第六話:偉大な先輩
第六話
群青先輩が魔女だ魔女だと言われるのはその神秘的な見た目と、やっぱり未来が視えるから…か?
何でも、この未来をみるとか言う詐欺師みたいな…クラスでさ、あの先輩詐欺師になれるんじゃないのと冗談言ったら村八分食らった…言葉は、信じられない事に学園にきっちり拡散されているようだ。
教師も取り込まれているそうな。
群青先輩が悪者だったら、今頃学園は支配下に置かれていたはずだ。
「見えないわ」
「そうですか」
俺の未来だけが見えない…そう言うたびに先輩が悪いんじゃない!こいつが悪いんだと言ってくる生徒がいる為、場所を変えてもらった。
出会って二週間…二日に一回は俺の未来を見に来ていた。
「はい」
そして、見えなかったら俺にジュースを奢ってくれるのだ。
「別に要りませんよ」
「それなら半分飲むわ」
そういって言った通りぴったり飲むもんだから凄いぜ。未来が見えるよりも、こっちの方が凄いと思う。
「…群青先輩が各家庭に出向いておやつの半分個を担当してくれたら…世界はちょっと平和になるかもしれません」
「言っている意味がわからないわ」
兄妹がいるところにはご理解いただけると思う。そして、基本的に『お兄ちゃん』が損をする。
「実妹なんて嫌いだばーか!うわーんっ」
そう言って泣いていた前の学園での友人を思い出す。
「…二日に一回見に来るのに理由とかあるんですか」
あ、地味に間接キスだこれ…そう思う俺はいたって純情な少年。
「日によって違うから」
一切気にしない群青先輩は変に男を勘違いさせるプロと見た。でも、じっと見てたから何かあるのかもしれない…変に意識しすぎか。
「そうなんですか」
「ええ」
「まだちょっと昼休みあるんで…色々聞いてみていいですか?」
「いいわよ」
落ちついた感じの群青先輩は我がままで、横暴で、傍若無人な事は言わないのだろう。
一緒に居るだけで、心の休まる人だ。
「精度ってどのくらいなんです?」
「今のところは全部当たっているわ」
「凄いですね」
「悪い事も絶対に当たっちゃうわ」
対策をとっても、駄目だと言う事か。
「あ、あのー…寿命とか聞いちゃう人、やっぱり、いますか?」
「答えないわよ」
それを聞いてほっとする。
「群青先輩って魔女なんですか?」
「違うわ」
本当だろうか。
「実は、先輩に着けてもらいたい物を借りてきたんです」
鞄からそれを取り出して先輩に渡す。
「…三角帽子?」
「はい、この通りです」
頭を思い切り下げてお願いする。
「いいわよ」
「ありがとうございます!」
ぐっへっへ…一枚、千円で買うって言う物好きがいたからな。お願いされたのだ。
「どうかしら」
「似合ってます。ばっちりですよ」
青い三角帽子姿にローブをまとった姿は…成るほど、魔女と言われても違和感はない。
数枚写真を撮ってニヤニヤしていると先輩に腕を掴まれた。
「あ、駄目でした」
「駄目ではないわ。でも、それを…あなた以外が見たら覚悟して頂戴」
「…はい」
綺麗な人が凄むと下手なものより恐い事を初めて知った。
「ありがとう、約束してくれて嬉しいわ」
「い、いえいえ…」
「他にも何か着てもらいたいものがあったら持ってきなさい」
来てくれると言う事か。残念ながら、俺が見たいのではなくて他の奴らがみたいのだ。
群青先輩はすんなりオーケーしてくれたと言うのに、お金は手に入らないジレンマ。
「そういえば、そろそろ運動会ね」
「あ、そうなんすか」
その後は変な話をするでもなく、どこの生徒でも会話にしてそうな話をして昼休みは終わったのだった。




