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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
龍淵に潜む
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集落決戦5

 (こん)は勘違いしていた


 本当に小さな勘違い

 武蔵の速度は口に咥えている妖刀『檮杌(とうごつ)』によるものだと


 そして、この妖刀の能力を(こん)は全て知っていた

 知っていたから誤解した


 直線距離を長く移動するほど速度が上昇する

 武蔵が3回連続で斬った後に走り抜けていたのを見て確信を持つ


 この犬は妖刀『檮杌(とうごつ)』の力を引き出しているのだと


 そして、この妖刀にはデメリットが存在する

 あくまで直線でなくてはいけないというデメリットが


 曲線的な動きも、途中で方向転換もできない

 方向転換するためには一瞬立ち止まらないといけない





 ただし、現実は武蔵の足がただ速かっただけ

 そこに妖刀の力は介在してはいない


 毎回、無意味にも走り抜けていたのは伯智とエドワードにヒットアンドアウェイと作戦を伝えられていたからに過ぎない


 それを忠犬らしく律儀に守っていた結果である


 まして、妖刀『檮杌(とうごつ)』を拾ったのは本当に偶然

 むしろ武蔵に不利に働く要素の方が多かった


 この刀を拾ってしまったがために、武蔵の速度は初見で対応されてしまったのだから……




 そんな小さなボタンのかけ違いの連続

 偶然に偶然が重なり、致命的な隙が生まれた


 圧倒的な実力差がある(こん)に武蔵は一撃を与えた


 きっと人は、それを運命と呼ぶ






 その一瞬を武蔵は攻め立てる

 けれど、達人級の刀裁きを持つ(こん)の前ではその隙すら、ほぼないに等しい



 武蔵は土を踏み締め、青鬼の首を狙う

 対する(こん)は崩れた姿勢のまま、武蔵の刀を弾く


 が、武蔵の速度は刀に威力と重さを加算する

 (こん)の崩れた姿勢がさらに崩される


 それでも、(こん)の技量は理を無視する


 反撃の刀が武蔵を襲う

 燕返しのように、弾いた刀が帰ってくる


 それは武蔵の首をとらえていた




 捉えたその刀は、武蔵の首に届かなかった

 代わりに(こん)の腕に矢が突き刺さる


 あと数ミリのところで、武蔵の首が離れていく


 (こん)は腕に刺さった矢に目を向ける

 複数の返しがつき簡単には抜けないように細工されている

 それを見て、即座に抜くことを諦める


 その矢が、さらにもう一本飛んできているのが目に入る

 反射的に刀でそれを払う


 しかし、崩れた体勢では見えていなかった

 遥か上空に弧を描くように放たれていた3本目の矢に


 それは足に突き刺さった

 青鬼の足と地面を縫い付けるように



 さらには、武蔵が体制を整え第二撃を繰り出している

 (こん)は無様に倒れ込む中で、武蔵の刀を片手を犠牲に受け止める


 さらにそのまま、青鬼は妖刀で反撃に出る


 (こん)のもつ妖刀

 能力は、傷をつけた相手の魂を喰らい、所持者に還元する

 還元された魂で、体の傷を修復する


 そう、この妖刀で少しでも傷をつければ回復ができる

 その回復力は鬼の回復力を上回る


 何より、この犬は後数回切りつければ間違いなく行動不能になる

 そのくらい魂を喰らっている



 相打ち覚悟の(こん)の一閃



 しかし、(こん)の一撃は武蔵の背後から現れた1羽の雉によって防がれ、さらには反撃を喰らった


 危機的状況で、もう一方の戦場が見えていなかった

 三苗(さんびょう)は負けたらしい


 それに気づいた時には雉の攻撃を諸に受けていた

 妖刀を持つ手を切り落とされた


 両手両足に怪我を負った


 窮地に立たされることは何度かあったが、ここまでは久々だ

 ここ50年で命に指がかかるのは間違いなく初めてだ

 ああ、油断が過ぎたな


 あとできることと言えば、犬か雉のどちらかを道連れにするくらいか……



 と思った時だった






 大きな影が周囲を覆った


 間に合ったらしい

 1匹の鬼が武蔵と伯智を吹き飛ばした


 それは青鬼ではなく、体表が緑の鬼


 さらにその後に続くようにぞろぞろと

 合わせて15体ほどだろうか


 色とりどりの鬼どもがこの集落めがけて集まってきていた

 鬼の援軍である



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