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数学ができない秀才の話

作者: muya

ハッピーエンドです。

彼は、名畑なはた真大まひろ。国・英・社・あとその他の教科は点数が良い。九十点、百点は楽勝だ。……数学と理の計算を除けば。

理は計算がないところであれば楽勝だ。だが、計算がどうしてもできない。そして、それは今日もそうだった。

**

「はいー、数学のプリント出してー。今日は昨日のやり残し、大問四からねー。じゃあ、佐藤さん、やってみて」

美人の女教師が言う。クラスメイトの一人、佐藤が黒板まで歩み寄り、とんでもなく難しい式を書いていく。なんでそこはそうなるんだ。違うだろ、そこ六だろ、って俺が間違ってんのかよ、と頭を抱える。

「はい、正解。じゃあ今度は……

名畑君ね。四角五ね。」

は? え! ?俺! ? と思う真大の気持ちなどはここでは通用しない。仕方なく黒板に出てやってはみるが--。

あの、一人が間違えた時の教室の「え? え? 」というざわめき。案の定、最初の一文字目からあっていないし、一文字もかすっていない。平仮名くらいかすってよ。

そしてそのまま席に戻る。いや、分からんし。何でそこの一次関数そうなるの。だーかーらー、八だっての! あ、違う、そうですか、ハイ。

「来週は期末考査ですからねー、皆さん頑張りましょう! 」

頑張っています、ずっと。


**

テスト返却。理は計算は出なかったので百点だ。その他の教科も百点、技術のみ九十点だ。今のところ。

「数学返却しまーす。五十音順に来てねー」

もらう。自席に戻ってそーっと点数確認。

……は?

一八点、という数字が真っ赤に目立つ。え、過去最低点、ではないか。本当の最低点は小学校五年生の時の一三点だ。因みにトイレに流した。

うわああ、これはやべぇ。今まで三十何点とかだったのに。難しすぎるんだよ。模試の方が取れるぜ?模試の最高点、五十五点。


やはり親には落胆された。他の教科の百点、九十点よりも数学が目立ってしまう。

「ドリルやってんの? 」

当たり前だ。高得点が取りたいから毎日、二頁、答え合わせもして、ちゃんと解説見て理解した上で勉強しているぞ。

数学のせいで成績がそこだけ「二」なのだ。これはやばい。「一」の次にやばい。「一」が地球破滅だとしたら、「二」は核ミサイルだ。それほど。その他は「四」とか「五」とか。

嫌い、というわけではない。興味はある。だができない。

どうすれば良いのか。


**

ギフテッド。

それが、真大が九歳のときに下された診断だった。通常、このギフテッドは勉強面での全てで秀でている。だが、真大の様に、何か一部の教科のみできないギフテッドの人がいる。それは、「2Eのギフテッド」と呼ばれ、特にアスペルガー症候群や高次機能自閉症の人々に目立つ。「2E」のはギフテッドだとかそうではないとか色々言われているが、兎に角、これは「できるもの」より「できないもの」の方が目立つ。よって能力に気がついてもらえなかったりすることも多々ある。

日本ではまだこのギフテッドの診断も教育も進んでいない。「異端者」、あるいは「変わり者」として見られてしまうのが常だ。


**

真大は落胆していた。数学だけできないのはおかしい。だがしかし、諦めはしない。自分でどうにかする。ずーっと数学。高校行けるのかね、これ。心配だ。

よって高校は、文系の所、外国語コースのある所にした。この高校の外国語コースは高校一年生の時に数学Aをやるだけだ。やったー!推薦であれば達しているからここにしよう。

だが、推薦でも数学「二」はやばい。ねぇ、せめて「三」を頂戴。真面目に授業受けているからさ。


学年末考査。真大は数学を一日に五時間やった。だから出来ると思った。

六十点だった!彼は嬉しかった。親から褒められた!

私も「2Eのギフテッド」です。

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― 新着の感想 ―
[一言] リアルですねえ。(笑) グイグイ読めます。
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