#49 真夜中を襲う惨劇
お待たせしました。第49話公開です。皆が寝静まる頃、海の方では不穏な気配がレン君達の運命はどうなるの(。>ω<。)
ファングと精霊四人が宙でレンと同じ状態で寝てから数時間後、艦橋内では少数の自衛団の人が監視に当たっていた。
「アルベルトさん、今の所周辺には何もありません」
自衛団の部下がアルベルトに報告していた。
「あぁ、分かった引き続き警戒を当たってくれ」
「分かりました、アルベルトさんも時々仮眠を取って下さいよ。言ってくれれば、交代しますので」
「すまないな、もう少ししたら、交代してもらうよ」
アルベルトは部下に伝えると引き続き外の様子を窓から伺っていると、一人の部下が慌ててやって来た。
「大変です、巨大な何かがこちらに来ています」
「なんだと、うぁー」
アルベルトに報告していると、突然船が大きく揺れていた。
「もしかすると、例の生物かも知れない。総員急いで武器を取り攻撃を開始しろ。絶対に船を沈ませるな」
アルベルトが部下に指示をだすと一斉に武器を手にして、艦橋の外に向かって行った。
「うぁー、なんだ今の揺れは」
揺れや音が響き渡り、レンは飛び起きていた。
「レン、起きたかよかった」
ファングは心配な表情で声を掛けていた。
「ファング、起きていたの、もしかして眠れなかった」
「えっ、ちゃんと寝ていたよって、今はそれどころじゃないだろう?」
「状況は関係ないよファング、僕には嘘を付かないんじゃないの?」
状況は緊迫しているのに、レンは一歩も退かないのでファングはため息を吐き、素直に話していた。
「はぁ、お前状況が分かっているのか、分かったよ話すからそんな顔をするなよ」
ファングは精霊四人に見られて、言いにくいけど、レンが見ているので全て話していた。
「そう、僕を使って眠っていたんだね」
「悪かったな、お前の眠っている感覚を味わって」
ファングはレンの力を使っていたので謝っていた。
「別に構わないよ、ファングは精霊になったからアクト達と同じになったんだね。少しでも人間らしく寝られるのなら、僕はファングやアクト達に力を貸すよ」
【はぁ、お前は優しすぎだよ。俺達はレンを悪用しているんだぞ】
精霊四人は今まで、レンに波長を流してレンと同じ状態になって体を休ませていたので、精霊四人はレンを悪用していたと説明していた。
「悪用って言っても人間に危害を加えてないでしょう。アクト達は人間になりたいから、僕を使って色々試しているんじゃないの?」
精霊四人の気持ちを知っているので、レンは精霊四人が必死に自分が悪いと言っている理由が分からなかった。
【うっ、それはそうだけど、何で俺達を怒らないんだよ】
「何で僕が怒るの? 精霊四人はもう僕の家族なんだから困っていたら助けるのが普通だよね。もちろんファングも僕の家族だからね」
【お前だけだよ、俺達を家族の一員として見てくれるのは】
「アクト泣いているの?」
【泣いてないよ、自分が惨めなんだよ。コソコソ僕達が必死に隠してやってきたのに全部、レンに丸め込まれるんだから】
【そうだね、最初からレンさんに言っていればコソコソする必要はなかったね】
「レン、お前は俺を家族って言ってくれるんだな、スゲー嬉しいよ」
「ちょっとみんな急にどうしたの、ファングもやめてよ」
ファングと精霊四人が一斉にレンを抱きしめて、感謝の気持ちをたくさん言っていた。
「はぁ、死ぬかと思った」
「悪かったなレン、俺が強く抱きしめたから」
「良いよ別に、それよりも時々船がかなり揺れるんだけど何かあったのかな?」
ファングと精霊四人が話している時も時々船が大きく揺れているので、何かあったのか気になっていた。
「だから、さっきから言っているだろう? 原因は分からないけど異常だよ。いくら揺れても、変な音は響かないよ」
船が揺れていると同時に、何か戦闘があったみたいな大きな音が響いているので、ファングは嫌な予感が頭をよぎっていた。
「精霊四人は先に様子を見て来て、僕とファングは武器を装備してから行くから」
【分かったよレン、ファングちゃんとレンに付き添えよ。いくぞエレント、アルトニス、エレナ】
アクトはファングに伝言を伝えると、足早に姿を消して原因の調査に向かって行った。
「よっと、アクトは心配症なんだから、レンさっさと準備してアリス達と合流するぞ」
ファングは床に足をつけると精霊の力を解除して、本来の姿に戻って武器を装備していた。
「それじゃ、ファング行くよ」
「あぁ、分かっているよ、早くアリス達と合流しようぜ」
扉を開けて、アリス達に向かおうとしたら、アリス達が目の前にいた。
「うぁー!」
「えっ、ファング‥‥‥痛いわ」
扉を開けて、出ようとしたらファングとアリスがぶつかっていた。
「アリス、突然現れるなよ、びっくりするだろう。あぁ、腰を打ったよ、精霊の時と全く違うから、かなり痛みを感じるよ」
精霊の時は痛みをほとんど感じなかったので、人間に戻ると痛みを感じていたので、ファングはホッとしていた。
「それはこっちの台詞よ、何で痛がっているのに、時々嬉しそうな顔なの?」
「いいだろう別に、精霊の時はあんまり痛みを感じなかったんだから、人間に戻ると、ちゃんと痛みを感じる事を確かめられて嬉しかったんだよ」
「そうなの、ならさっさと言えば良いのに、いつも理由を聞かないと言わないんだから」
ファングは何かと抱え込むので、アリスが大半の事を聞き出していた。
ファングはアリスにも弱いんだよね。しかし本当に仲が良いよね。
アリス達と合流して、五人は艦橋に向かって走っていた。
「なんか変だよね、何で誰もいないの」
通路を走っているけど、自衛団の人達に一度も会わないので、五人は不自然に感じていた。
「おそらく、自衛団全員が集まる事態になっているのかも」
「それってもしかして、例の生物でしょうか?」
レイスが自衛団本部の会議で言っていた事を話していた。
「それは分からないわ、だけど私達はその調査で来ているから、遭遇してもおかしくないわ」
「レン、お前は俺が絶対に護るから、無理だけはするなよ」
「僕もレンお兄ちゃんのために頑張るよ」
「うん、ありがとうファング、レオス」
話しながら走っていると、精霊四人が慌てた様子でレンとファングに話し掛けてきた。
【レン様、大変です】
【レン、大変なんだよ】
【レンさん、大変なんですよ】
【お前ら、大変なんですって言っても伝わらないだろう】
アクトが三人に怒っていた。
「アクト、何かあったの?」
【あぁ、急いで艦橋の外にこい、かなり状況がやばいよ。お前らが言っていた例の生物が船を襲っているんだよ。お前らが来るまで、何とか自衛団の人に見られないように攻撃して対応するから早くこいよレン】
アクトに言われて、五人は急いで艦橋の外に向かっていた。
「まさか、例の生物が襲うなんて、みんな気をつけて対処してよ」
「分かっているわよ、そんな顔をしないの、レオスいつものお願いね」
「了解だよ、アリスお姉ちゃん」
「はぁ、またなの、まぁ慣れたから別に構わないけど。何かいつもと変わらないよね、この状況」
「当たり前だよ、それが俺達なんだから」
「そうですね、緊迫しても僕達は常に楽しくやっていますから、不安なんてありませんよ」
いつもと変わらない四人を見て、レンは笑って答えていたが内心ではとても心配だった。艦橋の外に出ると、辺りは真っ暗で雨風が非常に強く、視界が悪かった。
「何これは‥‥‥」
「おい、マジかよ‥‥‥」
艦橋の外を見渡すと、そこには無数の蛸みたいな足が船に巻き付いて、自衛団の人達が必死に攻撃をして、船を沈めないように頑張っていた。五人は急いで、周りに巻き付いている足に向かって攻撃していた。
「なんて、頑丈な足なんだよ、僕の風の斬擊が効かないよ」
風の斬擊で攻撃しているが、足が太いためなかなか攻撃が相手に伝わってない様子だった。
「レン、こっちは俺がやるから、レンは自衛団のリーダーに状況を確認してくれ」
「分かったよ、ファング、それとアリス達も気をつけて」
「任せなレン君、私達がやられると思うの、レオス君、お兄さんの力を借りても構わないから強力な魔法を沢山足に撃ちなさい」
「うん、分かっているよ。レンお兄ちゃん、僕は大丈夫だから、気にしないで行ってきなよ」
「レン師匠、僕達は大丈夫だから、そんな顔をしないで早く行って下さい」
「みんな‥‥‥うん、分かったよくれぐれも気をつけて」
四人が心配だったがレンは急いで、自衛団のリーダーアルベルトを探していた。
どこにいるんだアルベルトさんは、早く見つけて四人と合流しないと行けないのに。
早く四人と合流するために必死に船の周りを走って確認していると、巨大な足に対抗しているアルベルトを発見していた。
「旋風斬擊剣、大丈夫ですか?」
「ありがとう、君は確かレン君だったかな」
「はい、そうです。ところで自衛団の皆さんは全員、この巨大な足に対抗しているんですか?」
船内を移動していた時に自衛団の姿が見えなかったので確認していた。
「船を操縦しているメンバーを除いて、全員がこの巨大な足に対抗しているが何人かは残念だけど、海に投げ出されてしまったんだ」
レン達が到着する前に、数人の自衛団が海に投げ出されていた事を聞いてショックを受けていた。
「君が謝ることはないよ、彼らは我々を逃がすために必死に頑張っていたんだ。その誇りは捨ててはいけないよ」
「はい、分かりました」
アルベルトに促されて、レンは目の前の巨大な足に攻撃を再び始めていた。
「アルベルトさん、もしこの船がダメになった場合は何か脱出する方法はあるんですか?」
仮に船が沈んでしまった場合、他に予備のボートなどがあるか確認していた。
「小さな船は脱出用にあるけど、みんなを乗せる事は出来ないよ」
脱出用の小型ボートはあるけど、乗れる人数に限りがあった。
「分かりました、その時は精霊の力を借りて皆さんを安全な場所に運びますので安心して下さい」
レンはアクトを使って、みんなを安全な場所に運ぼうと考えていた。
「分かりましたレン君、その時はよろしくお願いします」
アルベルトに約束をしたら、レンはアクトと話していた。
【お前、本気かそんなことをすれば、お前の魔法を大半失うぞ】
「良いから、その時は絶対にやって、いいねアクト」
【はぁ、分かったよ。お前が護りたい人達何だろう! たくしょうがないな、エレント、アルトニス、エレナにも協力してもらうよ】
アクトに確約を取り付けた後、レンはアルベルトの周りに巻き付いている足に攻撃をしていた。
「はぁ、だいぶ片付いたな、周りを見渡すと巨大な足は海の中に消えたか」
ある程度、ダメージを与えると、巨大な足は海の中に消えているので、何とか逃げられそうと考えていると、船が大きく揺さぶり始めていた。
うぁーなんだよこの激しい揺れは‥‥‥えっあれってもしかして‥‥‥。
暗くて何も見えなかったが、一瞬だけクラーケンの姿を捉えていた。
嘘だろう。謎の生物の正体が海の魔物クラーケンなの? だけど暗くて、本当か分からないけど、あの姿は‥‥‥。
レンは海底遺跡で見た壁の絵とそっくりの生物が目の前に一瞬写ったので、レンは焦ってアクトに今すぐ、皆を連れて行ってと叫んでいた。
「アクト、今すぐ皆を連れて行って、僕は後回しで良いから早く」
【えっ、うん分かったよ。アクアプリズムボール】
アクトは突然レンに言われたので、状況も分からないまま、自衛団の人達をアクアフリズムボールの中に閉じ込めて、安全な場所に運ぼうとしていた。
「レン君、これは一体?」
アルベルトは突然何が起きたのか状況が掴めないでいた。
「安心して下さい。僕の精霊が安全な場所に運びますから、それとクリスさんにあったら早急に撃退させる方法を考えて下さい。あの魔物は恐らくクラーケンです」
アルベルトに伝えると、驚いた表情をしていた。
「なんだと、海の魔物クラーケンが一連の事件を起こしているのか?」
「恐らく、そうでしょう? 姿は確認出来ませんが、一瞬だけ見えたので、恐らくクラーケンが一連の事件だと思います」
「そうか、分かった。戻ったらクリスに話して討伐部隊を編成しよう、それよりもすまないな私達は先に逃がしてくれて」
「大丈夫ですよ、僕も後から行きますから、アルベルトさん達はそのままジッとしていて下さい。必ずレイン王国に運びますから」
アクトは一人一人、アクアフリズムボールの中に収容すると、エレントが風魔法でレイン王国に向けて飛ばして、アルトニス、エレナが障壁を張り一直線に飛ぶようにしていた。
「それじゃ、レン君、またレイン王国で会おう」
「はい、必ず」
アルベルトはエレントの風で宙に浮きレイン王国に向けて飛んで行った。
「レン君、あとは私達だけだね」
アリス達の方にいた、自衛団の人達は全て、レイン王国に向けて運び終わっていた。
「そうだね、船も沈み掛かっているから早く脱出しようか、アクトよろしくね」
【あぁ、任せろ。安全にレイン王国に運んでやるよ】
アクトは魔法を唱え始めていると、レンが何かに気付き、アクトの魔法の範囲から抜けていた。
「えっ、レン君何してるの? ダメだよ、アクト早くこれを解除して」
レンは走りながら、剣で四人を襲い掛かろうとした足に攻撃していた。
「アクト、僕が押さえている間に早く四人を運んで」
【何を言っているんだ、お前を見捨てる事は出来ないよ】
「アクト、これは命令だよ。絶対に皆を無事にレイン王国に運んで」
【だけど、お前が死んだら、俺達は‥‥‥】
【アクト、レンさんの気持ちを尊重してあげようよ】
【大丈夫ですよ、レン様なら絶対にやられませんよ】
【レンは強いから大丈夫】
精霊四人はレンを助けたい気持ちでいっぱいだったが、レンの命令には逆らえないので、アリス達をレイン王国に向けて安全に運ぼうとしていた。
「アクト、これはどう言う事だよ。何でレンを先に運ばないんだよ」
ファングがアクトに怒っていた。
【ごめんファング、これはレンの出した答えなんだよ。悪いけど、お前らは安全にレイン王国に運んでやるよ】
「なんだよそれ、俺は絶対に認めないぜ」
「そうよ、今すぐ解除しなさい」
「アクトさん、頼みますからこれを解除して下さい」
「レンお兄ちゃんを見捨てるのはイヤー」
四人はアクトに反抗していたが、精霊四人は黙々とレイン王国に向けて運ぼうとした時、船が真っ二つに裂けた。
えっ、嘘だろう。僕死ぬの?
レンは真っ二つに裂けた衝撃で海に投げ出されていた。
「レン君、イヤー」
「クソ、早く解除しろアクト!」
【ごめんみんな、エレントお願い】
アクトはレンを助けたい気持ちでいっぱいだけど、レンの命令には逆らえないので、四人をレイン王国に向けて運ぼうとエレントにお願いしていた。
「アクト、お前!」
レンは海に投げ出されて、四人の表情は憎しみに溢れてアクトを睨み付けていたが、アクトは黙々と、レイン王国に運ぼうとしていたので、ファングは断魔の剣を振り、アクトの魔法を解除していた。
「ファング!」
ファングは精霊の力を解放して、宙に浮いていた。
「大丈夫だよ、アリス、レオス、レイス、俺がレンを助けるから、アクト、アリス達や自衛団の人達を無事にレイン王国に運べ。こっちは俺がやるから」
精霊四人は自衛団が無事にレイン王国に着いているか、確認しろと言っていた。
【ごめんファング、レンの事は頼むよ】
「あぁ、任せな。全てが終わったら、分かっているだろうな」
【あぁ、分かっているよ。その時は好きなだけ僕達四人を殴ればいいよ気が済むまで】
アクトは今にも倒れ込みそうなくらい、憔悴しきっていた。
「アリス、レイン王国に着いたら、自衛団本部のクリスに事情を説明して必ず迎えに来いよ」
「えぇ、分かったわ、レン君が気付けば必ずレオス君を使うわね。ファング、絶対にレン君を死なせないでね」
「ファングさん、レン師匠を頼みますよ。僕達は自衛団の人達ともう一度行きますから、それまでしっかり護り通して下さいよ」
「ファングお兄ちゃん、レンお兄ちゃんに何かあったら許さないよ」
精霊四人が三人の傍に付き添い、ファングを見届けるとレイン王国に向けて飛んで行った。
さて、だいぶ時間が経っちまったな。死ぬなよレン。
アリス達やアクトと話していたので、レンが投げ出されてかなりの時間が経っていた。
クソ、暗くて何も見えない。レン聞こえたら返事をしてくれ。
ファングは大声で叫んでいるが、雨風や波の音で無残にも、声がかき消されていた。
クソ、このままだと本当にレンを失っちまうよ。
ファングの頭には悪夢しか浮かんでなかった。
落ち着け俺、考えるんだ。何かレンを見つける方法があるはずだ。
悪夢を振り解き、軽く深呼吸をしてレンを探す方を考えていると、あることを思い出していた。
【レンとは常にマナリンクで繋がっているから、常にレンの魔力が俺達に供給されているんだぜ】
アクトの言葉を思い出して、レンの魔力を感じ始めていた。
レンの魔力が俺の中にまだ流れているから、レンはまだ死んでないけど、魔力の供給が少なくなっているよ。
ファングは自分の体に流れ込む、レンの魔力を感じていたが、魔力の量が減っている事に気が付いていていた。ファングは急いで、マナリンクを通して、レンの魔力を探知すると、海に向かってダイブして魔力の反応の所に急いで行くと、レンは海の中で倒れていた。
「レン、しっかりしろ」
ファングは海の中で声を掛けたが反応がなかった。
クソ、海水を大量に飲んでいるのか、急いで海から上げないと。
ファングはレンを抱えると、海から出て空まであがると、ファングはレンのお腹に手を当てて、体術の波動を打つと、レンは大量の海水を吐き出していた。
「うぇ、ゴフォゴフォ」
「レン、大丈夫かぁ」
体内に入った海水はある程度吐き出していたが、未だ反応がなかった。
海水に浸かっていたから、体が冷えてやがる。まずいこのままだと低体温で体力が奪われて、死んじゃうよ。
レンの体に触れるとかなり冷たく、体が時々痙攣みたいに振るえていた。
「レン、頼むから、絶対に死ぬなよ」
ファングの声に反応したのか、レンの体が一瞬動いた事に気付いた。
「レン、俺の声が聞こえるのか」
ファングはレンにもう一度声を掛けると、弱々しい声が返ってきた。
「その声はファングなの? どうしているの、もしかして僕を追ってきたのファング?」
レンは既に死んだと思い、ファングも一緒に付いてきたと勘違いしていた。
「レン、お前は死んでない、安心しろよ。確かにお前が死んだら、俺も死んで付いて行くと言ったけど、俺は精霊の姿なんだからまだ死んでないぜ」
ファングに言われて、死んでいない事が分かると、レンはファングに確認していた。
「それじゃ、自衛団の人達は無事なんだね」
「あぁ、無事にレイン王国に届けたよ」
自衛団の人達の無事を伝えると、レンは再び目を瞑ろうとしていた。
「レン、言葉だけ残して、死のうとするな」
ファングは必死にレンに声を掛けると、うるさいのか目を開けていた。
「ファングうるさいよ。僕は大丈夫だよ。ただ急に眠気が来るんだよ」
「それは、お前に死が迫っている証拠だよ。レン、絶対に寝るなよ。俺が安全な場所に運ぶまでは」
危険な状態を悟り、急いでレンを陸に運ぼうとした時、突然ファングがふらつき始めていた。
「あれっ、なんか急に力が抜けていくぜ」
ファングは巨大な足に攻撃していたので、魔力切れを起こしていた。
「ファング、なんか落ちてない」
「悪いレン、俺達死ぬかも、魔力切れになったみたいアハハッ」
「笑い事じゃないよ、うぁー」
レンとファングは真っ逆さまに海に向かって落ちていた。
今度こそ、僕は死ぬんだな。
レンは死を覚悟していると、ファングはレンに向かって言った。
「レン、俺と精霊依をしろ、早く」
「えっ‥‥‥あっその手があったね」
精霊依をすることで、精霊の飛行能力が付きなおかつ一体化することで、二人同時に運べる利点にファングは気付いていたのでレンは褒めていた。
「凄いよファング、これなら大丈夫だね」
「だろう、俺が精霊になっていてよかったよ、さぁ行こうぜレン、レイン王国に向けて」
「うん、行こうか‥‥‥あれっ?」
「どうかしたのかレン?」
「アクト達に魔力を大量にあげたから魔力切れみたい」
「どうりで、レンの魔力があまり感じられない分けだよ。普段なら俺の中がレンの魔力で満たされるのに、今は一切魔力を感じないよ。てっそれじゃ俺達は落ちるのか?」
「そうみたいだね、アハハッ。うぁー」
「うぁーじゃないよ、完全に海に向かって落ちているよ」
レンは精霊依の姿で海に落下していた。
「僕とファングは海の中で死ぬんだね」
「いや、大丈夫だよレン。精霊依が解けなければ、レンの体は精霊である俺に護られるから、ただ魔力切れを起こしているから、レンは気絶するかもな」
レンは死を覚悟していたが、ファングが大丈夫だと言っているので、ファングを信じながらレンは気を失い、海の中に落ちて行った。
「アクト、どうかしたの?」
アクトがレンのいる海の方向を見ていたので、アリスが心配していた。
【えっ、うん大丈夫だよ。ちょっとレンとファングが心配で】
「大丈夫よ、ファングが付いているから今頃、レン君を助けて近くの島にいるんじゃないの?」
【あぁ、そうだな。ファングは俺達と同じ精霊だからきっとレンを助けているよな】
アリスはファングが付いているから大丈夫だと励ましていた。
【アクト、あまり三人に心配掛ける表情はしないで】
【分かっているよアルトニス。だけど、レンの魔力が俺の中に流れて来ないんだよ】
普段ならレンの魔力を感じるのに、今は全く感じないのでレンに何かあったと悟っていた。
【アクトの気持ちはわかるよ。僕もレンさんの魔力が流れて来ないから】
【大丈夫だよアクト、レン様は必ず生きていますわ】
【アクト、今は自衛団の人達を運ぼうよ。レンが言った事をやらないと絶対に怒るよ】
【そうだよ、エレナの言うとおりだよ。今は僕達のマナだけで何とか頑張ろう。僕達が心配したら三人は絶対に死を覚悟して海を泳ぐかも知れないよ】
【あぁ、そうだな、みんなを送ったら、俺達は先にレンを探しに行こうぜ】
【アクト、その意気だよ】
【レン、俺達をおいて絶対に死ぬなよ。お前が死んだら俺達の居場所が無くなるんだから‥‥‥】
精霊四人はレンが生きている事を信じながら、レイン王国に向かって自衛団の人達を運んでいるのだった。
次回更新は暫く未定です。長期にお待ち下さいm(_ _)m




