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【そして地下迷宮へその③】

エスクードから街道を北上した近くの森に討伐対象はいた


今回のクエストは、魔物の討伐。しかも彼女にとって一番苦手なグループでの参加


それを相手にしている数名のAクラスのギルドランカーが、彼女の前に居て対象を取り囲むように戦っていた


「コイツ強いぞ 」


剣士の男が呟く。一匹のガーゴイルにどうやら手こずっているようだ


火炎弾(ファイアーボール)


魔法使いの女性が、魔法を発動。ガーゴイルにそれが着弾するが、威力が通常のものより小さいようで、さほど効果を与えているようには見えない


「うぉぉぉ 」


戦士の男が斧を掲げて突撃するも、それは無情にも魔物に当たることは無く、虚しく何も無い場所をないでいく


「はぁ…… 」


本人達は至って真剣そのものなのだが、そのお笑いにも見える戦いに、思わず女性から溜息がもれる。金色に光り輝く美しい髪して、左目にはトレードマークのように眼帯をつけ、ライトアーマーを身に纏った女、A級ギルドランカーのリリア・ステファンである


「悪いけど下がってくれる? 」


リリアの言葉に、3人が対象からそれぞれ距離を置く


「怒りの雷暴爆(サンダーウォーム)


緑色の魔力球体が2つ、リリアの魔法発動により現れ、高速で対象に向かうと誘爆しガーゴイルを一撃で消滅させる


「おぉ! 凄いなあんた 」


剣士の男が感嘆の声をあげる


これで今回のクエストは、無事終了したことになる




エスクードのギルドにたどり着いたリリアは、彼らと報酬を均等に配分し、別れた後に受付嬢のマゼンダと話していた


「お疲れリリア。次の仕事デカいのあるわよ 」


一連の魔の森での出来事が終わってからは、普通の仕事が多かった彼女。ギルドランカーSクラス以上が全滅。などというギルド始まって以来の未曾有の危機もあり、最初の頃は大変な仕事が大量に舞い込んできていたが、今はSクラス以上も新たに招集され、もともとリリアが請けていたような、通常のそれに戻っている


今の彼女に大きな仕事が、入るとは考えにくい


「どんな仕事? 」


「人物保護依頼。報酬はなんと100万クレジット 」


「100万!? 」


これほどの額の仕事依頼は例の如く、SRクラスのランカーにもあまり無いはずである。リリアは嫌な予感がした


「依頼者は誰? ファリオじゃないの? 」


1年ほど前にリリアはファリオの依頼を引き受け、大変な思いをしたのである。警戒する気持ちもわからなくはなかった


「違うわね依頼者はエリスさん。エリス・チャーナルドっていう女性みたいね 」


どうやら取り越し苦労のようである。しかしリリアの聞いたことがない名前であることには違いはなかった


「ただ今回は危険に見合う報酬の額になっているわ…… 」


マゼンダの言葉に、リリアは躊躇したが、最終的には引き受けることにしたようである




次の仕事は100万クレジット、しかし期間も非常に長く、内容もキツいものであった


任務は保護依頼なのだが、どうやら対象が闘技場に参加受付しているらしい。命知らずなのか、それとも格闘に自信でもあるのか定かではないが、参加しているとなると彼女自身も参加者として中に潜入し、任務を遂行しなければならない


その為、例の如く、魔導銀行で前払いシステムを利用したリリアは、自宅へと戻ってきていた


「カスティル。また3ヶ月くらい留守にするけど、家のことお願いね 」


自宅のテーブルに着いて、カスティルの作ってくれた料理に舌鼓をうつ彼女


「またお出かけですか? 気をつけて行かれて下さいね 」


洗い物を終えたカスティルが、リリアの前の席に座る


部屋はそれなりに広く、生活するに困らないように物が取り揃えられている


「今回の任務は闘技場に参加しないといけないからね 」


「危険ですよリリア様 」


「仕事だしとりあえずやってみる。ごちそうさまカスティル 」


目の前の料理をすべて食べ終えたリリアは、席から立ち上ると、風呂へと向かう


危険極まりない闘技場への参加が、彼女を待っている


リリアはゆっくり出来る今のうちに、羽を伸ばそうと考えているのであった




闘技場に参加するその日


受付の小屋には、リリアの姿があった


受付の男から魔導機を受け取り、入り口へと向かう


一つの入り口から階段を下り、彼女が迷宮へと続く重たい扉を開く


闘技場の開催はもうすぐであった



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