【戦い終わって】
リリアが目を覚ます
魔の森中腹あたりにある一軒家。そうここはアスカの家である
あの激戦の後、倒れたリリアはずっと眠りについたままだった。よほど疲れていたのであろう
戦いが終わり彼女が倒れた後、ミリィがアスカの家に置いてあった馬車を使いマイと共に彼女らを連れ帰ったのだ
マイは怪我が治った後ギルドに帰る予定であったが、それを遅らせて救出に一役買ってくれたのである
目覚めたリリアはすぐに竜太の姿を探すが彼は部屋には見当たらない
……コンコン……
「失礼します 」
アスカの侍女が、食事用のプレートを手に持ち部屋に入ってくる
「ねぇ……竜太は無事? 」
「あの方も今は別のお部屋で休んでいます。リリアさんもまずは食事をとって体力を回復させて下さい 」
侍女がベッドに身体を起こしたリリアのもとにプレートを置く
「ありがとう 」
随分寝ていたので凄くお腹がすいているらしく、リリアは数日ぶりの食事を味わうのであった
結局体調が万全になったのはそれから三日後のことになる
竜太は死なずにすんだのではあるが、肩の付け根からちぎられた左腕はなくなった状態のままであった
命が助かっただけまだマシと(本人弾)
アスカの話しによると、ファリオとミリィの二人は、リリア達を運んできた後、すぐに次の仕事へと出向いたそうで、ありとあらゆる次元の管理をしている彼女らは、他にも多くの問題を抱えているようである
マイもリリア達が寝ている間に、ガイナブラストへと帰ったらしい
ガイナブラストに遊びにきた際は、ギルドに顔を出して下さいと言っていたとのこと
最後になったが、エレーナとそれに関する魔の森の結界についてであるが
これに関しては最終的に失敗に終わったようだ。アスカ製作の結界発生器は稼動自体は上手くいったようだが、それほどの効果が見込めず、わずか一部の上級魔物にしか効き目が出ないことがわかった
神力を用いて弱まっていた頃の結界と同じ程度の役割にしかなっていない。それでは以前と変わらないと思うだろうが、エレーナの神力を使わなくてすむ点だけが、向上したことになる
機械はアスカの居るこの家に置かれ、定期的にメンテナンスをするそうである
肝心のエレーナであるが、また結界運用の為の旅に出たらしい。リリア達が回復するのを待つつもりであったようだが、なるべく早くに結界を維持させたいようで、なかなかリリア達が起きないこともあり、出て行ったらしい。彼女がリリアと竜太の二人にお礼を言っていたとアスカが言っていた
結果を見るとブライトやジーク。グスマンは倒せたものの、それ以外は何か劇的に変わった訳ではなかった
アスカと侍女に別れの挨拶をした、リリアと竜太の二人は、激戦を繰り広げた魔の森を抜け、ゼルガストへと続く街道まで帰ってくる
街道は爽やかで心地よい風が吹いていて辺りには穏やかすぎる景色が覗いている
「竜太はこれからどうするつもりなの? 」
無事とは言い難いが、生きて帰ってこれたことに、少し表情が明るくなるリリア
「そうだな。さすがに腕が無くなったから、また冒険の旅へなんてことは言えないが、この世界のことをもう少し学んで、生きていけるようにするよ 」
どうやら竜太は、この世界で生きていく覚悟を、決めたようである
「それにエッチの約束もあることだしな 」
「そういえばそうだったわね。いいよでも帰ったら……ね 」
リリアはそのことを完全に忘れていたようだが、意外にも許可がおりる
「リリアはこれからどうするんだ? 」
「私? 私はとりあえず借金をクエストの依頼料で支払って…… 」
そこまで言ってリリアの表情が青ざめる。まるで天国から地獄に突き落とされたような感じに見える
「私クエストの依頼料貰ってなーい! 」
うららかな街道、穏やかな時間の流れるそこに、リリアの絶叫が辺り一帯にこだました
ここで物語の前半が終わりになります。お読みいただいた皆様ありがとうございました。
もし良かったら後半もお読み下さいm(__)m