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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
龍淵に潜む
63/73

救出戦2

同名の作品があることに気付いたので、タイトルを変更する予定です

桃太郎-recast-

「私と一緒に逃げてくれるのですか?」


「おうよ。ちょうどいい機会じゃ


 お宝じゃと思っていた物は、禁断の果実じゃった

 待ち人は来ず、代わりにめんこいのが来た


 そろそろ潮時という奴じゃな


 ……おっと、一つ言い間違えてたようじゃ

 ワシとじゃなく、ワシらと愛の逃避行をしようぞ」


 その言葉と同時に、その女性は桃太郎と木の影に隠れる

 そこで、桃太郎は女性の手に口を塞がれる


 桃太郎も気がついた

 誰かが来た




 少しして、矢島に通じる唯一の橋に3匹の鬼が現れた

 その手には一人の少女が連れられている


 いや、連れられているなんて表現は生ぬるい

 3匹の鬼が、思い思いの箇所を掴んで引きずっている


 深く爪を立てているのか、掴まれている箇所から血が流れている

 身体中傷だらけ、青痣だらけ


 特に傷は背中に、痣は腹部に集中している

 逆に顔は驚くほど綺麗に保たれている


 桃太郎の耳には少女の掠れたような小さな声が聞こえた

 何を言っているかまではわからない

 きっと叫びすぎて、喉が潰れたのだろう


 その光景に、口元を塞がれていなければ飛び出して鬼を殺しにかかっていたことだろう





 五体満足の少女は、痛みにうめきながら力なく暴れている

 目には涙を浮かべ、それでもまだ生きることを諦めたく無いと訴えている


 その姿を鬼達は心底楽しそうに眺めている

 嬉しそうに見下している


 まるで誕生日前夜の子供のように

 楽しみすぎて眠れない子供のように


 すなわち、彼らに取ってのお楽しみはこれからなのだ

 いや、漸く……と言うべきか









 3匹の鬼は矢島に繋がる真っ赤な橋を越え、我が物顔で島に立ち入る


 その姿に、全ての女性が恐怖する

 桃太郎の口を塞いでいる女性を除く全ての女性が


 鬼達は、その顔を見て心底満足そうな顔をしている



 自分達に恐怖した顔

 これから行われる所業に眼を背けたがっている顔

 それを許されないことに絶望している顔

 そして、供物にはなりたく無いと、周囲の人間を出し抜こうと考えている顔

 自分だけは助かろうとする卑しい顔



 それを見ただけで、興奮が止まらない

 しかし、それすらもこれから始まるショーに比べれば児戯に等しい





 鬼に対する反抗を企てたものには天罰を

 反抗を企てた人間を見つけた鬼がそれを行う権利を得る


 それが鬼ヶ島のルール



 そして鬼ヶ島において、反抗の最たる例は逃亡である

 矢島に囚われた女性の脱走


 と言うよりも、脱走することを仕向けている


 そのために敢えて洗脳せず、牢にも入れていない

 捕まったばかりの生きのいい人間が脱走を企てられるように





 これは鬼達の娯楽である



 逃げられると言う希望をチラつかせる

 が、実際は不可能


 船がなければこの島から抜け出すことはできない


 肝心の港は鬼がひしめき合う魔境

 入れ替わり立ち替わり、港には鬼がやってくる


 その全てに見つからず、船を盗み、本土まで逃げることなど不可能と言わざるを得ない



 過去、逃げ出した人間は一人だけ

 それも外部からの協力があったから成し得たこと

 その少女には破格の懸賞金が賭けられた


 全ての鬼が血眼になって探したが、逃げ切った

 ただし、例外はそれだけ




 普通はあり得ないのだ

 そして、反抗した人間を見つけた鬼は二つの権利を受けられる



 一つ目が、その少女に罰を与える権利

 罰の内容は固定されている


 ()()()()()四肢を切り落とすのだ

 足から順に一本ずつ


 言い換えれば、最大4回まで反抗は許される

 そして4回反抗したものは、頭と体だけの存在になる


 罰を与えていい時間は制限がある

 反抗した少女を見つけてから日が沈むまで


 その間、鬼は捕まえた少女を自由にできる

 顔を傷つける、殺す、以外の全てが許される


 罰の内容は固定されている

 ただしその手段は鬼に一任されている


 それすなわち、どれだけ弄んでもいい

 一瞬で切り落としても、つま先から少しずず削っても構わない

 当たり前のように、大抵の鬼は後者を選ぶ




 鬼ヶ島に囚われている者達は、全員黒鬼の所有物である

 最強の鬼の体液を浴びているこの少女達は、赤鬼よりも生命力が強い


 どのように痛めつけられようとも簡単には死なない

 四肢を失おうとも、すぐに血が止まる

 新しく四肢が生えることはないが、死ぬこともできない


 鬼からしたら最高の塩梅


 そして、5回目の反抗でついに首を落とされる

 もしも、4回目の反抗まで正気を保てるものがいるのならば……だが


 大抵は、5回も反抗はできない





 そして鬼が得る二つ目の権利


 四肢を3本以上欠損した者を恩賜される

 それも矢島にいる女性の中から自由に選ぶことができる



 鬼達が貢物をする理由は表面上は、『神の美酒』を手に入れるため

 それは嘘ではない


 しかし、もう一つ裏の理由がある

 それは、黒鬼に恐怖を抱いているから



 黒鬼が羨むほどの美女や財宝を隠し持っていた時、自分がどんな目に合うかわからない


 ただ殺されるだけであれば、まだだいぶマシだ

 きっと、死にたいと願っても死ねない苦しみを味わうことになる


 そんな中、恩賜された矢島の女性は黒鬼から許可を得たものとなる

 その場合のみ、確実に黒鬼の逆鱗には触れない

 それが保証される



 故に、鬼ヶ島へ来る鬼達は皆血眼になって、逃亡者を探す

 運良く見つけられれば儲け物なのである


 結果、檻がなくとも脱出不可

 その上、拷問のような罰の光景を毎度見せられ、逃げる気さえ失せた従順な人間が出来上がる


 それが矢島とそこに囚われた女性の末路である



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