表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

自殺の前にお菓子はいかが?

結局、気持ちがたくさん沈んで終わるんだ、今日の日だって、明日だって。

だって今日、本当に死にたい。

今だって死にたい。

とっても死にたい。


だから俺は、自殺室に行く。

音楽準備室の奥の扉を開けた先、その部屋はあって。

俺は、そこで自殺をすれば。

自殺をしたいのなら、自殺をすればいい。


夕日に照らされる自殺室、そこに垂らされている輪っかのついたロープ。

そこに首を引っ掛けて。

隣にあるボタンを押せば、そのまま。

このボタンを、押せば。



死にたい時に、死ねば。

俺はこのまま死ねば。


このまま、死ねば……。


「死にたい、の?」


後ろから声がする。


振り返る。



死体処理専門職員の零人さんが、ポケットに手を突っ込んで立っている。



「死にたい、です。とっても、つらくて、死にたい、本当に」


零人さんは、頭を掻く。


「まあ、気持ちは分からんでもないよ。死にたいこと、よくあるし。……とりあえず、音楽準備室に来な。ホワイトチョコと、後中までチョコたっぷりのお菓子あるから」


「え、え……でも、で、でも僕死にたくて」


「じゃあ隣にあるエナドリ飲んでから死にな」



と、隣にあるエナドリ……?



ほ、本当だ……。ボタンの、装置の上に、手が届く位置に、エナドリが置いてある……。


まって、めっちゃ冷たい! う、うまそう……。とりあえず、と、とりあえず、これ飲んでから、ボタンを押せば……。



首をロープから外し、プルタブを開けて飲んだ。



めっちゃ甘くて、ドクドク心臓が鳴ってるのがわかる。



あれ、あっちにホワイトチョコもあるんだっけ。




音楽準備室に行き、ホワイトチョコを食べていると、マスクを付けた零人さんがこほこほとせきをして、話し始め

た。



「こうやって、とりあえず今日はやめよう、とりあえず今日はやめよう、って、それを続けていけば、その先ずーっと後には、あれ、俺一年生きれてる。って気づけるかもしれねえし。別にそれまでに死にたきゃまたここ来て死ねばいいし」


やばい、なんでだろう。

めっちゃ泣きそうになってる。

でも、死にたい気持ちは消えない、けど。

でも、隣の部屋には、今日はとりあえず、行かなくてもいいかな、って思っている自分がいる。


「とりあえずその菓子だけ持っていきな。で、次の授業は寝るならなんなりして、別に親がうざくたって、友達がうざくたって、どうしようもなく死んで欲しくたって、別に、そう思ったならそれは誰がなんと言おうとお前が正解だし。って俺は思うし。辛い時は辛いし、死にたい時は死にたいし。でも、まあ明日でいいやって、思ってしまえばいいんだよ」


「明日で、いいやって……」



「何事も後回しにして生きていけばいいんだよ。そっちの方が楽だろ? 転校するのだって、復讐だって、後からやればいいんだよ」


「……」



そのまま、音楽準備室を出ることができた。

なんでだろう。教室に向かう足はめっちゃ重い。

でも、音楽準備室に引き寄せられていたさっきまでの自分はそこにはいなかった。






加藤綾人、君……。

初めて見た、初めて来た奴だな。

結局自殺って、その時にしたいだけなんだろうな。

別に、後回しにすればいいんだよ。後回しにして後回しにして、気づいたら生きてるのが人生、今の俺は。

そうじゃねえ人はこんな部屋来ねえからな。


精神安楽死法なんて狂ってるよ。死にたかったら死ぬ自由を、で学校に自殺室作るなんて。2110年から施工されてもう5年、か。

まあでも、こんな自分でも死体処理の仕事もらえてるし、助けられているのかな。

はあ。

また今日も、暇だから、ゲームでもするか。

お、外がなんか盛り上がってるな。

部活か。

ふーん。

まあいいや、楽しそうな高校生を見るだけで死にたくなってくるから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ