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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 第2節 盗賊集団ギルハック襲来
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#39 依頼で大苦戦と忍び寄る影

お待たせしました。第39話公開です。久しぶりのギルド依頼に挑戦、今回はレン君活躍できるかな(。>ω<。)

 五人は朝早くから宿を経営している父親に案内されて、ギルドへやって来ていた。


「よし、着いたな。ここがギルドだよ。私は依頼を請けに先に行かせてもらうよ。なるべく夕方には戻って来るんだぞ」


 宿を経営している父親に挨拶した後、五人は依頼書を確認していた。


 うーん、金額は高いけど、なんか時間が掛かりそうな依頼書だらけだな。


 宿を経営している父親の話は本当で、どれもかなりの日数が掛かる依頼書だらけだった。


「なんか良い依頼書あった?」


 四人に学生依頼で何か良さそうな依頼書はないか聞いている。


「レン君、これにしない。これ依頼書で金額がかなり高いわよ」

 アリスは金額しか目にいってない様子で、かなり不安があった。

「えっ、アリス金額だけで決めてない?」

「そっ、そんな事はないわよ」

「今、一瞬声を詰まらせなかったかアリス?」


 アリスを除く四人がかなり不安そうにしていた。


「大丈夫よ、次の定期船までに終わらせれば十分でしょう?」

「いや、ダメだよ。少なくとも数日じゃないと」


 万が一、依頼が終わらなかったら、更に二週間滞在することになる。


「万が一、依頼が終わらなかったら僕達、無一文だよね」


 資金がほとんど空に近い状態なので、仮に二週間が追加滞在になれば、確実に宿に泊まれず、野宿になるのを危惧していた。


「大丈夫よ、私達は数々の依頼を熟したんだからこれくらい早く終わるわよ」

「いや、そんなに依頼をやってないと思うよ」


 四人はアリスにやめるように説得していたが、強引に依頼書を受付に差し出して待っていたので、四人の表情はかなり暗かった。


 何で、僕達の意見を無視して、勝手に依頼書を出すの?


 お金に眩んだアリスを見て、レンはため息を吐いていると受付の人がやって来た。


「ほぅ、嬢ちゃん、この依頼を請けるのか」

「はい、請けさせてもらいます」

「ハッハハハ、威勢が良いな、君達も嬢ちゃんの仲間だろう」

「はい、そうですが、何か問題でも」

「いや、何もないよ。ただ最近ここに学生が来るのが久しぶりだから驚いただけだよ。ちょっと待ってくれよ、今手続きするから」


 ギルドの受付男性が依頼を確認しながら、書類の手続きをしてから男性が再び戻ってきた。


「よし、手続き完了したから、依頼を開始して良いぞ、しかしお前達にこの依頼は出来るのか?」

「はい、出来ますわよ。私達五人はそこら辺のギルドチームと違いますから」

「ハッハハハ、威勢が本当に良いな、だけど、周りにいる大人達はみんなエリートだから、変な事を言うと絡まれるから口には気を付けた方が良いぞ」


 ギルド受付男性に若干の注意があったが、五人は依頼場所に向けて歩き出していた。


「なぁ、受付さんよ。あの小僧五人は何の依頼を請けたんだ」

「クラブガニの討伐ですけど、何か文句でもあるんですか?」

「ハッハハハ、いや文句ないけど、今の時期は海の中にいるから討伐は無理だぜ。何であんな酷な依頼書を置いておくんだよ。あの小僧も災難だなぁ。まぁ金をやらないのが目的だろう」

「それはどうでしょうね、あなた達に教える事ではないですよ」

「確かに、あの小僧は終わったなアハハッ」


 ギルドにいたチンピラ集団の一人が依頼の内容を聞いていたが、受付男性は詳細には教えていなかった。やがてチンピラの一人は高笑いで後にすると、受付男性は書類に目を通していた。


「クスクス、果たしてどうでしょうね、フォード王国やリノワール王国などのギルド支部から色々報告は聞いていますが、やはりあの五人は何かやってくれそうな予感がしますね」


 ギルド受付の男性は五人に依頼を期待しながら、業務の方を進めているのだった。


「それで、アリスは何の依頼を請けたの?」


 アリスが強引に依頼書を受付に差し出していたので、依頼書の内容が見られなかった。


「それはクラブガニの討伐よ、最近大量に繁殖しているから百匹くらい討伐するスロータ系だね」

「へぇ、それなら早く依頼が終わりそうだね」


 討伐系なら群れを探せば一網打尽に刈り尽くせるので、比較的楽な依頼をアリスが選んでいたんだと感心していた。


「レン君、そうでしょう。私を褒めてよ」


 簡単そうな依頼書を見つけてあげたから、たくさん褒めてと言っていた。


「アッハハハ、偉いよアリス、でもどうやってクラブガニを百匹も数えるの?」


 レンが素朴な疑問をしていた。


「それ、俺も気になっていたんだよ、どうやって倒した事をカウントするのか?」

「僕は倒した後ですね、死体とかはどうやって処分するんですか?」


 ファングとレイスもレン同様に疑問に感じていた。


「はぁ、それはギルドから渡されたこの魔道具、エンカウンターを使えば簡単よ。これは色々なモンスターの情報が入っていてクラブガニの魔力を感知して倒すとカウントする仕組みになっているのよ。それと討伐後の処分は基本的に私達に任せられるから、私とレオスの魔法で消滅させるわね」


 アリスの説明を聞いて、四人は納得していたが、若干恐ろしい事も言っているけど、四人は肝心な部分しか聞いてなかった。


 なるほど、それじゃゲームの世界とかはこんな感じにやっているのかな?


 レンは転生前の自分が持っていたゲームなどの世界観を想像してかつての疑問を納得していた。


「どうした、レン? なんか問題でもあるのか?」

「ふぇ、何でもないよ。アハハッ」

「そうか、なら良いんだけど、なんかあったら遠慮なく言えよ」


 レンは転生前の自分を思い出していたので、四人には話す事が出来なかった。


 はぁ、なんか隠し事をして悪い感じだよ。中身は既に二十代の男性なんだから。


 転生後に六年過ごしているので、本来の自分なら大学生に進学して大学生生活を楽しんでいる最中である。五人は海沿いから反対側に向かって歩き、人気のない場所まで来ていた。


 しかしクラブガニがいないな、どこにいるんだろう?


 五人はくまなく海の周りを見ながら、歩いているけど一向に目的のクラブガニが見つからなかった。


「ねぇ、どこにいるの? もうお昼何だけど!」


 気が付くと、太陽がほぼ高い位置あり、お昼の時間帯を知らせていた。


「まさかこんなに見付からないとは思わなかったわ。みんなごめんね、とりあえず近くの座れる場所で、昼食を取りながら考えましょう」


 五人は近くの海辺の岩に座り、軽いおにぎりを食べながら、今後の事を話していた。


「本当にクラブガニなんかいるのか? 全然見付からないぞ?」

「そんな事を言われても、依頼書がある以上、私達は依頼を請ける必要があるでしょう?」

「それはそうだけど、このままだと本当に俺達、無一文になるぞ? お昼ごはんどうするんだよ?」


 今は何とか、少ない資金で簡単なおにぎりなどでまかなっていけど、このままだと本当に昼食抜きになってしまう。


「分かっているわよ、ファングとレイスが昼食抜きで生活出来ない事くらい」

「何だと、俺は昼食を抜いても大丈夫だよ。ダメなのはレイスだろう。こいついつも鱈腹食べないと、動けないし」

「酷いよファングさん、僕もエネルギー調整すれば、お昼ごはんぐらい我慢出来ますよ。足りない時は魔法をくれれば大丈夫ですから」

「いや、魔法をお前にあげたら、俺達のスタミナが持たないよ」


 三人が昼食の事で話している間、レンとレオスが仲良く寄り添いながらおにぎりを食べていた。


「ねぇ、レオス、ダメもとでモンスターの魔力察知出来ない? このままだと本当に昼食抜きで揉めるから」

「分かっているよ、レンお兄ちゃん、もう調べたから安心して」

「えっ、調べてくれたの」

「そうだよ、兄さんも僕の目を通して見てるから気を利かせてくれたんだよ。最初ずっと僕の頭に話し掛けてうるさいと思ったけど、兄さんの話を聞いたら納得したんだ。ねぇ褒めてよレンお兄ちゃん」


 レンに褒めて貰うために、レオスのお兄さんが気を利かせている事を知り、呆れていたが、レオスの頭を撫でてあげた。


「えへへ、気持ちよ、レンお兄ちゃん」

「そう、それはよかったよ。一旦レオスのお兄さんに替わってくれる?」

「えっ、なんか兄さんに悪い事した?」


 突然、レオスのお兄さんに替わってとレンが言っていたので、レオスは首を傾げていたけど、レオスはレンの指示に従い入れ替わっていた。


「どうしたのマスター?」


 レオスの兄はレンに呼ばれたので、若干声を震わせていた。


「何で怯えるの? 別に怒ったりしないのに、ちょっと聞きたかった事があるから呼んだのに」


 レンが怒らない事が分かると、通常の兄に戻っていた。


「何だ脅かさないでよ、それで聞きたい事って」

「最近、弟にたくさん助言してない。それじゃレオスが学ばないと思うんだけど」


 最近のレオスは何かしら兄の事を付け足して言ってくるので、レオス自身が学んでいるか心配だった。


「マスターにはそう見えるんだね。確かに、レオスはまだ自分で判断出来てない部分はあるよ。だから僕がその穴を埋めてるんだよ。どのみち僕はレオスの中で生きることになるんだし、僕の脳はレオスと連動しているから、別に教えなくても、レオスに伝える事は可能だけど、僕から言った方が早いよね」


 レオスの兄は弟の事を色々と考えているみたいだった。


「そうなんだ、まぁ兄が弟、思いなのは分かったよ。だけど少しはレオスにも考えさせてあげなよ」

「分かっているよ、難しくない事はなるべくレオスに任せるよ、レオスも今の話し聞いたよね‥‥‥うん分かったよレンお兄ちゃん」


 レオスの兄は弟に入れ替わり会話が途切れないように素早く替わっていた。


「今、凄い芸当しなかった?」

「えっ、あぁ、今の入れ替わりだね。不自然に思われないようにこっそり練習したんだよ。凄いでしょう?」

「そうだね、いつも少し間があるからビックリしたよ。それよりも、レオスがサーチした結果を教えてくれるかな?」


 レンはレオスのサーチした結果を聞いて、海を見ながら呆然としていた。


 えっ、海の中にいるの? 無理だよね僕達、海の中で長く泳げないよ?


 レオスが海の中に大量のモンスターの反応があると、言っていたがどうやって討伐するか悩んでいると、


「レン君、どうしたの急に立ったまま固まって」

「レン、海の方に何かあるのか?」

「レン師匠、大丈夫ですか?」


 三人が心配そうな表情で声を掛けて来たので、レンはレオスのサーチした結果を話すと三人とも海を見渡して呆然としていた。


「おい、どうやって討伐するんだよ」

「そんなの泳いで倒すしかないでしょう」

「無理ですよアリスさん、泳ぎながら攻撃していたら溺れますよ」


 三人が困っているとレンはあまり使いたくないが、四人に作戦の提案をしている。


「なら僕が精霊依を使って、陸におびき寄せるから、そこを攻撃してくれないかな?」


 精霊依を使えば、海の中を長時間潜る事は可能だから、レンがクラブガニをおびき寄せる役をすると言っている。


「確かに、確実だけど、レン君が心配で行かせられないわ」


 アリスに速攻否定されていた。  


「いや、何でダメなの? 他に方法があるの?」

「いや、ないけど、レン君を危険な目に遭わせたくないわよ」

「アリス、いい加減にしろよ。あまりレンを怒らせるなよ。それに精霊依状態なら精霊がレンを護るんだから安心だろう?」

「あっ、確かにそうだわ。ごめんねレン君、精霊依になれば精霊に護られるんだったね。ならレン君のアイデアで行きましょう」


 ファングに精霊依の事を説明すると、アリスは態度を一変してクラブガニのおびき寄せる役を承諾していた。


 何で僕一人だとダメなの? 普通におかしいよね。何回も言うけど、僕は普通に精霊や仲間の力を借りなくても大丈夫なんだよ。何で僕を護る前提で毎回話が進むの?


 レンは納得していなかったが、アクトを呼び出して説明していた。


「‥‥‥と言う分けでアクト行くよ」

【分かったよレン、久しぶりの精霊依だよ。ワクワクするよ】


 アクトは早く精霊依したい様子でウキウキしていたので、レンは頭を押さえていたが、ため息を吐きながら、アクトと精霊依をしていた。


「はぁ、相変わらずこの体には慣れないよ」


 体を触りながら、感覚を確かめている。


【そうか、俺はお前と一つになれて嬉しいけどな】

「アクトはただ僕と一つになりたいだけでしょう。はぁ、精霊依の何が良いんだか」


 アクトは喜んでいるので、精霊依の何が良いのか理解出来なかった。


【良いところはたくさんあるよ、僕がちゃんと人間になった事やレンの極上の魔力をずっと吸収出来ることなどだよ】

「それはアクトの感想だよね。実際は僕の体だし、魔力も僕のだよね。アクトはただ僕の中に存在しているだけだよね?」


 精霊依している間、アクトはレンの中でサポートか体の傷を治すことしか出来ないので、実質レンが体を動かす事になる。


【酷いよレン、僕はちゃんとレンの中で生きているんだから、れっきとした人間だよ。姿だって、僕の髪の色や体の造りになっているでしょう。ただ体はレンをベースにしているから大きさはレンのままだけど、精霊依をしている間は僕もちゃんとした人間なんだよ。まぁ体は基本的にレンしか動かせないけど、傷は僕が治してるんだよ】

「はいはい、そうだったね。感覚も共有しているからアクトは精霊依している間は人間だね」

【そうでしょうレン、僕凄く嬉しいんだからね。ちゃんと人間らしい痛みなどの感覚を感じることが出来るから】


 アクトが人間になれたとずっと言っているので、呆れたレンはアクトを無視して、エレントとアルトニスを呼び出していた。


【レン様、呼びましたか?】

【レンさん、どうかしたの?】

「ちょっと二人に手伝って貰いたくて」


 レンはエレントとアルトニスにおびき寄せたクラブガニをアリス達と一緒に倒してと説明している。


【なる程、分かりましわレン様、私の風の刃で切り刻みます】

【僕は灼熱の炎で焼き尽くすよ】

「アハハッ、ありがとうね、エレント、アルトニス、今回はアクトと精霊依しているけどエレントとアルトニスもいつかするから」

【クスクス、大丈夫ですよレン様、いちいち私達を心配しなくても】

【そうですよ、僕達はレンさんが呼んでくれればそれだけで十分ですよ。それに契約しているんだからいつでも精霊依になるでしょう?】


 精霊達はレンの事をよく知っているみたいで、気を利かせて断っていた。


 はぁ、僕が心配しなくても大丈夫だったみたいだね。精霊達が逆に僕を心配しているけど?


 エレントとアルトニスが時々心配そうに、レンの周りを飛び回るので、レンから離れたくない様子だった。


「ほらエレント、アルトニス、アリス達の所に行って、僕はアクトが付いているから」

【分かりましわレン様、くれぐれも気をつけて下さい】

【レンさん、気をつけて。アクトしっかりレンさんを護ってよ】

【分かっているよ、エレントとアルトニスも心配するな、今はレンの指示に従え】

「それじゃ、みんな行ってくるよ、精霊達の細かい指示はアリスに任せるよ」

「気をつけてね、レン君」

「レン、海の中でやられたら承知しないぞ」

「レン師匠、気をつけて下さい」

「レンお兄ちゃん、早く戻って来てね」


 四人と精霊二人に見守られながら、レンは勢いよく海にダイブして、海の中を泳いでクラブガニの探索をしていた。


「凄いよ、普通に水の中で息が出来るんだけど、それに水を飲み込まないよ、どうなっているの?」

【凄いでしょう。これが精霊の力だよ。レンは精霊に近い存在だから、体の構造は俺になっているんだよ】

「へぇ、そうなんだ、意外と便利かも知れないけど、毎回は使えないかな」


 レンは精霊の力を体験しているけど、人目に付く可能性を危惧して、今後も使うか悩ましい所だった。


【使うか使わないかはレン次第なんだからいちいち俺達の事は気にするなよ。さっきもエレントとアルトニスも言っていただろう。俺達は別に精霊依にならなくても、お前に呼んでくれるだけで嬉しいんだからそんな顔するなよ】

「ありがとうアクト、でもなるべく君達が喜べるようにするから」

【はぁ、相変わらず俺達に優しいよなお前。分かったよ、お前の好きにしな、俺達はずっとお前の傍にいるから】


 アクトは呆れていたが、レンの気持ちも分かるので、あまりレンを責めたりはしなかった。


「しかしクラブガニはどこにいるんだ。レオスの説明だとこっちのはずなんだけど」


 海の中を奥に進んでいるけど、クラブガニが中々見つからなかった。


【そうだな、俺の力も使っているけど、モンスターの反応がしないぞ?】


 アクトも見付からないと言っていたので、一旦戻ってレオスに再度確認しようと陸に向かって引き返していた。


「見て、レン君だわ」

「おーい、どうしたんだ。クラブガニが現れないぜ」

「それは‥‥‥」


 レンは皆に事情を説明していた。


「えっ、クラブガニが見付からないの?」

「そうなんだよ、レオスが調べた方向に行って見たけどクラブガニがいなかったんだよ」

「おい、レオス本当にあっちにクラブガニがいるのかよ」


 ファングがレオスに詰め寄り、クラブガニが本当にいるのか問い詰めている。


「えっ、いるはずだよ僕が間違えるなんてこれまで一度もないよ」

「確かに、そうだけど実際にいなかったとレンが言っているんだぞ」

「分かってるよ、もう一回調べてみるよ‥‥‥えっ、クラブガニの群れが移動してるよ」


 レオスは合っていると信じて、再度確認するとクラブガニの位置が変わっていたの、レオスは驚いていた。


「そう言うことね、なら見付からないはずだわ」

「ならどうやって、クラブガニの位置をレンに教えるんだ」

【それなら問題ないですわ、私達は精霊間で会話が出来ますから、どこにいても、レン様と会話出来ますわよ】

「そう言えば、海底遺跡を探すとき喫茶店でレン君が言っていたわね」


 海底遺跡を探すとき、レンは喫茶店の中で精霊達と会話しながら探索をお願いしていたので、四人はその手があったとレンを見ながら納得していた。


 何でいちいち僕を見ながら、頷くの?


 レンは若干不機嫌になっていたが、再び海に入り、エレントとアルトニスの指示に従って、泳ぎ進めていた。


【レン、どうかしたのか、なんだか変な波長が俺に流れて来るんだけど、何か不満でもあるのか?】


 アクトはレンと一体化をしているので、レンの感情などから発する、微弱な波長を読み取り、レンに声を掛けていた。


「ごめんアクト、僕と一つになっているから、感情まで共有してるんだね」


 レンは泳ぎながらアクトに不満をぶつけていた。


【はぁ、それは俺に言っても無駄だよ。あの四人はレンを思っての行動なんだから素直に受け入れろよ】

「アクトもそう思っているんだね」


 アクトに四人の不満を話していたが、結局上手く交わされていた。


【レン様、そろそろ群れの近くに着きますわよ】

「ありがとうエレント、あとは大丈夫だから、アリス達と攻撃準備宜しくね」

【畏まりましたわレン様】

「それじゃ、アクト行くよ」

【おう、任せなレン、俺が全力でサポートするよ】


 エレントに攻撃準備の指示を皆に伝えるように言った後、レンは勢いよく、奥に泳いで行くと、大量のクラブガニの群れが移動していた。


 いた、大量にいるよ。でもどうやってクラブガニを陸に誘導しようか?


 大量のクラブガニを見つけたけど、どうやって陸におびき寄せるか悩んでいた。


「ねぇ、アクト、あまり目立たない方法でクラブガニを陸に移動させる方法ある」


 近くには海水浴場があるので、多くの人に見られない方法をアクトに聞いていた。


【レン、意外と難しい要望をするね】


 難しい要望をアクトに聞いていたので、アクトは若干苦笑いしていたが、アクトは水と氷を司る精霊だから問題ないと言っていた。


【クラブガニの移動を陸に向ければ良いんだろ? ならアクアトルネードが最適だよ。水の中しか渦が出来ないから、地上から見ても分からないぜ、俺が上手く水のコントロールをするから心配するな】

「それは分かったけど、どうやってコントロールするの?」


 アクアトルネードをどうやってコントロールするのか、疑問に思っていたが、アクトが魔法を発動すれば分かると言っていたので、とりあえず魔法を唱えることにした。


「ふぅ、アクアトルネード。えっ、体が勝手に動くんだけど」

【レン、もう少し力を抜けよ、動かし辛いだろう? それに変に力を入れると周りから変な動きに見られるよ】


 レンが魔法を唱えて発動すると、レンの目が青くなり、体の自由が効かずアクトに操られていた。


「何で僕、アクトに操られているの、僕しか動かせないはずじゃないの?」

【基本的にレンが動かせると言っただけで、俺も一応レンの体を動かすことが出来るよ。別にレンの体を使って悪用はしないから、素直に従ってよレン?】

「うっ、確かに考えてみると完全に精霊が動かせないとは言ってなかったよ」


 アクトに言われて、過去を思い出していたけど、一度も完全に精霊が動かせないとは言っていないので、レンはうな垂れていた。


【ちょっとレン、変な力を入れないで、コントロールしてるんだから、それに体はレンなんだから、しっかりして】

「ごめんアクト、僕は力を抜いたままアクトに操られれば良いの?」

【いや、完全に俺任せにしないでよレン?】


 レンはアクトに任せようと、力を抜いていたが、アクトがダメとキッパリ言われた。


「何でダメなのアクト? 僕の体を操って魔法をコントロールしているのに?」


 アクトが魔法をコントロールすれば安心だと思っていたのに何故ダメなのか聞いている。


【お前、もう忘れたのかよ、確かにレンの体を動かせるけどあくまでサポート何だよ。精霊依の本来の力は精霊とシンクロする事で力を発揮されるんだよ。つまりお前が俺の中に流れ込むように俺もお前に流れ込むから、それを捉えることが出来れば、お前は俺に成り代わるんだよ】

「それはそうだけど、どうやるのか分からなくて」 


 アクトの説明は納得出来るけど、どうやれば本来の力を使えるのか、分からなかった。


【はぁ、お前はもうやり方を知っている筈だぜ? 何でここまで楽に泳げて来たんだよ】

「えっ、それは普通に‥‥‥あれっ、確か泳いでいるとき、アクトの動きになっていたような」


 レンはここまで泳いで来るときの事を思い出し、普段の泳ぎ方と違う事に気が付いた。


【ようやく気付いたかよ、お前は無意識に俺の動きに合わせているんだよ。つまり、俺は何もしてない、お前は俺の記憶をもとに無意識に動いているんだよ。だから、アクアトルネードのコントロールも知っている筈だぜレン? 俺の動きに合わせれば、お前は完全に俺なんだよ】

「そうだねアクト、さっさはわがまま言ってごめん」


 アクトに任せようとしていたので謝っていた。


【別に謝るなよ、俺も説明が足りなかったと反省しているから。それよりもレン、さっさとやらないよ皆が心配するぜ】

「うん、分かったよアクト、僕に力を貸して!」

【任せなレン、俺とお前の力をクラブガニに見せようぜ】


 レンは軽く息を吐くと、レンの目が更に濃い青い目に変わり完全にアクトと一体化になり、アクアトルネードをコントロールし始めていた。


 よし、この調子でクラブガニを掻き集めれば、依頼を早く終われそうだよ。


 アクアトルネードでクラブガニを渦に巻き込んで、陸に向けていくつもの渦を放っていた。


「エレント、アルトニス聞こえるか?」

【えっ、レン様ですよね?】

【なんかレンさん、アクトの喋り方になっているよ】

「えっ、そんな事ないぜ‥‥‥って違うんだよエレント、アルトニス、これはアクトとシンクロしているからついアクトの喋り方になっているだけだぜ」


 レンは普通に喋ろうとしたが何故かアクトの喋り方になっているのでパニクっていた。


【クスクス、知っていますよレン様、完全に精霊依すると基本的に精霊依した精霊の喋り方になりますからね】

【まぁ、それが精霊と一つなった証だから、レンさんには喋り方で苦痛になるかも知れないけど、それが精霊依だからしたないね! あとはレンさんが練習して、喋り方を修正するしか方法はないよ】

「えっ、二人とも知っているのかよ。って何でアクトの喋り方なの?」


 エレントとアルトニスも知っているのでガックリしていた。


【悪いなレン、なんか喋り方で苦痛を与えて】

「いや、アクトが謝る必要ないぜ、あぁ、これは練習するしかないよ」


 エレントとアルトニスにクラブガニがもうすぐ陸に現れる事を伝えた後、レンは必死に喋り方を戻そうと練習したが、直ぐ戻らないので、シンクロを解除していた。


「はぁはぁ、やっぱり練習するしかないね?」

【まぁ、何回かやれば、コツが掴めるよ。それよりもお疲れ様、一つになった感想を聞きたいな】

「えっ、まだ終わってないけど、確かに一つになった時は体がもの凄く軽いね。今も軽いけど、アクトとシンクロしている時はなんか自分じゃないよ、全身にアクトのマナや感覚が伝わってくるよ」

【そうでしょう、俺もレンと同じ感想だよ】


 アクトが感想を聞いてきたので、素直に話すとアクトは凄く喜んでいた。


【それじゃ戻ろうかレン、今頃クラブガニが陸に着く頃だから、皆が戦っているよ。俺達も加勢しに行こうレン、泳ぎ方は覚えているよね?】

「分かってるよ、アクト。確認しなくても、どうせ僕の体をサポートするんでしょう?」

【何だ分かっているのかよ、まぁ、お前が何と言われようがサポートするけどな】

「はいはい、エレントとアルトニスに言われたんでしょう」 


 精霊達三人がレンを護る事を前もって話していることを精霊達の会話で事前に聞いていたので、アクトの会話から何となく分かっていた。レンは急いで四人と合流するため、猛スピードで泳ぎ進めて、陸に着くと四人が出迎えていた。


「あれっ、クラブガニと戦っていたんじゃないの?」


 四人が笑顔でレンを見ているので、嫌な予感がして恐かった。


「レン君、お帰り遅いよ。クラブガニ倒して退屈だったんだから」

「レン、遅いぜ待ちくたびれよ」

「レンさん、遅いですよ」

「レンお兄ちゃん遅いよ」

「えっ、大量のクラブガニを短時間で倒したの?」


 クラブガニを陸に送って、まだ数分程度なのに、何故か大量のクラブガニを倒していた。


「そうよ。私達がやればあっという間よ。まぁ、エレントとアルトニスさんも手伝ってもらったから早いんだけど」

「まさか、エレント、アルトニス、目立つ魔法使ってないよね」


 嫌な予感がしたので、二人に聞いたが、ほとんどが四人で倒したと言っていた。


「えっ、二人はクラブガニが海に戻らないように壁を造っただけなの?」

【はい、そうですよレン様、私とアルトニスは風と炎の低い壁を造っただけなので、あまり目立たないですよ】

【それに比べて、四人の攻撃は凄まじかったよ】


 エレントとアルトニスはここで起きた事を鮮明に話していた。


【さっさレン様から、もう直ぐクラブガニが陸に向かって来るみたいですよと報告がありましたわ】


 レンから報告を受けたエレントが四人に言っていた。


「オッシャー、レンが戻る前にさっさと片付けようぜ、レンが見てないなら本気出せるし」


 ファングがもの凄く気合いを入れてクラブガニが来るのを待っている。


「そうね、レン君の事だから、残したら絶対に戦うわね」


 レンの事を良く理解しているので、レンが来る前に全て倒そうと考えていた。


「ねぇ、アリスさん、本気で倒して良いんですか? レン師匠に残してあげた方が?」


 レンに怒られる事を危惧して、残した方が良いんじゃないかと三人に聞いていた。


「お前はレンに戦えと言うのか?」

「えっ、そんなの嫌に決まっているでしょう?」

「なら、全て倒せ、俺は命令できないけどそれくらい察知しろよ。お前は本当にレンの仲間なのか?」 

「僕はレン師匠の仲間ですよ。さっさは失言を言ってすみませんファングさん、考えて見ればレン師匠に残すのはまずいですね」


 ファングの説得でレイスの考えが変わっていた。


「皆、来たよ。レンお兄ちゃんが来る前に倒そう」


 海の方を見ると、小さい渦が海の中に見え、やがて渦が消えると大量のクラブガニが陸に押し寄せていた。


「うわ、大量にいるよ。みんな」


 大量のクラブガニが陸にウヨウヨいるので、四人は驚きながらも攻撃を始めていた。


「エレントとアルトニスさんはクラブガニが海に行かないようにお願いします。後はこっちでやりますので」

【わかりましたわアリスさん、アルトニス行きますわよ】

【了解、それじゃ行くよ‥‥‥】


 エレントとアルトニスが海側に風や炎の障壁を張りクラブガニが海に逃げないようにしたのを確認した後、四人は剣技、武術、魔法などを使って、クラブガニを一掃していた。


「行くわよ、サンダーフレア」

「僕も行きますよ、ファイアーウォール」

「行きますよ、爆炎轟龍波(ばくえんごうりゅうは)

「喰らえ爆殺轟衝剣ばくさつごうしょうけん


 四人の激しい炎と雷撃が辺り一面に鳴り響き、数分程度で全てのクラブガニを撃退していた。


 へぇ、僕が来るまでの間にそんな事があったんだ‥‥‥。


 エレントとアルトニスの説明を聞いて、レンは暗い表情をしていた。


「レン君、どうしたの暗い顔をして、もしかして戦えなかったのがそんなに不満なの?」

「いや、倒してくれたのは有難いけど、あっちこっちに穴があるんだけど」


 周りを見ると、攻撃の凄まじさが伝わる、穴がいくつもあった。


「アハハッ、大丈夫よレン君。これくらい魔法で治すから心配ないで」

「えっ、魔法で何とかなるレベルなのこれ、どうせファングとレイスが攻撃した痕だよねこれ?」

「アハハッ、ちょっとやり過ぎました」

「悪いレン、つい楽しくて力を抑えるの忘れてたよ」


 ファングとレイスが手加減するの忘れたと言った瞬間更に表情が暗くなっていた。


 えっ、ファングとレイスが本気でやると、あんな感じになるの? 普通にやり過ぎだよ、もうちょっと手加減してよ!


 ファングとレイスが攻撃して出来た穴を見て、新たな悩み事がまた一つ増えたと思っていた。アリスとレオスが魔法で穴を修復している間、レンはアクトと再びシンクロして喋り方の練習をしていた。


「レン師匠、なんかファングさんと同じ喋り方ですね」

「当たり前だろう、アクトと俺は喋り方がほとんど同じ何だからそうだろう、レン?」

「そうだぜファング、って違う、何で普通に喋れないんだよ。しかもほとんどが語尾の部分だけ変になるんだぜって違うよ‥‥‥」

「まぁ、練習するしかないなレン、俺は面白いけど」

「エレント、アルトニス、ファングに攻撃!」

【わかりましたわレン様】

【了解、レンさん】

「ちょっと待て、レン。今のはジョークだよ。何で真に受けているんだよ」


 レンは必死に喋り方の練習をしているのにファングが笑っているので、エレントとアルトニスに命令してファングを追っ掛け回していた。


「レン、頼むから二人を止めてくれよ」

「ダメだぜ、アリスとレオスが魔法で修復するのが終わるまで、精霊達の相手宜しく、さて練習の続きするかな?」

「ちょっと待ってレン‥‥‥」


 ファングはエレントとアルトニスの軽い攻撃を受けながら、周辺を回っていた。


「ファングさん大変ですね、エレントとアルトニスさんに軽い攻撃されてますけど」

「まぁ、怪我しない程度の攻撃だから大丈夫だよ。それにエレントとアルトニスも楽しそうだし」


 レンは喋り方の練習をやめて、レイスと一緒にファングと精霊二人を見ていた。


「よし、終わったわよレン君」

「ご苦労さま、二人とも、さて僕も解除しよう。アクトご苦労さま」


 アリスとレオスが周辺の修復が完了したので、レンはアクトと精霊依を解除していた。


【うーん、楽しかった。また一緒になろうねレン】


 アクトは嬉しそうに、レンの回りを飛び回っていた。


「はいはい、また機会があればね。エレントとアルトニスもご苦労さま、今日はゆっくり休みなよ」

【わかりましたわ、レン様】

【了解、ゆっくり休むよ】


 精霊達は笑顔で手を振ると、姿を消していたが、毎回お決まりの謎の風がレンの所だけ靡いていた。


 いや、絶対に休んでないよね、普通に僕の回りを三人仲良く飛び回って入るんだけど。しかも嬉しそうな声が聞こえる!


 精霊達が元気よく、レンの回りを飛び回っているので、疲れてないのか心配していたが、精霊達の声をこっそり聞くと大丈夫そうなので、好きにさせる事にしていた。


「それよりも、夕方になっちゃたね」


 太陽を見るとだいぶ日が欠けていた。


「そうね、早くギルドに行って報告しましょう。盗賊に襲われるリスクが高まる前に」


 五人は急いで報告するため、ギルドに向かったが着く頃には夜を迎えていた。


「さてと、今日は誰を襲おうかな」

「見て下さいよ、ガキがギルドに入って行きますぜ」

「もしかしたら、ギルドの報告に行ったのかもな、これは楽に資金を奪えるかも知れないぜ」

「なら、今日はあのガキがターゲットですね」

「あぁ、そうだぜ、エレナしっかり俺達を逃がせる準備をしろよ」

【分かりましたよ、私はあの五人を襲うのは嫌ですが、お頭の命令なので、しっかりとやりますよ、それじゃ姿を消してサポートさてもらいますよ】


 不審な二人と精霊が建物の屋根から、レン達の動向を監視しているのだった。


「あのクラブガニを一日で片付けたんですか?」

「そうよ、何か文句あるの?」

「いえ、ないですけど。今の時期は海の中にいるのでどうやって倒したのか気になって‥‥‥」 

「それは秘密よ、教えたらみんな簡単にやるでしょう? それにむやみにやり方や技を教えたら信用をなくすでしょう?」

「確かにそうですね、すみません、変な事を聞いて、それじゃ手続きしますから待って下さい」


 受付の男性は驚きながら色々聞こうとしたが、アリスの威圧感に負け、完了の手続きを開始していた。


「はい、こちらが依頼報酬のプラチナ貨二十枚と各単位五が付与されます。これかも、レイスギルド支部を宜しくお願いしますね。リズワール王国の学生さん」


 受付の男性から報酬を受け取ると、受付の男性はまた依頼を宜しくと五人に期待を寄せていた。


「なんか期待されてるね」

「まぁ良いんじゃないの? それだけ、私達の学校が優秀だと分かって、それに学園の知名度が上がるわ」


 生徒達の情報はリノワール王国の学園から各ギルド支部に通達されているので、夏季休暇と冬季休暇中はどこのギルド支部に行っても依頼を請ける事は可能である。


「それよりも、早く宿に戻ろうぜ。もう腹が減ったよ」

「ファング、今こうして宿に向かって歩いているのに弱音を吐かない。レイス君を見習いなさい、珍しく弱音を吐いてないでしょう」

「レイスは俺の魔法を少しあげたんだよ。なぁレイス」

「アハハッ、そうですね。ファングさんからちょっと魔法を頂きましたから」

「何だそうだったのね、ならファングが頑張らないと行けないわね」


 五人は宿を目指して、森の方角に向けて歩いていると、精霊達が話し掛けていた。


【レン様、不審な二人がレン様達の後ろを付いて来ていますわよ】

「えっ、もしかして例の盗賊?」

【分からないけど、その可能性はあるよ】

【それに、精霊の気を感じるよ】


 精霊達が不審な二人がいると言っているので、相手に気付かないように四人にも精霊達の声が聞こえるように頼んでいた。


「レン君、精霊達が言っている事は本当なの?」

「分からないけど、少なくとも僕達の跡を付けているみたいだね。エレント、アクト、アルトニスの事もバレているんじゃないの?」


 精霊達は相手の精霊を感じ取っているので、相手もレンの精霊達を把握しているんじゃないか危惧していた。


【それなら大丈夫だよレン。相手の精霊は多分俺達を感じる事は出来ないよ】

「えっ、どうして断言できるの、君達は相手の精霊を感じるんだよね?」

【そうだけど、僕達はレンさんと精霊依しているから、マナ質がレンさんに近くなっているよ】

【恐らく相手はレン様の魔力が邪魔して、精霊特有のマナを把握する事は困難でしょうね】


 精霊達はレンの魔力で精霊のマナを打ち消しているから、感知されないと説明していた。


「そうなの? 若干心配はあるけど三人が大丈夫と言うのなら、ちょっと見てきてよ、本当に僕達の跡を付けているのか?」


 精霊三人に言うと喜んだ様子で不審な二人を確認しに行った。


「もし仮に、俺達の跡を付けていたらどうするつもりだ。もしかして捕まえるのか?」

「そうだね、犯罪は良くないよ、それに僕達を狙っていることは、ギルドで稼いだ資金を狙って入ることになるから」

「はぁ、レン君らしいわね、まぁ、どのみち資金を奪う事があれば捕まえないと行けないし」


 五人は不審な二人に付けられていない事を信じて、精霊達の帰りを待っていたが、帰って来るとやはり不審な二人が五人の後ろを付けている事を知らされていた。


「どうするレン、ここだと人目があるから襲わないけど、俺達が泊まる宿は人目がない通りだぜ」


 宿がある場所は街外れにあるので、五人が襲われるのは時間の問題だった。


「はぁ、アリス、レオス、何か僕達の姿を消す方法ない?」


 五人の姿を一時的に隠して素早く、その場から逃げようと考えていた。


「それは、無理ね。相手に精霊がいる以上、逃げてもすぐに見付かるわ」

「そっかぁ、なら待ち伏せして捕まえるしかないね」


 アリスとレオスに聞いていたが、アリスに無理と断定されたので、不審な二人を捕まえることに切り替えていた。


「レン師匠、どうやって捕まえるんですか?」

「とりあえず、襲って来るまで待つしかないね」

「はぁ、レン君らしい答えだわ」


 五人は不審な二人に気付いていない振りをして、楽しく歩いていると、やがて人の気配がない場所に来て、後ろを付けていた二人が急に走りだし五人に襲い掛かっていた。


「イテー、何だこのガキ」

「グッ、こんな子供に俺がやられるなんて」


 不審な二人は五人に襲っていたが、返り討ちにあっていた。


「レン君、どうするこの二人?」

「とりあえず、ギルド支部に引き取って貰おうよ」

「分かったわレン君、さっさと歩きなさい、死にたくなければ」

「ヒェー、何だよ。このガキ共は、恐ろしい事を言って入るんですけど」 


 アリスに脅されて、不審な二人は怯えていた。


「案ずるな、もうすぐ彼奴が助けに来る、その間に逃げるぞ」

「おい、何ごちゃごちゃと話しているんだ」


 不審な二人が何やらヒソヒソと話ているので、ファングが問い詰めていると、突然砂煙が五人を襲っていた。


「何これ、何で僕達五人だけ襲って来るの?」

「レン君、これは例の砂煙よ、ファング、レイス、不審な二人を逃がさないように」

「分かっているけど、目があぁ」


 砂煙は五人を襲い、視界を悪くしていた。


「今の内に逃げるぞ!」

「分かっていますよ」

「待て、逃がすかよって、クソ前が見えねぇ」

「エレント、二人を逃がさないようにお願い」

【分かりましたわレン様】


 不審な二人は砂煙に紛れて逃げようとしていたが、エレントの魔法で二人を植物で巻き付けていた。


「グェ、何だよこれ動けねぇ」 

「フゥ、もう逃げられないね」


 暫くすると砂煙は無くなり、不審な二人の所に来ていた。


「残念だったな、逃げられなくて、さぁ俺達に付いて来て貰うぜ」


 不審な二人は観念したのか、五人の指示に従い、ギルド支部に向かって歩いていた。


【はぁ、お頭に何て報告しよう、まさか二人が捕まるなんて、しかも今の魔法は何なの、あの子供たちが扱える魔法ではないわ】


 上空で不審な二人の手助けをしていた精霊は相手の精霊の存在を把握していないみたいで、レン達の魔法に驚きながら、その場を後にしていた。


「君達、凄いね。まさか、盗賊集団の二人を捕まえるなんて、この二人はこちらから、自衛団に報告して置くので後日報奨があるかも知れませんよ」


 五人は不審な二人をギルド支部に手渡した後、宿に戻っていた。


「すみません、遅くなってしまって、今戻りました」

「はぁ、皆さん無事だったんですね、今食事を貰って来ますね」


 宿の三人は盗賊集団に襲われたんじゃ無いかヒヤヒヤしていたが五人の無事な姿を見て安堵していた。


「えっ、盗賊集団の二人を捕まえたんですか」

「そうよ、レン君が二人を取り押さえたのよ」

「どうやって捕まえたんですか、相手は巧妙な砂煙で逃げようとするのに」

「それは‥‥‥内緒かな。まぁ今回は簡単に捕まっただけで運がよかったのかも、余り魔法や武器で攻撃されなかったから」


 レンは精霊達がやった事を言えず、色々と誤魔化していた。


「そうですか、多分相手も楽に金品を盗んでいたので、油断していたのかも知れませんね」


 五人と宿の三人はその後も、色々な話で盛り上がって入るのだった。



次回更新は明日の0時になります。温かくお待ち下さいm(_ _)m

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