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ガラクタの心と滅びゆく地球

作者: 咲無月
掲載日:2017/08/10

ある昼下がり。

ガラクタは思った。

(世界は素敵だな…)

ガラクタは海や空が綺麗だと思っていた。

自分が汚いから、なおさらそう思った。

昔はガラクタも綺麗だった。

愛も貰っていた。

けれど、壊れていくうちに直されないで捨てられてしまった。

その人の顔は今でも覚えている。

無表情。

自分に対して何も思っていない顔だった。

ガラクタは心底絶望した。

誰かの手によって持ち運ばされ、知らない場所に置いてかれた。

そこにはガラクタと同じようなモノが沢山あった。

でもガラクタは喋れない。

他のガラクタも喋れない。

だから退屈だった。

体は劣化していった。

錆だらけになって、朽ちていった。

それでも心は残っていた。

人間は知らない。

コレはオモチャのロボットだった。

小さい人が毎日遊んでいた。

それは楽しかった。

でも小さい人が大きい人になった。

それは地獄だった。

機械にも心はあった。

根拠はないけど、見つけてないだけ。

本当はある。

何にでも心はある。

だけど誰も気づかない。

だからすれ違う。

ガラクタは悲しかった。

ガラクタは人になりたかった。

しかし少し考えた。

喋れるけど、それは見えない心に傷をつける。

ガラクタは傷をつけたくなかった。

見えないから、直し方が分からないから。

それならまだ喋れない方がマシだった。

堂々巡りの思考になって、一旦止める。

(世界は理不尽だ)

ガラクタの心は黒いモノに包まれた。

それは黒いベールだった。

重たかった。

何故?

でも、すぐに消えた。

ガラクタは不毛だと思った。

心が疲れた。






幾年か経った頃。

ガラクタはまだ存在していた。

空は無機質な灰色になっていた。

地面は茶色く土が剥き出しになっていた。

ガラクタは思った。

(空が固い地面みたいだ…)

あの透き通る青さは見る影もない。

海の潮風も来ない。

周りのガラクタは破壊されていた。

唯一残ったのはオモチャのガラクタだけだった。

ふいに地面が揺れた。

亀裂が走って、裂けた。

破壊されたガラクタは呑み込まれていった。

空を黒い煙が覆う。

遠くで茶色い山が赤くなっている。

そこから何かが流れ出て湖が音を立てている。

太陽が赤からカラフルに変わる。

ガラクタを包み込んでいた優しい光も変わった。

今度は虹色の光に包まれるようになった。

ガラクタは綺麗だと思った。

近くで悲鳴が聞こえた。

ガラクタは人間がいると思った。

でも聞こえなくなった。

非常に気になったが見に行けない。

ガラクタは頭上に迫る黒い影に気づいた。

(誰か来た…?)

期待を込めて視線を向けた。

しかし。

ガラクタは潰れた。

薄れゆく意識の中で、ガラクタは流星群を見た。

地上に降り注ぐ数多の星。

最期にガラクタは後悔した。

目の前に面影のある誰かが倒れていた。

それは。

前にガラクタと遊んでくれていた人間だった。

老けていた。

赤い血が出ていた。

人間は地に呑まれ粉々にされていった。

そこで終わりだった。

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