#235 敵地内の通路で取り調べ?
大変お待たせしました。第235話公開です。
リアルが忙しく、更新が約6ヶ月停滞して申し訳ないです。
※このお話ではファングの能力が出るため、一部の表現に性的・グロテスクな部分があるため、読む場合は十分注意してください。
暗い通路のど真ん中で、ファングの回復を待つことになったレンは、ファングの体調が回復する間、レン達の前に現れた強硬派の青年レギューについて、ゼロから事情を聴取していた。
「ゼロ、本当にレギューの素性とか知らないの?例えば、こんなスキルが得意とか、こんな魔法が得意とか?」
「いやぁ俺っち、レギューと言う人物と面識が無いので・・・・・・」
〈本当にレギューに会ってないのか、変態ゼロ〉
「テオ、俺っちは変態で無いと何度も言っていますよね。それに俺っちは父さんに体を乗っ取られたんっすよ。どうやって俺っちがレギューのことを知るんすっか? 仮に俺っちがレギューのこと全て知っているなら、俺っちはレン様達に全て話しますよ!」
レンの質問に対して、ゼロは必至に弁解するも、仲間達はあまり納得してなかった。
「まぁ、テオが納得しないのは、僕も分かるよ。だって君は、レギューを前にしてこう言ったよね? 彼はアドナルに仕えていた腹心の一人ですよ。てっきり、レン様達に倒されたと思っていましたよって?」
「確かに、言いましたけど・・・・・・それはその・・・・・・」
「ゼロ、俺達に言えない何かを隠しているのか?」
「何も隠してないっすよ!」
〈じゃあ、何でそんなに動揺しているだよ〉
何かを隠していることは、表情の仕草で一目瞭然であるが、本人は隠し事はしたくないのか、必至に説明する方法を考えていた。
「レン様、その・・・・・・信じて貰えるか、分かりませんけど・・・・・・。俺っちが体を奪われている間、俺っちと父さんの間では記憶の共有が成されていたので、そこでレギューの存在を知ったんです。信じて下さい、レン様」
「べリッド先生、ゼロが言っている記憶の共有とは、体が奪われていても、その対象者には記憶が残るのですか?」
魔法分野における、科学的な知識が乏しいレンは、べリッド先生に意見を尋ねたが、何故か冷たい視線で見ていた。
「レン・フォワード、今まで仲間達と何を見て来たんだ? ゼロに似た類似の事例があるだろう?」
「べリッド先生、レンはときどき天然な質問をするから、答える側も大変なのは良く分かるぜ」
「ファング、僕が何時天然な質問をしたの? 僕は真面目に質問しているんだけど!」
「そうなのか? なら、直ぐに思いつくだろう? 俺なら直ぐにピーンと来たぜ」
珍しく自信満々に言うため、本当に合っているのか、疑う目をファングに向けた。
「じゃあ、ファング答えてよ。僕に言うくらいだから、自信があるんでしょう?」
「あぁ、あるぜ。多分、俺とべリッド先生の答えは同じの筈だぜ。類似の事例とは多分、レオスとレイスのことだろう? 俺は半精霊の化物だから例外だと思うけど、記憶を共有しているのは少なくともこの二人だろう、べリッド先生?」
「あぁ、ファング・ドレイトの答えで合っているぞ!」
珍しく正確な答えを述べた為、レンは少し驚くも、本人は納得していない様子だった。
「なんだよ、その微妙な表情は! そこは褒める所だろう?」
「いやぁ、ファングが正確に答えを言うと思わなかったから、ついリアクションに困って・・・・・・」
「お前なぁ、もう少しは俺を信用しろよな」
「ごめんね、ファング。でも、レオスとレイスは盲点だったよ。言われたら、確かにあの二人はゼロの言っていることに類似はするね。最近、レオンとアルビィスに会ってないから忘れていたよ」
「忘れていたよと言うより、お前があの二人を呼ばないだけだろう?」
「だって呼ぶ理由がないでしょう? 僕達の身に危険が及ばない限り、あの二人の力を借りることはないんだよ」
「確かにそうだけど、たまには呼んでやれよ」
「いやぁ、呼ばないし・・・・・・それに今はあの二人の話でないでしょう?」
「あっ、そうだった。また脱線しちゃったぜ」
仲間の話になると、つい話が脱線してしまい、聞いている側の仲間達が困った様子で、二人の会話に耳を傾けるていた。
「べリッド先生、仮にレオスとレイスが類似だとすると、どうやって記憶の共有をしたんですか?」
「それに付いては彼に聞いた方が早いと思うぞ。ゼロ・フォード・ナツ、記憶を共有する方法に心当たりがあるんじゃないのか?」
記憶を共有する物は、ゼロに会う時にその答えがあり、それを本人に答えさせようとする、べリッド先生に感心をしていた。
「えぇ、一つだけ心当たりがありますよ。レン様達もその答えの痕跡は見ていますからね。レン様、俺っちを助けた時、俺っちの体がどうなっていたか覚えていますか?」
「えっ、確かゼロのお臍を中心に大きな・・・・・・あっ!」
「気づいたな、レン!」
「うん、気づいたよ。確かに、魔道具を利用すれば記憶の共有は可能だね。ただ、それには・・・・・・」
「自分の魂、或いは死者の魂を魔道具に移す必要があると、言いたいんですよね、レン様・・・・・・」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、ゼロの体に埋め込まれていた魔道具には、お前の父親の魂が入っていたってことか?」
「えぇ、そうですよ。ただ、俺っちの体から抜き取った後は、父さんの魂が入った魔道具の行方は知りませんけどね。俺っちが目覚めた時には、人が寄り付かない森の奥に捨てられましたからね・・・・・・」
父親のことを話す度、ゼロは父親に対する失望感と怒りに満ち溢れ、その姿を見たレンは返す言葉が見つからず、ただゼロに辛い過去を思い出させたことへの謝罪しか出来なかった。
「ごめん、何か辛い過去を思い出させて・・・・・・」
「いえ、気にしてないっすよ。ただ、未練があるとするなら、少しだけでも父さんに認めて欲しかった、それだけっすよ。それに今は君達に出会えて幸せですし、なんせ俺っちはレン様の執事兼ドラゴンですから!」
「お前、そこだけは絶対にブレないんだな!」
「当然っすよ!」
自信満々のドヤ顔でアピールするゼロの隣では、レンとべリッド先生がコソコソと相談をしている。
「レン・フォワード、これ以上レギューの情報を引き出すのは無理だろうな」
「そうですね。本人もレギューの素性は分からないと言っているし、これ以上聞いても無駄だと思いますね。ゼロ、確認で聞くけど、レギューのことは何も知らないんだよね?」
「はい、何も知りません。レン様に誓って、嘘、偽りはないっす」
〈何か胡散臭くて納得いかないんだけど!〉
「テオ、俺っちが胡散臭いってどう言うことっすかぁ!」
〈まぁ、まぁ、喧嘩はやめようね、テオ。あまりゼロを挑発すると、レン君に嫌われるよ〉
〈うっ、それだけは困るぜ・・・・・・〉
「相変わらず、仲が良いのか、悪いのか、分からないぜ」
「まぁ、仕方ないよ、テオから見たらゼロは脅威なんだし、多分リオスも同じ考えだけど、あえて我慢しているだけだよ。あの二人から見たらゼロは邪魔な存在だしね。それよりも体調の方は回復したのファング? そろそろ奥に進もうと思うんだけど?」
レギューの話でどれ位の時間が過ぎたか分からないが、体感的には三十分以上経ったと思い、そろそろ奥の通路に進むか、ファングに尋ねていた。
「あぁ、そうだな。体の方もだいぶ回復したし、先に進んでも良いんけど、その前にアレを説明する必要があるだろう? 仲間達に説明したら、利用可能なんだろう?」
「そうだけど、本当にアレを利用するつもりなのファング・・・・・・」
「当たり前だろう、お前を護る武器になるんだし!」
「レン・フォワード、またファング・ドレイトに何かをされたのか?」
ファングの変異した体の一部が、レンの首元から垂れ下がる、学園のネクタイになっていることは、仲間達の全員が知らないため、レンは仲間達に説明するか悩むも、本人は自ら説明する様子を見せていた。
「えっ、まぁ、その・・・・・・」
「レン、そこは俺が説明する約束だろう? 説明したら、アレを利用して良いんだよな!」
「えっ、良いけど、本当に説明するんだね」
「当然だろう! 本当は言いたくないけど、仲間達に隠し事は出来ないからな。べリッド先生、これから説明することは他言無用でお願いするぜ」
「あぁ、分かったが、お前の場合は他の奴に説明しても、多分信じないと思うぞ」
「確かに、ファングの能力自体が異常っすからね!」
「じゃあ、ファングあとは任せたよ」
「あぁ、分かったぜ。じゃあ、レンに何をしたか説明するけど、変なリアクションだけは止めてくれよな」
勇気を振り絞って仲間達に説明するも、聞いている全員は冷たい表情でファングの説明を聞いていた。
「お前、レン・フォワードに何をしているんだ!」
「何って、変異した体の一部をレンに管理して貰っているだけだよ」
「レン様が身につけている、そのネクタイがファングのアレなんっすか?」
「うん、そうだよ」
〈クンクン、変な匂いがしないぜ〉
〈テオ、変な匂いがしたら、ここにいる全員が気付くでしょう〉
「それにしても、いつ学園のネクタイと交換したんだ。そんな様子は無かったぞ」
「それは、レン達が個別に部屋を捜索している時に、俺が闇の結界を張って二人きりの場を作ったんだよ」
「お前、レン・フォワードと合流していたなら、そのまま合流して良かっただろう!」
「僕は言いましたけど、本人が拒否しました」
ファングに向ける視線が冷たい中、レンが追い打ちをかける発言を始め、本人は仲間の表情を気にしながら、シドロモドロになっていた。
「お前、それを皆の前で言うのかよ。てかお前だって、俺の事を尊重して合流を見逃していただろう!」
「ファング・ドレイト、あとで始末書でも書いて貰おうか?」
「べリッド先生、俺は重大な過失や問題などは起こしてないぜ!」
「ファング・ドレイト、それを判断するのは私だ! レン・フォワード、悪いがそのネクタイを調べさせて貰うぞ」
「はい、構いませんよ。ファング、べリッド先生に触られても問題は無いよね?」
「あぁ、問題ないけど! 始末書はなしにしてくれよ!」
「あぁ、分かったから私を睨むな! じゃあ、調べさせて貰うぞ」
「あぁ、好きなだけ、調べて構わないぜ」
ファングの態度に頭を悩ます中、べリッド先生はレンが身につけている、学園指定のネクタイを隈なく調べた。
「ふむふむ、触った時の感触は普通のネクタイだな。しかも不自然な部分は全くない。レン・フォワード、本当にこのネクタイがファング・ドレイトのアレなのか? どう見ても学園指定のネクタイだぞ?」
「べリッド先生、僕が嘘を言うと思っているんですか? べリッド先生が見分けられないと言うことは、それだけファングの能力が進化している証だと思いますよ。ファング、そろそろこれがネクタイでない所を見せてあげたら?」
「あぁ、そうだな。べリッド先生の驚く表情も見れたし、そろそろそれの正体を見せないとな! べリッド先生、シッカリとそのネクタイを見ていろよ! モゾ、モゾ、ミッシ、ミッシ・・・・・・」
べリッド先生の表情を楽しんだファングは、ようやくネクタイの正体を仲間に見せようとするも、何故かファングの方から不気味な音が聞こえている。
「ファング・ドレイト、お前の方から変な音が聞こえるんだが?」
「あぁ、その音は多分、アレが動いている音だぜ。べリッド先生らに正体をバラさないと行けないから、俺が自ら動かしているんだよ。ほら、べリッド先生、レンが身につけているネクタイに変化が起きる頃だぜ」
「クニュ、クニュ、ミッシ、ミッシ、ピッリ、ピッリ、ピッリ、パッカ!? グニュニュニュ、ニョキニョキニョキ、ネチャア・・・・・・!」
「うっ、まさかコレは!?」
ネクタイの先端部から不気味な音が響くと、そこには男性の見慣れたモノが、縫い目を裂いた中から出てきた為、仲間達が目を疑う様子で、そのネクタイを凝視していた。
〈ウェー、マジかよ! 本当にファングのアレだぜ、兄さん〉
〈はぁ、ファングの能力でレン君がどんどん汚されるんだけど・・・・・・〉
「凄いっす、どう言う仕組みで、アレの出し入れをしているんっすか?」
〈お前、なに感心しているんだよ〉
「だって、興味あるでしょう? 自分だったら嫌ですけど、他人なら興味を惹く事案すっよ」
「ファング・ドレイト、この状態を長時間維持することは可能かぁ?」
「まぁ、俺が動かしているから可能ですけど、まさかアレを観察するつもりなのか? 下手に触れれば、お前らの魔力は俺に吸収されるんだぞ!」
嫌な予感を感じたファングは咄嗟に警告をするも、仲間達はファングの声を無視してレンの近くに集まり、ネクタイの先端から飛び出す生殖器をジッと観察をしていた。
「レン様はコレを見て、何とも思わないんすっか?」
「いやぁ、思う所はあるよ。ただファングに言っても無駄だと分かっているから、彼の好きなようにさせているだけだよ。べリッド先生、そろそろネクタイの状態に戻して構いませんか?」
「あぁ、そうだな。だがネクタイの状態に戻す前に、アレの中を調べたいんだが・・・・・・」
「えっ、本気ですか? べリッド先生・・・・・・」
べリッド先生の発言に耳を疑ったレンは、恐る恐る聞き直すも、べリッド先生が言った事は本気だった。
「レン・フォワード、私が嘘を言ってどうするんだ? 私はお前らの担任で教師なんだぞ! それに、私がファング・ドレイトの能力を知っている方が、お前らに取っても都合が良いだろう?」
「確かに、都合は良いですけど・・・・・・アレを調べている間は、べリッド先生の魔力がずっとファングに吸収されるんですよ」
「あぁ、それは覚悟の上だ。それにコレを調べる機会はもう無いだろう? だったら今ここで、興味のある研究をしたいんだよ。こんな事が出来るのは、恐らくファング・ドレイトだけだろうし?」
「確かに、こんな芸当が出来るのはファングだけですね。ただ、調べるにも本人の意向が必要ですよ。多分、僕以外触れるなと言う筈ですから! ファング、君の意見を聞かせてよ!」
べリッド先生の願望に少し驚くも、ファングのアレには興味があるので、べリッド先生を利用して、ファングを楽しもうと目論んでいた。
「お前、俺の意見を聞くまでも無いだろう。どうせ、べリッド先生の手をアレの中に入れたいんだろう? だったら、好きなだけアレの中に手を入れればいいぜ。その分、俺はべリッド先生の魔力を貰えるからな!」
「なんか、自棄になってませんか、レン様?」
「まぁ、仕方ないんじゃないの? ファングも想定していなかったんだから・・・・・・。べリッド先生、ファングの許可も得ましたから、好きなだけ調べて構いませんよ」
べリッド先生の調べが済めば、ファングのアレはレンの管理下に置かれ、更に能力としての利用も可能になるため、多少の我慢は仕方ないと感じるも、本人は納得いかない様子だった。
「あぁ、分かったが、本人は納得いかない様子だな。ファング・ドレイト、そんなに調べられるのが嫌なのか?」
「別に嫌とかそう言うんじゃないんだよ。何と言うか、上手くレンに誘導されている所が、納得いかないだけだよ」
「僕は誘導した覚えないけど?」
「覚えが無くても、自然と誘導しているんだよ。ほらべリッド先生、早く俺の中に手を入れてくれよ。俺の気分が変わる前に!」
ファングが自棄になる中、仲間はべリッド先生の方をジッと見つめ、今か今かとファングのアレを眺めていた。
「じゃあ、ファング・ドレイト。お前の言葉に甘えて、アレの中に手を入れさせて貰うぞ」
「あぁ、構わないぜ」
べリッド先生が恐る恐る、飛び出している亀頭の口部分、いわゆる外尿道口に指先を近づけ、息を飲みながら、アレの中に指先を入れ始めていた。
「ニュップン!?」
「うっえ、マジでアレの中に手を入れやがった!?」
「ニュップン、ニュププププ!? クニュ、クニュ、ニョキニョキ、グニュッ、グニュッ・・・・・・!」
「凄い、指先を入れただけで、ファング・ドレイトのアレが急速に成長をしている・・・・・・しかも、私の手がどんどん中に入って行く!」
「べリッド先生、感心するのは良いですけど、シッカリ調べて下さいよ」
「あぁ、分かっている。それにしても、ファングの能力がここまで進化しているとはな、毎回驚かされるバカリだ・・・・・・」
「ニュップン、ニュププププ・・・・・・!」
「アッヒ!? うっ、べリッド先生の手がどんどん、俺の中に入って来て、気持ち悪い・・・・・・うっ、吐きそう!」
レンに向けて吐き気を訴える中、べリッド先生は成長し続けるアレを観察しながら、自分の手をどんどん中に入れ込んでいた。
「ニュップン、ニュップン、ニュップン!?」
「あっ、それ以上は・・・・・・・」
「ファング、変な声が出ているよ!」
「仕方ないだろう、べリッド先生の手が俺の中に収まっているだぞ! それに前よりは変な奇声を上げなくなっただろう?」
「確かに変な奇声は消えたけど、ここは惨めなファングを曝して欲しかったよ!」
「お前は俺に何をさせたいんだよ! べリッド先生も、何時までその状態でいるんですか? さっさと、アレの中から手を出してくれませんか?」
べリッド先生の調べが済めば、ようやくレンの管理下に置かれるが、べリッド先生の調べはまだ続いていた。
「お前、入れた所を今見ていたのに、そんなに急ぐ理由でもあるのか?」
「えっ、それは・・・・・・その・・・・・・早くレンに管理して欲しいから・・・・・・アッヒ!」
「全く、ファングの考えはいつ聞いても呆れるよ」
「お前が言うのかよ、アッヒ! べリッド先生、俺の中で手を動かすのやめてくれませんか、アッヒ?」
べリッド先生の手が動くと、ファングは内部反射的に、何度も変な声が口から漏れ出ていた。
「ファング・ドレイト、これもお前を知るためだから、多少は我慢しろ。それにしても、アレの内部がこんな感じになっているのは驚きだな。確かにこれなら、内部に入ったモノが外に出られない理由も分かった気がするな。今も私の手に変な触手みたいな物が絡まり、そこから魔力が吸われているのがハッキリ分かる。ファング・ドレイト、この状態でアレを動かせるのか?」
「あぁ、出来るだけど! べリッド先生は俺に何をさせたいんだ?」
べリッド先生の調べが終わると思ったら、新たな要望を出したので、ファングが変な目で見ていた。
「いやぁ、私の腕を餌と見た時に、お前がどんな動きをするのか、この目で見たいと思ってな!」
「べリッド先生、アレで遊んでないか?」
「遊んではいないぞ、ちゃんとお前のアレを調べているだろう!」
「確かに、調べているけど、何か納得いかないんだよな。まぁ、べリッド先生がそこまで言うなら見せてやるけど・・・・・・。べリッド先生、レンから少し離れてくれないか?」
「あぁ、分かったが、何をする気だ」
「何って、俺のアレを全体的に伸ばすんだよ。今の二人は距離が近いから、俺が動かした時に二人が衝突しないようにするんだよ」
「なるほど、ファングにしてはちゃんと考えているね?」
「お前、俺を馬鹿にしてないか・・・・・・。 とりあえずべリッド先生、アレが波打ったらある程度の距離まで移動してくれよ」
「あぁ、分かった!」
「レン。少しの間、アレが移動するけど、お前の首元を締め付けることはないからな!」
べリッド先生が追加の要望を出さなければ、面倒な手間をしなくて済んだが、これも自分が招いた結果なので、本人は仕方ないと思いながら自分のアレを動かしていた。
「ファング・ドレイト、この辺まで移動すれば問題ないか?」
「あぁ、問題ないぜ。そのくらい距離があれば、俺が動かしても、二人が衝突することはないぜ。じゃあ、べリッド先生、要望通りに始めるぜ」
レンに迷惑を掛けない距離を確認したファングは、べリッド先生の要望通り、腕を餌だと見立てて自らアレを活発化させ、どんどん自分の中に入れ込んでいた。
「ニュップン、ニュップン、ニョキニョキ・・・・・・」
「凄い、私の手が勝手に、アレの中に吸い込まれている。しかも、内部は伸び縮の運動をして、入った獲物を外に逃がさないようにしているのか! これなら、確実にファング・ドレイトの餌にされてしまう理由も分かるな。なんせ、魔力を吸収する機能まで備わっているから、入った獲物はファング・ドレイトに仕留められてしまうな」
「べリッド先生、まだ感心するのは早いぜ。もっと面白い物を見せてやるからな!」
べリッド先生の魔力を吸収して気分が良いのか、ファングは要望にないことを始め、見ている側の仲間が心配していた。
「ミッチ、ミッチ、グッワン・・・・・・!?」
「ファング、べリッド先生に何をする気なの?」
「何って、それは見てからのお楽しみだぜ」
「お楽しみって、それ不安要素しかないんだけど・・・・・・」
ファングが調子に乗る時は、大抵くだらない問題が多いので、レンはこれ以上問題が広がらないように祈っていた。
「グッワン、グッワン、ペット!? クニュ、クニュ、クニュ・・・・・・!」
「これは!? まさか、私が入れた部分と一体化するつもりなのか!」
べリッド先生が気付くと、そこには自分の腕とファングのアレが、謎の皮膚みたいな皮で包み込まれている光景だった。
「ファング、あれがお楽しみのヤツなの?」
「あぁ、そうだよ。あの能力を使えば、戦略の幅が広がるだろう?」
「確かに・・・・・・ただ、べリッド先生で試すのはどうかと思うよ・・・・・・」
べリッド先生の腕は次第にアレと一体化し、腕が触手みたいにウネウネと波立っていた。
「クネ、クネ、クネ!? ファング・ドレイト、この腕、もとに戻るんだよな?」
「あぁ、戻るけど、べリッド先生の力技では外せないぜ。なんせ、アレを覆っていた皮の内側には、特殊な分泌液を生成する器官が備わっているから、一度張り付いたら俺の意思でしか外せないぜ。今のべリッド先生は、俺から分泌される接着剤の粘液で、腕をガッチリ固定しているから、どんなに引っ張っても、アレを外すことは出来ないぜ。それを外すには、中和させる分泌液を俺の意思で分泌させる必要があるからな」
ファングの説明を聞いているレンは、能力を聞いて感心するも、べリッド先生の人体に影響を及ぼさないか心配していた。
「ファング、能力の説明は良いけど、べリッド先生の人体に影響は無いんだよね?」
「あぁ、大丈夫だよ、レン。べリッド先生の腕が変異したり、人体に影響を及ぼすことはないぜ。ただ、べリッド先生の手が俺の粘液塗れになるだけで、レンが心配していることは起きないぜ」
「そう、なら良いんだけど! べリッド先生、早くその擬態化した腕を調べないと、べリッド先生の魔力が吸いつくされますよ!」
「お前、誤解を招くことを言うなよ! 別にべリッド先生の魔力は要らないんだよ。ただ俺の中に入れた時点で魔力が吸われる機能が働くから、仕方なくべリッド先生の魔力を吸収しているんだよ!」
レンとファングの口喧嘩が何時ものように始まり、べリッド先生は二人に呆れるも、そのまま擬態化しているアレを観察していた。
「凄い、私の腕とアレが完全に一体化している。しかも、境目が分からないように、アレの皮で隙間を密着させ、アレだと分からないように、私の皮膚に擬態化しているのか! ファング・ドレイト、試しに触って構わないか?」
「あぁ、構わないけど、なるべく早く調べてくれよ、べリッド先生! 仲間達は、もう飽きているんだぞ!」
ファングの観察に飽きているリオスとテオは、レンの近くで退屈そうな顔を見せ、ゼロはリオスとテオがレンに近付かないように、何故か目を光らせていた。
「ファング・ドレイト、仲間を盾にして、早く終わらせて欲しいのが見え見えだからな。とりあえず、一通り調べさせて貰うぞ!」
「あぁ、分かったから、さっさと調べてくれよ、べリッド先生!」
自分の思惑通りに行かないファングは、感情の内心を爆発させ、その感情が一体化しているべリッド先生の腕に伝わっていた。
「ビックン、ビックン・・・・・・!?」
「凄い、ファング・ドレイトの感情がアレから伝わって来る・・・・・・。この感じだと、相当苛ついているな。ファング・ドレイト、これならどんな反応を私に見せてくれるんだ」
「スリ、スリ、スリ、プッニ、ビックン! あっ、あっ・・・・・・」
「なんだ、今の感覚は・・・・・・!」
一体化している部分に触れると、何故か自分の肌を触っている感触があり、べリッド先生は不思議そうに、一体化しているアレを何度も触っていた。
「サス、サス、プッニ、プッニ、プッニ、ビックン!?」
「凄い! 触るとその感覚が直接、私の腕に伝わってくる。ファング・ドレイト、これはどう言う仕組みだ。何故、ファングのアレに触れるだけで、その感覚が私に伝わるんだ?」
「何故って、そんなの簡単だろう? 今のべリッド先生は、俺のアレと一体化しているんだから、必然的に体の電気信号が繋がっているんだよ。今もべリッド先生が触る感覚が、ヒシヒシと俺に伝わるぜ。レン、悪いけど首元のアレを触ってくれないか?」
「えっ、良いけど? こんな感じで良いのかな、ゴッキ!」
「うっ、なんだこの激しい痛みは!?」
「ギッアァァァ、俺のアレがちぎれる!?」
ファングに言われるまま、レンは首元に巻き付く管を強く握ると、ファングは大袈裟な表情で涙目になり、べリッド先生はアレと一体化している腕を押さえていた。
「相変わらず、大袈裟なリアクションをするんだから!」
「お前、絶対ワザとやっているだろう? 俺の痛みが、べリッド先生にも伝わっているんだぞ!」
「うん、知っているよ。べリッド先生、今の感覚はどうでしたか?」
ファングがレンに注意する中、べリッド先生は一体化している部分から伝わる痛みに悶え、暫くその場から動けなかった。
「あぁ、今のは、かなり堪えたな。私の腕がもぎ取られたかと思ったぞ! だが、今の痛みである程度は分かった。ファング・ドレイト、こんどは私の方から動かさせて貰うぞ!」
「グニュ、グニュ、グニュ、ビックン、ビックン・・・・・・!?」
「えっ、ちょっと待ってくれ、べリッド先生! 俺の中でそんなことをしたら・・・・・・アッヒ、アヒヒヒヒヒヒ!?」
べリッド先生が腕を動かすと、ファングのアレが上下に波打ち始め、見ている側のレンが興奮していた。
「クニュ、クニュ、クニュ、ブン、ブン、ブン・・・・・・!?」
「うっわ、凄い。上下に動かすだけで興奮しているよ。これは、これで面白いファングが見れるな。べリッド先生、もっと激しくアレの中で手を動かして下さいね」
仲間の前で醜態を曝したくないファングは、必至に下半身を動かして気を紛らわせるも、レンの視線が何度もチラついていた。
「レン! お前の思惑通りにアッ、俺はならないからな、アッ、アッヒ!」
「そんなに苦しいなら、楽になりなよ。べリッド先生の魔力を貰って、アレまで気持ち良くさせてくれるんだよ」
「レン、俺はそんなの頼んでないし、べリッド先生の手で気持ち良くならないからなぁ」
「全く、往生際が悪いんだから・・・・・・。べリッド先生、そろそろファングの調べは終わりますか?」
「あぁ、もう終わるけど、何かして欲しいのか?」
惨めなファングを見たいレンは、べリッド先生に軽い動作をお願いするも、ファングが阻止していた。
「はい、一つだけ! べリッド先生、軽く腕を動かしてくれませんか?」
「あぁ、構わないけど?」
「ちょっと待った! べリッド先生、俺の調べはもう終わっているよなぁ」
「あぁ、一応終わっているが、急に声を張り上げてどうしたんだ?」
「ファング、自分の判断で解除したら、ネクタイにする件は無しにするよ」
「お前、それを言ったら、何も出来なくなるだろう!」
べリッド先生の確約を貰ったら、直ぐに一体化部分を解除しようと考えていたが、レンの一言でそれが出来なくなった。
「じゃあ、べリッド先生、腕を軽く動かして下さい」
「あぁ、分かった。ファング・ドレイト、軽く腕を動かすぞ」
「あぁ、好きにしてくれよ。どうせ、俺の醜態を見ることになるんだし・・・・・・」
ファングがレンの一言で諦める中、本人はべリッド先生の動きに合わせて、軽くファングのアレに触れていた。
「クニュ、クニュ、クニュ・・・・・・プッニ、プッニ、プッニ!? ブン、ブン、ブン・・・・・・」
「なんだこれは、レン・フォワードに触られた感覚が伝わった途端、ファングの感情も一気に流れて来たぞ!」
「あぁ、やめてくれ、レン! それ以上、触れたら、俺が俺で無くなる、アッ、アァァァァァ・・・・・・!?」
レンに触れられたファングは、瞳の色を赤く染め、そのまま不気味な笑みでレンを見つめていた。
「レン・フォワード、ファング・ドレイトの瞳が赤く変化しているが、大丈夫なのか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。ファング、今の気分はどうなの?」
「あぁ、今最高にいいぜ。レンとべリッド先生の魔力が俺の中に流れて来るぜ。あっははははは・・・・・・」
「いやぁ、僕の魔力は流れてないからね」
「レン・フォワード、暫くこの状態にするつもりなのか?」
「いえ、もう解除するつもりですよ。ファングの変化が見れて満足しましたから、べリッド先生も調べは終わっているんですよね?」
「あぁ、終わってはいるが、この状態で解除は出来るのか?」
「問題ないですよ。ファング、べリッド先生の調べは終わったから、予定通り僕のネクタイになってよ」
表情が歪んだファングに対して、レンはべリッド先生との一体化を解除させる指示を出した途端、ファングのアレが瞬く間に活発化し、物凄い速さでべリッド先生の腕から離れていた。
「クニュ、クニュ、ミッチ、ミッチ、ニュップン、ニュップン、スッポ!? シュル、シュルルルル、グッワン、ミシミシ、ギチギチギチ、ゴワゴワゴワ、プッシュ・・・・・・」
「・・・・・・何と言うか、今まで見ていたモノが嘘のようだな・・・・」
「そうですね・・・・・・アクト、悪いけどべリッド先生の腕を綺麗にしてあげて」
【あぁ、分かったぜ、レン!】
再びネクタイ化すると、そのネクタイは普段身につけている物と変わらず、仲間達が何度もそのネクタイを見返すくらい、学生服に馴染んでいた。
「凄いっす、さっき見ていたアレが嘘のように、レン様の学生服に馴染んでいるっす。これ、言われないと本当に学園のネクタイすっね」
「ファング・ドレイト、念のため聞くが、学園に通う時はまさかだと思うが・・・・・・アレを身に着けて登校するのか?」
「あぁ、そうだけど、何か問題でもあるのか?」
「・・・・・・レン・フォワード、本当にアレを身に着けて、学園に登校する気なのか?」
「多分、アレを身に着けて登校することになりますね。ファングは言ったら必ず実行するので・・・・・・それに本人は絶対にバレないと言っているので、かなり自信があるんだと思いますよ。もしバレたら、べリッド先生がファングを庇って下さいね」
ファングの問題はべリッド先生に取って悩ましい部分が多く、問題を起こされた時の対処が思い付かず、レンの要求を断っていた。
「レン・フォワード、私にも庇えるものと庇えないものがあるんだぞ!」
「ファング、問題を起こしたら、庇ってくれないって!」
「お前、べリッド先生の答えを俺に聞かせて、アレを身に着けさせない作戦だろう? 言っておくけど、俺はべリッド先生の答えに動じないからな!」
「何と言うか、彼の執念は凄まじいな。あそこまで言っても動じないんだから・・・・・・」
「・・・・・・そうですね。ファング、べリッド先生の魔力を貰ったんだから、それなりの仕事はして貰うよ!」
「あぁ、分かっているぜ!」
瞳の色が元に戻ると、ファングは軽く体などを確かめ、レンに巻き付く管を自分なりに、動きやすい位置に移動させ、奥で待つ戦いに備えていた。
「それじゃあ、先に進むぞ」
「はい、べリッド先生。リオス、テオ、行くよ」
〈あっ、待ってくれよ、レン〉
〈あっ、テオ、抜け駆けするのズルい、僕もレン君に抱きつきたい!〉
「ちょっと、リオス、テオ、レン様に呼ばれたからって、抱き付く行動はやめて下さい!」
「お前ら、これから敵の懐に向かうのに大丈夫なのか?」
【それ、お前が言うのかよ? お前のせいで、俺達の存在自体、レンに忘れられているんだぞ】
【アクト、今も僕達の存在・・・・・・忘れられているからね】
【これも全て、ファングが悪いんですわ】
【うん、うん、全てファングが悪い】
「お前ら、露骨に精霊間の通話を使って、俺に愚痴を言うなよ。アルトニス、お前は明かりを照らす係なんだから、さっさと前を照らしてやれよ!」
【言われなくても、ちゃんとレン君の前を照らしているでしょう!】
ようやく進みだしたレンであるが、この先で見る光景は仲間達でも吐き気が襲うくらい、危険なモノが広がり、それを知らないレンは仲間達と明るい雰囲気で、通路の奥を歩いているのであった。
次回更新は未定です。温かくお待ち下さい。