#109 カルド森林でチーム分け!
お待たせしました。第109話公開です。カルベル森林で課外授業をはじめる予定かな(*_*)
突然の予定変更でカルド森林に移動していたレン達は、到着するなり、死にそうな表情をしていた。
「暑い、日陰があっても、熱風しか吹かないんだけど?」
木々から時々そよ風が吹いているが、風が吹くごとに熱風がレン達を襲おうので、直射日光の暑さとダブルパンチだった。
「レン、大丈夫かぁ?」
「いや、見れば分かるよね? わざとらしく言っているの?」
「いや、違うんだよ。別にワザとじゃないよ。ただレンが心配だから‥‥‥」
ファングはレンの表情を見てかなり心配していたが、レンから見れば平然とした表情なので、レンがかなり苛ついていた。
「ふーん、なら僕を心配しないで、精霊同士で心配したら?」
「へっ、何の事だよ?」
「ふーん、ならあっちを見なよ!」
レンが指差す方を見ると、アクトが氷のベッドを作って上半身裸で寝ていた。
「お前、レンの前で何をしているんだアクト!」
ファングが怒りながら、ズカズカとアクトに詰め寄っていた。
【うるさいな。俺は水と氷の精霊何だから、見れば分かるだろう?】
「いや、水と氷の精霊は分かるけど、何故氷のベッドを作っているのか、俺には理解出来ないんだけど?」
【お前、本当にバカだな。俺の弱点を知って言っているのか? 俺は暑いのが苦手なんだよ。体に冷気を纏っていたが、この暑さで何の役にも立たないぜ。あーあ、アルトニスやファング達は良いよな。暑さを感じなくて、羨ましいぜ】
アクトがファングやアルトニス達に嫌みを言っていた。
【アクト、確かに夏場は僕にとって快適だけど、冬場になったら立場が逆転するんだよ。同じ事を言われて、アクトは機嫌悪くならないの?】
【確かにそうだけど、この暑さは俺にとって敵だぜ】
【はぁ、何かファングに似ていますわ】
【そうだね】
【俺はファングじゃない】
「そうだぜ。俺をアクトと一緒するな」
ファングとアクトが似ている部分があるので、遠くで見ていたレンが呆れた顔で見ていた。
「ファング、何しにアクトの所に行ったの?」
アクトを注意するために、行ったのに何故かアクトのペースに呑まれていた。
「はぁ、イケねぇ。お前のせいで、またレンに怒られただろう!」
【知るかよ。お前が悪いだけだろう! レン、周りに迷惑を掛けないから、暫くこのままで過ごしてダメかぁ? 暑くて耐えられないんだよ。植物などは後でエレントが元の姿に戻させるから良いだろう?】
エレントは風の他に植物を自由自在に操れるので、アクトが氷で枯らせた植物を精霊の力で元の状態に戻す事が可能だった。
「はぁ、仕方ないな。アクト、氷の範囲をこれ以上広げたら、無理やりでも、一時的に帰還させるからね」
【あぁ、それで構わないぜ。とりあえず、お前が行動する範囲に作らせて貰うぜ】
レンの許可が下りると、アクトは氷のベッドを消滅させて、体を実体化させていた。
「アクト、何で実体化しているんだよ」
【いちいちうるさいなファング。お前のリーダーは俺なんだから、別に実体化しても良いだろう?】
【そうだよ。別に実体化しても見た目は人間なんだし!】
【飛ばなければ、大丈夫ですわ】
【ファングはいつも頭が硬い】
「何だと! レン、コイツら実体化させて良いのか?」
ファングはアクト達に怒りながら、レンに確認していた。
「別に構わないよ。アクト達が実体化していれば、僕達の先輩としてカモフラージュ出来るし」
どうせアクト達に注意しても無駄なので、あえて別の捉え方でファングに説明していた。
「なるほどな、確かに先輩と交流授業とか偽れば、相手側に不審に思われないか! やっぱりレンは先の事を考えているから凄いぜ。アクトやアルトニス達は、とりあえず勝手な行動はするなよ」
ファングがアクト達に注意すると、冷たい目で見ながらアクト達が話していた。
【ファング。俺達はお前みたいに勝手な行動はしないぜ。むしろ、お前が心配だよ】
【そうだね。またファングがレン君に怒られないか、僕は心配だよ】
【ファングはレン様の言葉に弱いですからね】
【ファングはレンの言葉を鵜呑みしすぎ】
「お前ら、何で俺を貶すことを言うんだよ」
アクト達に攻められて、ファングは俯いていた。
【悪かったぜ。ちょっと言い過ぎだよ。なぁ、ファング、ちょっと服を触らせてくれないか?】
「へっ、何で俺の服を触るんだ」
【ファング、別に変な事はしないよ。アクトの言う通りにしてあげて】
「分かったけど、何で服を触る必要があるんだよ?」
ファングは分けもわからず、アクトの言うままに従っていた。
【ふーん。これがカルベル王国の学生服ねぇ。なぁ、ゼロ。お前はカルベル王国の出身何だろう? 高等部の学生服はないのか?】
アクトは中等部の学生服の他に、高等部の学生服がないのかゼロに確認していた。
「えっ、俺っちが着ているのが、高等部の学生服だけど」
【そうか、ふーん、デザインがちょっと違うだけかぁ】
「おいアクト、何で俺の服を触って、ゼロの服は触らないんだよ」
ファングの服をくまなく触ったのに対して、ゼロは目視だけなので、ファングは顔を赤して怒っていた。
【えっ、ちょっと触って見たかっただけだよ。ファングなら別に触って良いかなと思ってな? エレントとエレナは悪いけど、中等部の姿で頼むな】
【はぁ、仕方ありませんわ。容姿を変えるのは余り好きではないですけど、一時的に姿を変えますわ】
【私も余り好きじゃないけど、レンの為だから頑張るよ】
【じゃあ始めるぜ。アルトニス、お前は俺と一緒な】
【はいはい、高等部の姿だね】
アクト達がそれぞれ、指をパチッンと鳴らすと、アクトとアルトニスは服が一瞬で変わり、エレントとエレナはレン達と同じ中等部の服を着た幼い少女に変わっていた。
【フゥ、とりあえず、完璧に服装を変えられたな】
【へぇ、これが高等部の学生服ねぇ。意外と地味なんだね? アクト、服装変じゃないよね?】
【はぁ、久しぶりに少女の姿になりましたけど、エレナ、変な所はないですわよね?】
【特に問題ないよ。私も見て欲しいよ、エレント】
アルトニス、エレント、エレナは服装や姿を変えるなり、自分の姿を確認していた。
「お前ら、あの一瞬でどうやって服装を変えたんだよ」
アクト達の姿を見て、ファングが興味津々に聞いてきた。
【はぁ、精霊のお前なら、分かって要るんじゃないのか? お前だって、知らずやっているんだからな】
ファングは精霊なので、てっきり服装などの変え方を知っているとアクト達は思っていた。
「へっ、どう言う意味だよ」
【お前、本当に気付いてないのか? なぁ、レンは気付いているんだよな】
ファングを一番見ている、レンにアクトが質問していた。
「そうだね。ファングは知らず知らずにやっているよ。その証拠に、フォレストから人間に戻る時、何で服装が汚れたり、破けたりしてないの?」
ファングがフォレストに変身する前、服装がボロボロだったのに、フォレストから人間に戻ると何故か服装が綺麗になっていたので、レンはずっと違和感を感じていたが敢えて指摘されるまでファングに言わなかった。
「お前、知っているなら、俺に教えてくれよ。俺は精霊になってまだまだ、自分の力や能力を知らないんだからな。だから気づいたら教えてくれよ、俺は早く立派な精霊になりたいんだから」
ファングだけ仲間外れにされた気分になっていた。
「ごめん、別に隠していた分けじゃないんだよ」
「分かっているぜ、レン。俺が気付くまで、敢えて言わなかったんだよな。自分で気付けて、やっと一人前になるとお前は俺に言いたいんだよな」
「別に、そんな事は言ってないんだけど?」
「お前が言わなくても、俺はそう思っているんだよ」
レンとファングが言い争っている中、取り残されたアリス達が呆れた様子で見ていた。
「はぁ、相変わらず硬いわね。ファング」
「仕方ないぜ。ファングはバカだから、それにレンは人の嫌がる事はあんまり言わないけど、俺達に対しては本音で言われるから、ファングが真面目に受け止めているんだよ」
「レンお兄ちゃんの言葉は重いから、ファングが真剣になるのは仕方ないよ」
「まぁ、ファングの事だから仕方ないけど‥‥‥それにしても、アクト達の服装やエレントとエレナの姿には驚いたわ」
「そうだな。まさか、俺達と同じくらいの体型に姿を変えられるなんてビックリだぜ。やっぱり精霊は凄いな」
「僕も姿が変わった時はビックリしたよ。まぁ、クラック先生が興味示しそうだけど」
「あぁ、それはあるわね。てか、確実でしょうね!」
アリス達が精霊四人を見ながら話している頃、先生達は精霊を見ながら、一人だけ表情がおかしな先生がいた。
「素晴らしいですわ。これは精霊の定義が覆る事例ですわ。何とかレン・フォワード君の許可を貰って研究したいですわ。あぁ、どうやって実体化しているんでしょうか?」
「何だよ、あの精霊達は一瞬で服装を変えたぜ。しかも女性の方は幼い少女に変わってるし、どうなっているんだよ、ベリット」
「俺に言うなよ、ファブリル。俺も驚いているんだから。俺は一瞬夢を見ているかと思ったぜ」
ベリットとファブリルは何回も目を擦りながら、アクト達の方を確認していた。
「やっぱり、夢でない。何で彼奴ら、精霊達の姿を見て驚かないんだ」
「そんなの決まっているでしょう。彼らはチームで依頼をこなしているんですから、互いの素性を知っているはずでしょう」
「確かに彼奴らなら、互いの素性を知っているが、素性を知らない人が見れば絶対に驚くだろう。全く自由気ままな連中だぜ」
先生達はレン達の自由気ままな、行動に呆れ顔をしていた。それから、先生達がレン達を呼び寄せると、開けた場所を見つけて、調理などの準備を始めていた。
「さて、これから昼食の準備をするからな」
「はい、分かりました。ベリット先生!」
「レン・フォワード。元気は良いけど、お前の後ろにいる精霊達は何をしているんだ」
レン達の後ろでは、アクトが氷のベッドを周囲に展開している間、アルトニス、エレント、エレナはアクトの準備が出来るまで、周囲に木の実など食べられる物がないか、目視で確認出来る範囲を移動していた。
「アハハハ、余り気にしないで下さいよ、ベリット先生。彼らは彼らなりに色々調達しているので!」
「何を調達しているのか気になるが、とりあえず、学生らしく行動しろよ」
「分かりました。アクト達にはちゃんと僕から話しますよ」
「なら良いけど、これからお前達は各学科毎に調理の役割をして貰う。一応課外授業だから気を引き閉めろよ」
「それでは調理の役割を発表するわ。魔法科は食材の下ごしらえと調理をやって貰いますわ。剣武術科は火を起こす枯れ木や枯れ草の回収をお願いするわ。魔法騎士科は他に食材になる物を探して下さいわね」
クラック先生から役割分担の説明を聞くと、何故か魔法騎士科だけ、難易度が高い内容だった。
「はい、クラック先生。質問です!」
「何でしょうか、レン・フォワード君?」
「何で僕とファングは、追加の食材調達なんですか?」
食材の調達になると、カルド森林の奥に行く必要があった。
「いい質問ですね。それは、あなたの戦力を見込んでですわ。だってレン・フォワード君には、精霊やドラゴンが付いているでしょう。それくらいのハンデはあっても良いと思うんですけど」
戦力差を見れば、明らかにレンが所有している、精霊とドラゴンの方が遥かに強いのは一目瞭然だった。
「確かに、各学科で分ければ、僕とファングの戦力が遥かに上ですけど、レオスやレイスだって危険な力を持っていますよ」
レオスは古代魔法、レイスは魔人族の力を扱うのでさほど変わらないと、レンがクラック先生に訴えていた。
「レン・フォワード君。貴方は一応、彼らのチームリーダー何ですから、レオス・フォワードとレイス・クライドに当たらないの」
「うっ、確かにそうですけど、チームのリーダーはこの四人が勝手に決めただけなんですよ」
チームのリーダーはレンの意見を無視して、アリス達の独断で決まっていた。
「レン・フォワード君、言い訳はやめなさい。そんなにリーダーをやりたくなければ、ちゃんと断れば良かったでしょう? 違いますかレン・フォワード君?」
「うっ、確かにその通りです、クラック先生‥‥‥」
断れなかった自分を攻められて、レンはクラック先生に言い返す事が出来なかった。
「なら、魔法騎士科は食材調達をお願いしますね」
「はい、分かりました‥‥‥」
「レン・フォワード。俺も同行するから心配するな」
「いや、ベリット先生は一応生徒の引率者なんですから、普通は付いて来ますよね?」
「アハハハ、確かに言われて見ればそうだな」
「はぁ、ベリット先生大丈夫かな? 不安だらけなんだけど?」
「大丈夫だよ、レン。俺が付いているからな」
「はぁ、不安しかない‥‥‥」
ベリット先生の天然過ぎる発言に、レンとファングは不安げな表情を見せていた。
「さて、チーム分けも終わったし、枯れ木を集めながら、レイス・クライドの稽古をするからな。お前の力を見せてみろ、ガハハハ」
ファブリル先生はレイスと入れ替わった、アルビィスの力を試したかった。
「アハハハ、ファブリル先生、何でそんなに俺様の力を見たいんだ?」
「そんなの決まっているだろう! 魔神族と融合した、お前の力を一度見てみたいんだよ。ただし、一応課外授業の一環だから、剣武術科は魔法は禁止だからな」
「そんなの知っているぜ。レイスから色々聴かされているかな。それに俺様も一度先生と手合わせしてみたかったんだよ。俺様とレイスが編み出した技を見せてやるぜ」
アルビィスは魔法を使わず、自分の力が何処まで通用するのか、ファブリル先生で試したかった。
「ホォー、それは楽しみだな。ベリット、クラック、俺とレイスは枯れ木や枯れ草集めに行ってくるぜ」
「あぁ、気をつけて行けよ」
「ファブリル先生、なるべく早く戻って来て下さいよ。ファブリル先生とレイス・クライドが戻って来ないと火を起こせませんからね」
「ガハハハ、なるべく早く戻るように努めるぜ」
ファブリル先生がベリットとクラック先生と話している間に、アルビィスはレン達の所に来ていた。
「マスター、一旦ここで別れますけど、何かあったら、すぐに命令して下さいね。一応、俺様とレイスはマスターとファングの契約印で結ばれているんですから、絶対に呼んでくださいね」
アルビィスがレン達の所に着た理由が、何時もの事なので、レンが頭を押さえていた。
レイス、何回も念を推すように言わないでよ。しかも、僕が何かに巻き込まれる前提で言っているし!
毎回毎回、レンと別れるときは何故か念を推されていた。
「安心しろ。俺がレンを護ってやるからな」
「ファングは失態するので、心配です」
「何だとアルビィス!」
「やる気ですか、ファング? それに俺様の名前はレイス・クライドです。アルビィスの名前は知りません!」
「お前って奴は!」
「おい、レオス。行くぞ」
「はい、今行きます、ファブリル先生。それじゃまた後でマスター」
「おい、まだ話が終わってないぜ、アルビィス!」
ファングはアルビィスに怒り心頭だったが、アルビィスはさっさとファブリル先生と森の奥に入って行った。
はぁ、何とか喧嘩にならなくて良かったよ。
毎回毎回、アリス達の喧嘩に悩まされていたので、とりあえず大事にならなくてホッとしていた。
「彼奴絶対に戻って来たら、ギャフンと言わせてやるぜ」
「ファング、アルビィスと喧嘩しない。僕達も行くよ」
「お前がそう言うなら、仕方ないな。じゃあ、アリス、レオス、行ってくるぜ」
「うん、気をつけてね。レン君、くれぐれも無理しないでね」
「レンお兄ちゃん、何かあったら遠慮しないないで、契約印を使ってよ」
「うん、分かったよ、アリス、レオス。ベリット先生、僕とファング、準備か出来ました」
「あぁ、分かったけど、お前の後ろで、寂しそうに見ている連中はどうするんだ?」
「へっ、何の事ですか?」
レンとファングは早く森の中に行って、食材を探したいのに、ファブリル先生に止められていたので、レンは首を傾げながら、後ろを振り向くと、精霊やリオス達がずっとレンを見ていた。
「レン様、俺っちも当然、同伴出来ますよね?」
〈レン、俺と兄さんも居て構わないよな〉
〈レン君、僕は何を言われても付いて行くよ。僕とテオはレンの召還獣なんだから〉
【レン、俺達も当然付いて行くぜ】
【アクト、大丈夫なの? アリス達と一緒にいれば?】
【アルトニス、大丈夫。レンの魔力を一時的に借りて強力な冷風を体に纏わせるから。それに氷のベッドはこのままにしておくぜ。アリス達の周囲を冷やせるしな】
【全く、レン様が心配なんですね。アクト】
【アクトはレンがいないと落ち着かないんだよね】
【うるさい。俺は一応お前らのリーダー何だから、こんな所で休んでいられるかよ。だから、俺達も当然付いて行くぜレン】
一斉にレンに向かって喋っているので、何を言っているのか分からなかった。
「ねぇ、皆で言われても、僕の耳は一つ何だから、一人一人、言ってくれない?」
【なら、俺が代表して言ってやるぜ。当然、俺達も同伴して良いよな】
アクトが説明していると、ファングが喰い掛かってきた。
「はぁ、何でお前らが付いて来るんだよ。これは俺とレンの授業だぜ。お前らがわざわざ手伝う必要ないだろう?」
精霊やリオス達は学生ではないので、何故授業を受ける必要があるのか、ファングには理解出来なかった。
【ファングには聞いてないんだけど? ファングはただ俺達を遠ざけたいだけだろう?】
「別にそんなんじゃないよ。俺とレンの授業に割り込むなって言っているんだよ」
ファングとアクトが口喧嘩しそうになっていたので、レンは呆れた様子で話し始めた。
「はぁ、もう良いよ、ファング。アクト達に構っていたらキリがないから、僕とファングの邪魔さえしなければ自由にして良いよ。ただし、僕とファングの邪魔したら、分かっているよね」
【あぁ、分かっているぜ。俺達がレンに迷惑掛けるかよ。まぁ、ドラゴンの三人は知らないけど‥‥‥】
リオス、テオ、ゼロに関しては、アクト達の管轄外だった。
〈大丈夫だぜ。俺と兄さんもレンに迷惑掛けないぜ〉
〈まぁ、ゼロ君に関しては僕が目を光らせるから、レン君は心配しなくて良いよ〉
「何で俺っち、レン様に迷惑を掛ける前提なの?」
ゼロはリオスとテオの発言に納得してなかった。
〈はぁ、お前はレンに破廉恥な行為をして、迷惑を掛けた事をもう忘れているのか?〉
「だから、あれは不可抗力だってば、確かにレン様にあそこを嗅いで欲しいとは言ったけど、あれはもう過去だから忘れてよ」
ゼロは顔を真っ赤にしながら、過去の自分を振り払おうと、首を何回も振っていた。
「ベリット先生、彼らも連れて行きます。大丈夫ですよね」
「あぁ、分かったけど、何か怒ってないか?」
レンの話す口調がいつもと違うので、ベリット先生が違和感を感じていた。
「別に怒ってませんよ。さぁ行きましょう」
「それじゃな、アリス、レオス」
「うん、改めて気をつけてね。レン君、ファング、戻ってきたら、美味しいご飯を用意しておくから」
「レンお兄ちゃん、ファングお兄ちゃん気をつけてね」
「うん、気をつけて行って来るよ、アリス、レオス」
レンとファングはアリスとレオスに伝言を伝えると、精霊四人とドラゴンの三人を引き連れて、森の奥に入って行った。
「行っちゃたわね。レン君達」
「そうだね、アリスお姉ちゃん。レンお兄ちゃんが戻って来たら、料理で驚かそうよ」
「そうね。飛びっきりのご馳走を用意しましょうね」
「アリス・ステイ、レオス・フォワード、その調子ですわ。皆さんを驚かす料理を作りましょう」
「はい、クラック先生!!」
アリスとレオスはレン達が戻って来るまでに、豪華な料理を作ろうと心に決めていた。それからレン達は先生達が決めた役割を果たす為、それぞれカルド森林の周辺で課外授業を開始しているのだった。
次回更新は未定です。温かくお待ち下さい。m(__)m