#47 ファングの過去と本来の自分
お待たせしました。第47話公開です。いよいよファングの正体が明らかになるけど、普通はレン君達のピンチに正体を明かすんじゃないの?そしてレン君の新たな悩みの種になるのか気になりますね(。>ω<。)
ファングを部屋で寝かせている間、レンは狭い通路を歩き三人がいる部屋の前にいた。
「おーい、アリス、レオス、レイスいるの?」
扉の前で声を掛けると、レオスが扉を開けてくれた。
「レンお兄ちゃんどうしたの?」
「レン君、ファングはどうしたの?」
アリスが部屋の奥からレンを見て、ファングがいないことに気付いたので、レンは部屋に入り三人に説明していた。
「レン師匠、ファングさんに風系の使い方を教えていたのですか?」
「うん、そうだよ、どうしても学びたいとごねるから仕方なく教えたんだよ。まぁファングは筋は良いからある程度はマスター出来てるよ」
「ファングが風系を学ぶなんて意外だわ。確か火と炎が得意なのにあえて違う属性に挑戦するのはファングらしいわね」
「ファングさんは多分、レン師匠を護るには他の属性も必要と感じていたんでしょう。火と炎系だけだといずれ、効かない相手が現れると」
「レイス、ファングが言った事、ほとんどあっているよ。まるで僕とファングの会話を聞いていたみたいだよ」
「アハハッ、ファングさんの言いそうな事を考えて見たんですよ」
「確かにファングがレン君に言いそうなセリフだわ」
アリスとレイスは二人が会話していた様子を頭に浮かべながら納得していた。
「それでファングはいまレン君の部屋で爆睡してるの?」
「そうだけど、一応精霊二人を付けているから大丈夫だと思うよ。そうだよねアクト」
【あぁ、エレントとエレナが見ているから大丈夫だよ。若干エレナが気になるけど、そこは時々様子を見にアルトニスが行くから大丈夫だよな】
【そうだよねアクト、僕が時々ファングさんの様子を見てくるからレンさんは心配しなくて大丈夫だよ】
アクトとアルトニスに確認してから、四人が再び話し始めていた頃、ファングは夢の中にいた。
「何故、我の力を使わないんだ」
「黙れ、フォレス何で俺の夢の中にいるんだ」
「何故だと、それはお前を助けたからだろう。それにお前はもう人間じゃないんだから」
「黙れ黙れ、俺は人間だよ」
ファングはフォレスに向かって怒号を飛ばしていた。
「お前が人間、笑わせるな、お前は半精霊なのに?」
「うるさい、誰のせいでこうなったんだよ、全部お前のせいなんだよ」
「クックク、それは心外だな、全てはお前が望んだ事なのに何故否定するんだ」
「俺が望んだ、嘘をつくなよ。貴様は俺の体を乗っ取ろうとしただろう。あの時、俺が修業していた時に」
ファングはフォレスに向かって過去を話していた。
「はぁはぁ、疲れた。少し休むか」
ファングはとある洞窟で倒れ込んでいた時、突然体の自由が効かなくなっていた。
「何だこれ急に体の自由が」
【クックク、ようやく人間のガキに会えたよ】
「誰だ、俺の頭に話し掛けるのは」
【クックク、我はフォレス、光と闇を支配する精霊だよ。さぁ貴様の体を我に寄こせ。そして我はこの世界で神になってやるクックク】
「何だよこれ、俺の中に何かうぇ、気持ち悪い」
フォレスは無理やりファングの入り込み、ファングの精神を奪いフォレスはファングと一体化していた。
「クックク、素晴らしいこれが人間の体かぁ、まぁ今はガキだけど、体が成長する頃には我の体は完全にガキの一部になり完全に人間に化けた半精霊的存在になれるよクックク!」
フォレスはファングの体を確認していると、突然体の自由が効かなくなっていた。
「クックク、抵抗するのか、楽になれば良いのに、まだ抵抗する力があるのか」
「黙れ、俺がお前に呑み込まれるかよ」
ファングは激しく抵抗していた。
「クッ、何だこれは、何故我がガキに消され掛けているんだ」
「体から出せないなら、俺がお前を取り込めば良いだろう」
「貴様、我が消えていく、こんなガキに、クッククアハハッ」
「何がおかしい」
「ガキを乗っ取れないなら、貴様は我の呪いを一生背負え、お前は半精霊として孤立しながら精霊と同じ時を生き続けろ」
フォレスはファングに呪いの言葉を吐いた後、フォレスはファングに取り込まれて消滅していた。
「クックク、アハハッ、確かにそんな事があったかな‥‥‥」
ファングは夢の中でフォレスを抹消していた。
「確かにお前の体の呪いで俺の人生は絶望を歩んでいたよ。だけどレンに会った事で俺の人生は一変したんだよ。多分レンが精霊使いだから、俺を導いてくれたんだよ。この体は呪いじゃない、レンを護るために授かった力だと思えば気が楽だよ。だからフォレスお前の力や体は有難く頂くから安からに眠れ、そして俺はレンに全てを話すつもりだから、お前の企みには乗らないよ」
ファングは夢の中でフォレスと断ち切るとファングは目を覚ましていた。
「はぁはぁ、まさか忘れようとしていた事を思い出すなんて、フォレスの記憶を持っているから、夢の中で具現化したのか、まぁ、完全に消したから彼奴はもう俺の中で生まれる事はないな、安からに俺の中で眠れフォレス」
ファングは胸に手を当てて、フォレスに黙祷していた。
【ファングさん、起きたんですね。かなり魘されてましたが大丈夫ですか】
エレントが心配そうにファングに言っていた。
「あぁ、大丈夫だよエレント。ちょっと昔の夢を見ていたから、それよりレンはどこに行ったんだ」
周りを見渡すとレンの姿が見えないので、エレントに聞いていた。
【レン様なら、アリスさん達の部屋に行きましたよ】
「そうか、ありがとなエレント」
エレントに聞くと、ファングは扉を開けてレンの所に向かっていた。
レン、やっぱりお前に言わないといけない事があるからいま行くな。
ファングは決心したのか、早く自分の事を知って貰おうと、通路を歩いていた。
「毎回思うんだけど、このボードゲーム変だよね、罰ゲーム多すぎ」
「私も思っているんだけど、つい熱中するんだよね」
「あっそれ分かりますよ、ついムキになるんですよね」
「次、レイスお兄ちゃんの番だよ」
四人は前回やってたボードゲームで遊んでいた。
「おーい、レン居るんだろう」
ファングが大声で呼ぶので、レンは困った表情で扉を開けた。
「ファング、うるさい。周りに迷惑が掛かるの分からないの?」
「悪いレン」
レンに怒られてファングが謝った後、アリス達の部屋に入るとファングは真剣な表情で話し始めていた。
「俺、レンに話さないといけないことがあるんだ。それでお前らも俺の事を知って欲しいんだ」
「急に真剣になったと思えば、ファングの事はある程度知っているんだから改ためる必要がないでしょう」
アリスに軽く受け流されそうになっていたが、ファングはレンに向かって話し始めていた。
「レン、俺と契約してくれないか」
「はぁ、意味が分からないんだけど、それに顔が近いよ」
ファングが突然契約しようと言って来るので意味が分からなかった。
「悪いレン、実は俺‥‥‥」
ファングはレンと離れるのが嫌で今まで隠していたが、あの夢を切っ掛けに全てを告白していた。
「えっ、ファングが半精霊? またまた僕達を騙そうとしているの?」
「レン、信じてくれよ。お前に契約して貰わないとダメなんだよ」
「えっ、もしかして本当なの?」
ファングが今まで見せない必死さだったので精霊四人に聞いていた。
【お前、半精霊なのか?】
「そうだけど、何なんだよその目は」
アクトがファングを毛嫌いする目で見ていたのでファングが大声で怒鳴っていた。
【悪い、半精霊はこの世界に存在しちゃダメなんだよ】
「それどう言う意味だよ」
【半精霊はこの世界に絶望した精霊達が、関係ない人間の体を奪う事で誕生するんだよ。つまり人間の欲望と混ざった、悪の象徴だから精霊界では敵対しているんだよ。半精霊は精霊自ら生み出した産物だからね】
【でも、良く考えれば、お前は精霊に呑み込まれてないみたいだな】
【そうだね、不思議だよ。普通なら精霊に乗っ取られて世界を滅ぼしたり、人間に溶け込み長い時間を掛けて野望を果たすのが普通何だけど、ファングから一切その予兆は感じないね】
アクトとアルトニスが不思議そうにファングを見ていた。
「そうか、俺は精霊に毛嫌いされる立場なんだな。なら言わなかった方がよかったのかな、レンは化け物の俺を捨てるのか」
ファングは半精霊の事を話して後悔していた。
「ねぇ、アクト、ファングは精霊に乗っ取られていないんだよね」
【あぁ、見たところ、ファングが主導権を奪って乗っ取ろうとした精霊は消滅しているよ。しかもその精霊の力と精霊特有の肉体を手にしているから凄いとしか言えないよ】
「そう分かったよありがとうアクト。ファングおいで」
アクトの説明を聞いて安心するとファングをレンの近くに来るように呼んでいた。
「ファング、ごめんね。君の苦しみに気付けなくて、でも大丈夫だよ。ファングを一人にしないから、皆も良いよね」
三人と精霊四人に確認すると、皆頷いていた。
「レン、俺はちゃんと人間として生きていけるのかな」
「大丈夫だよ。ファングは半精霊じゃないんだから人間らしく生きなよ、ファング僕の精霊になって」
ファングを抱きしめながら、声を掛けると白と黒の光に包まれた後、レンはファングに抱きかかえながら、衰弱していた。
「ありがとうレン、お前の魔力を確かに受け取ったよ。この命はずっとお前の物だよ」
「うん、これから辛いこともあるけどよろしくねファング」
ファングに抱えらて、ベッドに休ませている間、アクトがファングに質問していた。
【お前は一生精霊と同じ時を過ごすのに後悔はないのか】
「後悔はないよ。俺にはレンを護る使命が出来たからそれに、レンが死んだら、俺も死ぬつもりだからな。俺の命はレンと繋がっているから」
【そうか、さっきは悪かったなお前を毛嫌いして】
「良いんだよ、そう言うのは慣れているから、だけどレンに嫌われなくてよかったよ」
【そうだな、お前に抜けられたらレンを護る戦力が減るからな】
ファングとアクトが真剣に向き合いながら話していた。
「でも、これが契約なんだな、レンの魔力が常に俺の中に流れ続けているよ」
ファングは自分の体を見つめながら、レンの魔力を感じている。
【まぁそれが精霊の証なんだから仕方ないよ。それに精霊使いが半精霊と契約しているのは多分レンが初めての事例だよ】
「確かに、契約しなくも半精霊なら精霊の力使い放題だから普通は契約に従わないよな。だけど俺はちゃんと精霊と人間を分けて見て欲しいんだよ。そしてレンに俺を制御して貰いたいんだ」
【そう考えるのはお前だけだよ。まぁお前は他の半精霊と違うから、精霊として認めてやるよ。これから精霊同士よろしくなファング、俺達はレンの命令しか基本的に動けないんだから、そこは半精霊のお前がしっかりレンを護れよ】
「あぁ、絶対に護るよ。この命に変えても」
ファングはアクトと和解して、レンの事を話し始めていた。
【アクト、ファングさんと和解出来たみたいだね】
【そうですわね、ファングさんがまさか半精霊にもビックリですけど、ファングは他の半精霊と違うから大丈夫ですね】
【ファングは大丈夫だよ。レンを裏切る事は絶対にしない】
【確かに、ファングさんはレンさんを裏切れないよね。もし裏切っていたら、今頃ここにいないハズだからね】
三人が話していると、ファングが聞いていたのか声を掛けていた。
「俺がレンを裏切る分けないだろう。レンは忘れているけど、昔一度会った時から、俺はレンを護るために努力していたんだから」
「ファング、昔一度レン君と会っているの?」
レンの言葉が出たので、アリスが食い入るように聞いてきた。
「あぁ、小さい頃にリノワール平原の近くで魔法の練習をしている時にレンに会っているんだよ。火や炎が扱えるのは、レンからアドバイスを貰い、教わったんだよ」
ファングは昔の事を三人に話していた。
「へぇ、そんな思い出が会ったんですね、意外です」
「なんだよレイス、普通だろう」
「いや、ファングはその時何歳なの? 普通は隣国の近くで練習しないわよ」
「うるさい、前に言っただろう。家庭の事情で特訓させられていたんだよ」
「確かに、そんな事を前に言っていたわね」
三人はファングがどんな幼少期を過ごしていたのか想像が付かなかった。
「それよりも、ファングはレン君と契約したけど、家族には何て答えるの? 普通に半精霊ですって言うの?」
「いや、言っても信じてくれないよ。どう見ても人間だろう。基本的に人間と同じ行動をしているから、多分信じないよ」
ファングは半精霊と言っても人間と同じ事をするので見た目では判断が付かない。
「確かに、普通の人間だから分からないか。でも精霊の体のつくり何でしょう。食事しなくても生きられるの?」
「レンと契約する前はダメだけど、契約後は食事をしなくても大丈夫みたいだよアクトから聞いた。レンの魔力が常に俺に注がれているから、それが俺に与えられている養分だって分かるよ。俺はレンに生かされているからね」
「そう、ならファングは食事を抜いても大丈夫だよね」
「いや、ダメだろう。そんな事をしたらレンに負荷を掛けるだろう?」
「別に食事を抜かないわよ。あくまでも資金が足りなくなった時は我慢出来るよね」
「なんだよ、なら最初からそう言えよ。その時はレンに言ってレンの魔力からエネルギー補給するから」
「ファング、あまりレン君の魔力を吸収しないでね」
「なら、普通にケチらないで食事をさせろよ」
アリスがファングに対して、経費削減出来ると考えていたが、ファングが見過ごすことはなかった。
「それよりもお前らは俺が気持ち悪くないのか、半精霊で化け物なんだぞ?」
普通なら驚いたり、牽引するハズなのに何故か三人は無反応だった。
「だって、レオスとレイス君の方がインパクトが強すぎて、ファングの半精霊が普通だと感じちゃうんだよね」
「まぁ、僕達のチームは何かしらの化け物みたいな能力や力を持っているでしょう? それに慣れたから、何が起きても驚かなくなってしまいましたねアハハッ」
「いや、笑い事じゃないんだけど、悩んでいたのは俺だけかよ」
勇気を振り絞って、自分の正体を明かしたのに、三人があまりに普通だったので、早めに伝えればよかったと後悔していた。
「まぁ、気を落とさないのファング、それよりもその髪何とかならない」
「えっ、俺なんか変か?」
アリスが鏡を見てと言われたので、ファングはポカンとしていたが、鏡の前に立つとファングが悲鳴をあげていた。
「なんだよこの髪は!」
鏡を見るとファングの髪が金髪と黒髪が半々になっていた。
【レンと契約したから、精霊本来の力が目覚めたんだな。今の姿はお前が乗っ取ろうとした精霊本来の姿がお前と混ざり現れたんだよ。その様子だと精霊の肉体はお前を蝕んでいるな】
「どうすれば良いんだよアクト」
【お前は一度精霊の力を完全に解放して、取り込んだ精霊と完全に一つになるしかないよ】
「なんだよ、なら早くやろうぜ、レンが起きる前にもとの状態にならないとレンは心配するからな」
【お前、簡単に言うけど、生半可にいかないよ】
アクトに言われたけど、ファングは早くやろうぜと言っていたので、アクトはアリスにお願いをしていた。
「えっ、ファングに拘束魔法を掛けるの」
【あぁ、万が一暴走した時を考えてな、お前らに危害を加える可能性があるから】
【アリスさんが拘束魔法をすれば、あとは僕達が何とかするからそんな顔をしないで】
【安心して下さいアリスさん、レン様の大事な仲間を死なせたりしませんから】
精霊達に言われるとアリスは拘束魔法でファングの体を縛りつけていた。
「ファングごめんね。苦しいけど精霊達の指示だから我慢して」
「あぁ構わないよ。お前らに危害を加える可能性があるから、しっかり俺を縛りつけていろよ。暴れても押さえ込め」
「うん、分かったよファング」
「それでアクト、どうやって精霊の力を解放するんだ」
【それはファングが知っているはずだよ。ファングは精霊に乗っ取られそうになったんだよね。ならその精霊の記憶があるのなら、人間の体を奪う方法を知っているよね】
「あぁ、そう言うことかよ。なら分かるよ、アリス絶対に縛りつけていろよ」
ファングは目を瞑り精霊フォレスの記憶を呼び起こして、目を開くと、白と黒が左右に光、ファングは精霊の力を解放して激しく苦しみ、ファングの姿がみるみる変化していた。
「ちょっと、ファングが人間じゃないんだけど、何なのこの姿は」
【おそらくファングの体を乗っ取ろうとした精霊の本来の姿だよ。これは光と闇を司る精霊だね。生々しい姿だよ】
ファングは人としての原型はなく異形の姿になり、不気味な雰囲気を漂わせていた。
【何て禍々しい力とマナなの、ファングはよくこの精霊を自分のものに出来たわね】
異形の姿になったファングからもの凄い瘴気を放っているので、精霊四人はファングを警戒していた。
「はぁ、力が漲るよ、もっと俺にマナをくれよアハハッ」
ファングは異形の姿で暴れ始めていた。
「ちょっとファング暴れないで」
【まずな、完全に精霊の肉体と力に呑み込まれてるよ、お前らファングに悪いけど攻撃するぞ】
精霊四人は異形の姿のファングに攻撃していたが、精霊四人の攻撃は全てファングに吸収されていた。
「アハハッ、お前らの魔法は全て俺のものだ。もと俺を楽しませろよ」
ファングは暴れ続けて、拘束魔法が解けそうになっていた。
「まずいわよ、拘束魔法が破られるわ。何て馬鹿力なの?」
アリスが必死に拘束魔法が解けないように頑張っているとレンが目を覚ましていた。
「アリス、何してるの? それにそこにいる化け物は何なの?」
「レン君、来ちゃダメ、そこから動かないで」
「レン?」
アリスが来ちゃダメと言った途端、ファングの動きが止まっていた。
「レン、俺をそんな目で見るな。俺は化け物じゃないんだよ」
ファングはレンの姿を捉えた途端、理性を取り戻して慌てていた。
「えっ、ファングなの?」
「来るな、頼むから来ないでレン」
「なんかレン君がファングの抑止力になっているよ」
【確かに、まぁ大ごとにならなかったからよかったよ】
暫くすると、ファングは白と黒の光に包まれて消えると、もとの姿に戻っていた。
「はぁ、やっと戻れたよ。アクト、精霊は姿を変えられるからもうあんな姿にならないよな」
【そうだね、ファングは完全に精霊を取り込んだから大丈夫だよ。まぁ、精霊の力を使うと精霊らしい姿になるのは避けられないけど】
「別に空を飛ぶとか体が精霊に近い姿になるのは構わないんだよ。俺が嫌なのはさっきの異形の姿だよ。あんな姿になったら絶対に俺が悪者になるだろう」
レンに異形の姿を見られたのでファングは酷く落ち込んでいた。
「元に戻ったけどファングの髪は戻ってないわよ」
「なにぃ、どう言う事だよアクト、俺精霊の力を使ってないぞ」
精霊の力を使ってないのに、何で外見が変わっているのか理解出来なくて、アクトに問いただしていた。
【えっ、精霊を取り込んだから、精霊の姿の成分がファングの体に現れたんだよ】
「じゃあ、俺は金髪と黒髪の半々と両眼オッドアイは治らないのかよ」
ファングは床に膝をついて床を叩きながら呻いていると、アルトニスが手を差し出していた。
【大丈夫だよファングさん、それはレンさんの魔力で解決するから】
「えっ、僕の魔力で解決するの?」
「アルトニス、今すぐ教えろ」
ファングが泣き付くようにアルトニスに聞いている。
【アハハッ、ファングさん顔が近いよ。簡単に言えば、レンさんの魔力を部分的に大量に注ぎ込む事で精霊特有のものは隠す事が出来るんだよ】
アルトニスに言われて、ファングは鏡を見ながらレンの魔力を流し込むイメージをして、レンの魔力を纏わせると、ファングの目と髪が元に戻っていた。
「うぉー、元に戻ったよ。ありがとうアルトニス」
【よかったねファングさん。だけど魔力が切れたり、精霊の力を使うと直ぐに元に戻るから気を付けなよ】
「あぁ、任せろよ。だけど結局レンに負荷を与える事になるんだな」
レンと契約してから、全てレンの魔力で賄っているので胸が苦しかった。
「ファングそんな顔をしないの? 仕方ないでしょうそれが半精霊何だから、それにファングなら有効的に僕の魔力を使うと思うけど?」
「当たり前だ。レンの魔力は極力使わないよ。レンの魔力はお前が言った時しか使わないし、普段は食事から吸収して、お前の魔力吸収量を抑えるから安心しろよ」
「なんかファング、精霊ぽっい事を言っているね、あまり無理だけはしないでね」
レンに対して、ファングが極力レンの魔力吸収量を抑えると言っているので、抑えすぎてファングを苦しめないか心配していた。
「大丈夫だよ。無理だったらレンにちゃんと言うから、その時はお前の魔力を貰うよ。そんな顔をするなよ。お前にそんな顔されると俺が嫌なんだよ」
レンはファングを思い詰めていたので、ファングは必死にレンに大丈夫と声を掛けていた。
「さて、お前が回復したから、精霊依やっておこうぜ」
「うん、分かったよファング」
【なんか俺達と態度違くないか?】
「アクト達はただ精霊依になりたいだけでしょう。ファングと状況が違うよ」
精霊四人は拗ねていたけど、ファングの事を理解しているので、レンとファングの精霊依を見守っていた。
「はぁはぁ、半精霊でもちゃんと精霊依出来るんだね」
「スゲー、俺レンの中にいるよ。それに何だよこの気持ち過ぎる感覚は」
レンは体を確認しているとファングの嬉しそうな声が響いていた。
【ファングどうだ。今感じているのがレンの魔力だぜ。精霊になっているから、レンの魔力を敏感に感じるだろう】
「あぁスゲーぜ、レンの魔力が大量に俺の中に流れてくるよ。むしろこのまま一生レンと一つになっても良いくらいだよ」
「いや、ダメだよファング。そんな事されたら、普通の生活出来ないでしょう」
「冗談だよ。でも不思議だよ。レンに体を動かされているから変な気分だよ」
「ファングの冗談は本当が多いから恐いんだよ。僕も変な気分だよ。僕の中にファングがいるなんて信じられないけど、ファングの鼓動を感じるから、僕の中にいるのが分かるよ」
レンとファングは互いの鼓動を感じ合い、一つになっていることを実感していた。
「レンは俺の能力や動きが分かるんだよな」
「えっ、うん分かるよ。ファングが持つ記憶が僕の中に流れてくるから」
「そうか、なら大丈夫だな。精霊依を解除していいよ」
「もう良いのファング? 動きとか確認しないの?」
精霊依になって基本的な動作をしてないので、ファングに確認すると既に確認したと言っていた。
「動きはとっくに確認しているよ。お前が体を触っているとき、お前無意識に俺の思った動きをしていただろう」
「えっ、いつの間にファングの動きに合わせていたの」
ファングに言われるまで全く気付かなかったのでどうやったのか聞いている。
「それは内緒だよ。それにお前、俺と契約してあまり時間経ってないから無理するなよ。俺の為にやるのは嬉しいけど、お前に倒れたら俺が困るんだぞ」
「うん、分かったよ。だけど一つだけファングとシンクロさせて見たいよ。直ぐに使えるようにしたかいから」
「はぁ、分かったよ。あまり無理するなよ。それじゃ空を飛ぼうか」
レンは軽く息を吐くとファングとシンクロしているのか目が左右白と黒に光り、髪も左右半々に光りながら空を飛び回っていた。
【スゲー、俺達のアドバイスなしで完全に一体化してるよ】
【ファングさんはレンさんと付き合いが長いから、レンさんの事を何でも分かっているみたいだね】
【しかし、凄いですわ。初めてなのにここまでシンクロしているのは】
【凄い、私はまだシンクロした事ないからちょっと羨ましいよ】
精霊四人は二人のシンクロに驚きながら、見ていた。
「レン、もう少し力抜けよ、ちょっと力み過ぎだよ」
「えっ、こんな感じで良いの?」
「あぁ、その調子だよレン。俺はお前と一つになれて嬉しいんだから、お前も少しは喜べよ。俺達しか見てないんだから」
「うん、分かったけど、喋り方ファングになってないよ」
「当たり前だよ。そこは極力お前に合わせるように、俺が調整しているから、お前は何も考えないで自由にやれ、俺はレンに全て合わせるから」
二人は楽しく飛び回っていたがファングに指示されて直すと更に無駄のない動きになっていた。
「凄いは、さすが二人だわ。息がピッタリ合っているよ。しかも羨ましいわ」
「さすが二人ですね、無駄のない動きで目で追うのが大変です」
「レンお兄ちゃんとファングお兄ちゃんカッコいいよ」
三人はレンとファングの動きに驚きながら、目で追っていた。
「ふぅ、疲れたよ」
「お疲れレン、少し休めよ」
レンは床足を付けると精霊依を解除して、レンはファングに支えらていた。
「レン君お疲れ様。ファング、レン君をベッドに座らせてあげて」
ファングはレンをベッドに誘導して座らせてあげるとレンがファングに聞いていた。
「ねぇ、ファングはこれからどうするの? 学校はともかく家族には何て言うの?」
アリスと同じ質問をされて、ファングは苦笑いしながら答えていた。
「レンは寝ていたから、聞いてないんだな」
ファングはレンに説明すると、困った表情をされていた。
「それって結局、僕といたい口実を作りたいだけだよね。僕は人間らしく生きてと言っただけで、ファングと一生いないからね。別に契約しているんだから、離れていても大丈夫だよね」
レンはワザと逃げ道をあらかじめ作っていた。
「待て、何で俺はこの四人と仲間外れに扱うんだよ。俺も精霊だよ」
精霊四人と仲間外れに扱うので、ファングがレンに詰め寄っていた。
「いや、ファングは人間だよね。半精霊なんて普通の人は知らないから頭のおかしい人と勘違いされて嫌なの。それに万が一バレたら収拾が付かないでしょう」
「それは大丈夫。お前の専属騎士になれば解決だよな」
「ちぃ、あくまでも僕の専属騎士になりたいのかよ」
「レン、舌打ちするなよ。お前は俺から逃げられないんだから諦めなよ」
折角良い雰囲気でファングを引き離せると、思っていたのにそう簡単にいくはずが無かった。
あくまでも騎士や精霊で押し切ろうとするのかよ。はぁ何とかしないと、ファング達の包囲網から逃げられなくなるよ。てかファングは引き離せるの契約しちゃたんだけど?
レンは学園の卒業までには絶対にレオスを除く三人を引き離そうと、決意はしているけど本当に出来るのか既に怪しくなっていた。
「はぁ、それでファング。精霊の力は基本的に使わないこと、学園の中は絶対にダメだからね」
「分かってるよ。そんなに念を入れるみたいに言うなよ。俺が今まで精霊の力を使っていたか」
今まで精霊の力は使ってないが、契約した事で本来の力が目覚めたので、ファングが精霊の力を人前で使わないか、かなり心配だった。
「それは分かっているよ。だけど契約した事で精霊の力が目覚めたんだから、ファングが精霊の力を使う可能性があるでしょう。いくら乗っ取ろうとした精霊を取り込んだとしても、精霊の感覚を引き継いでいるんだから、いつファングがおかしくなっても不思議じゃないんだよ」
ファングが精霊の力を解放した時に異形の姿になっていたので、今後も起きる可能性を危惧していた。
「確かにそうね。ファングが精霊の力を解放した時、おびただしい瘴気を放っていたわ。しかもファングから放たれた瘴気はレン君を護るように包み込んでいたわ。恐らくレン君以外は全て敵だと認識しているでしょうね。しかも魔法は一切通用しないし、その魔法を吸収していたから、暴走したファングは危険だわ」
「俺、理性を失っていた時、そんな事が起きていたのかよ。悪かったよ」
「謝る必要はないわよ。レン君の声には反応していたから恐らく暴走してもレン君の声には従うみたいだね」
異形の姿になって暴走していた時にレンの声に反応しているので、レンの声がファングの抑止力になっているとファングに教えている。
「そうか、理性を失ってもレンには反応するんだな。やっぱり俺の体はレンに支配されているのか」
「ちょっとファング、何でそんなに嬉しそうなの? 普通逆だよね」
「いや、俺は嬉しいよ。どんな姿になっても、レンだけは俺の中に届く事が分かったから、多分俺がどんな状態になってもレンの声には反応するよ。俺の体はレンだけに満たされているから」
ファングは胸に手を当てて、レンの魔力を感じでいた。
「ちょっとファングが気持ち悪いわよ。何であんなに前向きに捉えるの」
「知らないよ、多分僕が原因なんだけど、僕がいる間は大丈夫だよ」
「そうね、ファングはレン君と契約したから、制御出来るけど、変な事をされたら遠慮なく言ってね。いくら精霊を名乗ってもファングは例外だから」
「うん、分かってるよ、ファングは普通の人間だから」
レンとアリスがヒソヒソと話している間も、ずっとレンの魔力を嬉しそうに感じでいるので、レオスとレイスも若干退いていた。
「それじゃ、基本的に精霊の力は使わないこと良いねファング!」
「あぁ、分かったよ。何回も言うなよ。俺はこの断魔の剣があるから大丈夫だよ。俺はお前が使えと言うまでは我慢するから」
ファングは断魔の剣を見せながら、レンに誓っていた。
別に使うなとは言ってないけど、ファングが真剣に僕に向かって誓いを立てるなんて珍しいよ。
ファングが普段見せない姿を見た後、レンは一旦自分の部屋に戻ろうとしていた。
「レン、部屋に戻るのか?」
「ちょっと、部屋に戻って休もうかと思って」
「分かったわ、ファング、レン君を宜しくね。夕食の時間が来たら呼びにいくわ」
「ファングさん、レン師匠に変な事しないで下さいね」
「レンお兄ちゃんに何かしたらこちょこちょの刑だから」
「何で俺、レンを襲うこと前提になっているんだ」
「それはファングが半精霊だからでしょう」
「いや意味が分からないよ。俺は普段と変わらないよ、レン行くぞ、こいつらと話していたら拉致があかないよ」
レンとファングは三人の部屋を後にして自分達の部屋に戻るとレンはベッドにダイブしていた。
「はぁ、疲れたよ」
「悪かったな、レン。お前を苦しめる事をして」
二人きりになるとファングの態度が一変していた。
「相変わらず、僕と二人きりになるとファングは弱音を吐くよね」
「悪いなレン、お前と向き合うと、どうしてもこうなるんだよ。俺、レンには隠し事が出来ないから」
「そうだね、精霊の事を除けば、全て言っていたね。今は隠し事ないから、表情が豊かになっているよ」
「えっ、俺、そんなに表情豊かになっているのか」
ファングは全ての膿を吐き出して、表情が豊かになっているのでファングは顔を赤くしていた。
「それじゃ僕は少し休むけど、ファングは精霊の力を解放して、精霊四人と空を飛びながら遊んであげて」
「えっ、ちょっと待って。何で俺精霊の力を使う必要があるの?」
精霊の力を使ってとレンに言われたのでファングは理解出来なかった。
「はぁ、ファングは精霊の力を抑え込んで無理してるよね。たまには精霊の力を体から放出しないと、体内で溢れて暴走するよ。ファングは今まで精霊の力を使ってないからかなりのマナが蓄積されているでしょう?」
「お前、俺が無理してるの気付いていたのか」
「ファングは隠し事が下手だから、直ぐに顔に現れるんだよ」
「はぁ、やっぱり、俺はレンには敵わないな。お前だけだよ、俺の事を見抜いているのは」
ファングは軽く息を吐くと精霊の力を解放していた。
「やっぱり精霊の力を解放すると、ファングは精霊らしい姿になるね」
ベッドから起き上がるとファングの姿をくまなく確認していた。
「レン、あまりジロジロ見るなよ、恥ずかしいよ」
レンに見られて、顔を赤くしていた。
「それじゃ、ファングは今精霊何だから姿を消せるよね」
「えっ、うん出来ると思うよ」
レンに言われるとファングはフォレスの力を使い姿を消していた。
「うぁー、凄い本当に姿が消えたよ。本当に精霊なんだね」
レンが手拍子をして喜んでいた。
「何とか出来たけど、やっぱり精霊の力は凄いよ。俺の中にフォレスの感覚があるから簡単に出来たよ」
ファングは姿を消せて、喜んでいたけどレンが怒っていた。
「ファング、乗っ取ろうとした精霊は口にしないで、ファングがそんな事を言うのは、まだファングの中で生き続けているんじゃないの?」
ファングが乗っ取ろうとした精霊を口にしているので、再び精霊に支配される事を危惧する前兆だと思っていた。
「悪いレン、精霊フォレスはもう俺の中には居ないよ。多分フォレスの肉体が俺に染み付いているからその感覚が今も生き続けているだけだから、安心してよ。俺がフォレスを口にした事は謝るよ。もうこの力は俺の物なんだな」
「そうだよ、それはファングが手にした力何だから、過去の事は忘れてよ。その事を話していると、ファングは僕達の敵になる可能性がまだあるんだよ」
レンに指摘されるとファングは自分の体に向けてパンチを入れていた。
「ガッハ」
「ファング、どうしたの?」
「自分に腹が立ったんだよ。レンに不安を与えたから、よし決めた、レン人前がいない時は精霊の力を解放して良いだろう?」
「えっ、良いけど急にどうしたの?」
「俺がフォレスの事を言っているのは、まだこの体が完全に俺になってない証拠だろう? だから、フォレスの肉体の感覚を俺の感覚に書き換えれば、俺はちゃんとした精霊に生まれ変わるだろう」
ファングが意味不明の理屈を言っている。
「それって、体に残っている精霊の感覚を完全にファングに書き換えるって事だよね。それは無理なんじゃないの」
「いや、出来るよ。俺が自ら自分の体に言い聞かせるから任せなよレン。それに精霊四人にも協力して貰うから」
ファングがやる気に燃えていたので、レンは余計な事を言っちゃたと思っていたが、ファングが精霊フォレスの精神を断ち切ろうとしているので、ファングの気持ちに答えて許可していた。
「レン、ありがとうな。絶対にフォレスの感覚を俺に書き換えるから、そしてお前の不安を消して見せるぜ」
「うん、頑張ってねファング、くれぐれも無理だけはしないでね」
ファングに軽く触れるとファングはレンに向かって頭を軽く撫でていた。
「そんな表情するなよ。俺はフォレスに乗っ取られないから、彼奴は俺の中で生きているかも知れないけど、もうこの世界にはいないんだよ」
「うんごめんね。暫くこのままにして」
「はぁ、分かったよ。好きなだけ俺に触れよ。俺はお前の温もりを体に染み付けて、フォレスの感覚を上書きするから」
レンとファングが互いに触れ合った後、ファングはレンの頭上を飛んでいた。
「見ろよレン。俺完全に精霊だろう?」
レンの回りを飛び回り、レンにアピールしている。
「そうだね、僕は寝るよ。エレント、アクト、アルトニス、エレナ、ファングの特訓お願いね」
ベッドに入ると精霊に指示をしている。
「おい、少しは俺を見ろよ」
レンが寝ようとしていた。
「はい、見たよ。これで良いでしょう」
「いや、チラッと見て寝るなよ。さっきの感動みたいな感じから、一変過ぎだろう」
さっきまで泣けそうなシーンから一変していつもの雰囲気に戻っていたので、ファングがガックリしていた。
【アハハッ、ファング残念だな】
「うるさいアクト、俺が精霊として扱われていないのは分かるけど、ここまで無関心だと思わなかったよ」
【多分レンさんはファングの気持ちは分かると思うよう】
「それは分かってるよ、レンは俺の事を何でも見抜いているから、だけど少しは何か言って欲しかったよ」
ファングは精霊として、レンに何か声を掛けてくれると思い期待していたのにレンは何も言ってくれなかった。
【多分レンは言わなくても、お前と意思疎通を図れるからいちいち言わなくても大丈夫だと思ったんだよ】
「はぁ、レンらしいけど、やっぱり何かしら声を掛けて欲しかったよ」
ファングはうな垂れていた。
【それなら、特訓をしましょう、ファングさん。フォレスの肉体を自分の物にした事を見せ付ければ、レン様が褒めてくれますよ】
【ファング、レンに声を掛けて貰うチャンスだよ】
「確かにそうだな。エレント、エレナありがとう。それじゃ早速始めようぜ。お前ら俺の体にたくさん攻撃しろ」
ファングが特訓を始めるとファングがやられている声が響いていた。
ちょっとファング大丈夫なの? 精霊四人に酷く攻撃されているけど、しかもやられているのにもっとやれとか言っているよ。なんか強引に体に覚えさるやり方はファングらしいけど、なんか心配だよ。
レンはこっそり、ファングと精霊四人の会話を聞いていたが、ファングが苦しそうな悲鳴をあげているので心配していた。
【ファング、本当に大丈夫なのか】
【そうですよ、体の傷の治りが遅いですよ】
ファングの体は精霊四人に攻撃されて傷だらけだった。
「大丈夫だよ、だんだん俺の感覚になって来たから、このまま続けてくれ、治りが悪いのはフォレスの肉体が邪魔している証拠だから、攻撃し続ければおのずと俺の傷を修復するハズだぜ」
傷の治りが遅いのは、精霊フォレスが邪魔していると考え、精霊四人にもっと攻撃してと頼み込んでいた。
【全くお前は強引過ぎるよ。レンが見たら止められるよ】
「あぁ、そうだな。だけど俺は早く、自分の体にしたいんだよ。そうすれば、俺は精霊としてレンに認めてくれるし、俺は光と闇を司る精霊ファングとして生きて行けるだろう」
【なんか、ファングさんが凄い事を言っているよ】
【クスクス、ファングさんらしい答えですわ】
【はぁ、分かったよ。なら早く自分の物にしてレンを驚かそうぜ】
【ファング、次は私から行くね】
「みんなありがとう。さぁどこかでもこい全て受け止めるよ」
ファングは精霊四人の攻撃をワザと受けて、早く自分の体にしようと、悶えながら必死に自分に語りかけ、精霊四人の攻撃に耐えていた。やがてレンが目を覚ますとファングはレンの上で体を伸ばした状態でいたので軽くビンタしていた。
「イテー、何するんだレン」
「いや、僕の上に乗らないでよ」
「乗って無いだろう、どう見ても宙に浮いて体を伸ばしていただけだよね?」
「確かにそうだけど、僕の上にいるのには変わらないよね」
「何だよその理屈、お前をずっと見張っていたんだぞ」
「だったら、姿を消すか宙に浮かないで普通にしてよ、誰か来たらどうするつもりなの?」
「うっ、ごめんレン。俺が悪かったよ」
レンに指摘された途端にファングが謝るので、ファングの扱いが最近楽に感じていた。
「それより、今日の特訓は終わったのファング?」
ファングを見ると目立った外傷が無いので、精霊の力で回復しているのが分かった。
「もう特訓はしなくても大丈夫だよ、完全に俺の体にしたよ」
「ふーん、そうなんだ」
「何だよ俺を疑う目で見るなよ。なんなら見せてやるよ。エレント、ウィンドカッターで俺の腕を傷付けろ!」
レンがあまりに疑いの目で見るので、ファングがエレントを使って実演をしていた。
「うわ、なんか生々しいよ。大丈夫なのファング」
ファングの腕はあっちこっちに傷が付いていたが何故か血が流れず、暫くすると元通りの腕に戻っていた。
「凄い、どうゆう仕組みなの、傷が一瞬で修復してるんだけど」
「凄いだろう、完全に精霊の力と肉体を手にしたよ。レン、俺を精霊と認めてよ」
「はいはい分かったよ。全くファングはいつも強引なんだから、だけど精霊と人間はちゃんと区別して行動してよ。光と闇を司る精霊ファングさん」
「レン、普通に呼んでくれないか、やっぱり今のなしで普通に接してよレン」
レンは悪ふざけて言ったつもりが、ファングが真に受けてレンに泣き付く所を見ると、何も変わってなくて安心していた。
「それでファング、溜め込んだ力はちゃんと体から放出したよね?」
「あぁ、レンが言った通りにしたよ。おかげで楽に慣れたよ。今はこうして、楽に飛べるよ」
ファングは宙に浮きレンの回りを飛び回り、レンに大丈夫の事をアピールしている。
「軽やかに飛んで、ファングの顔付きも良くなっているから大丈夫みたいだね」
「お前、そこまで俺を見ているのか」
「当たり前でしょう。ファングはもう僕の精霊なんだから、ちゃんと見てるよ、精霊四人に対しても。僕の魔力をちゃんと吸収しているか、顔色を見れば分かるから」
【お前、俺達の表情を見ているのか?】
【やっぱりレンさんは凄いね】
「凄いと言うか、普通は見ないよ。やっぱりレンには敵わないな」
ファングと精霊四人はレンの洞察力の凄さに敵わないと思っていた。
「レン君、そろそろ夕食の時間よ」
「うん、今行くよ」
アリスが夕食の時間を知らせにやって来ていた。
「ファング、行くよ。ちゃんと人間に戻してよ。それと精霊四人は姿を消して」
「分かってるよ、レン。それよりも目と髪は大丈夫だよな」
ファングが精霊四人に確認してもらっていた。
【あぁ、大丈夫だよ。それじゃファング、しっかりレンを護れよ、俺達四人は姿を消して見てるから】
「任せなよ。お前らがガッカリしないようにちゃんと護るから」
「ファング、何してるのおいて行くよ」
「それじゃアクト、そっちは頼むな。今行くよレン」
レンとファングはアリスに連れ、レオス、レイスと合流して食堂がある最上階に歩いているのだった。
次回更新は明日になります。温かくお待ち下さいm(_ _)m




