カードを引いた
ファンタジー要素なしで。
さて、若者がひとりここにいるとしよう。ちなみに日本人だ。
少年もしくは少女は何を考えるか。
成績のことか。友人関係のことか。家族関係のことか。
そんなものオレの知ったこっちゃござらんせ。
なら、何故議題にしたのか。おいおいそれは察してくれ、そこから考え出してほしい話題があるからだ。
まあ回りくどいのも申し訳ないので、自分の口から言わせてもらおう。
将来。
これは若者に限らず、大人でも老人でも考えるものではあるが、職を考えるという点においては若者に限らせてもらおうと思う。
職。
五万とあふれる職の中、少年少女は一体何になりたいと思うのか。
普通のサラリーマンやOL? サッカー選手? 俳優や女優? 喫茶店の店長? 考古学者? 翻訳家? 理由があって金持ちなので世界文化体験? 教授? 税理士?
サラリーマンとかOLなんてつまらない。だけど平々凡々の自分にはそういうのがお似合いだろうと考えるかもしれない。
サッカー選手なんて一部の限られた人しか無理だろう、まともに食っていくなら自分では無理だ。
俳優や女優なんて顔が命。演技は得意だから整形すればいいけど天然ものが一番。大体芸能界って上下関係厳しそうだし。
喫茶店の店長なんて儲かるかどうか。かっこよさそうだけど。
考古学者とか、スポンサーとかいないと発掘とかできないし、安定した収入はない。
翻訳家なんて第二言語も母国語並みにしゃべれないといけないんだから、オレにゃあ無理。
お金があったとしても、外国に行って価値観の違いには耐えられないし、日本が一番。
人に何かを教える教授だなんて、物分かり悪い生徒にイライラしそうだから無理。
税理士とかややこしそうだし、自分の頭じゃ無理そう。
けど、自分にしかできないこともあるんじゃないか。
きっと、未来には自分の輝いてる姿があるのではないか。
実は自分には能力があって、その力で大成するのではないか。
若者はそんなことを考えるかもしれない。
ここにカードの束があるとする。
もし、カードを引いて、そこに書いてある職業が将来の職だとしよう。
ある若者はそれを引いた。
引いて驚いた。
なぜなら。
そこに書いてあった文字は、「忍者」であった。
現代にはいないはずの、忍者であった。