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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 第1節 帰省と海岸都市フォード王国の冒険
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#31 海底遺跡に捨てられた精霊

お待たせしました。第31話公開です(≧∇≦)b遺跡の奥にレッゴーさてレン君は何を見つけるかな?

 五人は海底遺跡の奥にある転移魔方陣を使って、別の部屋に移動していた。


 うぁ、凄いよ。遺跡の地下にこんな場所があるの?


 五人が移動した場所は、周りから水が流れて、湖のようになっていた。


 しかし、この床どうなっているの?


 床の下を見ると、水が一面に張っていて、目視で確認が出来るので水の底が深いのがハッキリと分かった。


 周りの溝に落ちたら確実に溺れて死ぬな。あれ、床の下に赤い石が光っているよ? だけど光ったり、消えたりしてるよ。


 レンの立っている、床の底を覗くと赤い石が光っていた。


「レン君、どうしたの下なんか見て?」

「あそこに赤い石が光っているけど?」

「えっ、どこにもないけど?」

「そんなはず無いよ。ほら光っているでしょう?」


 レンは指差す方を示して、教えていたけど四人には見えてなかった。


 何で僕しか見えてないんだ? もしかして‥‥‥。


 レンはエレントとアクトを呼び出して、指差す方を示していた。


「エレント、アクト、あの光っている石、分かる?」


 すると、エレントとアクトは驚いた後、険しい表情になっていた。


【まぁ、あれは精霊だわ】

「えっ、精霊なの?」

【あぁ、精霊の波長を感じるけど、死ぬ間際だぞ】

【理由は分かりませんが、契約者がいないのを見ると、強制的に契約を破棄された可能性がありますね】

「契約破棄って何?」

【つまりは精霊を捨てたんだよ。新しい精霊と契約する為に、この精霊は魔法で石の中に封印されたんだよ。石の中に閉じ込めれば、精霊が生きていくマナが取り込めない状態にすることが可能だからな】

【それに精霊が死ねば、契約は解けてまた新たな精霊と契約出来ますからね。レン様みたいに複数契約者はあまりいませんから、普通は一体が限度ですわ】


 エレントとアクトの説明を聞いて、レンは精霊を捨てた奴を許さないとばかりに、怒りに溢れていた。


「エレント、アクト、あの精霊助けられない」


 レンは精霊を助けられないか聞くとエレントとアクトは笑顔で答えていた。


【そう言うと思いましたわレン様。レン様らしい答えですわね】

【お前らしい答えだな。だったら早く助けようぜ。俺が取って来てやるよ】


 アクトは勢い良く水の中に入ると、赤い石を取って戻ってきた。四人はレンに集まり、アクトが取ってきた石を見ていた。


「ねぇ、エレントさん、アクトさん、精霊って石で出来ているの?」


 アリスは、石から精霊のマナを感じるとエレントとアクトが言っていたので、聞いてみた。


【違うよ、そんな分けないでしょう。俺達精霊や妖精は精霊王によって自然から生み出されているんだよ】

【それよりもレン様、早く精霊を助けましょう。このままだと精霊が死にますよ】


 赤い石を見ると、光が小さくなって今にも精霊が死にそうな状態が伝わっていた。


「エレント、アクト、どうすれば助かるの?」

【それは、簡単ですわよ。レン様の魔力を石に注げば解決ですわ】

「えっ、魔力を注げば良いの?」

【あぁ、そうだぜ。俺達のマナも与えるから、レンは石に魔力を流し込むイメージをしろあとは俺達も手伝うから】


 レンは石を強く握りしめた後、目を瞑り全身の魔力を石に向けて注ぎ込むイメージをした瞬間、目を見開くと全身の魔力が石に注ぎ込まれているのが分かった。エレントとアクトはレンの手に触れて、精霊のマナを石に注いでいた。暫くすると、石が砕けて消滅していた。


「ねぇ、石砕けたけど精霊は助かったんだよね?」


 石が砕けたので精霊が消滅してしまったのか不安になっていた。


【大丈夫ですよ。精霊は助かったみたいです】

【あぁ、大丈夫みたいだぜ! 後ろを見ろ】


 後ろを見ると、赤い光に包まれていて、やがて光が消えると、赤い髪の少年がレンを見つめていた。


【お前、アルトニスなのか?】

【なぜアルトニスがここにいるんですか?】

【その声はエレント、アクトだね。まさか君達に助けられるなんて夢にも思わなかったよ!】

【それはこっちの台詞だ。何故お前が石の中に閉じ込められているんだ。しかもお前あと少しで死んでいたぞ!】 

「えっ、この精霊、エレントとアクトの知り合いなの?」


 エレントとアクトに聞くとアルトニスはエレントとアクトの精霊界での同期だったらしい。


「へぇ、アルトニスさんは、エレントとアクトの同期で精霊界にいた時はアクトとアルトニスが一位二位を争っていたんだ」

【そうですわよ。アクトはいつも二位でしたけどね】

【うるせー、一位なりたくてもいつも俺の上を行くんだよこいつは】

【酷いなアクト。それはただ実力が足りなかっただけでしょう】

【いや、お前が俺の邪魔していただろう。実技が始まると俺のアピールをしまくっていただろう。恥ずかしくて集中出来なかったよ】

【僕はアクトを一番尊敬しているんで、皆さんにアクトの素晴らしさを教えていたんですよ】

【あぁそうですか、相変わらずそこだけは変わらないな】


 エレントとアクトはアルトニスとの懐かしい思い出を語っていた。


「ところでアルトニスさんは何故、石に封印されていたんですか?」

【あぁ、俺も知りたいぜ、お前程の精霊が何であんな状態までなったのか】 

【それは‥‥‥】


 アルトニスは契約者に扱き使われ、次第に意見などの対立から、契約者に契約破棄を言われ、石に封印されてしまったのである。


【そうか、お前が契約する相手を見誤るなんて思わなかったぜ。お前の実力なら普通は捨てたりしないだろう?】

【アクトに何も言われても、言い返せないよ。僕が招いた事だから、笑いたければ笑えばいいよ】

【いや、笑ったりしないぜ。お前は契約者の態度や扱いに不満を持ったんだろう。俺だったら同じ事をしているぜ】

【アクト、僕は怖かったんだよ。まさかあんな精霊使いがいるなんて知らなかったんだ】

【あぁ、そうだな。お前精霊何だから泣くなよ。みんな見ているだろう】


 アルトニスは精霊使いに日々怯えながら、契約者に仕えていたので、精霊使いに拒絶反応を示していた。


【なぁ、レン。アルトニスと契約しないか。こいつは火と炎を司る精霊だぞ。こいつの実力は俺以上だからお前の傍に入れば護ってくれるよ】

【アクト、何を言い出すの、僕はもう精霊使いを信用出来ないんだよ。エレントとアクトだっていつか扱き使われて捨てられるよ】

【大丈夫だよ。アルトニス俺を信用しろ。レンはお前が見てきた精霊使いとは違うから。まぁ急に言っても無理だけど契約者を変えなければ、お前は前の契約者のもとに戻るんだぞ?】

【うっ、もうあんな事は嫌だよ、アクト助けて】

【だったら前の契約を完全に破棄してレンと新たな契約を結べ。なぁレン、また精霊が増えるけど良いだろう?】

「それは良いんだけど‥‥‥」


 アクトはアルトニスと契約しろと迫っていたがレンは不安を抱えていた。


 これ以上精霊と契約したら、僕死ぬと思うんだけど。エレントも言っていたよね。普通は一体しか契約出来ないって、三体も契約したら、僕の魔力は完全に底をつくよ。


 レンは今度こそ魔力切れで死ぬんじゃないか心配していた。


【さぁ、レン様。早くアルトニスと契約しましょう】

「分かったから急かさないで、アルトニス、僕が新しい契約者になるけど準備はいい?」

【はい、お願いします】


 アルトニスは若干怯えていたが、レンはアルトニスと言うと赤い光がレンとアルトニスを包み込む、アルトニスが苦しんでいた。


「アクト、アルトニス苦しんでいるけど大丈夫なの?」

【あぁ、大丈夫だよ。契約者を変える為に、アルトニスは前の契約者のマナリンクを解除して、レンと新たに繋ぎ合わせているんだよ。もう少しするとレンの魔力が一気に減るから気をつけてね】


 アルトの説明が終わって少し立つとアルトニスの苦しみは消えて何故か、笑みをこぼしてレンに近づいてきた。


【何この魔力、凄く美味しいんだけど。力が凄く漲るよ!】

【おっ、元気になったみたいだなアルトニス】 

【うん、アクトのおかげだよ。それに、エレントとアクトはレンさんに優しくされていたんだね?】

【お前、レンの魔力を通して記憶を覗いたのか】

【えへへ、ごめん。今までの事があったから信用出来なくて、でもエレントとアクトが選ぶだけあるね。この子なら一生付いて行ってもいいや】

【当たり前ですよアルトニス。レン様をそこらの人と一緒にしないで下さい】

【うん、そうだね。僕が悪かったよ。さっきは信用出来ないとか、扱き使われて捨てられるなどの発言をしてごめんなさい。それにレンさん、僕を助けてくれてありがとう。このお礼は一生レンさんに尽くします】


 さっきまでの態度とは一変して、明るく真面目な性格に変わっていたので、精霊の態度の変わりように呆れていた。


「アハハッ、よろしくねアルトニス」

【レンさん、大丈夫ですか? 僕が契約時にレンさんの魔力を大量に摂取したから】

【アルトニス、大丈夫だよ。俺達のマナをレンに与えているから、アルトニスは早く、レンの魔力を体に馴染ませろ! 馴染ませたらすぐにあれをやるから?】 

【分かっているけど、あれって何をするの?】


 レンの魔力が回復する間、三人はアルトニスの所に行き、レオスはレンの傍に寄り添っていた。


「なぁ、アルトニスは火と炎を扱えるんだろう。どんな魔法が使えるんだ?」


 ファングは火と炎系が得意なので、アルトニスが火と炎を司る精霊だと知ってワクワクしていた。


【えっ、唐突すぎる質問だね。魔法は戦う時に見せてあげるよ。前の契約者に仕えていた時はほとんど使わなかったから、多分君達が初めて僕の力を見ることになるよ】

「それじゃ、アルトニスさんは前の契約者にはあまり魔法を使わなかったの?」

【そうだよ。軽い魔法は使ったけど、僕の力を悪用されそうだったから、ワザと簡単な魔法が僕の最強の魔法と言ったら、期待はずれとか言われて、その後は君達が知っている状態でいたんだ】

「凄いわね、精霊が契約者に刃向かうなんて、普通はあり得ないわ」


 アリスは精霊の事をあまり知らないので、精霊が自分の意思で行動をしてる事を知って驚いていた。


「あのうアルトニスさんは火と炎を司る精霊なんですよね? なんか僕が想像していた精霊と違います」


 レイスはもっと暑苦しいキャラのイメージがあった。


【アハハッ、確かに僕も精霊界では言われたよ。属性や性格などが合ってないとか、でも精霊界では属性や性格などが合わない精霊や妖精はたくさんいるよ。君達が想像しているのは、多分古い書物にそう言う姿が書かれているから、そのイメージが強いんだと思うよ】


 三人は暫く精霊達と話をした後、レンの魔力が回復したので、三人はレンの所に来ていた。


「レン、もう立って大丈夫なのか?」

「レン君、あまり無理しないで」

「レン師匠、動いて大丈夫なんですか?」

「うん、大丈夫だよ。エレントとアクトのおかげでだいぶ魔力が回復したから。それにレオスが僕の傍で励ましてくれたからね」

「えへへ、レンお兄ちゃん、もっと撫でて」


 四人がレンを心配した後、アクトはレンにアルトニスと精霊依になっておけと勧められていた。


「えっ、アクトやらなきゃダメ?」

【あぁ、ダメだアルトニスとお前は体が形成出来てないから、いざと言う時にすぐに使えないだろう?】

【ねぇ、エレント。レンさんとアクト何で揉めてるの?】

【クスクス、それはですね‥‥‥】


 レンとアクトが揉めてるのを不思議に思いながら、アルトニスは二人が揉めている理由をエレントから聞くとアルトニスは目を急に輝かせていた。


【えっ、レンさんは精霊依になれるの?】

【そうですわよ、既に私とアクトは何回かなっていますよ】


 エレントの説明を聞くとアルトニスは羨ましそうに、レンのもとに掛けより、精霊依をやるように説得していた。


【レンさん、エレントから聞いたよ。エレントやアクトと精霊依になったんだって。僕だけ仲間外れにしないで】

「ちょっとエレント。余計な事を言わないでよ」

【クスクス、せっかくアルトニスが仲間になったんですから、使ってあげて下さいよ】

【そうだぜ、俺からも頼むぜ、アルトニスと精霊依して置けば後々楽だしな】


 結局、エレントとアクトの口車に乗せられて、アルトニスと精霊依をする事になった。


「はぁ、仕方ないなぁ。アルトニス行くよ」

【はい、レンさん。僕、精霊依になるの初めてです】


 レンはアルトニス精霊依と叫ぶと、アルトニスが赤い光の玉に変わってレンの中に吸い込まれ、赤い光に包まれながらうめき声が聞こえていた。やがて赤い光とうめき声が消えるとレンはアルトニスと精霊依していた。


「はぁはぁ、僕、死ぬかと思ったよ」

【レン、やれば出来るんじゃないか】

「アクト、他人事みたいに言わないでよ。次言ったらアクトは暫く精霊依をやらないからね」

【待ってレン、さっきは悪かったよ。だから俺と精霊依にならないなんて言わないでよ】

【アクトのあんな表情を見るの初めてです。それよりもこれが精霊依なんですね。レンさんと一つになって不思議な感じです。レンさんが体を動かしているのが伝わってきますね。それにレンさんの中にいるとかなり気持ちです】


 アルトニスはレンと精霊依になって、精霊依を堪能していた。


 僕の精霊おかしいよね。何で三人揃って同じ感想を言っているの? 僕の中にいると気持ちいいとか変だよね。


 エレント、アクト、アルトニスは精霊依になった時に同じような感想を言っているので、三人はレンの何に興味を示しているのか、レンはさっぱり分からなかった。アルトニスと精霊依を解除すると、アクトがアルトニスに精霊依になった感想を聞いていた。


【どうだったアルトニス。精霊依になると気持ちいいだろう?】

【そうだねアクト。レンさんの中にいると凄く落ちつくし、極上の魔力が僕に流れてくるよ。早くまたなりたいよ】

【クスクス、アルトニスもレン様の虜になってしまいましたね】


 精霊達の会話を聞くと既に精霊依の虜になっていた為、レンは若干俯き暗い表情になっていた。


「レン君、どうしたの暗い表情をして」

「えっ、別に何でもないよ。それよりも先に行こう。早くしないと夜になっちゃうよ」


 レンは精霊依の事で悩んでいたが、四人に心配掛けさせたくないので、先に進むことにした。


「エレント、アクト、アルトニスはどうするの? 僕達は月光貝探しに奥に行くけど、一旦棲んでいた場所に帰るの?」


 精霊達を呼んだが特に使うことがないので、棲んでいた場所に一旦帰還するのか聞いていた。


【えっ、レンさん、普通精霊は用がない時は精霊界や僕達が棲んでいる場所に戻りますよ。レンさんが呼んでくれればまた来ます】

【アルトニスは自分の住み処に戻るのか?】

【えっ、エレントとアクトは自分達の住み処に戻らないの?】

【私は帰らないわよ。レン様を常に護りたいもの、それに私が棲んでいた場所は妖精に任せているから戻る必要はありませわよ】

【俺もエレントと同じだよ。まぁ、アルトニスは真面目だから、お前の好きにすれば良いよ】


 エレントとアクトはこのままレンに付いて行くと言ったので、アルトニスは不思議に思っていた。


【レンさんは、エレントとアクトを帰還させないんですか?】


 アルトニスは契約者に呼ばれない限り、ずっと自分が棲んでいた場所か精霊界の空間で待機していので、帰還させないエレントとアクトを羨ましそうに見ながら聞いていた。


「えっ、基本的に自由にさせているよ。一旦帰る時は、僕に言って帰っているけど、ほとんど帰らないよね。たまには住み処に帰ったら?」

【そんな事したら、自由の楽しみが無くなるだろう。それにお前が呼ばれない限り、特殊な空間にいるなんて耐えられないよ】

【アクトの言うとおりですわ。私はレン様の傍に常にいたいので帰還する事は絶対にありません】

「はぁ、分かったよ。好きにすれば。アルトニスも好きにしていいからね」


 今までエレントとアクトに言っても帰ろうとしないので、二人の扱いが面倒くさくなり、迷惑を掛けない条件で自由にさせている。


【僕も自由に動き回って良いんですか?】

【アルトニス、レンが良いって言っているんだから、何回も聞くな】

【だって、普通はあり得ないよ。精霊達を自由にさせている精霊使いなんて、聞いた事ないし】 

【そこがレン様の良いところなんですよ】 


 アルトニスは今まで契約後、自由に行動出来なかったので、レンの一言を聞いて嬉しがっていた。


【僕はとりあえず一旦帰りますよ。エレントとアクトみたいに妖精達に任せるように言わないと行けませんから】

【そうか、一旦帰るんだな。お前の妖精達にちゃんと自分の意見を伝えろよ】

【寂しいですわ、せっかくアルトニスと会えたのにもっと話をしたかったですわ】

【えっ、二人とも、僕がもう来ないみたいに言わないでよ。僕はレンさんと契約したんだよ。それにほんのちょっと抜けるだけだよ。レンさん、数分だけ時間もらってもいいですか、すぐに用事を終わらすので、数分後絶対に呼んで下さいね】

「えっ、暫く帰ってゆっくりしたら、アルトニスは死にそうになっていたんだから。それに帰還した方がマナを大量に補給出来て体力を回復出来るんでしょう?」

【確かにそうですが、エレントとアクトを見ていると、僕も早く自由に飛び回りたいんです。二人だけ自由に行動しているのは許せません。それに僕はレンさんに尽くすと宣言したので、常に傍にいないと行けないですよね】


 アルトニスは色々とレンに言った後、淡い光に包まれて自分の住み処に戻って行った。


 僕の精霊は自由過ぎだよ。何で僕の傍にいたいんだよ。絶対に僕を近くで護ろうとしているよね。これじゃ、四人と変わらないよね!


 精霊達があまりにもワガママで自由過ぎる為、精霊達の扱いが大変だった。五人は精霊アルトニスの用事が終わるまでの間、今後の事に付いて話していた。


「ねぇ、これからどうする? 外の様子が見れないから時間が分からないね」


 既にどの位の時間が過ぎたのか、五人には見当がつかなかった。


「そうね、あまり無理しないで今日はここで休む」

「そうだな、この辺りはモンスターがいなそうだし早めに休もうぜ。良いだろレン?」

「僕も良いと思うよ。モンスターと三連戦したから疲れたよ! レオスも疲れたよね?」

「うん、僕も疲れたよ。レンお兄ちゃんの傍にいて良い?」

「良いよ、疲れたんだね。僕の傍においで」

「分かったわ、レイス君。荷物を置いて今日はここで一晩過ごしましょう」

「分かりました。今から敷物をしきますから皆さんちょっと離れて下さいね」


 五人は魔法陣で移動した広い場所で一夜を過ごすため、床に敷物をしき、四人が休んでいる間、アリスは夕食の調理を始めていた。


「なぁ、アリス今日は何を作るんだ?」


 アリスの料理はかなり美味しいので、四人は何を作るのかワクワクしていた。


「そうね、今日は、魚料理を作ってみようと思うの? フォード王国の市場で安く売っていたからこれをメインに作るわ。でも水がないのがちょっとねぇ?」

「それなら大丈夫だよ。精霊アクトがいるから。頼べば魔法で美味しい水を出してくれるよ。大丈夫だよねアクト?」

【あぁ、大丈夫だぜ。水と氷の精霊アクトに任せなさい!】

【クスクス、本当に大丈夫何ですか? 水を出し過ぎてレン様達の食事ダメにしませんか?】

【そんな勢いよく出すかよ。レンがいる前で失態出来ないだろう? そんな事したら、レンに契約破棄されるだろう?】

【確かにそうですね。それ以前に私達の信用を失います】

「アハハッ、アクトが大丈夫って言っているから使ってあげてよ」

「分かったわ、レン君が言うのなら使わせて貰うわ。アクトさん、私と一緒に調理する所に来てくれませんか? 魚を洗うので」

【分かったよアリス。レンからアリスの指示を聞くように言われているから、水を使う時は細かく指示してね】


 アリスはアクトを連れて、四人からちょっと離れた所で調理を始めた。


「ねぇアリス、魚料理って言ったけど、生ものどうやって持って来たの? 生ものだからわるくなるよね?」


 生魚をアリスは持って来ていたので、どうやって冷凍保存して持って来たのか聞いていた。


「それは、この魔道具を買ったからよ」


 アリスは四人に箱のボックス型の魔道具を見せていた。


 あれ、どう見てもクーラーボックスに見えるよ。まぁ異世界だから何でもあるよね。異世界のクーラーボックスは冷却剤や氷が無くても冷やせるのか。


 前の世界にもクーラーボックスはあるが、異世界のクーラーボックスは冷やす物を入れなくても、冷凍出来るので便利だと思っていた。


「なぁ、レン。そろそろアルトニス呼んだらどうだ? お前が呼ぶの待っているかも知れないぜ?」

「えっ、呼ぶのまだ早くない?」

「いや、俺の感だけど多分、呼んだ方が良いぜ。泣き付かれる前に」


 アルトニスが住み処に戻ってあんまり時間が経ってないが、ファングの感は結構当たるのでアルトニスを呼んでいた。


【レンさん、呼ぶの遅いですよ。待ちくたびれました】

「えっ、そんなに時間経ってないよね。それよりも用事終わったの?」

【はい、終わりましたよ。住み処に戻ったらすぐに妖精達に任せてきましたから、これでずっとレンさんの傍にいられますよ】


 アルトニスはレンに説明した後、自由になれた事を確かめるため、レン達の周りを飛び回っていた。


【アハハッ、本当に自由だよ。こんなに気楽になれるなんて夢みたいだよ】

【クスクス、楽しそうですねアルトニス】

【うん、こんなに生き生きと飛べるの久しぶりだよ】

【アルトニス、あまりはしゃぐな。精霊として恥ずかしくないのか?】

【ごめんアクト、つい嬉しくて。それよりもアクトはアリスさんと料理を手伝っているの?】

【そうだよ。レンに水関係をやってくれないかと頼まれたからやっているんだ】


 アルトニスは暫く周りを飛んだ後、エレントの近くに行き、アクトを見ながら話していた。


【それにしても、まだ実感ないよ。こうして自由に行動出来るなんてまだ夢なんじゃないかと感じるよ】

【無理もないですわ。アルトニスは前の契約者に色々されていたんでしょう。それに体が前の状態に慣れてしまっているから、新しい環境に馴染んでないんですわ。暫くすれば実感が湧きますよ】

【うん、そうだね。それよりも、エレントやアクトは楽しい仲間を持ったみたいだね。見ていて楽しいよ。それに普段見れないアクトが見られたからちょっと嬉しいよ】

【アルトニス、何で俺の事をいつも観察するように見てるんだ?】

【えっ、だって僕はアクトが好きですし、一番尊敬していますから】


 アルトニスは精霊界にいたときから全然変わってなかったのでアクトはため息を吐きながら呆れていたが、アルトニスが何も変わってなかったので逆に安心していた。調理をしているアリスは魚を捌き終えると四人の所に来ていた。


「ねぇ、レン君。アルトニス貸してくれないかな?」

「えっ、アルトニスに何をやらせるの?」


 レンは首を傾げながら、アリスに聞くと、調理用の火がないと言っていたので、アクト同様に精霊の力で火を担当してくれないかと言っていた。


「はぁ、アルトニス。火を常に出すこと可能なの?」

【可能だよ。僕は火と炎を司る精霊だよ、そんな簡単な事出来なかったら精霊と呼べないじゃん】

【アルトニス、気合い入れるの構わないけど、料理を丸焦げにするなよ。レン達の食事なんだから?】

【分かってるよそれくらい。レンさんに助けてくれたんだから、少しでも僕の実力を見て貰わないと、頼られませんからね。アリスさん、早くいきましょう。火の強さ言って下さいね。アリスさんが言った火力にするんで】

「アルトニスがこう言っているから、使ってあげてアリス」

「えぇ、分かったわ。ありがとうねレン君。美味しい料理作るから。アルトニスさん、私と一緒に来て下さい」


 アリスはアルトニスを連れて行き、四人はどんなふうに火を出すのか興味があり、遠くからみていた。


「それじゃ、アルトニスさん、弱火、中火、強火の三種類の火力を常に作ってくれませんか?」

【オッケー、それじゃ行くよ。もし火力が強かったら遠慮なく言ってね。僕はレンさんの命令でアリスの指示従ってと言われているから】


 アルトニスは魔法を唱えると、アリスが作った台の下に火力が違った火が三つ出ていた。


「凄いわね、流石精霊だわ。私には無理だわ」

【えへへ、そんな事ないよ。これくらい僕なら簡単だよ。それよりも早くやろう。長くなるとレンさんの魔力も使う事になるから】


 アリスはアルトニスが作り出した火に鍋やフライパンを置いて、料理を始めていた。


 はぁ、何でアクトとアルトニスは断らないんだろう。むしろ楽しそうだよね。僕の方が精霊達を扱き使っていると思うんだけど基準が分からない。


 料理の手伝いを精霊達にさせているので、精霊達から反発があってもいいはずなのに、何故か精霊達が嫌と言わないので、アルトニスが言っていた、扱き使っているなどの判断基準が分からなかった。


「レン、どうした急に悩み込んで?」

「いや、アクトとアルトニスは何で断らないんだろうと思ってね。僕の方が扱き使っていると思って、普通は料理の手伝いに精霊は使わないよね?」

【レンはそんな事を思っていたのか?】

【レン様らしい答えですね。レン様は私達に扱き使ってませんよ】

「えっ、そうかなぁ。他の人がみたら扱き使っていると見えるんだけど?」

【それは人それぞれの判断だろう。俺は別に扱き使われたなんて思わないぜ。むしろ俺達の力を色んな所で使ってくれて俺は凄く嬉しいよ】

【そうですよ。僕もレンさんに扱き使われたなんて思ってませんよ。むしろこうして皆さんの貢献が出来て僕は嬉しいです。レンさんは勘違いしてますが、扱き使っているのは僕達精霊を悪用する人の例えですから、レンさんが深く考える必要はないですよ】

「そうなの? 僕はてっきり精霊達に嫌われるみたいな事をしたから‥‥‥」

【俺がレンを嫌いになる分けたいだろう。俺を自由にしてくれているんだから】

【そうですよ。僕はレンさんに助けられて、自由をくれたんですから嫌いになったりしませんよ】

【私はレン様の優しさを知っていますから、ほんのちょっといやな事でも、レン様を嫌いになることはありませんわ。だからあんまり、深く悩まないで下さい】


 精霊達に優しい声をかけられて、レンは精霊達に愛されている事を知った。


「それよりも、この遺跡どこまであるんだろうな? 奥を見ると階段があるし」


 ファングが指差す方を見ると、下に続く階段が遠くに見えていた。


「確かに見えているけど、アクトは本当に知らないの? アクトが棲んでいた地下水路の遺跡に描かれた壁画と関係がある遺跡なのに?」


 アクトにもう一度聞いて確認していたが、詳しい事は知らなかった。


「はぁ、アクトはあの地下水路にいたんでしょう。何か知らないの?」

【知らないよ。俺が精霊になった時はあったから、前の精霊なら知ってると思うけど、今どこに居るか知らないけどな?】


 アクトは前に棲んでいた精霊なら分かると言っていたが、その精霊がいないので、壁画の手がかりを掴めなかった。


「はぁ、仕方ない、明日階段を下りれば分かる事だしね」

「それもそうだな。しかし、あの壁画分からない部分があるよな。何で違う壁画が二つあるだ」

「僕も考えていましたけど、不思議ですよね。何で立場が違う壁画があるのか?」


 レン、ファング、レイスは遺跡で見た壁画の事を思い出しながら、壁画を描かれた理由を考えていた。


「あぁ、考えても分からないぜ」

「そうだね、考えれば考えるほど謎が深まるよ。やっぱり、この遺跡の奥に行く必要があるね。レオス、今日は疲れたでしょう。明日は兄に変わって兄の中でゆっくり休みな? 明日は遺跡の奥に行くから、強いモンスターがいると思うから」

「うん、分かったよレンお兄ちゃん。その代わり今日はレンお兄ちゃんに抱き付いて寝ても良いよね」


 三人は壁画に付いて考えていたが、理由が全く分からなかったので、考えるのをやめていた。五人は明日、もっと危険な場所に行くかも知れないので戦闘経験があるレオスの兄に変わって、先に進もうとレオスに言うと、変わる条件に一緒に寝る事を提示されたので、レンは若干頬を赤くしてレオスの条件を受け入れていた。暫くするとアリスが料理を持って来たので、五人は食事を始めていた。


「相変わらず、アリスの料理は美味しいぜ」

「ファングは相変わらず体で表現するわね」

「ファングが喜ぶのは分かるよ、確かに美味しいよアリス。それにアクトとアルトニスもありがとうね」

【レン、照れること言うなよ。俺達はただ水を出しただけだよ】

【そうですよ。僕は火を出しただけです。そこまでレンさんに褒められると思いませんでした】

「そんな事ないですよ。アクトさんとアルトニスさんの力がなかったら普通に美味しい料理出来ませんでしたから」


 五人がアクトとアルトニスにお礼を言うと、二人は顔を赤くしていて、横にいたエレントが普段見せない二人を見て笑っていた。それから五人は楽しく会話しながら食事を終えると、アリスは調理器具を片づけた後、五人はそれぞれ見える範囲で寝袋に入りそれぞれ眠りに入ろうとしていた。


「レオス、ちょっと一緒に寝ると言ったけど、僕の寝袋の中に入るの?」


 レオスは自分の寝袋に入らないで、レンと同じ寝袋に入ろうとしていた。


「えっ、一緒の方がレンお兄ちゃんと密着出来るでしょう?」

「それは、そうだけどダメだよ。皆が見てるんだから」

「嫌だ、僕はレンお兄ちゃんの中がいいの?」

「レオス君、レン君と一緒の寝袋に入るのはダメ!」


 二人の会話が聞こえたのか、アリスが寝袋から飛び起きレオスに注意していた。


「何でアリスお姉ちゃんが来るの?」

「何でってレオス君がレン君の寝袋に入ろうとするからでしょう?」

「それって、アリスお姉ちゃんには関係ないよね。僕はレンお兄ちゃんの弟なんだよ。一緒に寝ても何もないよね」

「あるわよ。だってレオス君は‥‥‥」

「はぁ、何やっているんだ二人は‥‥‥」


 アリスはレオスが女になる事を危惧して、レン君から引き離そうとしていたが、レオスはレンの弟だと主張して、一歩も退かないので呆れていた。


「アリス、僕がレオスに一緒に寝ると言ったから今日は許してあげて、レオスもそれで良いでしょう」

「でも‥‥‥分かったわレン君が言うのなら、レオス君、くれぐれもレン君に変な事しないでね?」

「変な事? 僕はレンお兄ちゃんと一緒に寝られれば十分だけど? もしかしてアリスお姉ちゃん、僕がレンお兄ちゃんに求愛してるの危惧してるの?」

「別にそんな分けないでしょう」


 アリスは腑に落ちない様子だったが、レンが言うと素直にしたがって、自分の寝袋に戻って行った。レオスはレンの寝袋に一緒に入ると、レンを抱きしめて、自分の体を擦りながら気持ち良く眠りに入っていった。


「はぁ、疲れるよ」

【大変でしたわね、レン様】

「そうだね、エレント。それよりもアクトとアルトニスはどこで寝るの?」


 エレントはレンの上空で飛びながら寝ているので、アクトとアルトニスも同じように寝るのか気になっていた。


【俺は、エレントと同じ用に寝てるぜ。ただ寒くないと寝れないから冷たい風を俺の体だけに纏わせて寝てるぜ】


 アクトと出会った時にアクトは氷のベットの上で寝ていたので、それと同等の環境でないと寝ることが出来なかった。


【僕も同じですよ。ただ僕もアクトと似ていて、暑くないと寝れないので、熱い風を僕の体だけに纏わせて寝ていますよ】


 アルトニスもアクトと同様に火山地帯に棲んでいたいたので、同じ環境でないと眠れないと言っていた。


 へぇ、精霊達も大変なんだな。やっぱり属性に依存するんだ。だけど、エレントと同様に僕の上で護っているのか‥‥‥。


 精霊達の事を少しは知る事が出来たけど、レンを上空から護っているので恥ずかしかった。


「それじゃ、僕はもう寝るから、三人も早く寝なよ」


 レンは精霊達にお休みなさいと言うとレオスを抱きして深い眠りに入っていった。


【クスクス、レン様眠ってしまいましたね】

【あぁそうだな。気持ちよさそうに寝てるぜ。俺達は別に寝なくても大丈夫なのに、本当優しい過ぎだぜ】

【そこがレンさんの良いところ何でしょう。僕を助けてくれた時も優しい感じがしましたから】

【アルトニス、最初にレンを見た時、怯えていただろう?】

【えっ、あれはまだレンさんの事を知らないから、疑心暗鬼になっていたんだよ】

【本当かな?】

【本当ですよ。信じて下さい。それにこれからは僕達三人がレンさんを護らないといけないでしょう】

【アルトニスの言うとおりだわ。レン様は危なっかしいですから常に見てないといけないですね】

【そうだな。俺達がしっかりレンを護らないとな】

【そうですよ。それに万が一、レンさんが瀕死になった場合は僕達三人の融合精霊依をすればレンさんを助ける事が出来ますから】

【確かにそうですが、レン様に断られそうですね】

【あぁ、レンの性格だから絶対に言うな、だけど俺達はレンが何と言われようが瀕死の状態の時は強制的にレンと精霊依をやろうぜ】


 レンが寝ている間、エレント、アクト、アルトニスは緊急時の対応や精霊依になった時の役割などを話し合いながら、レンの上から五人を見守っているのだった。


次回更新は暫く未定ですm(__)m温かくお待ち下さいm(__)m出来ましたら順次更新致しますm(__)m

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