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#4 初めてのお使いと少女

お待たせしました。第4話公開です。

レン君、初めてのお使いどんな冒険をするんでしょうか?それと少女とは?目が離せませんね(。>ω<。)

 レイジ兄さんと魔法の練習を初めて、一年がたった。レンは昼下がりに、一人でリノワール王国都市中心部の市場に向かって、住宅街の路地を歩いていた。


 こうして、住宅街を一人で歩いているのは初めてかも。何か、冒険しているみたいだ。


 レンが住んでいる住宅街は、高層マンションみたいに家が密集してる為、細い道があっちこっちあり、まるで迷路に入った感覚になる。


 さて、母様に頼まれた、小麦粉、牛乳と卵、それと僕が好きな果物を買いに行かないとな。ついでに市場を探索しよう。何か、やっているかもしれない。


 それは、今からほんの少し前のお昼時に戻る。


「ごちそうさまでした!」


 何時ものように、お昼になると一旦自宅に戻ってくる母さんと一緒にお昼ご飯を食べて、食器を片付けていた。


「まぁ!」


 セレアが台所で声を出していた。


「どうしたのですか、母様?」


 セレアの突然の声に反応して、心配な表情で声をかけた。


「ごめんね。突然声を出してしまって。今、夕食を作る材料を見たら、小麦粉と牛乳と卵を切らした見たいなの。これから仕事に戻らないと、行けないのにどうしましょう」


 セレアは、夕食のメニューをどうしようか、困っていると、


「母様、僕が代わりに、買いに行きます!」


 困っている、セレアに向かって手を挙げていた。


「レンが、買い物に行ってくれるの。でも、一人だと心配だわ」


 セレアは、可愛いレンを一人で買い物に、行かせたくない表情をしていた。


「大丈夫です。この一年、レイジ兄さんに魔法、武術、体術を教わっていたので、それに僕はもう幼い子供ではないです」


 レイジ兄さんにこの一年、練習を見てもらっていたので大丈夫だと、アピールすると、


「分かったわ、レン。心配だけどレイジからいろいろ教わっているなら、少しは安心できるわ」

「それじゃ」

「えぇ、レンにお願いするは、牛乳4瓶、卵8個と小麦粉、中心部の市場にある、雑貨屋フィルフォントで売っているわ。いま、手書きの地図とお金を渡すわね」


 そう言いながら、セレアは紙に手書きで地図を書き、金貨一枚と一緒にレンに、手渡した。


「あのう、母様、金貨一枚で良いのですか?」 

「良いのよ、余ったお金は、レンが好きな物を買って来なさい」

「本当ですか‥‥‥!」


 セレアに言われて、レンは凄く嬉しそうな表情をしていた。


「それじゃ、母様、行ってきます!」

「レン、気を付けるのよ!」

「はい!」


 セレアに挨拶をして、レンは中心部に向かって歩き出し、現在住宅街の路地を歩いている最中である。


 こうして見ると、ヨー○ッパにある街並み見たいだよ。しかし、道は合っているのかな?


 住宅街は太い路地や細い路地がたくさん分岐しているため、地図を何回も確認しながら、中心部に向かって足を動かしていた。


 母様が、書いてくれた地図だから、迷うことないと思うが、ちょっと不安だよ。でも、比較的細い路地でないから安心だけど‥‥‥。


 住宅街の細い路地は場所によっては、太陽が当たらないエリアがあるので、非常に薄気味悪いのである。そんな不安を抱えながら、歩くこと数十分。次第に人々の声がたくさん聞こえ始め、やがて都市の中心部に着いたのだ。


「うわっ!凄い、人混み。それに‥‥‥!」


 目を輝かせながら、初めて見る光景に周囲を見渡していた。そこは、住宅街の広い路地に露店が並び、噴水場もある。一番驚いたのは人々の数で、更に言えば猫耳がついた人種など、見たことのない人々がたくさんいるのだ。


 凄いよ! 猫耳がついてる。それにこっちは‥‥‥。


 みたことない人種に目を奪われていたが、買い物に来ていたことを思い出す。


 やばい、興奮し過ぎて母様に頼まれていたこと、忘れる所だったよ。さて、雑貨屋は近いのかな?


 地図を見ながら目的の品を目指して、再び中心部の市場を歩き出した。


「いらっしゃい、クロック近海で獲れた魚買って‥‥」

「新鮮な野菜は、いかが‥‥」


 各露店では店主や従業員が、客寄せをしている。


 しかし、凄い人混みだよ。押し潰されそうだよ。


 リノワール中心部は活気があり、多くの人々が行き交っている。そのため、体の小さいレンは大人達に埋もれそうになっていた。窮屈になりそうになりながら歩くこと数分、目的の雑貨屋フィルフォントに着き、扉を開け入る。


「カラン!」

「いらっしゃい!」


 店の奥から若い男性の声が聞こえ来た。レンはお店に入るなり、うろうろと辺りを見回している。暫く、その様子を遠くから見ていた若い男性が声をかけてきた。


「何か、お探しですか!」

「うわっ!」


 突然、後ろから声をかけられたので、びっくりしていた。


「すみません。突然、声をかけてビックリしましたね」

「いえ、大丈夫です。初めて来たので、いろんな物に見とれてしまいました」


 ここ、雑貨屋フィルフォントは品揃え豊富で、食品や日用品がたくさんあるのだ。すると、若い男性がレンを見て、


「もしかして、初めてお使いに来ているの?」

「はい、そうです」

「まだ幼いのに、えらいね!」


 若い男性は称賛しているが、レンは不審な表情を浮かべていた。その表情を見て、若い男性はハッとした。


「ごめんね。名乗るの忘れて、僕はこの雑貨屋フィルフォントの店主、ギリア・フォントよろしくね。可愛い少年君」

「僕は、レン・フォワードです」


 レンは、可愛い少年君に反応して、少々苦笑いで挨拶していた。


「それで、何を買いに来たのかな? もし、分かるのなら用意してあげるよ」

「本当ですか! 牛乳4瓶、卵8個と小麦粉を下さい。初めてなので、すみません」

「大丈夫だよ。こちらも慣れているから、ちょっと待っててね」


 そう言うと、ギリアは店の奥に入って行った。待っている間、レンは再び日用品がある品を眺めながら待つこと数分、店の奥から袋を抱えたギリアがやって来た。


「それじゃ、全部で合金貨六枚だよ」


 セレアから預かった金貨一枚をポケットから取り出し、それをギリアに手渡した。それから程なく、合金貨四枚が返って来た。そして、ギリアから袋を受け取る前に、


「あのう! 一つ聞いて良いですか?」


 突然、尋ねられたので、ギリアは首を傾げていた。


「どうしようかしたの? 他にも買う物を思い出したの? 分かる範囲ならお店教えるよ」


 他に買うものがあると、察知して答えたが意外な質問が来た。


「いえ、初めてリノワール中心部に来たので、他に見る場所はないかと、知っていれば、見て帰りたいのです」


 聞いて見ると、ギリアは腕を組み考えていたがすぐに答えてくれた、


「今はあまり催し物は、やってないけど噴水近くなら、何かやっているはずだよ」


 ギリアの言葉を聞いて、ちょっとウキウキしていた。そして、ギリアから袋を受け取る。


「重いから、気をつけて帰るんだよ!」

「はい! ありがとうございます」


 ギリアに挨拶をして、雑貨屋フィルフォントを後にした。それから、来た道を戻りながら噴水近くの果物屋に来ていた。


「すみません。パイリンゴを一つ下さい」


 パイリンゴはこの地方で獲れる果物で、パイナップルとリンゴが合わさった。甘酸っぱい果物である。


「はい、いらっしゃい。まぁ、可愛い少年だこと。お使いかい」

「はい、そうです」

「まぁ、偉いわね。おばちゃんおまけしてあげる。二個で、合金貨一枚で良いよ」

「はい、ありがとうございます。合金貨一枚です」

「袋は一緒に入れても、大丈夫かしら?」

「はい! 大丈夫です。ありがとうございます」


 大好物の果物を同じ袋に入れて貰い、噴水場に向かって再び歩き出した。


 しかし、可愛い少年って何? 家族も可愛いと言われているが、僕、そんなに可愛いの! 


 レンは、納得していなかった。レイジ兄さんとトレーニングをしているので、男らしい少年になっていたと思っていたのだ。そんなことを思いながら歩いていると、程なく噴水場に着き周りを見渡した。


 あれ! 何もやっていないよ。もう終わっちゃたかな?


 レンは肩を落としながら、噴水場近くにあるベンチに袋を置き、その横に座った。それから、何かやっていないか、ベンチから見渡したが、レンの目線は、見たことない人々に向けられていた。


 改めて見ると、いろんな人種がいるよ。女神セレスティアが言った通りだ。僕は本当に、異世界へ来ているんだ。


 改めて、異世界へ転生されたことを実感しながら、いろいろな人々を数十分間、観察していた。


 一通り見たから、そろそろ帰ろう。遅くなると母様や父様に心配かけるしね、特にレイジ兄さんは何されるか分からないし。


 日はまだ昇っているが、ここまで来るのに時間が掛かったので、自宅に着く頃には夕方を迎えると思った。レンはベンチに置いていた袋を抱えて、再び家路に向かって住宅街の方向へ歩き出した。


 それから歩くこと数分、レンは住宅街の路地を自宅に向かって歩いていると、細い路地方向から複数の男性が大きな声で、喋っているのが聞こえて来た。


 うわぁ、何か若い男性の声が、細い路地方向から聞こえるよ。凄く歩きにくいのだが。絡まれたらやだなぁ。


 レンのいる通りは比較的広い路地だが、すぐ近くの細い路地から聞こえているため、非常に歩きにくい。自宅へ帰るには仕方ないので、見ないように歩くが、やはり目線が細い路地に向いていた。


「えっ!」


 細い路地を通り過ぎようとしたが、目線の先で少女一人が、少年三人に囲まれて路地に座り込んでいる姿が映って足を止める。


 もしかして、いじめられているのか? それも、か弱い少女相手にどうしよう誰か呼ばないと。


 周りを見渡したが、誰もいなかった。


 あぁ、もう誰もいないよ。それに相手強そうだし。


 そう思いながら、抱えている袋を住宅街の路地の端っこに置いた。


 はぁ、僕が助けるしかないな。お人好しと言われそう。死ぬ前のおばちゃんを助けた見たいに、また自分勝手にやって今度は異世界の家族を心配させそうだな。


 昔と今を重ね、自分を思い返しながら、細い路地に向いて走っていった。






「やぁい。お前、本当に貴族の子なのか、滅茶苦茶ダサくて恥ずかしくないのか?」

「そうだ、そうだ。それに、お前のお姉さん達は、上品で清潔感溢れていて、お姫様見たいなのに、お前からは一つも感じないよ」

「お前、見たいのがいたら、一族の名に泥を塗るな」


 少年三人が、少女に向かって罵声を浴びていた。


「そんなの私の勝手でしょう!」


 少女は反論していたが、少年達は聞く様子もなく、ひたすら少女に向かって罵声を飛ばしている。少女は、頭を抱えながら、


「誰か助けて!」


 少女は、必死に助けを求めたが細い路地のため人通りが少なく、誰もいなかった。だが、遠くから足音が聞こえ、やがて近くで止まった。


「女の子が可愛そうだよ。(いじ)めていて、みっともないよ」


 そこにいたのは、細い路地で見かけて走っていった、レン・フォワードの姿があった。


「なんだテメェは、俺らに文句あるのか?」


 巨漢の少年が、大声で叫んだ。


「文句ならあります。三人で女の子を苛めていて、自分が惨めだと思わないのですか?」


 少年三人に問い詰めていた。


「お前、誰だよ。俺達の邪魔しやがって」


 (いか)つい少年が、聞いてきた。


 普通ならそうだよね。知らない人が突然割り込んできたら。さて、どうしよう。ここで名乗ったら後々面倒だから‥‥‥。


 そう思いながら、考え込んで言った。


「僕は、ただの通りすがりの少年です」

「そんな都合よく来るかよ」


 チャラい少年が突っ込んでくる。


「ですよね‥‥‥」


 目を逸らしながら、言った。


「お前、何様なんだよ。平民風情が俺達をからかって、いい度胸だなぁ!」


 頭に血が上ったのか、チャラい少年がレンに向かって殴りにいった。


 嘘だろう。あれだけでキレるとか、どんだけメンタル弱いんだよ。てかやばい、このままだとやられる。


 必死に身構えた。遠くから、早く逃げてと少女の声が聞こえている。だが、レンは少女を助けるために来たので、逃げようとはしなかった。


「いい加減、さっさと名前を名乗れ!」


 声を荒げながら、レンに向かって右手を拳にして殴ってきた。遠くからは少女が、


「やめて!」


 必死に叫んで、辞めさせようとした時、


「グェ!」


 少女は目を疑っていた。謎の少年がチャラい少年を投げ飛ばして、地面に打たれていたのだ。そんなことを知らないレンは、手を服にポンポンと叩きながらため息を漏らしていた。


「まったく、突然声を荒げながら殴りにきて恥ずかしくないの?」


 チャラい少年に、向かって尋ねていると、


「テメェ。今何しやがった!」


 巨漢の少年が聞いて来たので、キョトンとした顔で、


「突然、右手で殴りに来たので、その背後に入って、相手の勢いを借りつつ投げた、だけですけど?」


 淡々と質問に答えていると、


「ちっ! 今日は気分が悪い。帰るぞおまえら」


 突然、巨漢の少年は気分が優れないのか、舌打ちしながら二人を呼んだ。そして、


「パパに言いつけてやる。」

「この借りは、必ず返すからな」


 など言いつけて、少年三人はその場を後にした。


 厳つい態度だけは一人前だけど、メンタル面は弱そうだな。


 さっきの少年三人を思い返していた。そして、その場に残った少女に声をかける。


「大丈夫。怪我はない」

「はい、大丈夫です。助けて頂いて、ありがとうございます」


 少女の言葉を聞いて、ホッとしていたが、空を見渡すと日が傾き始めているのに気付いた。


「よかったそれじゃ、僕は急いでいるのでこれで‥‥‥」


 足早に、さっき来た路地を戻って行った。


「待って下さい‥‥‥」


 少女はお礼をしたくて、必死に少年を呼び止めようとしたが、少年はすでに遠くにいた。


 それからレンは細い路地から戻り、住宅街の端っこに置いていた袋を抱えながら再び自宅に向かって歩きだしたが、空を見ると日はかなり沈んでいた。


 やばいよ。このままだと夜になるよ。家族を心配させないつもりが、自分からそうさせてるよ。


 平常心で歩いているが内心では、かなりパニックになっていた。帰ったら家族に何て言えば良いか、いろいろと考えていたのだ。考えながら数十分歩き、ようやく自宅に着いた時には、既に暗くなっていた。


 どうしよう。自宅に着いたけど、入りにくいよ。


 自宅の玄関前で悩んでいた。家族に何て言い訳しようか考えながら、意を決して玄関の扉を開ける。


「ただいま!」


 すると、奥から勢いよく、レンに向かって飛びついてきた。


「レン!」

「グェ! 苦しいよレイジ兄さん、それに買ってきた品物が潰れちゃうよ」


 レイジ兄さんは勢いよく抱きしめていたが、レンの言葉を聞いて手を放した。


「ごめんね、レン。母さんから聞いたよ。中心部の市場にお使いに、行ったんだってね。それにしても、遅すぎだよ」


 レイジ兄さんは心配な表情で、レンが買ってきた袋を持った。


「レン。帰ってきたのか?」

「レン。心配したのよ」


 奥からマイクとセリアが心配な表情でやって来て、レンを優しく抱きしめる。レンは家族に抱きしめられたまま謝っていた。


「父様、母様、レイジ兄さん、遅くなってごめんなさい」


 それから、家族団欒の場で夕食を食べながら、今日起きた出来事を素直に話した。


「そうか。苛められていた少女を助けていたから、遅くなったのか」


 マイクは、神妙な表情で聞いていると、


「レン、偉いよ! 少年三人から、か弱い少女を助けた何て。それこそ僕の弟だ」


 レイジ兄さんは、息を吹き返していた。


「今回は、レンと同じ位の少年だったから良かったものを、もしレイジ見たいに大人相手だったらどうするつもりだったの?」


 セリアが心配しながら聞いてきた。


「その時は、誰か呼びに行きますよ。だけど、もしいない場合は‥‥‥」


 はっきりと答えていたが、最後部分は目を逸らすように小さな声で話していた。それに気付いたマイクは、


「まさか、周りに助けてくれる人がいなかったら、助けに行くつもりだったのか!」


 マイクの言葉を聞いて、レンは答えることが出来なかった。その様子を見て、レイジ兄さんが口を開く。


「父さん、レンは困っている人やいじめられている人を、見捨てられないお人好しなのです。僕も同じ状況なら、レンの気持ちは分かります」


 レイジ兄さんがマイクに向かって、弁解していた。


 レイジ兄さん、ありがとう。でも、お人好しとか言わないで、僕も思っていることだから。


 内心でレイジ兄さんに感謝しつつ、マイクが言った。


「レン。今回は無事で良かったが、余り私たちを心配させるな。もう少し遅かったら、自衛団に捜索願いを出す所だったのだぞ」

「父様、ごめんなさい」


 マイクに向かって再び、謝っていた。その後、重い空気が流れる中、ある一言で場の空気は一変する。


「それじゃ、レン。今度お使いに行く場合は、必ず一緒に行こうね。学校があるときは、帰って来てから行こうね。僕が護ってあげるから」


 レイジ兄さんがニコニコしながら、話し掛けてくる。


「えっ! 遠慮します。一人で買い物は出来ます」


 レイジ兄さんの誘いに否定していたが、セリアにくぎを刺された、


「レンは、今日見たいなことがあったから、レイジに見てもらった方がよいわね。それに、レイジが見ていれば、安心出来るわ」


 セリアの言葉を聞いていた。


 やだよ。レイジ兄さんと一緒に、買い物なんて。何されるか、分かんないし。それに、レイジ兄さんに護られるとか絶対いや。何とかしないと。


 そう思いながら、家族へ説得を始めた。それから数分、レンは必死に説得をして、何とか一人で、外出出来る許可を取り付けて、ことなく終えた。その後、食事を終えて片付けた後、自分の部屋に戻り、今日起きたことを振り返っていた。


 今日はいろいろあったな。特に見たことない人種が見れて良かったよ。


 レンは、中心部で見た猫耳を思い返している。


 それに、帰り際に助けた女の子、かなり地味だったけど、身だしなみなどしていたら、かなり美人でお姫様みたいかもな。


 助けた少女を、自分なりに妄想していた。


 しかし、今日は本当に疲れたよ。今頃、助けた女の子はどうしているのかな?


 そう思いながら、レンの一日は終わった。だが、助けた少女が、(のち)にレンを悩ます要因になるとは、彼自身まだ知らない。







 時間は少し前の夕暮れに戻る。一人の少女が自宅に向かって、走っていたのだ。そして、家の扉を開ける。


「ただいま!」


 すると、奥の方から気品に溢れた男性が出てきた。


「アリス、また苛められていたのか」


 少女が苛められていたのか、知っているように声をかけていた。


「ごめんなさい。父さん」


 アリスは、父さんに向かって謝っていた。


「アリス。玄関にずっと立ってないで、早く中に入りなさい。みんなが待っているから、事情は食事をしながら聞く」


 そう言って、アリスと父さんは、家族団欒の場合に向かった。それから今日、あったことを家族の前で話していた。


「それで、その場に突然現れた、少年に助けられたのか」


 アリスの父さんは信じられない表情で、アリスの話しを聞いていた。

「まぁ、その少年は体格がよくて逞しく、たまたま見かけたから助けただけでしょ」


 隣から女性がアリスに向かって、疑わしい目をして言っていると、


「私もそう思ったのですが、そこに現れた少年はもの凄く可愛い男の子だったのです」


 アリスが突然、声を荒げる表情に家族全員がポカンと固まっていると、


「そんなに可愛い少年が、本当にあの三人組の一人を投げ飛ばしたのか」


 いまだに、アリスの父さんは信じられない表情をしていた。それから、いろいろとその少年のことを話した後、アリスは何か心で決意したかのように真剣表情で、アリスの父さんに話し出す。


「それで父さん、私に品格や魔法などを教えて欲しいのです」

「アリス突然どうした」


 アリスの突然の発言に驚いていた。


「あの少年を見て、今度は私があの子を護れるようにしたいのです。それに、ただ見ているだけの私が、惨めに思ってしまって。だから、今度会ったら、彼を護れるように魔法や武術などを身につけたいのです」


 アリスは家族に向かって、少年を引き合いに父さんに、魔法や武術を教えて欲しいとねだっていた。


「まぁ、あの地味で品格のないアリスがやる気を出すなんて。助けられた少年に何か言われたのかしら?」


 父さんの隣から、女性が話してきた。


「アリス、本当に品格や魔法などを学ぶのか? もし、学ぶのなら厳しくやるからな」


 父さんの言葉を聞いて、アリスは目を輝かせながら、


「父さん、ありがとう。私、厳しい内容でも頑張ります」


 アリスは父さんに言った後、食事を終えて自分の部屋に向かった。食事の場では、一部の家族がアリスの勉強は長く続かないだろうと思っていた。


「はぁ、しかし、あの少年可愛かったな。小さなのにかなり強いし」


 アリスは部屋で、今日助けてくれた少年を思い返していた。


「名前を聞けなかったが、この地域に住んでいるのかな。今度、会ったらお礼をして友達になりたいなぁ。そして、今度は私が彼を護ってあげないと」


 そう決意しながら、アリスの一日は終わったのだった。


次回更新は未定です。長期にお待ち下さい。

出来次第順次更新します。温かな目でお待ち下さい。

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