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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 第2節 盗賊集団ギルハック襲来
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#41 アジトの捜査と敵から寝返りした精霊

お待たせしました。第41話公開です。盗賊を探す為、引き続きあっちこっちで調査中。そこで待ち受けるレン君達は‥‥‥(。>ω<。)

 盗賊集団の襲来から一夜が明け、五人は朝食を食べた後、部屋で昨日の事を話していた。


「‥‥‥って分けなんだよレン!」

「それじゃ、盗賊集団の武器は短剣がメインなんだね」

「それは分からないよレンさん、金品を楽に盗めると思ったから、軽装なのかも知れないし」

「その可能性は高いかもね、アジトに行けば、他に武器が出て来る可能性は否定出来ないわ」


 五人はファングとレイスが昨日調べた、盗賊が持つ武器に付いて話し合っている。


「でも、魔法は一切使わなかったんだよね」

「そうだぜ、まぁ、夜中を襲っているから、盗賊集団にぶつかる相手がいなかったと思うぜ」

「そうね、普段なら皆寝ている時間帯だからね、でも魔法を把握出来なかったのは痛手だわ」


 盗賊集団達がどんな魔法を持っているのか確認出来ず、魔法に対する対策が練れなかった。


「仕方ないよね、魔法は臨機応変に対応するとして、エレント、アクト、アルトニス、君達が調べた事を教えて」


 レンが精霊三人に説明を求めると、三人はソワソワした様子で何か言い辛そうな態度をしていた。


「どうかしたの?」

【いや、それが‥‥‥】


 精霊三人は言い辛そうだったが、アクトが口を開いて、レンに説明をしていた。


「えっ、相手の精霊は、エレント、アクト、アルトニスの精霊界での仲間なの?」


 精霊三人の説明を聞いて、驚いていた。


【あぁ、間違いないよ。俺が見た時は驚いたよ、まさかエレナが砂煙を起こした犯人なんて】

【僕も見た時は驚いたよ。だけど、レンさんに危害を与えたのには変わらないしね】

【だからレン様、エレナの事は私達三人に任せてくれませんか?】

【エレナには悪いけど、これ以上レンに危害を与える可能性があるから早めに手を討ちたいんだよ】

【おそらくエレナなら、僕達の言葉を信じてくれるよ】


 精霊三人は自分の手でエレナを説得しようと考えていた。


「それは構わないけど、交渉が決別したらどうするの?」

【その時は、俺達の手でエレナをやるよ】

【精霊同士ならダメージを与える事が出来ますから】

【エレナには悪いけど、私達がエレナを衰退させて引き下がるように言いますわ】


 精霊三人は最悪のシナリオは避けたい様子だったが、三人の決意は固かった。


「分かったよ、精霊の方は三人に任せるけど、君達も怪我しないでね」

【あぁ、分かってるよレン。もしエレナが契約者を破棄すると言ったら、レンは契約してあげるのか?】


 アクトがレンに向かって真剣な質問をしていた。


「その時はするよ。そんな目で見ないで、だけど相手側の契約者が入るんだから簡単にはいかないでしょう」

【それはそうだけど、お前の答えが聞けたからそれだけで良いよ。多分、エレナと契約は無理だけど、お前の優しさは俺達に伝わったぜ】


 精霊三人は改めてレンの優しさを知り、優しい笑みで姿を消してレン達の周辺を飛び回っていた。


 はぁ、もう精霊と契約したくないけど、三人の仲間だから仕方ないよね。だけど、エレナの説得に上手くいかなかったら三人は自分の手でエレナを傷つけられる事が出来るのかな?


 エレナの説得に失敗した時、精霊三人は自分の手で戦えるのか心配だった。


「とりあえず、一通り話し終わったから、一旦自衛団本部に行ってクリスさんに説明してからアジトに向かおうか?」


 レンの提案に四人は頷いたあと荷物を抱えて、宿を出ようとしていた。


「‥‥‥それじゃ、数日程度、宿を離れますので、朝食と夕食は三人食べて下さい」

「本当に盗賊集団のアジトに行くんだな」

「はい、行ってきます」 

「気をつけて行って来て下さいね」

「君達が戻って来る時は、豪華な食事を用意しますね」


 宿を経営している三人に挨拶した後、自衛団本部の客室に向かい、クリスに説明をしていた。


「それじゃ、君達は森に盗賊集団のアジトがあると睨んでいるんだな」

「はい、ここで隠れる場所は森の中しかないので」

「そうか、なら君達に任せるしかないな。今は被害状況の確認などで人手が少なくて森に回せないんだ」

「すみません、昨日盗賊集団を見付けたのに、何も対策しなかったので」


 昨日の夜、盗賊集団が現れたのに、五人はただ盗賊集団を見ているだけで、何も対策をしなかった。


「いや、君達は盗賊集団のアジトを見付ける為に、わざと自由にさせていたんだろう。なら盗賊集団を捕まえれば、盗まれた相手は報われると思うよ。それに建物は何時でも直せるから君達が心配する必要はないよ」


 クリスは五人に弁明をしていた。


「ありがとうございます。そんなふうに言ってもらって。必ず、盗賊集団の人達は捕まえますので」

「あぁ、よろしく頼むよ。我々も被害状況などが終わったら、部隊を組んで、君達の跡を追うつもりだから、くれぐれも無理はするなよ」


 五人はクリスに挨拶した後、森に向かって進み、森の手前で止まっていた。


「いよいよ、この森のどこかに盗賊のアジトがあるんだよね」


 五人は広大に広がる森を眺めながら話していた。


「あぁ、そうだなレン。だけど油断するなよ。森の中だから、どこから攻撃されるか分からないし」

「そうだね、レオス君、いつものあれ宜しく」

「分かったよ、プロテクトバリア」

「何で僕だけに防御魔法なの?」

「さぁ、レン師匠行きましょう」


 五人は盗賊のアジトを目指して、深い森の中を歩き始めていた頃、


「お頭、昨日の作戦は上手くいきましたな」

「あぁ、俺の言った通りだろうガハハハ」


 お頭と手下が金品を見ながら高笑いをしていた。


「そうですねお頭、でも二日続けて、大量の魔力を精霊に与えたから体力の方は大丈夫なのですか?」


 精霊エレナに大量の魔力を与えて、大魔法を使わせていたので、体力が消耗してないか心配していた。


「あぁ、大丈夫だよ。俺はここでゆっくり休んでいたから体力は回復しているぜ」

「お頭、大変です!」


 奥から手下が息を切らせてやって来た。


「お前、お頭の前で大声を出すな」

「まぁ良い、今日は気分が良いからなガハハハ、それでどうした?」

「それが、この森に張った結界に誰かが侵入したみたいなんですよ」

「ふぉ、数はどの位だ?」

「それが五人なんですけど」

「なら慌てる必要はないだろう、てっきり自衛団が嗅ぎ付けたのかと思っただろう」

「それは、そうですが、こっちに向かって入るみたいなので、アジトがバレると大変ですよ」

「なら、エレナに侵入を始末して貰うか、おいエレナ」


 お頭はエレナを呼び出して、説明をしていた。


【えっ、私が侵入者を始末するんですか?】


 エレナは嫌な表情をしていた。


「そうだぜエレナ、お前が侵入者を始末しないと、俺達が捕まるだろう。そうなったらお前の約束も果たせないだろう。約束を果たしたいのなら、ガキや大人関係なく倒すんだよ」

【分かりましたよ。お頭の命令なので従いますが、ちゃんと約束を守って下さいね。それに早くここから出ましょう】

「あぁ、分かっているよエレナ、お前は侵入者の足止めをしろ、俺の魔力を大量に使って構わないから必ず仕留めろよ」


 エレナは嫌な表情だったが、約束を果たしてくれる条件で侵入者のもとに向かって行った。


「流石、お頭上手くエレナを誘導しましたね」

「ガハハハ、そうだろう。エレナがいる限り、俺達を捕まえるのは無理だぜ」

「そうですね、相手は見えないエレナと戦って苦戦するでしょうね」

「あぁ、そうだぜ、それに精霊だから普通の攻撃じゃ倒せないから相手は大変だなぁ、ガハハハ」

「おい、お前ら、お頭にお酒や食べ物をもっと持ってこい」


 洞窟内ではお頭や手下達が高笑いをしているが、まさか森に入った五人にやられることになろうとは、この時点で盗賊集団の誰もが知ることはなかった。


「はぁ、それにしても何もないわね?」


 五人は森の中をアジトに向かって歩いていた。


「当たり前だろうアリス。だって森の中なんだから」

「それはそうなんだけど、何かしらの木の実があっても良いと思うんだよね」

「あっ、もしかして、昼食で食べる物を探しているんですか?」


 レイスが木の実に反応して、周りをキョロキョロしていた。


「お前は食べる事しか頭にないのか?」

「酷い、みんなの為に探しているのに」

「本当かよ」


 五人は楽しく、歩いていると上空で誰かがレン達の様子を見ていた。


【あれは、二人を捕まえていた子供だよね。もしかしてあの子供達がアジトに向かっているの】


 上空で見ている人影は、五人の姿を見て驚いていた。


【はぁ、でもやらないと私の約束が果たされないから、五人には可哀想だけど、ここで始末さてもらいますね】


 人影が五人に向けて魔法を唱え始めようとした時、どこから風、水、火の攻撃を受けていた。


【何故私が入るところにピンポイントに当てられるんですか】


 上空で狙って来た方向を見たが、姿は見えず、五人はアジトに向かっているので、慌てて魔法を唱えようとすると再び攻撃を受けていた。


【誰ですか、私に攻撃するのは、しかも何故私の位置が分かるのですか】


 上空で叫んだ後、周りがシーンとしていたが、どこからか人影に向かって話し掛けていた。


【お前の位置は見えてるぜ、まぁ、お前は俺のマナを感じられないし、俺も姿を消しているから、お前には俺の位置を把握出来ないけどな】

【一体誰ですか、姿を見せなさい】

【何か姿を見せてと言っているけど】

【仕方ないですわね、見せてあげましょう。レン様達の所には行かせませんけど】


 精霊三人は、姿を相手に見せると相手はもの凄い驚いていた。


【えっ、エレント、アクト、アルトニスなんでここに入るんですか?】

【久しぶりだなエレナ、なんだその顔は】

【いや、何でもないですよ。やっと三人に会えたので】


 エレナは泣きながら、三人を抱きしていた。


【本当にエレント、アクト、アルトニスだよ。敵の幻影かと思ったけど違ったみたいだね】


 エレナは本物の三人に会えて喜んでいた。


【てっ、こんな事している場合じゃなかった。あの五人を始末しないと】 

【そんな事、させるかよ。エレント、アルトニス】

【うん、分かっているよ。エレントお願い】

【ごめんなさいね、エレナ】


 エレントは風の拘束魔法でエレナの動きを封じていた。


【エレント、これはどう言うつもりですか】

【ごめんなさいねエレナ、私達はあそこにいるレン様と契約しているので、レン様に危害を加える、エレナを拘束させて貰いますわ】

【悪いな、エレナ。俺達はお前を討ちたくないんだよ。だからここで大人しくしていろ】

【僕はエレナと戦いたくないよ】


 エレナは一人の子供にエレント、アクト、アルトニスが契約している事に驚いていたが、エレナも契約者の命令があるので必死にエレントの拘束魔法を解こうとしていた。


【はぁ、あくまであの五人を始末するつもりなんだな】

【そうよ、アクト、私の望みは達成されたけど契約者には逆らえないくらい知っているでしょう?】

【なら、俺達の仲間に寝返りしないか?】

【えっ、そんな事、出来るんですか?】


 エレナはアクトを疑っていたが、アルトニスの経験を話すと何故かエレナは目を輝かせていた。


【本当に三人の仲間になれるんですか?】

【あぁ、なれるけど顔が近いよ】

【私、本当はお頭に使われるのうんざりしていたんですよ。私の約束はもう達成されたから、あの人は要りません】


 エレナの目的はエレント、アクト、アルトニスに会うためだったので、三人がレンと契約している事を知り、レンに寝返りすればずっと三人と一緒にいられると考えていた。


【おい、お前の契約にそんな事を言って良いのか?】

【今はアジトにいるので聞こえていません。それにアクトが言った事が本当なら、早くやりましょう。私がお頭に呼び戻される前に】


 エレナは早くやりたい様子だったので、エレナを拘束したまま、レンの所に案内していた。


【おーいレン】

「アクトどうかしたのって‥‥‥」


 レンはアクトに呼ばれたので、上空を見ると、知らない精霊を拘束して連れてきていた。 


「なぁ、レンどうかしたのかってなんだよあれ?」


 レンが立ち止まったので、声を掛けようとしたら目の前に精霊三人が見知らぬ精霊を拘束していたので、四人も驚いていた。


「レン君、もしかして拘束されている精霊が例の砂煙の犯人なの?」

「多分そうだね、三人がしっかり、監視しているのを見ると」


 五人はエレナをマジマジと見ながら色々と話していた。


【アクト、話が違うわよ、早く私もレンと契約したい】


 拘束されている精霊はレンと契約した様子で暴れていた。


【おい、動くなエレナ、お前はまだ敵側なんだから、お前が抵抗すると、俺達はお前を攻撃しないといけないんだからな】

【分かってるけど、早くしないと‥‥‥】

【エレナの気持ちは分かるけど、レンさんの立場があるんだから我慢してよ】


 レンはアクトから一通りの説明を聞いてからエレナに質問していた。


「事情はアクトから聞いたけど、君がやった事は犯罪なんだよ」

【えっ、だって精霊は契約の為に尽くすんだよ、私は別に悪い事はしていないよ】

【レン、まさかエレナと契約しないつもりじゃないだろうな?】

「アクトは黙って。確かに、君は悪くないよ。契約者に全力で尽くしたんだから、だけど結果的に犯罪の手助けをした事には変わらないんだよ。だから本当に反省しているのなら、自分の手で過ちを正して、自分の手で盗賊を捕まえて見せてよ」

【レンさん】

【レン様】

【やっぱり、お前は甘すぎだよ】

「ちょっと、エレント、アクト、アルトニス、くっつかないで」


 レンがエレナと契約すると分かった途端、精霊三人はレンを抱きしていた。


「アクト、本当に大丈夫なの? 相手の契約者にバレるんじゃないの?」

【それはエレナの力量しだいだよ。エレナが契約者に察知されないように、マナリンクをレンに移す事が出来れば、相手は気付かずに、契約破棄出来るよ】

「それって犯罪に近いと思うんだけど、精霊って、こんなにも簡単に契約者を変えられるの?」


 精霊自ら契約者を選んでいるので、こんな簡単に寝返る事が出来るのか聞いていた。


【それはないと思いますよレンさん、契約破棄出来るのは、基本的に契約者自身ですから、精霊自ら変えるのは、よほどの力量がないと出来ませんよ】

「いや、アルトニスは自ら契約者を変えたよね」


 アルトニスは前の契約者が嫌いで、自ら契約者をレンに変えた過去があった。


【あれは‥‥‥僕に力量があったから出来たんですよ】

【アルトニスは、精霊界で俺と争っていたんだから、出来て当たり前だろう?】

「本当かな、何か上手くアクトとアルトニスに乗せられている感じなんだけど、絶対に嘘を付いているよね。まぁ、契約の仕組みを知らない、僕も悪いんだけど」


 アクトとアルトニスが必死になって、契約者自身しか契約破棄出来ないと、言っているので、精霊三人を不信に思っていた。


「はぁ、三人が何を企んでいるか知らないけど、エレナと契約すれば良いんでしょう?」

【あぁ、エレナもそれを望んでいるぜ】

「分かったよ、エレナ、本当に僕と契約するんだね?」

【はい、早くやりましょう。お頭に呼び戻される前に】

「それじゃ、行くよ。エレナ、僕の精霊になって」


 レンはエレナに向かって叫ぶと黄色い光が二人を包み込み、アルトニス同様にエレナがもの凄く苦しそうな表情で叫んでいた。


【あぁ助けて、エレント、アクト、アルトニス苦しいよ、誰か助けて】

【ダメだ、エレナ、それはお前が乗り越える試練なんだから、お前の中にレンとお前の契約者の魔力が反発しているんだよ】

【僕も、レンさんと契約した時に同じ苦しみを味わっているんだから、エレナも乗り越えないと、契約者を変える事は出来ないよ。今は苦しいけど、乗り越えれば自由が待っているよ】

【エレナ、頑張って、私達はただ見守るしか出来ないのよ】


 精霊三人に見守られながら、エレナは必死に前の契約者の魔力を体内から放出させようともだえ苦しんでいた。


 はぁ、絶対に正式な契約方法じゃないよね。明らかに苦しんでいる時点でおかしいし、アクトはどうしてアルトニスとエレナを正式な契約方法でやらないんだろう。しかも強引に僕と契約させる理由が分からないよ。エレントも何でアクトの意見を否定しないんだろう?


 エレントとアクトは正式な契約方法をしている為、苦しんだり、もだえたりしないが、アルトニスとエレナに対しては正式な契約方法ではなく強引に、契約者を変えるやり方なので、そこまでして契約者を変える必要があるのか疑問だった。


 確かに、精霊界の仲間だったと言っていたけど、そこまで仲間を護る動機がアクトにあるのかな?


 目の前にいる精霊四人は精霊界時代の仲間なので、精霊界で何か四人で約束したのかと考えていた。


 まぁ、契約してしまったから後戻りは出来ないけど、完全に僕、四大精霊を従えることになるよね。


 レンは火、水、風、地の四大属性に加え、炎、氷、雷の上位属性の精霊を持つ事になるので、どうしようかと悩んでいた。


 今気付いたけど精霊を使ったらほとんど弱点ないよね?


 光と闇を除けば、ほとんど弱点がなかった。


 あぁ、完全に終わった。何で僕四大精霊を持つ事になるの? こんな予定、僕の理想の冒険ライフにはないよ!


 レンは目立たないように、冒険したいのに四大精霊を従えている事がバレたら、自由に冒険が出来ないと危惧していた。


 それよりも、何か急に魔力が絞り取られるんだけど、あぁ、エレナとの契約が完了したんだね、はぁもうダメだ。


 エレナの方を見ると、悲鳴や苦しみがなくなり、若干疲れた表情をしていた。レンはふらつきながら近くの木々に背中を付けてしゃがみ込んでいた。


【レン様、大丈夫ですか?】

【レン、今俺達のマナをあげるからな】

【レンさん、しっかりして下さい】


 レンは精霊三人に介抱されていた。


【はぁはぁ、凄いこれがレンの魔力なんだね。こんなに極上な魔力初めてだよ】


 エレナは三人と同じ感想を言っていた。


 何でこの三人と同じ感想なんだよ。もっと別な事を言うよね。


 精霊三人に介抱されながら、エレナの会話を聞いていたが、最初の発言が魔力の感想なので、レンは更に衰弱していた。


【ありがとうレン、これで私はレンの仲間だね】


 エレナは嬉しそうに、レンを見ながら言っていた。


「アハハッ、それはよかったね、じゃあエレナ戻って良いよ」

【えっ、折角契約したのに還すのですか、じゃあエレント、アクト、アルトニスも還して下さい】

「えっ、それは‥‥‥」


 エレナは三人が還さないと消えないと言っていたので、どうしようか悩んでいると、アクトが手を差し出してくれた。


【なら、エレナ、お前も住み処を妖精に留守さればいいだろう? 俺達三人は既に妖精に任せて、ここで自由にしているし】

【えっ、それ本当なのアクト】


 エレナが食い入るように、アクトを問いただすので、アクトは困った様子をしていたが、エレナに説明すると目を輝かせていた。


【レン、私ちょっと用事思い出したから、一旦還るね! 数分したら必ず呼んでねレン】


 エレナはレンに手を振ると、光に包まれてその場から消えていた。


「アクト、余計な事を言わないで」

【良いだろう、エレナを仲間外れにするのか?】

「別に、そんな事は言ってないけど」

【安心しろよ、お前に迷惑掛けないように、規律はしっかりエレナに伝えるから】


 精霊三人がエレナの指導をすると言っているので、精霊三人に何を言っても無駄だと思い、渋々許可していた。


 はぁ、何で僕は精霊に甘いんだろう? それに規律って何?


 精霊三人に介抱されて、体力が回復すると、エレナを呼んでいた。


【遅いですよレン、もっと早く呼んで下さい】

「はぁ、何で怒っているの? まだ数分だよね」


 エレナも精霊三人と同類なので、呆れて何も言えなかった。


【それじゃ、レンいつものあれやろうぜ】

「えっ、ここでやるの? 僕達、盗賊を捕まえることで忙しいんだけど」

【エレント、アルトニス、アクトは何をしようとしているの?】


 どこかで見た光景が再び始まり、エレナはエレントとアルトニスに聞いていると目をキラキラさせながら、レンに詰め寄っていた。


【はい、私、レンと精霊依やりたいです。そして三人みたい人間になりたい】

「ちょっと、エレント、アルトニス、エレナに何を吹き込んだの?」

【アハハッ、ごめんレンさん、やっぱり隠し事は出来ないよ】

【そうですわ、私達は四人で一つみたいな感じなので、エレナも私達と同じになる必要がありますよね、レン様】

「いや、分からないんだけど‥‥‥」


 精霊依をやりたくないのに、精霊三人に詰め寄られ、逃げ場を失ったレンは、目をキラキラさているエレナに見つめられていた。


「はぁ、分かったよ、やれば良いんでしょう、エレナ精霊依!」

【やった、私、精霊依初めてワクワクするよ】


 エレナは喜びながら、光の玉になり、レンは中に吸い込まれると黄色い光に包まれてレンは悲鳴を上げていた。やがて光が消えると、レンは死にそうな表情になっていた。


「はぁはぁ、もう嫌、絶対に死ぬよ」

【凄い、これが精霊依なんだ。何か凄く気持ちいい、こんな体験初めてだよ】

【どうだ、エレナ精霊依になった気分は】

【うん、凄く気持ちいいよ、レンの極上の魔力が私の中に流れてくるよ。しかも、レンの体の感覚が伝わるから人間みたいだよ。こんなの初めてだよ。まさか精霊依を使える人間がいるのにもびっくりだけどね】

「あのう、もう解除していいかな?」


 精霊依は取り込んだ精霊の姿になるので、今のレンは黄色い髪で女の子の姿になっていた。


【えっ、もう少しレンの中にいたいよ】

【エレナ、あまりレンを困らせるなよ】

【はぁ、分かったよ。アクトが言うのなら】

【クスクス、相変わらずアクトには弱いんだから】

【仕方ないよ、エレナはアクトが好きなんだから】

「えっ、それ初耳何だけど」


 エレナの秘密を簡単にバラしていたが、エレナは動じていなかった。レンは精霊を解除して、正式な仲間にエレナを迎えていた。


「改めてよろしくねエレナ、分からないことは、エレント、アクト、アルトニスに聞いてね」

【はい、これからよろしくお願いしますね】


 エレナはファング、アリス、レオス、レイスに挨拶していた。


「それよりも、エレナって、髪は黄色いし、目もそうだけど、色を除けばエレントとほとんど変わらないよな、背も同じだししかも、エレナの方が幼い感じがするよ」


 ファングはエレントとエレナを見ながら、交互に見ていた。


「ファング、精霊に失礼だと思わないの?」

【良いですよ、別に、たくさん見てもらっても、一つ言っておくと、エレナはこう見えかなりのドジッコでバカですよ】

【なっ、エレントだって、天然ドジッコでしょう】


 エレントとエレナが喧嘩を始めていた。


「アクト、アルトニス、この二人はいつもこんな感じなの?」

【アハハッ、そうだね懐かしいよ】

【悪いなレン、見苦しい所を見せて、エレント、エレナ、喧嘩をやめろ! エレナはレンと契約したばかりなんだから迷惑掛けるなよ】


 アクトがエレントとエレナの喧嘩を止めると、二人は我に返り皆に謝っていた。


「アルトニス、僕思ったんだけと、いつもアクトが先頭に立って君達の指示をしているよね」


 精霊を呼ぶといつもアクトが先頭に立って話し掛けていた。


【レンさん、気付いていたんだ、アクトは気付いてないけど、アクトは僕達のリーダーだよ。それにアクトはあぁ見えて仲間思いの所あるから、僕やエレナの事情を知って何とか四人で昔みたいに過ごせないか模索していたんだよ。アクトはレン前では頑張っている姿を見せているけど、姿を消している時はいつも僕とエレントに弱音吐くんだよ】 

「アクトが、そんな事に悩んでいたの?」


 アルトニスの話を聞いて、今までアクトが必死に契約をしようと迫っていた理由を知り、レンはアクトを見つめて、何で言ってくれなかったのと悔やんでいた。


【レンさんが、悔やむのは分かるけど、アクトもレンさんに迷惑を掛けたくなかったんだよ?】

【おい、アルトニス、何でレンにバラしているんだよ】


 アクトが二人の話を聞いていたみたいで、アルトニスに抱き付き怒っていた。


【えっ、やめてよアクト、もう話しても大丈夫でしょう。やっと四人が揃ったんだから、悩む必要はないでしょう?】

【それはそうだけど‥‥‥悪かったなレン、俺のわがままに付き合って、お前を苦しめる事をして】

「何でアクトが謝るの、アルトニスから理由を聞いて悩んでいた事も分かったから、それにアクトのおかげで精霊が増えたから僕は嬉しいよ」

【嘘を付くなよ、無理に俺に合わせようとしているだろう】


 アクトに見抜かれて、なんて声を掛けようか迷っていた。


【アクトが余計な事を言うから、レンさんが困っているでしょう】

【うっ、悪かったよ、俺がアルトニスとエレナを引き込んだのは本当に悪かったよレン。だから俺を嫌いにならないで】


 アクトはレンの背中に抱き付き、レンはアクトが流している涙の雫を手のひらで見つめていた。


「アクト、泣かないで精霊でしょう。僕は嫌いにならないから安心して、確かに、二人を強引に引き込むのは悪いけど、アクトに取っては大事な仲間でしょう? だったらアクトはリーダーとしてしっかり働いてよ。アクトなら出来るよね」

【うん、任せてよレン、俺がしっかりエレント、アルトニス、エレナを指揮するし、しっかり指導するから】

【やっぱり、レンさんには敵わないね、エレント】

【そうですわね、レン様には逆らえないですね】

【アクトのあんな表情初めて見たよ。レンは凄い人なんだね】


 精霊四人はレンの言葉を真摯に受け止めていた。


「それじゃ、エレント、アクト、アルトニス、エレナ、そっちはよろしくね」

【あぁ、任せろレン、しっかり三人を指揮するよ、特にエレナはレンと契約したばかりだから色々規律を教えないと行けないし】

【規律ってなんですか? そんなのがあるんですか?】

【ありますわよ、エレナ、私達三人が作ったんですよ】

【もし規律を破ると、僕達は精霊界や住み処に還らないと行けなくなるんだよ】

【仮に規律を破ったら恨むけどな、あくまでレンに迷惑を掛けないように、三人で作ったんだよ。だからエレナもしっかりと頭に叩き込めよ】

【なんかアクトが恐いんだけど、エレント、アルトニス助けてよ】

【ダメですわよ、しっかり指導しますねエレナ】

【そうだよ、僕達は自由にレンさんの近くに居たいんだから、しっかり規律を覚えように】


 エレナの表情は強張っていたが、三人に捕まっているので、逃げる事が出来なかった。三人はエレナを掴んだまま手を振ると、四人は姿を消して上空の監視についていた。


 大丈夫かなエレナ、三人が鬼ような目つきで消えていったけど?


 精霊三人が怖い表情でエレナを掴んで消えていたので、エレナが三人を嫌いにならないか心配だった。


「レン君、そろそろお昼だから、一旦休みましょう?」

「そうだね、なんか精霊四人を相手したら疲れたよ」

「まぁ、これでお前は四大精霊を扱う、天才になったんだからよかったんじゃないのか」

「そうだね、精霊を使ったらレン師匠は最強だね」

「レンお兄ちゃん、最強!」

「アハハッ、僕は最強じゃないよ、最強だったらここにいないでしょう」


 四人に冗談を言われながら、五人は近くの開けた場所で昼食を取っていた。


「おい、エレナ」

「どうしたんですか、お頭」

「エレナを呼んでも、現れないんだよ」


 お頭がエレナを何回も呼んでいるが、一向に現れる気配がなかった。


「まさか精霊がやられたんじゃ無いですよね」

「そんな事があって、たまるかよ、精霊は普通じゃやられないはずだぜ、相手が精霊使いなら別だけど、精霊使いはそんなにいないはずだぜ」


 お頭が慌てていると、遠くから手下二人がやってきた。


「お頭、それが‥‥‥」


 二人が捕まった時、精霊使いか分からないけど、それらしい人物に心当たりがあった。


「なんだと、なぜそれを早く言わないんだ」

「すみません、まさか、あの時は夢だと思っていたので!」

「どうします、お頭、ひょっとすると森に入った連中が例のエレナを倒した奴かも知れませんよ」

「あぁ、分かっているよ、俺もこうしてはいられないな、お前ら戦闘準備をしろ」

「ウォー!!!」


 洞窟内ではエレナがやられた事が広がり、盗賊達が武器を装備して、五人がやって来るのを密かに待ち続けて居るのだった。

 

次回更新は明日の0時になります。温かくお待ち下さいm(__)m

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