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プロローグ

「よしゃ、ちょっくら行ってくるわ」


ショノウという人物は相棒のラミナという人物に声をかける。


「おう、観客席で見てるからな。かっこ悪いところ見せるなよ?」


ニヤニヤした表情で返事を返すラミナ。


「じゃあな〜」


これから行われる王国で半年に1回開かれるコロシアムという簡単に言うと強さ比べにショノウは行くのだ。


身長は低身長の150cmほど、ボサボサした髪の毛が目にかかるかかからないかくらいの髪型。

やや小顔だが目に少年のような輝きがないというか元気の無い表情を常に浮かべている。

そして髪の毛も瞳も身につけているローブを全て真っ黒という黒をこよなく愛する男なのだ。


そしてショノウの相棒で大親友のラミナ。ショノウとは昔、ある事件がありそこで初めて会った仲だ。

その後別れてしまったが約1年半前に旅をしているラミナとショノウは偶然出会ってそれ以来共に旅をしているのである。


ラミナの容姿はというと殆どショノウと真反対である。短髪で切りそろえられた銀色の髪と身長170cm後半ほど。真っ赤な瞳が特徴的である。

その容姿に対して服装は至って地味である。ベージュ色のチョハを身にまとっており堕ちた貴族のような服装をイメージさせる。


因みにどちらとも年齢は18歳である。


そしてこの世界には職業というものがある。強職業と呼ばれるのは勇者、賢者、僧侶、魔道士、聖騎士・暗黒騎士、暗殺者、格闘家だ。


人々の強さを表したランクというのも存在し、これらの強職業だと基本Aランク以上が一般的だ。

駆け出し冒険者だとCランク。そこから仕事を達成していってランクが上がっていく仕組みだ。


しかし、2人ともこれらの強職業ではない。ましてやショノウに至っては商人、ラミナは鍛冶師なのだ。

今は旅をしているのである旅人なのかもしれないがーー


そんな変わった彼らの紹介も終わったところでショノウはというと1会戦目の相手と勝負するためにコロシアムへ向けて移動する。


ラミナはこの大会に参加しないので観客席から戦闘を眺めるために観客席へ向かう。


元々優勝した時に貰える賞金欲しさにこの大会にエントリーしたのだからあまり実力がどうのこうのとか関係ないのだが。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ショノウは控え室らしき所で準備をしていた。


このコロシアム、決勝戦で優勝すると魔道士と勝負出来る。それに勝つと優勝で賞金が貰えるのだがその魔道士が強すぎて賞金の獲得量がどんどん上がっているのだ。


「よし、行くか」


そう呟いたショノウはナックルを武装して戦闘場へ出る。


オオオオォォォォォ!!


観客の声が凄まじい。


ショノウが出ると同時に真反対の入口から相手も登場する。


見た目は何処ぞの貴族の用心棒だ。


「よろしくな! 俺はダバ」


歓声の中ダバが挨拶をする。


腰には派手な装飾の細剣を装備している。


「よろしく……」


面倒くさいなぁと感じるショノウだが一応返しておく。


そして審判のアナウンスが声をかける。

審判が戦闘場にいたら死ぬ危険性があるからアナウンスという形になっている。


「両者とも準備はよいな? よーい、はじめ!」


その掛け声と共にダバはショノウに走り出すーー


「ではお手並み拝見と行きましょうか!」

「閃光風!」


細剣が光り輝き7連続で突いてくる攻撃だ。


「何しよ……」


細剣の軌道を瞬時に見切り7回とも最小限の動きで避ける。


「やるじゃないですか貴方。次は避けれますかな」

「星爪!」


細剣が爪のようなオーラを纏い攻撃するスキルだ。

手の動きと連動して攻撃するので使い勝手がよく強いので細剣スキルでは人気のスキルの一つだ。


しかし、それも瞬時に見切ったショノウはまた避ける。


「これも避けるのですか。やりますね。では次はーー」


「五月蝿い」


一々喋るダバにイラつき縮地でダバの背後に回る。


「なっ、どこに!」


「回し蹴り」


綺麗な回し蹴りがダバの後頭部に蹴りこまれ気絶するダバ。



試合が始まって僅か1分。


「試合終了! 勝者はショノウ選手です!」


ワアアアァァァァァ!!


また歓声が会場に響く。


この試合はトーナメント方式で負けたら即敗退なのだ。


そして2会戦、3会戦とも回し蹴りの1発で勝ち進み決勝戦に出場した。


「俺はロズマだ」


「よろしく」


暗殺者であるらしく短剣を両手に握っていて妙に親近感が湧く。


「はじめ!」


アナウンスの声でロズマが走り出す。


直後煙玉を地面に当て白い靄がショノウの視界を奪う。そして縮地でショノウの背後に移動し両手に持った短剣で無防備なショノウに襲いかかるーー


「なに!?」


完全に背後をとったと思ったロズマだがショノウは分かっていた。


ロズマの連撃をナックルで防ぐと攻撃の体勢になる。


「烈風拳」


放たれた拳からは爆風が舞い上がる。


「ふっそんなものか?」


少し当たったのか服が切り裂かれているがまだまだ戦える雰囲気のロズマ。


「隠遁!」


急に消えるロズマ。

そして暗殺者のスキル気配遮断を駆使してショノウに攻撃する。


「幻魔斬!!」


真横から現れたロズマの短剣から放たれた斬撃は絶大な威力だった。その斬撃がショノウに届くまでの間、恐らく見ているラミナ以外は感じられないだろうが時間が間延びしたのだ。


そしてショノウはその時間に呟いた。


「武器転換」


周りから見るとロズマの攻撃に速すぎる対応をしたのだ。


その言葉と同時にナックルの武装が解除されショノウの掌には刀が握られていた。


「鶴鮮」


刀から放たれた灰色の鶴はロズマの斬撃に対抗する。


「虎杖」


角度を変えて今度はロズマに墨で描かれたような虎を直進させる。


「居合切り」


縮地を利用してまた別の角度から今度は自分自身がロズマに斬りにかかる。


途轍もない対応力だ。不意の攻撃を読みそれに3つの攻撃で返し打ちにする。


「くっ」


幻魔斬は威力は絶大だがその後の硬直時間が長い。それを知っているショノウは武器を刀に変えて立て続けにスキルを放ったのだ。


「神聖切断!」


そのスキルによってショノウの虎杖を切り裂く。


かなり上位のスキルを使ったロズマにショノウは驚く。

神聖切断はSランク以上の者にしか使えないのだ。


しかしロズマはショノウの居合切りには対応出来なかった。


「うっ……」


諸にショノウの居合切りを受けたロズマは倒れる。


血が服から滲んでいる。


命に別状は何の問題もないがロズマは負けショノウは勝ったということだ。


「ありがとうショノウ。俺の負けだ」


「おう」


ショノウは地面に膝をつき握手をし合う2人に再び会場がわく。



そして暫くしてショノウは最後の戦闘のために戦闘場に立っていた。


「さあ〜最後の戦いです。ショノウ選手VS魔道士アナ。どちらが勝つのでしょうか!」


アナウンスが流れアナが登場する。


直後今までと比べ物にならないくらい会場がわいた。


アナの美貌は凄かった。ショノウも美しいと思ったのだから。


ショノウよりも少し身長が高く白のコートに炎のマークが入っている。

そしてその美しい顔立ち。茶髪の長い髪の毛に澄んだ水色の瞳。ふっくらした唇ーー胸の辺りも膨らんでいる。


(これが魔道士さんか)


「私勝つからね。楽しませてね」


容貌だけでなくその美声にショノウは一瞬動揺した。


「分かった」


「よーい、はじめ!」


アナウンスの声で試合が始まる。


アナは攻撃してこいとばかりにただ突っ立っている。これまでは待っていたのだから今度は攻撃を仕掛けようと駆け出す。


縮地を使い一気にアナとの距離を縮める。


「抜刀」


鞘から刀を抜くと同時にアナに攻撃する。


「魔盾!」


アナが作った魔法の盾によりショノウの攻撃は防がれる。


1歩引きすぐに立て直すショノウ。


「彼岸創」


彼岸花の形が象ら何本もの棘でアナの周囲にを攻撃する。


「魔盾・防!」


先程よりも更に厚い魔法の盾でショノウの攻撃がまたもや跳ね返される。


(硬いな……)


彼岸創はショノウが使える刀スキルの中でも中々上位のものなのだ。それをあっさり弾かれたのだから自分の中でのアナの強さのランクを1つ上げる。


次の攻撃が通らなかったら武器転換しようと決めるショノウ。


「桜舞華」


ショノウの持つ刀スキルの最上位スキルだ。


幾つもの桜の花びらが舞い降りてきてその間隙にショノウの刀がアナを襲うーー


「魔盾・防!」


刀と盾がぶつかりあう。


少し拮抗した後、盾がパリん! と割れた。


「聖界!」


すぐに切り替えアナの周囲に半円状の白い結界が張られショノウは侵入できなかった。


ショノウは何か危険を察知し後方へ縮地する。


「絶炎!」


結界が解かれると同時に蒼い炎がショノウに向かう。


そしてまた武器を変える。


「武器転換」


刀が消えショノウは何の武器も持っていない状態になった。


「水滅」


ショノウは魔法で勝負をすることにしたのだ。これが一般人に見せれるショノウの最高の強さだからこれで負けたらショノウの負けだ。


ショノウも魔法で対抗する。


火の魔法には水が有利なので水を当てて打ち消そうという狙いだ。


ショノウの狙い通り魔法は打ち消された。


「魔法……?」


アナは驚いた顔をしてショノウを見る。


「別に魔法使えてもいいじゃん」


「でも、あなたナックルだと思っていたら刀に変わったし。それから魔法も使えるって何者なの?」


「何者か。商人かな」


「そんな分かりきった嘘なんてついても無駄よ! 試合終わったら言いなさいよ」


面倒くせぇと思いながら戦闘が再開される。


アナが魔法を放ってショノウが打ち消すという連続なのだが時間が経つにつれてアナが有利になっていった。


ショノウの魔力が尽きてきたのだ。


魔力はスキルを使うのに必要なエネルギーでこれが無くなるとスキルが一切使えなくなるどころか疲労で体が倒れるのだ。


(厳しいな)


そろそろ最後の攻撃を仕掛けようとアナを見るがアナの魔力が尽きる様子は微塵も感じられない。


(これで決める!)


「闇喰」


紫色の腕が出現しアナを掴もうと直進する。


対してアナはというと


「崩光!」


光の柱が3本上空から出てきて手を迎え撃つ。


数十秒ーー


ショノウの闇喰の手が柱に負けその柱がショノウを包む。


「くっ……」


まだ戦えることは出来るのだがショノウは降参した。


「俺の負けだ。降参する」


ウオオオォォォ!!


アナが勝ったことによって最後の歓声でアナウンスの声すらも聞こえなくなった。


アナはドヤ顔でショノウを見るがさっさと帰る準備をしようと決めたショノウは控え室に向かった。


何やらショノウの背後から怒ったような感情が背中に突き刺さるが気にしないことにする。


さっさと荷物を纏めたショノウはラミナと落ち合う場所に向かう。


歩くとラミナが木に持たれて立っていた。


「お前、負けてやんの。ププ」


嘲笑ってショノウを見るラミナ。


「うるせぇ、相手が強かったんだよ」


ラミナは唯一ショノウの強さを知っているのでもう1つの武器に変えたらショノウは余裕で勝てる事を分かっている。


「まあ賞金は惜しかったがいい経験だったんじゃねえの?」


「そうだな、魔法も刀も腕をもっと上げなきゃと分かったよ」


うんうんと 頷くショノウ。


その時ーー


「貴方! そこの貴方!」


何やら声がした。


反射的に首を向けるとアナがこちらに走ってきている。


「お前なんかしたのか?」


「いや特に何も……」


アナが追いかけてくるのが怖かったので逃げ出す2人。


「待ちなさーーい!」


2人が走ると追いつけないのを悟ったのか声を希望に止まれと指示するアナ。


ショノウとラミナが不意に止まりアナがその急停止に反応できずラミナの背中にぶつかる。


「きゃあ!」


倒れているアナを見下ろす姿勢でショノウが聞く。


「何なの?」


「あ痛てててて」


お尻についた土を払いとり立ち上がるアナ。


「貴方は何者なのか聞きに来たのよ! 序にそこの貴方も」


序と言われ指を指されるラミナ。


「何者と言われても……強いて言うなら旅人かな」


「さっき商人って言ってたじゃない」


「旅人って職業じゃないからな」


「何で商人が刀とか魔法使えるのよ!」


「使えちゃダメなのか?」


「あのね、職業によって適正武器があるのよ。貴方は武器コロコロ変えて戦って何者なのよ!」

「そしてそこの貴方も!」


怖い顔をして問い詰めるアナに困惑する2人。


「俺は鍛冶師だが何か?」


「鍛冶師なのね、鍛冶師はまあいいわ。問題は貴方よ」


「何が問題なんだよ……」


「問題だらけじゃない! もういいわ。貴方達が旅人というのなら貴方の事を何から何まで知るために私を旅に連れていきなさい!」


「えっ」


「貴方達にとっても悪くは無いでしょ? あなたより強い魔道士がいるのだから鍛冶師さんも尚安全じゃない」


「いやぁ〜それはちょっとね」


「貴方達が断ってもついて行くからね」


すごい面倒臭いやつに絡まれたと思う2人。


「じゃあ俺らテント戻るからこれで」


アナから逃げようとしてテントの方へ向かう。


が、アナは歩いてついてくる。


テントに着くまでにずっと付いてきたアナは2人と一緒にテントの中へ入り込んだ。


「あのさぁ、そろそろ邪魔なんだけど」


「ついていくっと決めたらずっとついて行くからね」


はぁと溜息をつくショノウ。


「別にいいんじゃね? 旅が賑やかになりそうだし」


ラミナがそんな空気を一心して言う。


「そうか? 色々隠すのもだるくないか?」


「俺の空間でやればいいさ」


等とブツブツ呟いていた2人を見て退屈だったそうなアナはテントの中で先に寝ていた。


「ラミナが言うなら……」


「決まりだな」


「旅に華やかさが出ていいじゃねえか。顔も悪くはねえしな」


そっとアナに毛布をかけ日も暮れてきたので2人は晩御飯の支度を始めた。




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