#35 海底遺跡に突然現れたアクアカルデラ
お待たせしました第35話公開です。海底遺跡探索中のレン君達、いつになったら終わるのかな?(^-^;)
五人は海底遺跡の内部で若干の喧嘩があったが、今は立ち直り楽しく会話しながら奥に進んでいた。
ファングとレイスはだいぶ元の状態に戻ったなぁ。
レンに怒られた時は、今にも死にそうな状態になっていたが、今は立ち直り、会話も通常に戻りつつあった。
「なぁレン。疲れたりしてないか、俺は何でもやるから言ってくれ」
「レン師匠、本来なら僕もファングさんみたい、色々気遣いたいんですけど、今は荷物を運んでレン師匠の面倒を見れなくてすみません」
ファングとレイスは立ち直ったが、逆にレンに対する執着が強くなり、奴隷以上に扱き使ってくれとレンに迫っている。
「ファングとレイスの気持ちだけ受け取るから、そう言う事はしないで欲しいな!」
「いや、ダメだレン。本当は疲れているんだろう? ほら俺がおんぶしてやるから」
「いや、やる必要ないよね。何か前より悪化してない。もしかして僕に捨てられるの嫌なの?」
前に山道を歩いていた時、レンが疲れた表情をすると何故か何回も大丈夫かレンと連呼されていたので、再び悪夢がやってきた。
「そんな分けないだろう。なぁレイス、アハハッ」
「そうですよ。僕とファングさんがレン師匠に嫌われたくないからやっているなんて」
レイスがつい本音を漏らしていた。
「今、普通に言ったよね。僕は嫌いになるなんて言ってないし。ただ僕の面倒をしたいだけだよね。僕が死にそうな表情すると、君達顔色が物凄く悪くなるし、時々鬼ような目つきになる時もあるよね?」
レンの事になると四人の表情は頻繁に変わるのでその都度の態度で大体の事は想定出来ていた。
「そんな事はないわレン君。普通に気のせいよ。さぁ、レン君。ファングにおんぶしなさい。可愛いレン君がみたいわ」
アリスはレンの可愛い姿を見たい為、必死に説得を始めていた。
「マスター。おんぶして貰おうよ。少しはスタミナ回復させよう!」
レオスはレンを休ませて体力を回復させようと考えていたが、実際は弟のレオスが兄に伝えて言っているので、実際にレンのおんぶを見たいのは弟の方である。
「いや、アリスとレオスまで何を言い出すの?」
アリスとレオスも加わった事でレンは逃げ場を完全に失い、赤い顔をしながら、ファングの背中に抱き付いておんぶしている。アリスとレオスは可愛いとばかりに目を輝かせ、レンの姿をマジマジと見つめていた。
「あのう、恥ずかしいから見ないで」
「良いじゃない可愛いわよレン君」
「レン師匠、可愛いですよ。後ろからでもレン師匠の可愛いさが伝わってきます」
「マスター。めちゃくちゃ可愛いよ。まるで赤ちゃんをおんぶしているみたい」
「レン、あまり動くな。背中から転び落ちるだろう?」
「いや、みんな見るから悪いんだろう。僕は見せ物じゃないよ」
恥ずかしいとばかりに両手で顔を隠そうとしていたが、おんぶをしているので両手が使えず、顔をファングの背中に付けて隠そうとしていた。レンはファングにおんぶされた状態で五人は道の奥に進んでいると、広い空間に出ていた。
「レン君、あれを見て」
アリスが指差す方を見ると、遺跡の入口にあった壁画と同じ物が描かれていた。
「入口で見た壁画の続きみたいだね。それよりもファング、そろそろ降ろしてくれないかな?」
「あぁ、悪ぃ今すぐ降ろすよ」
レンはファングの背中から降りると壁画の方に歩き壁画を見ていた。
「なるほど、そう言う分けかぁ!」
「レン君、何か分かったの?」
「多分だけど、これは僕が考えた推論だよ」
レンは壁画を見て、自分の持論を四人に話していた。
「なるほどね、さすがレン君だわ。その考えなら納得いくわね」
「へぇ、やっぱレンは凄いぜ」
「そうですね。確かにクラーケンの立場で描いていると仮定すれば、クラーケンは元々海で豊かに暮らしていた所に、人々が食料を求めて海の生き物を掴まえていたと考えれば、あそこにあった壁画と繋がります!」
「レイスの言うとおりだよ。恐らく地下水路に描かれている壁画は、海の食材を見付けて豊かになった人々にクラーケンが復讐しに行った光景だね」
レンの説明で壁画の謎が解けた後、特に道もなく行き止まりだったので、五人はさっさと帰り、月光貝の依頼をギルドに報告するべくもと来た道を歩こうとしたら入口が淡い光で塞がっていた。
えっ、道が塞がっているんだけど、まさか戦闘になるの?
五人は嫌な予感がして周囲を警戒し始めている。
「レン、俺の傍から絶対に離れるなよ」
「マスター。今魔法掛けるね」
「えっ、また僕だけに防御魔法掛けてるよね。それよりも何で僕がファングの傍にいる必要があるの?」
「えっ、お前を確実に護るためだよ」
「さすがレオス君、気が利いているわね、レイス君、月光貝がダメにならないように安全な所に置いてから戦闘に加わってね」
「分かっていますよ。相手の技を見てから、適切に安全な所に荷物を置くようにしますので」
五人は周りを警戒しているが何故か楽しそうに話していると、奥に突然魔方陣が出現して、石のようなモンスターが現れた。
「あれは何だよ」
「あれは、アクアカルデラだよ。本で読んだ事あるけど陸地の水辺に生息しているはず何だけど、なんでここにいるの?」
「分からないけど、どんどんアクアカルデラが召喚されてない?」
「何かやばいよマスター。数がどんどん増えてるよ」
魔方陣があっちこっちに現れて、気が付くと十体のアクアカルデラに囲まれていた。
「これは手分けして倒すしかないね? 弱点は氷系の魔法や攻撃に弱いんだよね」
「そうよレン君。氷系の場合は相手の体を上手く凍らせれば楽に倒せるわ! ただ接近で攻撃すると強力な魔法や物理攻撃が来るから気をつけてね。それよりもレン君を戦わせたくないけど、今回は仕方ないわね?」
「そうだぜ、せっかくレンは後ろで見てもらう形にしようと考えていたのに」
「いや、僕は何を言われても戦うからね。前にも言ったけど、何で僕を護る必要があるの?」
「そんなの簡単だよ、誰よりもお前が大切だから、俺達四人はお前がいないと生きていけない存在になっちまったんだよ!」
「いや、それ答えになってないよね。しかも僕の知らない所で色々と四人で話して決めてない? 勝手に話を進めないで!」
相変わらず、話を勝手に進められていつもの通りに行動を起こす四人にレンは頭を痛めて仕方がなかった。
絶対に四人で話して決めてるよね。しかも僕がいないと生きていけないとか無理なんだけど、確かに四人に護ってくれるのは嬉しいよ、だけど限度があるよね、毎日護られていたら僕の異世界ライフが楽しめないよ! はぁ、もう無理なのは目に見えてるけど、少しは限度を抑えて欲しいよ、それとたまには一人で自由に行動させて、僕も一人でモンスターと戦いたいの!
四人に何を言っても無理だと思っているレンは四人の事を受け入れつつ、一人で自由に行動出来る方法を模索しようと考え始めていた。四人はレンを戦わせたくない様子だが、今回は状況が悪いので、仕方なく許可していた為、レンは四人に呆れていた。しかも四人は未だに腑に落ちないのか、時々レンの目線に入らないようにしながら鬼ような目つきでモンスターを睨んでいた。
「それじゃ、一人二体倒す事で良いよね」
「レン待てよ、やっぱりお前を‥‥‥」
「ファング、今は堪えて、またレン君に刃向かったら今度こそファングは終わりよ。一度決めた事を変えるのはレン君に取って禁句よ。また捨てられたいの?」
アリスは一度決めた事や解決した事をぶり返すとレンの機嫌が悪くなっている事に気づいていたのでファングに注意していた。
「うっ、それはダメだ。そんな事されたら、俺は‥‥‥」
「だったら、早くモンスターを倒して加勢すれば良いでしょう。私だって、我慢してるんだから」
アリスもファング同様にレンを戦うのを止めようとしていたが言えずにいた。
「すまないアリス、ついレンの事になると、理性がダメになりそうなんだ。今にも、俺の中にいるもう一人の俺が出てきそうだから‥‥‥」
戦闘時ファングは冷徹で冷酷なもう一つの自分が存在する為、レンに存在を知られたくないように必死に感情をコントロールしていが限界を迎えていた。
「そろそろ、裏の姿をレン君に晒したら?」
「出来るかよ、俺が戦闘狂みたいに見られるだろう?」
冷徹で冷酷なファングになると無差別に視界に入った獲物を狩っていたので、残虐な姿をレンに見せたくなかった。
「私は別に良いと思うけど、まぁファングが俺をもっと楽しませてくれよとか言ってたら、レン君は退いているかもね?」
「だから、嫌だってさっきから言っているだろう。でももう無理だ、抑えられないよ、早く戦いたいぜ」
ファングは戦いたくて、若干不気味な笑みをこぼしながら敵の方をチラッと見ていた。
「レン君、これがファングの素顔よ」
アリスがレンに聞こえるように話していたので、ファングの素顔が全てバレていた。
「そうだね。何となく気付いていたよ。理性なくすとか言っているけど、僕の声は反応してるよね」
前にファングが黒いローブと戦っていた時に声を掛けたが、レンを襲って来なかったので、本当は理性を失っていないと思っていた。
「えっ、何を言ってるんだ俺は戦闘狂じゃないぜ! それにレン達を襲ったりしないよ」
ファングは必死に否定しているが、レンは疑いの目で見ている。
「そうかな、前にファングが黒いローブに加勢するときに、まだいるのかと不気味な笑みで言っていたでしょう? 僕がファングの本来の力を妨げているんじゃないかと思って?」
ファングは普段、レンの傍で戦っている時に戦い辛そうにしていたので本来の力を出せていないと考えていた。
「お前、気づいていたのかよ。はぁ、お前には敵わないよ。それじゃ今まで隠していた俺は何なんだよ! 俺が惨めじゃないか、それに四人を襲ったりしないよ。特にレンだけは、絶対に襲わないと誓っているから、お前の声は何故だか俺の中に響くんだ、多分レンの事が俺の中に染み付いているんだよ」
「はぁ、余計な事付け足さなくても分かっているから、ありのままの自分で戦って、それとアリス、レオス、レイスもファングと同様だよね?」
「レン君、何を言っているのかな‥‥‥」
「マスター。酷いよ僕はファングと同じじゃないよ」
「レン師匠、僕が戦闘狂な分けないですよ」
「全力で否定する所が非常に怪しいんですけど?」
三人は全力で否定していたが、レンはファングと同じだよねと言うと三人はファングに目線を送って余計な事を言わないでと訴えていたが、レンに隠し事をしても無駄だよ、素直に話せとファングが目線で返されたので三人は諦めて素直に認めていた。
はぁ、結局三人もファングと同じなんだね。何となく気付いていたよ。普通に僕の事になると表情が色々と変わるからね。だけどこれからどうしよう、これ完全に僕の支配下にいるよね? 僕の命令で動くようになったら完全に終わりだよ!
四人の事は薄々気づいていた感じだけど、今後四人が完全にレンの言いなりになって動くような事態を警戒していた。
「さて、僕は先に行くよ!」
「レン、あんまり無理するなよ。直ぐに加勢に行くから」
「ありがとうファング、だけど冷徹な目や冷酷な事はしないでね」
「するわけないだろう、あれはレンがいない所でやっているんだぜ」
「本当からしら、時々レンの死角でやっているでしょう」
「アリス、余計な事を言うな、俺達もさっさと行くぞ! レンだけ戦わせたりしないぜ」
「そうですね、レン師匠を早く護らないと」
「みんな早く行くよ、マスターが怪我したらどうするの?」
五人はそれぞれ分かれてアクアカルデラを倒しに走りだした。
全く何時まで僕の事を話しているんだ、それよりも久しぶりに戦えるよ。ずっと戦えなかったから剣技が鈍ってなければ良いけど。
レンは基本的に後ろで魔法を放っていることしかやっていなかったので、久しぶりに戦える喜びがあるが四人のせいで腕が鈍ってないか不安だった。
よっと、水魔法が邪魔だけど、このくらい楽に行けるよ。
アクアカルデラのアクアプレッシャーを避けながら、近付くと何処からか複数の声が聞こえて、レンの倒すアクアカルデラだけ氷付けになっていた。
えっ、何で急に氷付けになっているの? まさか‥‥‥!
レンはとりあえず、軽く強打を与えるとアクアカルデラは氷の結晶になり砕けていた。
「アクト、ちょっと話があるんだけど?」
【どうしたレン、何か怒ってないか?】
「アクトがアクアカルデラを凍らせたの?」
【いや、凍らせてないけど、勝手にやったら怒るだろう? それにやった奴はあそこにいるだろう? 俺達精霊はお前の命令以外は基本的にやらないよ。本当はやりたいけど、我慢してるんだから彼奴らが羨ましいぜ】
アクトが指差す方を見ると、ファング、アリス、レオス、レイスが魔法や物理攻撃を避けながらレンを見ていた。
「まさか、自分の敵を無視して、遠くから技や魔法を撃ったの?」
【そうだぜレン、彼奴ら凄い芸当するよな。まぁ、お前は戦えなくて残念だけど】
「いや、普通は目の前の敵に攻撃するよ。何で目の前の敵を相手しながら、僕の敵に攻撃するのか理解出来ないよ」
四人を見ると未だにアクアカルデラと戦っているので、何で僕の相手するアクアカルデラに攻撃したのか理解出来ていなかった。
【でも凄いと思うよ、君達の仲間は普通じゃないね!】
【そうですわね。本当にレン様に執着してますわね。万が一の時は私達が待機していたのに出る幕がなかったですわ】
「エレント、アルトニス、呼んでないけど勝手に姿を晒さないで」
アクトと話していたのに何故かエレントとアルトニスが現れたので、呆れながら二人を見ていた。
【えっ、アクトばかりレンさんと話してズルいんだけど】
【そうですわ、私達は三人で一つ何ですから、私を呼べば、アクトとアルトニスも一緒に現れますわ】
「はぁ、分かったから好きにすれば、但し場合によってはちゃんと考えてから出て来てよ」
【そのくらいは分かっていますよレン様】
レンはやることがなくなり四人に加勢しに行こうと考えていると、四人から加勢しなくても大丈夫と声が聞こえていたので、レンは頭を痛めていた。
この四人は絶対に変だよ。僕が加勢しちゃダメとか普通はあり得ないよ? 僕達仲間だよね?
仲間なら普通助けに行くのが筋だが、何故かレンの仲間は頑なに断るので仲間の意味が分からなくなっていた。レンは四人に加勢するなと言われたので、遠くから精霊達と戦いを見守る事にした。
「エレント、アクト、アルトニス、四人がもし危険だと思ったら加勢してあげて、僕が行けない以上君達が頼りだから」
レンは助けに行きたいが四人に絶対来るなと言われているので、精霊達を頼るしか方法がなかった。
【分かっているぜ。でも俺達が出る幕あるのか】
【彼らを見ると僕達がやる必要ないよね?】
【アクト、アルトニス、レン様が言っているんだから万が一の事があるでしょう?】
【俺は逆にレンの傍にいた方が良いと思うぜ?】
【そうだね、アクアカルデラの魔法がこっち来るかも知れないし】
「いや、僕は大丈夫だから四人の方を手伝ってよ」
精霊達に四人を護ってと命令したのに何故かレンを護ろうと考えているので、必死に四人の方に行ってと言ったが、レンの傍で対応出来ると言っていたので、三人はレンの上空で待機していた。
はぁ、絶対に僕の傍から離れないよなこの精霊達! そんなに僕の事が心配なの?
レンと精霊達が話していると、戦いが終わったのか四人が走りながらレンの傍に来ていた。
「レン、大丈夫かぁ、怪我はないよな」
「ないけど、何で毎回僕の邪魔をするの?」
「それはレン師匠を護る為ですよ!」
「いや、僕を護っていたら君達が危険になるよね?」
「レン君、私達は強いんだから、心配しなくても大丈夫だよ」
「別に心配はしてないよ、君達の実力は知っているから、だけど僕もたまには戦わせてよ。この学園に入った意味がないんだけど」
「本当に悪かったから、俺達皆反省してるから許してくれよ」
四人を見ると反省している表情をしていたので、レンは何かを思い付いて、四人に提案していた。
「はぁ、分かったよ。それじゃ、罰として皆は僕が選んだ物だけ食べてね? 僕は一人で美味しい物食べるから」
レンはアクアカルデラと戦わせてくれなかったので、四人を罰を与えようとしていた。
「うっ、ちょっと待ってくれ‥‥‥アリス話が違うだろう。レンかなり怒っているぜ」
四人はレンを仲間外れにしてコソコソと話し始めていた。
「そうね、レン君に少し戦わせてから加勢すればよかったわね、選択ミスだわ」
「アリスさん、このままだと本当にレン師匠の選んだ料理しか食べれませんよ。もし量が少なかったらどうするんですか?」
「ごめんね、レイス君、その時は私の魔法をたくさんあげるから許して」
「僕はマスターと同じ物しか基本的に口に入れないのに、どうしてくれれるのアリス」
「本当に悪かったと思っているわよ。それにこれは私達がやった事には変わらないんだからファング、レオス君、レイス君も反省してよね。本来なら私達はレンに捨てられてもおかしくないんだから、素直にレン君の罰を受け入れましょう!」
「はぁ、そうだな。アリスの意見に賛同した俺達も悪いんだから、素直に受け入れようぜ、また色々言うとレンに何を言われるか分からないし」
「そうですね、これ以上レン師匠を怒らせるとまずいですからね」
四人はコソコソと話し終えるとレンの罰を素直に受け入れると言っていたが、レンだけ仲間外れに話していたので腑に落ちない様子だった。
四人で何を話していたの? もしかして、また戦いの邪魔する方法を考えているんじゃないの? 本当にやめてよね!
レンは四人の話していた内容が違うけど、別の意味で四人を不信に思っていた。アクアカルデラを倒すと、光で塞がっていた道はなくなり、普通に通れるようになっていたが奥に転移魔法陣があった。
「えっ、まだ先があるの?」
「とりあえず、行くしかないな」
五人は仕方なく転移魔法陣に乗ると、光に包まれて目をあけると地下水路の遺跡の入り口にいた。
「あれっ、ここはアクトがいた地下水路だよね」
【そうだぜ、でも何でここに転送されるんだ?】
精霊アクトは不思議そうに考えていた。
「多分だけど、壁画の続きがあるから、ここに来たんじゃないの」
「それって、壁画を見る順番になぞってきただけだよな」
「そう言う事になるわね」
五人は不思議そうに思っていたが、海底遺跡から楽に脱出出来ていたので、これはラッキーだと思っていた。
「アクト、別に深く考える必要ないだろう?」
【それはそうだけど、気になるだろう? 多分、ここから海底遺跡に行ける場所があるじゃないか普通は考えるだろう?】
「それはそうだけど、解決したから良いんじゃないの? それに君達の力も見せて貰えたし」
【はぁ、お前が言うのなら、深く考えないけど。少しは楽に移動出来る事を考えたらどうなんだ? お前は相変わらず呑気だよなぁ】
「えっ、別に良いでしょう。それが僕なんだから」
【分かったよ、好きにすると良いよ。俺達はただお前に付いて行くだけだしなぁ。エレント、アルトニス、姿を消すぞ、ここは人目に付くからな】
【そうだね、それじゃ皆また後で、と言うかレンさんの上空にいるんだけどね】
【レン様、私達は一旦姿を消しますね、何かあったら、レン様と私達は会話出来るので使って下さいね】
「はいはい、何回も聞いているから、早く姿を消してね」
精霊達に釘づけされて、レンは呆れながらも頷いてあげると三人は嬉しそうな表情をして、レンの回りを飛び回りながら姿を消していた。
僕の所だけ異常に風がなびいているんだけど、あまり僕の回りを飛び回らないでよ!
五人はフォード王国のギルドを目指し歩き始めたが、レンの所だけ不自然に風がなびいていて、気持ち良さそうな風が吹いているがレンは喜んでいなかった。ギルドに着くと早速レイスがリュックから月光貝を取り出す間、レン達は依頼の報告をしていた。
「はい、確かに依頼は達成みたいですね。月光貝を見せてくれませんか?」
レイスが手渡すと、ギルドの受付の人は驚いて、月光貝を奥に持っていき鑑定をしていた。
「どのくらいになるかな、受付の人驚いていたよ」
「あの様子だと期待出来るわね」
「それよりも、エレント、アクト、アルトニス、いい加減僕の回りを飛び回るのやめてよね! さっさギルドの人と話していた時は風がなびいていなかったのに、また風がなびいているよ」
【えっ、別に周りには迷惑掛けてないだろう?】
【僕達はレンさんに悪い虫が付かないか近くで飛び回り監視しているんです】
【こうして、弱い風がなびいていれば、精霊達の加護を受けていると分かるでしょう?】
「いや、僕達だけに精霊達の存在が分かっても意味ないと思うんだけど」
精霊達の理屈は色々と間違っているが、周りに迷惑を掛けていないので精霊達を責めないけど、精霊達が元気よくレンの回りを飛び回るので、正直ウザかった。精霊達と話していると、奥から受付の人がやってきたので、精霊達はレンの後ろに移動して背中の横から覗き込みながら受付の人を見ていた。
「はい、こちらが報酬のプラチナ貨三十枚と五単位をそれぞれ配布しますね」
「うわ、凄い大金だわ。こんなに頂いて良いのですか?」
「はい、月光貝の品質や大きさがかなりよかったのでその額になります。それに最近はあまり月光貝を採りに行く人がいないので、その分高値になっていますね」
ギルドの人から報酬を受け取り喜んでいるとレンがギルドの人に質問していた。
「あのう、あと二ヶ月くらいで行ける大陸とかありますか?」
レンは夏季休暇中に出来るだけ色々な場所を巡りたいので二ヶ月くらいで行ける範囲を聞いていた。
「そうですね、近くで良ければレイン王国が定期船で三日程度で行けますよ。レイン王国は海に囲まれた諸島でリゾート施設がある場所です。観光やバカンスで息抜きしてみたらどうでしょうか、もちろんギルドの依頼もありますよ」
「へぇ、大陸以外に小さい島に国を作る所もあるんだね」
「レン君、レイン王国に行きましょう。私海に入ってゆっくり過ごしたいわ」
「ですが、あそこは賃料など色々と高いので貴族向けにはおすすめですが、君達みたいな子供にはあまりおすすめ出来ませんよ」
「それでも大丈夫です。レイン王国は夢の国と言われているんですよ。一度行ってみたいと思っていたの良いよねレン君」
「別に構わないけど、レイン王国にもギルドがあるんですよね? 報酬もこっちよりも高いんですよね?」
「えっ、それはそうだけど、もしかして君達レイン王国の依頼を受けるの、レイン王国の依頼は難しい物ばかりと聞いているわよ」
「なら大丈夫だね、僕達なら絶対に依頼をクリア出来るよ」
「まぁ、お前らしい答えだぜ、俺達はどこでも付いて行くけどな」
五人はギルドの受付の人に挨拶した後、近くの喫茶店で食事をすることにした。
「それで、俺達は何を食べれば良いんだ?」
四人は不安げに怯えながら、レンに恐る恐る聞いている。
「そうだねぇ、本当なら罰をあげるけど、依頼の内容がよかったからチャラにしてあげるから好きに食べれば」
「えっ、レン君本当に好きな物頼んで良いの?」
「僕が良いよと言っているのに何で不安げな表情をしているの?」
「それは、レン師匠が一番分かっているんじゃないんですか? 僕はレン師匠と同じ物で良いですよ」
「俺もレンと同じ物で良いよ」
「僕もマスターと同じ物で」
「私もレン君と同じ物にするわ」
「いや、そんな不満な表情するのなら好きな物を頼べば良いんじゃないの?」
レンは好きな物を頼んで良いよと言っているのに四人は何故かレンと同じ物を食べると言っていたので、仕方なく同じ物を頼む事にした。
はぁ、結局自ら罰を受けているよね!
それから五人はレンと同じ物を食べながら、楽しく食事をした後、宿に戻りゆっくりと部屋で疲れを癒やしていたのだった。
次回更新は明日です。楽しみにお待ち下さいm(__)m




