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第五十一話:黄 (終)

第五十一話

 友人と、正確に言うのなら結構気にかけている後輩と一緒に生活を続けて半年以上が経過していた。何だ、今年はずっとその後輩と一緒に居たんじゃないのか。道理で留年したほうがいいんじゃないかと言われるわけだ。

 これは由々しき事態ではないかと俺はため息をつく。

 ずっと好きですコールをもらっているんだ。そろそろ俺も答えを言わないと年を越してしまう。

「今日はクリスマスですよ」

「…ああ」

「どうかしたんですか?」

 小首をかしげる後輩に俺はとうとう言った。言ってやった。

「好きだっ」

 しかし、俺の抜き身の告白は浜辺で蟹を見つけたような顔をされるだけだった。

「私もクリスマス好きですよ」

「そうじゃないんだ」

 主語がなかった俺の方も悪いんだけどさ。

「あれ?お嫌いですか…冬治さんはお正月派閥でしたっけ」

 何だそれは。

「俺は、鈴の事が好きなんだ。一緒に生活をし始めて、好きだって自覚した。想いを伝えるだけの自信が出来たから…今日、告白する。いや、もうしたけどな」

 俺の言葉を聞いた鈴はサンタの帽子をかぶって、目をこすり、自分の頬をつねった。

「それは…冗談ではないですよね」

「あたりまえだ」

「…私がこんな事を言うのは少しおかしいかもしれません。私を受け入れるのは彼女とか、そういった簡単なものじゃないですよ?」

 これは少しおかしな話。でも、実際そうなのだ。

 彼女は特別、普通の女の子ではない。

「鈴は俺がそうだったとしても、変わらず接して、好きでいてくれるんだろう?」

 質問に対して質問を返すのは失礼な行為だ。でも、それが俺の答えだった。

「もちろん、私はその程度の理由で諦める事は…あり得ません」

「俺もそうなんだ。多分、明日から鈴に会えないと思うと間違いなく寂しくて辛い。学生の身分でこういう事を言うのは間違いなく不相応だろうさ…でも、明日からも俺と同じ家で生活して欲しいんだ」

 俺の言葉で鈴は涙を流していた。

 こんな安っぽいセリフで涙を流すなんて、一瞬あり得ないと思った。そして、俺以外の誰かが鈴に対して言った同じ言葉では涙を流してはくれないのだろう。それが嬉しかった。

「俺と付き合って下さい」

「……はい」

 その年のクリスマス、俺に彼女が出来た。

 浮気をすると首がバックの中に入っているなんて彼女、他に居ないと思う。


最初から最後まで黄色の話には振り回されてきました。何せ三十話まで書いておいてキャラから変えて、話もかなり変えました。本来は学園生すべてに体質がばれてばらばらにされるという酷い結果に…とりあえず置いておきましょう。うん、出来れば一途な後輩であってほしいものでした。黄色読んでくれてありがとうございました。次の作品はどうしたものか…かなり乱立させております。

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