ガラクタの心と滅びゆく地球
ある昼下がり。
ガラクタは思った。
(世界は素敵だな…)
ガラクタは海や空が綺麗だと思っていた。
自分が汚いから、なおさらそう思った。
昔はガラクタも綺麗だった。
愛も貰っていた。
けれど、壊れていくうちに直されないで捨てられてしまった。
その人の顔は今でも覚えている。
無表情。
自分に対して何も思っていない顔だった。
ガラクタは心底絶望した。
誰かの手によって持ち運ばされ、知らない場所に置いてかれた。
そこにはガラクタと同じようなモノが沢山あった。
でもガラクタは喋れない。
他のガラクタも喋れない。
だから退屈だった。
体は劣化していった。
錆だらけになって、朽ちていった。
それでも心は残っていた。
人間は知らない。
コレはオモチャのロボットだった。
小さい人が毎日遊んでいた。
それは楽しかった。
でも小さい人が大きい人になった。
それは地獄だった。
機械にも心はあった。
根拠はないけど、見つけてないだけ。
本当はある。
何にでも心はある。
だけど誰も気づかない。
だからすれ違う。
ガラクタは悲しかった。
ガラクタは人になりたかった。
しかし少し考えた。
喋れるけど、それは見えない心に傷をつける。
ガラクタは傷をつけたくなかった。
見えないから、直し方が分からないから。
それならまだ喋れない方がマシだった。
堂々巡りの思考になって、一旦止める。
(世界は理不尽だ)
ガラクタの心は黒いモノに包まれた。
それは黒いベールだった。
重たかった。
何故?
でも、すぐに消えた。
ガラクタは不毛だと思った。
心が疲れた。
幾年か経った頃。
ガラクタはまだ存在していた。
空は無機質な灰色になっていた。
地面は茶色く土が剥き出しになっていた。
ガラクタは思った。
(空が固い地面みたいだ…)
あの透き通る青さは見る影もない。
海の潮風も来ない。
周りのガラクタは破壊されていた。
唯一残ったのはオモチャのガラクタだけだった。
ふいに地面が揺れた。
亀裂が走って、裂けた。
破壊されたガラクタは呑み込まれていった。
空を黒い煙が覆う。
遠くで茶色い山が赤くなっている。
そこから何かが流れ出て湖が音を立てている。
太陽が赤からカラフルに変わる。
ガラクタを包み込んでいた優しい光も変わった。
今度は虹色の光に包まれるようになった。
ガラクタは綺麗だと思った。
近くで悲鳴が聞こえた。
ガラクタは人間がいると思った。
でも聞こえなくなった。
非常に気になったが見に行けない。
ガラクタは頭上に迫る黒い影に気づいた。
(誰か来た…?)
期待を込めて視線を向けた。
しかし。
ガラクタは潰れた。
薄れゆく意識の中で、ガラクタは流星群を見た。
地上に降り注ぐ数多の星。
最期にガラクタは後悔した。
目の前に面影のある誰かが倒れていた。
それは。
前にガラクタと遊んでくれていた人間だった。
老けていた。
赤い血が出ていた。
人間は地に呑まれ粉々にされていった。
そこで終わりだった。




