
「そうか、辛いかも知れないけど、なるべく早く捜索出来るようにするからな」
アリス達の様子を見てクリスが優しい声を掛けていた。
「大丈夫ですよクリスさん。レン君の精霊がいるって事はレン君が死んでない証拠ですから」
精霊四人はレンと契約しているので、レンが死ぬと精霊四人はこの場に存在出来ない。その為、精霊がいる事はレンが生きている明確な証拠を示していた。
「そうか、君達の仲間は精霊を従えていたな。それじゃ、もう一人も、一緒にいるのかな?」
レンは精霊使いで安心していたが、ファングの方が心配だった。
「大丈夫ですよ、ファングはレンを助ける為に行きましたから、おそらく二人で助けを待っていますよ」
「そうだな、悪いな変な事を聞いて、それじゃ君達は時々精霊の様子を観察してくれ、精霊が君達の仲間の状態を知らせているのなら、悪化した場合はこちらもなるべく急ぐから」
アリス達とクリスが話し合った後、三人は自衛団本部から宿に戻って来ていた。
「おや、君達三人だけか? ほかの二人はどうした?」
「あっ、リベレルさん。実は‥‥‥」
アリス達は宿の父親リベレルに声を掛けられて事情を説明していた。
「そんな事があったのか、お前達だけでも無事でよかったよ。君達の仲間は絶対に生きている。だからそんな顔をするな、お前達の仲間が見たら怒られるぞ」
三人はうつ伏せ気味でかなり深刻な表情をしていたのでリベレルが渇を入れていた。
「すみません、確かにそうですね。こんな姿をレン師匠に見られたら絶対に怒りますね」
「レン君なら、やりかねないわね」
「レンお兄ちゃんに早く会いたい」
三人はリベレルに気合いを入れられて、今出来る事を考えるために部屋で話し始めていた。
「それじゃアクト達はレン君の捜索に行くんだね」
三人で話しているとアクトが話に割り込み、レンの捜索をしたいと伝えていた。
【あぁ、一刻も早くレンの無事を確かめたいからな、良いだろうアリス?】
「それは良いけど、精霊一人だけは、ここにおいて欲しいわ」
精霊が入れば、精霊同士で会話が出来て状況が確認出来るし、レンの無事が把握出来るので、アリス達はそれを見てレンの無事を確認したかった。
【分かったよ、ならエレナを付けるから良いだろう?】
【えっ、なんで私なの? 私もみんなと行きたいしレンに会いたい】
エレナがアクトに食い掛かるように言って来た。
【お前が一番適正なんだよ。お前なら三人を護れるだろう?】
エレナに嘘の事を信じ込ませようとしていた。
【えっ、アクトが言うのなら、私頑張るよ。レンを必ず助けてよ】
【エレナ、アクトに騙されているけど?】
【しっ、アルトニス、エレナに聞こえますよ。エレナを連れていたら、勝手な行動をするかも知れないでしょう】
【確かに、エレナは興味を示す物を見つけると、勝手に僕達からいなくなるよね】
【エレナはバカ以前に自由し過ぎですよ】
アクトがエレナを信じ込ませると、三人はレンの捜索に向かって、姿を消していた。
「うまくエレナをおいて行ったわねアクト」
【アリス、何か言った?】
「えっ、何でもないよ、エレナは三人と定期的に話して情報を貰ってよ。それとエレナはレン君の分身なんだから時々私達に姿を見せてね」
【うん、分かったよアリス。君達を悲しませる事はしないから、そんな事したらアクトに怒られるから】
エレナはアクトに言われた事をしっかりやるため気合いを入れて姿を消していた。
「レン君、私達が行くまで、絶対に死なないでね」
アリスはレンの無事を信じて、レオス、レイスと今出来る事を話し合っていた。
はぁ、このくらい食料を確保出来れば、レンの体を回復出来そうだな
ファングは最初山の方に向かっていたが、あまり食料が手に入らなかったので、海の中に入り魚や貝などを大量に取っていた。そして、森の中に入ると汚れないように、大きな葉に魚や貝を並べた後、レンを起こそうとしていた。
レン、起きろ。お前の為にたくさんの食料を取って来てやったぞ。
ファングはレンに直接、語り掛けていたが反応がなかった。
レンの鼓動は感じるけど、どうやって起こせば良いんだ?
精霊依になっていなければ、普通にレンの体に触れて起こしているが、今は精霊依の状態でファングはレンの中に溶け込んでいるので、レンの体に触れて起こす事が出来なかった。
はぁ、レンの体を殴って起こしても良いけど、それをしたら絶対に怒るな。
レンの体を借りているので、レンの体を使って起こそうと考えていたが、レンが目覚めるまで、取ってきた食料の近くで休む事にしていた。
やっぱり、レンみたいに寝れないのは辛いな、だけどレンの鼓動をこうして感じられるだけで、俺は常にレンの傍にいるのが分かるよ。それだけで、退屈しないからレンには感謝してるよ。
精霊として生きていく本当の苦痛を味わっていたが、レンが傍にいるので、まだ気が楽だった。ファングはレンの手を胸に当てて、レンの鼓動を感じていた。
「ファング、気持ち悪いよ。僕の体を使って変な笑みをしないでくれる?」
「うぁ、レン、お前起きていたのか?」
レンが起きていたので、ファング慌てて胸に手を当てていた仕草をやめていた。
「ファングの声がうるさいから起きたよ。直接話すとかなり声がデカいんだね。頭がまだクラクラするよ」
「悪かったなレン」
ファングは謝りながら、レンに体を返していた。
「それよりも、ファングは寝られないんだね。その他にも色々と弱音を吐いていたでしょう?」
ファングがレンの体を借りて、食材を探しているとき、色々と自分に対して弱音を吐いていたのをレンはちゃんと聞いていた。
「お前、そう言う所だけ聞いているんだな。はぁ、レンにはあまり聞いて欲しくなかったよ」
ファングの辛さや不安が全てレンに筒抜けになってしまったので、ファングはガックリしていた。
「ファング、僕は言ったよね。不安や辛さがあるなら、僕は力を貸すって、どうして言ってくれなかったの? もしかして僕が信用出来ないの?」
「そんな事はないよ、俺はレンを信用しているよ。だけど、自分が惨めなんだよ。レンの為に頑張ると言ったのに、逆に俺がレンを頼りすぎているから、少しでもレンの負担を少なくしたいんだよ」
ファングが半精霊になってからはレンに頼らないと何も出来ない状態になっているので自分に腹が立っていた。
「仕方ないよそれが半精霊の定めなんだから、それでもファングは僕を護る為に精霊の力を屈して僕を助けてくれたでしょう? ファングがいなかったら今頃、僕は海の中で死んでいたよ。だからファングは何も背負わなくても大丈夫なんだよ、ファングには僕がついているんだから、そうでしょうファング?」
「俺はやっぱり、レンには敵わないんだな。ありがとうレン、俺は、一生お前と生きて行くから」
「はいはい、何かあったら隠さず僕に必ず言うんだよ。ファングは精霊なんだから、不便な部分はあるよね」
「うん、分かったよレン。俺、お前に隠さず何でも言うから」
レンとファングは互いの悩みを打ち明けた事で絆が強まっていた。
「さて、これはファングが取って来たの?」
「あぁ、そうだぜ。最初山の方に行ったんだけど、あまり良いのがなかったから、海に切り替え、取って来たんだよ」
ファングが取ってきた食材を説明していた。
「そうなんだ、なら調理してくれればよかったのに」
「お前、精霊依で悪用するなよ。完全に人任せだな」
ファングに起こされて食事が出来たと思い、周りを見渡すと何もやっていないのでガックリしていた。
「ファング、代わりにやってくれない」
「お前、どんだけやる気ないんだよ」
「普通は料理が出来たら起こすよね」
「いや、そんな事はないと思うよ」
レンはため息を吐くと、近くに落ちている小枝や燃えそうな葉っぱをかき集め、火の魔法で火を付けた後、食材を並べて調理をしていた。
「はぁ、調味料がないから、自然その物の味だよね」
調味料がないので、海の塩気のシンプルさに嘆いていた。
「仕方ないよ。俺達は何も持ってないんだから、あるとすれば武器だけだよ」
レンの腰には剣が三本あった。
「やっぱり、精霊依をすると身につけている武器は自然と僕の所にあるんだね」
「まぁ、そうだな。武器を失っていたら死活問題だよ。なんせ伝説の断魔の剣を失う所だったんだから」
断魔の剣をうしなっていたら、海の中を探す予定だったので、断魔の剣を失わなくてホッとしていた。
「僕もファングの剣を失わなくてよかったよ」
レンもファングが選んだ剣を失わなくてよかったと胸を撫で下ろしていた。
「お前、ちゃんと俺が選んだ剣を使っているんだな」
「当たり前でしょう。ファングが絶対に使えと言ったでしょう。だからこうして丁寧に使っているんでしょう」
レンはファングが選んだ剣を鞘から抜くとファングはレンの目を通して見ていた。
「ちゃんと大切に使っているんだな。剣を見れば分かるよ。だけど海に落ちたせいか、若干錆びてるな」
ファングは剣を見て、ほんの些細な錆を見逃してなかった。
「ごめん、ファングから貰った剣なのに」
「謝るなよ、レン。食事が終わってお前の体が回復したら、精霊依を解除して、お前の剣を磨いてやるからな」
「うん、ありがとうファング」
ファングが選んだ剣を大切に使っている事が分かり、ファングは凄く嬉しかった。やがて魚や貝が焼けると、レンは魚を掴んで躊躇っていた。
「どうした、食べないのか?」
「いや、食べるのは構わないんだけど、精霊依の状態で食べるとどうなるのか気になって」
「はぁ、お前いちいち気にするのかよ。多分、食べたら魔力に変換されるだろうな、俺の体に近いから」
「多分、そうだね。それじゃファングが取ってきた魚を頂きます。うっ、やっぱり調味料がないから微妙だよ。てかあんまり美味しくない」
「贅沢を言うなよレン。食べられるだけましだろう? お前が魚を食べた事で俺の中にマナが流れてきたよ。これならレンの冷え切った体を回復出来るよ」
レンはあまり美味しくない魚を頑張って食べ、その間ファングはレンから送られる魔力を使ってレンの体を回復させていた。
「はぁ、何とか一匹食べたけど、味が薄すぎてあまり美味しくない。せめてもう少し、塩っけがあれば食べられるんだけど」
水魔法で一度魚を綺麗に洗っているので、海水の塩けが完全に洗い流されていた。
「仕方ないだろう、汚れや滑りを取るためには必要な処理なんだから。それよりも、お前が魚を一匹食べたおかげでお前の衰弱していた体は回復出来たから精霊依を解除していいよ」
ファングに言われて、精霊依を解除するとレンを抱きしめていた。
「ちょっとどうしたのファング?」
「悪いレン。暫くこのままにしてよ」
「分かったよファング、好きなだけ僕に触れれば良いよ」
「ごめんレン」
ファングは精霊依の間、レンに触れる事さえ出来なかったので、やっとレンに触れる事でレンが生きている事を肌で感じていた。
「ファング、もう良いでしょう? 僕はちゃんとここに入るんだから」
「あぁ、そうだな。だけど、もう無茶だけはやめてくれよな。本当に生きている心地がしないんだから」
「うっ、それは‥‥‥ごめんファング、また無茶するかも」
「その時は絶対に俺が護るから、絶対に」
ファングに無茶をするなと言われたが、確実な保証が確約出来なかった。
「分かったよ、その時はよろしく。なるべくファングに心配を掛けないようにするから」
「そう言ってまた突っ込むつもりだろう。お前の行動は見え見えなんだよ」
ファングに見透かされていた。
「うっ、そんな事はないと思うよ、うん絶対に」
「はぁ、変な誤魔化しはやめてよレン。どうせ言っても無駄なんだから、その時はアクト達に無理やりでもレンを護るように言うよ」
レンの誤魔化しに呆れていたが、ファングが別の相手をしている時はアクト達にレンを護るように助言しようとしていた。
「ファング、それだけはやめてよ。僕の戦う場所がなくなるでしょう」
精霊四人に護られたら、絶対に魔法で敵を投げ倒すので、レンの活躍の場所が失われると危惧していた。
「はぁ、安心しろよ。お前を怒らせないように、そこは配慮してもらうから安心しろ」
「本当かな、なんかファングは信用出来ない」
「レン、そんな事はないだろう?」
「既に嘘をつく顔になっているよ」
「そんなはずないだろう、アハハッ‥‥‥ごめんレン。好きに戦って良いよ、だけど絶対に無理だはするなよ。お前はアリス達や精霊が入るんだから、無理だったら応援を呼べよ」
「うん、分かったよ。それじゃ不味い魚を食べようか」
「レン、酷いよ。頑張って捕まえた魚なんだよ」
漫才みたいな喧嘩をした後、二人は魚や貝を黙々と食べていた。
「はぁ、食った食った」
「ファング、よく食べれるね」
「当たり前だろう。食べれば魔力を摂取出来るんだから、少しでも多く必要なんだよ。お前を今護れるのは俺だけなんだら」
「うん、そうだねファング」
「お前はもう少し食べろよ。全然進んでないぞ」
「えっ、食べてるよ。ただあんまり美味しくないから食欲がね」
「はぁ、せめてもう少し食べてくれよ。食べないとお前、また倒れるぞ。頼むから、俺を心配させないでよ」
魚を半分しか食べてない様子を見て、ファングが食べるように促していたが、レンが魚を食べる雰囲気がなかったので、代わりに半分を食べて魔力を摂取していた。
「ごめんファング、半分しか食べられなくて」
「はぁ、別に良いよ。精霊依の時に一匹食べていたから、それよりも、レンの魔力が俺に流れてこないのをみると恐らくアクト達が俺らの場所を捜すのは無理かもな」
レンの魔力が回復していれば、レンと精霊間で魔力を共有しているので、レンの魔力を探知して見つけてくれると考えていた。
「ごめんファング」
「何回も謝るなよ。無理に食べろとは言わないから、ゆっくりと栄養を取れば良いよ。お前が寝ているときに、もう少し食べられそうな物を探すから」
「うん、ありがとうファング」
食事を終えると、ファングはレンの剣を手にして、鞘から剣を抜くと、くまなく見ていた。
「やっぱり、錆びているな」
剣を見て険しい表情をしていた。
「ファング、どうなの?」
ファングに剣は大丈夫なのか確認していた。
「あぁ、大丈夫だよ。このくらいの錆なら、俺が元通りにするよ」
ファングは普段使っている剣の鞘に結びつけている袋を取り出すと、携帯用の研ぎ石と塗料を出して、レンの剣を磨き始めていた。
「ファング、携帯用を持っているの?」
「当たり前だ、俺は一人であっちこっち修行していたから常に持ち合わせているんだよ。修行していると剣の切れ味が落ちるからこうして携帯用で磨いているんだ」
「へぇ、そうなんだ」
「お前、俺を信用してないだろう」
「そんな事はないよ、ファングを見ていれば分かるよ。かなり手慣れているから」
ファングが剣を磨いている様子を横で見ていると、ファングはレンに剣を渡している。
「ほら、綺麗に磨いてやったぞ」
「早いね、ファング。凄い新品みたいだよ」
剣を渡されると塗料を塗ってあるのか、新品みたいに綺麗になっていた。
「少し、乾かしてから鞘に戻せよ。剣が錆びない塗料を塗ってあるから」
「うん、分かったよ。ありがとうファング」
ファングから渡された剣を暫く、眺めてから鞘に剣を戻していた。
「それよりも、僕達はいつまでここに居るんだろうね」
「さぁ、分からないな。少なくとも直ぐは来ないだろう。あの魔物の件があるから、時間が掛かるかもな」
「そうかぁ、暫く不味い食事なんだね」
「お前は助けより、食事が大事なのかよ」
ファングがレンに突っ込んでいた。
「食事は大事だよ。楽しみの一つなんだから」
「あぁ、そうですか、本当お前はマイペースだよな」
「それよりも、移動しようか、この島広いから人がいてもおかしくないよ」
「それもそうだな。ここに居ても、あまり良い食材に有り付けないし、それに人がいるかもな」
二人は今夜、海辺の近くで休んだで、明日から島の中心に向かって歩こうと決意していた。
「アクト、聞こえるか」
ファングはレンに気付かれないように会話をしていた。
【あぁ、聞こえるぜ、レンは無事なのか?】
「何とかな、かなり衰弱していたけど精霊依で何とかしたよ」
【よかった、それよりも、レンの魔力が来ないけど今はどんな状態なんだよ】
「アクト、焦るなよ。レンは無事なんだから、とりあえず説明するぜ」
ファングは精霊間の通信を使い、アクトに説明していた。
【分かった、レンは無事なんだな】
「そう言う事だよ。アクト、俺の魔力を感じられるよな。精霊同士なら、魔力を感じられるだろう?」
【それは無理だな、俺達はレンの魔力でレンの居場所を見つけているから、精霊同士では試した事がないんだよ。だけど、お前が言いたいことは分かるよ】
「やっぱり精霊同士の魔力で居場所を探すのは無理なのか」
ファングはガックリしていたが、アクトはファングに言われて何かを考えていた。
【いや、可能かも知れないぜ】
「本当かアクト?」
【多分、この方法を使えば行けるよ】
アクトはある仮説をファングに説明していた。
「えっ、マナリンクを使ってアクト達に魔力を送るの?」
【あぁ、そうだよ。レンの魔力の中には俺達五人のマナリンクが繋がれているから、一度レンを経由させて、お前の魔力を俺達に流せば、お前の位置を把握出来るよ】
ファングはポカンとしていたが、レンを見つけられるならやると言っている。
【なら、レンが寝ているときにやれよ。魔力をレンの体に流すから、違和感が起きるかも知れないから】
「それなら大丈夫だよ。明日早く、起きて移動するとか言っていたから、もう寝てるよ」
レンは近くの木に背中を付けて、座り込むように寝ていた。
【そうか、ならさっさとやろうぜ!】
アクトは早くレンの所に行きたい様子だったので、ファングは軽く息を吐いて、胸に手を当てると、レンから魔力を供給されていた感覚を思い出している最中だった。
はぁ、思い出せ俺、レンの魔力を感じた所がマナリンクの場所なんだから。
ファングは必死にレンと魔力を供給している場所を魔力の流れで探していた。
あった、ここだけポッカリ空いた穴があるよ。ここがレンと繋がって入る場所だな。あまり魔力ないけど大丈夫かな。
ファングの魔力量はそれ程回復してないので、どのくらい魔力が持っていかれるか未知数だったが、レンをこれ以上この島に居させたくなかったので、躊躇わず魔力を流していた。
「アクト、どうだ。これで分かるのか?」
ファングは精霊の姿になると、自分の魔力をレン経由でアクトに送っていた。
【あぁ、バッチリだぜ。しっかりお前の魔力を感じたよ。これで直ぐレンの所に行けそうだよ】
「そうか、それはよかったよ」
【ファング、大丈夫なのか?】
「あぁ、大丈夫だよ。ちょっと魔力を奪われただけだから」
ファングは精霊の姿が解除されて、ふらついていた。
【そうか、なら良いんだけど、俺らが行くまでしっかりレンの傍にいろよ】
「任せておけ、レンはちゃんと俺が見張っているから」
アクトに伝言を伝え終わるとファングはふらつきながらレンの所に来ると、レンを抱きしめて倒れ込んでいた。
レン、もうすぐアクト達が来るから安心しろよ。はぁはぁ、やべえ、魔力切れだよ。さっきので食べた分が持っていかれたよ。まぁ、今日は襲われる事はないだろう。レン、俺が抱きして傍にいるからゆっくり休めよ。
ファングは寝ているレンに優しく触れていた。
俺も少し休むよレン、お前の力を貸してね。あぁ、なんか急に眠気が来たよ。お休みレン、俺の体は寝ている状態だけど、お前の事を常にマナリンクで感じているから安心しろよ‥‥‥グーグー。
ファングはレンを抱きしている状態で寄り添い、気持ち良さそうな表情で二人は寝ていた。
【アクト、ファングと話していたんでしょう】
【あぁ、そうだぜ】
【それで、レン様の事を何か言っていましたか】
エレントとアルトニスはファングの会話の中身が気になっていた。
【あぁ、その事何だけど】
アクトは二人に説明をしていた。
【よかった、レンさん無事なんだね】
【無事は無事なんだけど、話によると、若干衰弱してあまり食事が取れてないんだよ】
【まぁ、それは大変ですわ、早く行って私達も手伝いましょう】
【そうだね、僕達も食材探しを手伝えば、少しはレンさんに貢献出来るね、そうと決まれば早く行こうアクト、場所は分かるんだよね】
レンがあまり食事をしていない事をアクトに聞かされて、エレントとアルトニスはここで少しでもレンに恩返しをしたいと考えていた。
【あぁ、バッチリだぜ。ファングが頑張ってくれたからな】
【まさか、精霊同士で魔力を探知出来るなんて想像しなかったよ】
【私も、思い付きませんでしたわ。やはりファングさんはここぞの時に頼れますね】
【そうだな、普通は思いつかない発想だよ。でもファングの発想がなかったら俺達はレンのマナ供給が来ない限り、探すのは困難だったから、本当にファングには感謝しないとな】
【そうだね、アクト。ファングさんが繋げてくれた魔力を無駄にしないで、早くレンさんの所に行こう】
【言われなくても分かっているよ。レン、もう少しで行くから待っていろよ】
精霊三人はレンの無事に喜んだ後、ファングに感謝しながら、猛スピードで二人がいる方向に向かって飛行しているのだった。
次回更新は明日になります。温かくお待ち下さいm(_ _)m




