第四十九話:赤 (終)
第四十九話
陽の両親に挨拶に行く日がこんなに早くやってくるとは思わなかった。
「……」
決戦当日、全然眠れなかったし、不安の方が大きかった俺はまるで死人のような顔をしていると思う。
「冬治君?もしかして朝食がまずかった?」
「…今日の朝食を作ったのは俺だぞ」
「てへ、間違えちゃった」
「その歳でてへっとか言うなよ」
「ま、まだ若いよ?肌の潤いとかもまだ無くなってないよね?」
「ああ…それはな。うん。まだ若いし、可愛いぞ」
「あ、ありがと」
そこでなんとなく照れてしまう。当人同士じゃないとわからない問題だからな。
「え、えーっと、それで本当にどうしたの?」
「どうしたのって、今日は陽のご両親に『娘さんを下さい』という日だ…何照れてんだよ」
「そりゃあ、照れるよ!あたし、名実ともにこれで冬治君のものだよ?うーん、でも身体とかはとっくに冬治君の物…かな?」
ちらりとこっちを見られても俺は目をそらさんぞ。
「アパート近くの奥さんに耳と尻尾がばれたときとか『これは俺の趣味なんです』なんて堂々と言ってくれてすっごく、嬉しかった」
「俺はあの時に名実ともに変態になったがな…俺はそう言われても別に嬉しくはないがな」
「あたしは嬉しかったよ?変態って周りの人にばれても、あたしは最初から知ってたもん」
もういいさ、どうせ俺は変態さ。
「さ、馬鹿をやってないで行こうぜ」
「うん」
スーツを着て陽の手を引く。
「…」
「立ち止まってどうかしちゃったの?」
「二人でさ、挨拶が終わったら…一応、お前にバチを当てた場所に行こうか」
嫌そうな顔をされるかとも思った。
「うん、そうだね。ある意味繋ぎとめてくれた人?だから…おかげで幸せになれたってのろけてこよう」
「その前に親父さんから承諾をもらわないといけないから頑張るぜ」
「お父さんは厳しいからねー頑張ってよ?」
その質問に俺は応える。
「頑張るさ。これからも陽をもふりたいからな」
この後、俺は陽の親戚一同と会うことになる。
緊張はするものの、怖気づいてはいない…怒らせると非常に怖い、狼娘がいるからそれより恐い存在なんて俺には居ないんだろう。
今回で赤は終わりです。いやー俺お疲れさま。そして読んでくれた方お疲れさまでした。最後まで読んでいただいたら作者冥利に尽きるという奴ですよ、奥様。個人的に一番好きなキャラだったりで、少しでも考えるのが大変だと思ったことが無い話でした。ある意味王道ではないかと…。




