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王都でのもめごと

今回は主人公が世間一般の人に勝てるのかというお話。

「そこの馬車、止まれ。」


王都の入り口の架け橋で衛兵がそういって俺たちの馬車を止める。


「身分証明書を出せ。」


「これです。」


従者の一人がよくわからないカードのようなものを渡す。


「これは…っ!!た、大変失礼しました。侯爵様とは知らず申し訳ありません。」


まあ、貴族だしな。にらまれたらろくなことにならない。あの衛兵もわかってるんだな。しかし、あのカードは身分証明書だったっけ?便利なシステムだな。あれひとつで身分が証明できるんだから。しかし、馬車に家紋がついてるんだからよく見ればわかっただろうに。


「アレク様、王都につきました。おりましょう。」


ミリアさんに言われ考え事をやめて馬車から降りる。


「へえ、ここが王都か。確かに活気があるねぇ。」


ここは馬車を置いとくところか。すげぇ数だな。しかも家紋がついてるから全部貴族のか?こんなに王都にいるのか…めんどくさいな。


「さあ、アレク様。とりあえずは王城へ行きましょう?お父様もいらっしゃいますよ。」


「そうするか。ん?母様たちはどうした?」


「マリア様でしたら、少しお疲れになったようで少し休むために馬車でそのまま王城へ。カイル様とリース様でしたら騎士団に用事があるそうです。」


「そうか。ん?俺は別に母様と一緒に王城へいってもよかったんじゃ?」


「ええ。ですがマリア様がアレク様は城下町を見たいだろうと仰いまして。」


「なるほど、確かにそうだな。」


確かに王都には興味がある。特に鍛冶師とか武器屋とか。よし、のんびり観光しながら王城へ向かうか。


「それでは、私とリンがご案内いたします。」


それから俺はリンとミリアに説明を受けながらいろんな商店を外から眺めながら王都へ向かっていった。


「これがこの町一番の呉服店ですね。今、アレク様が来ていらっしゃるその服もここで仕立てたものです。」


「ここのパン屋さんはとってもおいしいんですよ。」


「ここはアクセサリー店です。アレク様もいいひとができたらここでプレゼントを選ぶのがよいかと。」


「ここで売っている焼き鳥はとってもおいしいんですよ?ちょっと買ってきてもいいですか…」


「アレク様、こちらはこの町で一番品揃えのいい本屋です。何か買いたいものはございますか?」


いやあ、いろんな店があるな。いいにおいもそこら中から漂ってくるし。やっぱりこれくらいにぎやかなほうが落ち着くねぇ。ん?


「おい、売れねぇとはどういうことだ!!」


「どうもこうもお前にはこの店の武器は扱えん。お前さんが扱える武器なら向こうのほうにある店にあるからそこでがまんしろ。」


「んだと!!てめぇ、俺様をしらねぇのか!?Cランクハンターのカイだぞ!?」


うわ、分かりやすいのがいる。ってか店の人ドワーフか。初めて見たけどほんとに小さいのにいかついおっさんって感じなんだな。それにおいてある武器もかなりいい。手入れが行き届いている上に…。魔眼で視たら魔力が通ってるのがよくわかる。しかもこの材質、魔力をよく通しそうだ。こりゃ確かにあの雑魚っぽいおっさんには過ぎたものだな。」


「おい、ガキ、今なんて言った?」


あれ雑魚っぽい人が俺にどなってくる。まさか…。


「ねえ、ミリアさん?俺なんか言ってた?」


「ええ、『こんな雑魚っぽいおっさんには過ぎたものだな。』と仰っておりました。」


「うわ、言葉にするつもりはなかったんだけどな。で、ミリアさんどう思う?」


「アレク様の仰る通りかと。あの男にはあの店の武器は扱いきれないでしょうね。」


「あ、アレク様、ミリア先輩、や、やめましょうよ?怒らせてますよ?」


「「あんなに弱いやつ怒っても怖くないだろ(でしょう)」」


「いい度胸だ、死ねガキども!!」


そういって雑魚がつかみかかってくる。俺はそれを迎撃しようとしたミリアをさがらせ、挑発する。


「せいぜい俺を楽しませておくれ?」


男がつかみかかってくる勢いを利用して懐に一発掌底をいれ、相手が後ろにのけぞる前に服をつかんで地面にたたきつける。


「ぐはっ!!」


「そんなもんか、遊びにもならねぇ。」


そう言い放って蹴り飛ばす。


「な、なめやがって。もうゆるさねえ!!」


そう男は立ち上がり剣を抜いて俺の方へかけてくる。


「抜いたな?」


男は全速力で俺に切りかかってくるがその速さはカイルにすら遠く及ばない。軽くかわして本気のこぶしを鳩尾に入れる。


「っ!!」


男は何かを吐き出しそうになりながら地面に伏す。そして、けいれんしていたがじきにその動きすら止まってしまう。そしていつの間にか集まっていたギャラリーから驚きの声が飛ぶ。


「あんなに小さい子が…。」


「おい、あの男って一応Cランクだろ!?」


「す、すごい。」


さてと。


「ミリアさん?こいつ生きてるよね?」


とミリアさんに確認を取る。


「ええ、どうしますか?」


「んー、面倒だから放置していいかな?」


「そうですね、そうすればここの人たちが何とかするでしょう。」


「そっか。じゃあそうしよう。さて…。」


そういってドワーフのほうを向く。


「店先でもめ事を起こして申し訳ないです。」


「いやいいさ。しかし、見たときは俺の勘が鈍ったかと思ったがやはり強いな小僧。」


「ああ、もしかして視ただけで分かった?」


そういうやつは日本にもいたな。ってことはこのドワーフも間違いなく一流だ。


「小僧ならばここの武器をなんでも売ってやるし素材さえあれば作ってやるぞ?この’一枚刃’にくればな。わし、リグルの名に誓おう。」


「それはどうも。」


外野から「あの、リグル親方が!!?」「認めたものにしか武器を作らないあの親方が!!」というある種あの男を倒した時よりも驚く声がするが、この人はそんなに有名だったのか。やばいな、王都に来て早々ここまで目立つとは。


「ミリアさん、リン行こう。」


「はい。リン、起きなさい、早くいきますよ。」


ミリアさんと呆然としていたリンを連れて逃げるようにして王城に向かう。ああ、もう少し考えて行動すりゃよかった。


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