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先生たちの初授業、自重はしないよ?

今回はまるで自重しない主人公。

「はい。それではこれから授業を始めます。よろしくお願いします。」


リースさん、いやリース先生はそう言って礼儀のついての授業を始めた。


「では、まずは一番の基本となる立場が上の人に対する礼儀から始めます。


俺は日本にいたころは礼儀なんてさっぱりだった。けど、やればできるなんて高をくくってた。これはその罰なのだろうか?まさに地獄とも呼べる時間が普段の数倍のスピードで進んでいく。


「はい、そこは間違っていますよ。もういちど。」


「そうです。では、あと100回繰り返しましょう。」


怒鳴るわけじゃない。むしろ先生としては温和な声だ。けど、厳しい。ある意味、刀の使い方を教えてくれた、前世の親父以上に厳しい。ああ、すげえ、つかれた。ここまで疲れたのは二十時間耐久ランニング以来だ。


「はい、では今日はここまで。ありがとうございました。」


「あ、ありがとうございました。」


礼をしてすぐに部屋をでる。そして自室に戻らず次の授業がある部屋に向かう。その途中でリンに出会う。


「あ、アレク様。礼儀作法の授業どうでした?」


「疲れた。」


「ですよね。私もメイドの礼儀作法を覚えるの苦労しましたしまだたまに間違えちゃうんです。」


ああ、リン。やばいって。今はまずいんだって。


「あれ、アレク様?どうしました?」


「リン?ちょっとお話ししましょうか?」


リンがギギギという効果音とともに振り返る。そこにはもちろん口は笑ってるけど眼は笑ってないミリアさんが…。


「あ、いやあのこれは。」


「さあ、リン。来なさい。アレク様、お勉強頑張ってくださいね?リンにも頑張らせますので。」


「う、うん。」


ミリアさんがリンを引っ張っていく。


「がんばれ。」


リン。下手なこと言うから。というか二人ともイメージ通りだったわ。さて、部屋にいこ。





「四歳とは思えない聞き分けのよさでしたね。しかも一回注意したらすぐに修正する。あながち親ばかとも言えませんね。」


今まで教えた中では多分一番優秀な子ですかね。さて、残りの二人はどういう評価をしますかね?




「じゃあ、とりあえずテストをやるから。」


サラさんはそういって俺に五枚のプリントを渡した。


「算学と歴史と地理と魔法学とエルフ語のテスト。一枚30分。はじめ。」


おいおい。いきなりすぎだろ。とりあえず算学だな。えっと?これは足し算。引き算。掛け算。割り算。あれ??次は確率を使えば解けるな。次は立体図形か。苦手だけどこのくらいならいける。おや?これって積分の問題か?マジかよ。まあ解けるな。最後は数列を使えばいいな。ちょろい、ちょろい。


「はい、それまで。じゃあ次、はじめ。」


次は歴史か。初代国王?確かあれだな。次は、あれか。本で読んだな。ん?十年前に起きた魔獣の事件?そんな最近のこと知るわけないだろ。


「む。」


歴史は最近のことはわかんないな。あと純粋に知らないものもおおい。


「はい、そこまで。次。」


次は地理か…。は?村の名称?知るわけないだろ。大陸の形?これだな。は?竜の谷の場所?そんなとこあんのか…。一回行ってみてぇな。しかしわかんねえ奴が多いな。


「はい次。」


魔法学ね。簡単簡単。一番しっかり勉強したからな。魔法陣?詠唱?属性?ちょろいな。…最後は亜神級の魔法か…。知るわけないだろ!!本がないんだから。


「終わり。最後。」


最後はエルフ語かよ。勉強してねえよ。こりゃ0点だな。お??


「あれ?」


「ん?どうした?」


「いや、なんでもないです。」


おいおいおいおい、読めるよ?なんで?もしかして”向こうの言葉”って人語だけじゃないのか?というか読めたら楽勝じゃねぇか。お?これはエルフ語じゃないぞ?古代語だな。まあ読めるけど。


「そこまで。今日はもう終わり。」


「ありがとうございました。」


まあ、算学とエルフ語は満点だろ。魔法学は最後だけ間違ってるな。歴史と地理も8割は行くんじゃないか?しかしこの世界じゃ4歳児にあんな難しい問題だすのか。算学なんて明らかに高校生レベルだぞ?あれだけのレベルを4歳でやるってどんだけ発達してんだ?というかそんだけ発達してんのに文化レベルはこんなもんなのか?やっぱ物理とか化学とかないからか?まあいいや。切り替えよ。次は剣術の授業だし。確か剣はもうカイルのとこに届いてんだよな。楽しみだ。



「ありえない。まさかこんなこと。」


私はあの子が神童と呼ばれてると知って戒めのために難しい問題を後半に選んだのに。


「算学が満点?ありえない。さいごのは最近発見されて学者が研究してるテーマなのに。それにエルフ語。」


こんなの一問も解けないのが普通なのに。満点?古代語を読めるなんて…。エルフの中でもほとんどいない。


「神童?そんな生易しいものじゃない。魔法学だって、歴史だって、地理だって。」


何教えよう?まさか亜神級について教えるわけにもいかないから…地理と歴史だけになりそう。はぁ、大変だ。




「おう、来たか。早速だがこれを振ってみろ。」


カイルはそう言って木剣をわたしてきた。ずしりと本物と同じ重さがする。


「はい。」


さて。剣とは刀と違い叩き切るもの。しかしそこだけ踏まえればほとんど刀と同じように振っていいはずだ。


「はっ!」


気合ととも木剣を振る。振る。振る。


ああ、これだよこれ。型の練習だけじゃなくて実際に振らないと。


「なっ!?」


声がしたので振るのをやめてカイルさんのほうを向く。


「坊主?お前、剣を振ったことあんのか?」


「ないですよ?」


剣はないな。刀ならこの世界のだれよりも振った自信があるけどな。


「しかし、こんなに理にかなった型はそう簡単に身につくものじゃ…。」


カイルが何か言っているが俺は気にしない。そう、たとえ怪しまれようと真剣に取り組まないのは剣に対して失礼だ。


「おい、これを振ってみろ。」


カイルはそういって俺が昨日もらった剣を渡してきた。俺はそれをさやから抜いて刀身を見つめる。


「きれいだ。」


思わずつぶやく。そしてさっきまでと同じようにではなく剣の重心を把握してそれに合った振り方をする。


「おいおい…マジか。」


ああ、剣もなかなかいいな。


「おい、これを切ってみろ。」


カイルが指差しているのは日本でよく切っていた、藁の人だった。


「はい。」


懐かしいな。あの頃もこうやって斬ったっけ?


ざん!


心地よい音とともに鈍い衝撃が腕を走る。剣は藁のちょうど真ん中あたりで止まっていた。


「ふう。」


しくじったな。まだ刀を振っていた時の癖が残ってやがる。これくらいもっと簡単に真っ二つにできねぇと。


「…。おう、ちょっと見てろ?」


カイルはそう言って藁の前に立つ。そして剣を振り上げ、



スパン!


いい音とともに藁が真っ二つになる。


「こうだ。違いが判ったか?」


「はい。」


「…やってみろ。」


新しい藁の前に立つ。そしてさっき見たカイルの型と自分の型を比べ悪い点を修正し振る。


スパン!


同じような音を立て、藁が真っ二つになる。それに腕に走る衝撃もだいぶ弱い。


「っ!!…おし。アレク、その感じでまずは素振り1000回だ。」


「はい。」


やっぱりこの感じはすごくいい。素振りも4年ぶりだと思うとよく我慢できたな。今日から堂々と剣がふれるんだ。ああ、これからが楽しみで仕方ない。そして、そして早く、りたい。早くその日がこねぇかな。




「すげぇな。」


アレクの訓練が終わり、一息ついてから改めて考えてもそれが一番の感想だ。あの型も初めてどころか十分剣士として通用する型だった。それに実剣を初めて使って藁をあそこまで切るとは。


「まあ、でも何よりも。」


俺が藁を切った時の動きを目で終えて、まねることができたというのが一番すげぇ。あまりにも驚いてそれからリジェルドに頼まれたことを確かめ忘れていた。


「しかし、あいつの勘違いだと思うが…」


まぁ、坊主じゃねぇのは認める。あいつは間違いなく戦士だ。


「ははっ。鍛えるのが楽しみだぜ。」


次回でやっと戦闘シーンに入れそうです。ぜひ読んでください。

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