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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
龍淵に潜む
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集落決戦2

 青鬼は、片足が吹き飛んだのを感じた

 それはたいして気にならない


 どうせ、数秒もすれば生えてくる


 どちらかと言えば、火薬により肌を焼かれ続けていることが鬱陶しい

 呼吸が辛い

 目が痛い


 それでも、人間で言えば腐乱臭を嗅いでいる程度の不快感




 先ほどの地雷と異なり、今回は火薬量も、仕込みも鬼を殺せるほど十分ではない

 だからこそ、青鬼の1匹は爆発後すぐに矢が飛んできた方向へと駆け出した

 駆けることができた


 その青鬼は、無傷だっった




 約300メートル先

 そこには、通常よりも大きなボウガンが落ちていた


 そこが、狙撃ポイントだったのは明白だ

 ただしエドワードは既にそこにはいない


 もう完全に身を隠していた


 ……新たな爆弾を一つ置き土産にして

 駆け出した鬼は、回避を余儀なくされた


 小規模な、しかしそこそこ威力のある爆発が起こった

 これで、鬼たちは完全にエドワードを見失った




 最後の2回の爆発は、音がうるさく見た目も派手だが、あくまで時間稼ぎでしかない

 エドワードが身を潜めるための

 そして…………


 エドワードを探した2匹の鬼が場所を移動する


 一番最初の大爆発が起こった場所へと戻る

 そこで、2匹目の青鬼が死ぬ瞬間を目にした


 武蔵に首を食いちぎられた鬼だ


 それが、たった今死んだ

 武蔵と伯智から集中砲火を喰らい、なす術なくやられた



 初めにあったのであろう数的優位は覆った


 青鬼の一人が口を開く


「止むを得ないな

 三苗(さんびょう)、黒菊を上げてくれ」


 三苗(さんびょう)と呼ばれた青鬼が呼んだ青鬼の顔を見る

「……………………ん」


 その鬼は懐から黒い球を取り出した

 そしてそれを刀で切りつける

 すると、その黒い球は空へと舞い上がり、黒い花火を開いた







 四人の青鬼は基本的には出し抜き合うことを考えている

 それには理由がある

 この4匹には明確な序列がある


 三苗に命令した鬼、名を(こん)というが、彼の方が序列が上

 故に、三苗はその命令を断ることはできない









 武蔵、伯智、エドワードは民家の上に黒い花火が上がったのを確認する

 それが何を意味しているのかはさっぱりわからない

 しかし、その禍々しさが不吉なことだと暗示しているようだった



 とはいえ、ただの花火である

 警戒しつつも、攻撃の手を止める理由にはならない


 むしろ、鬼が自ら自分達の位置を教えてくれたのだ

 好機とすら言える



 武蔵が(こん)目掛けて

 伯智が三苗(さんびょう)目掛けて急接近した


 武蔵の爪が(こん)に襲いかかる

 対する(こん)はその爪を防ぐため刀を抜いた


 その刀身が鞘から出た時、身の毛もよ立つような気配を感じた


 それには触れてはいけない

 野生の間が武蔵に訴えかけていた

 咄嗟に武蔵は伸ばした爪を引いた


 武蔵と(こん)の攻撃が空を切る


 武蔵は恐怖から距離を取る


「んん……なんで今避けれたんだ?」

 (こん)が質問の体をとった自問自答をしている


「野生の感……か。ったく、めんどくせぇな」




 距離をとった武蔵は直感した

 あの刀には、直接触れてはいけない


 何かが違う

 根本的な何かが


 今まで出会ったどの武器とも

 どこか存在が歪に感じる


 あれと戦うためには、何か武器がいる

 妖刀『狛犬』のような武器が……


 武蔵は、すぐさま駆け出した







 伯智は三苗(さんびょう)めがけて猛進する


 三苗(さんびょう)は既に刀を抜いている

 伯智と三苗(さんびょう)の目が合う


 まだ、十分に距離がある

 少なくとも三苗(さんびょう)の刀が届くような距離ではない

 にも関わらず、その青鬼は刀を振るった


 その不気味さに、違和感に、奇妙さに、伯智は少しだけ回避行動をとった


 直後、羽根に衝撃が走った

 まるで刀と鍔迫り合いをしたような


 そして、伯智の羽についている刃が火花を上げた

 本当に剣戟をしたかのように…………


 もし、回避行動を取っていなければそこにあったのは伯智の首だった

 間違いなく首を落とされていた



 しかし、幸いにも三苗(さんびょう)の刀の能力に大方予想がついた



 飛ぶ斬撃

 しかも、不可視の斬撃


 つまり、三苗(さんびょう)の前では空中は安全地帯ではない

 むしろ障害物がなく、格好の的である 


 伯智も三苗(さんびょう)と距離を取る

 それも、上空にではなく民家の間を縫うように……

 飛ぶ斬撃を躱すように…………







 エドワードは民家の間を全力で走る

 一人寂しく暮らしていた時でも、走る訓練だけは欠かさなかった


 おかげで、常人の中ではかなり速く長く走れる


 あまり息も上がらない




 走りつつ2匹の鬼と武蔵と伯智の戦いを、家の狭間から観察する


 そして、さすがだと感心する

 力量差を判断する目と頭を持っている

 そして、ちゃんと引いた


 鬼は爆弾のこともあって深追いはしないだろう


 そう思って観察していたら、案の定周囲の家を三苗(さんびょう)の刀が粉砕した

 地雷の爆発の影響もあり、そこそこ広い空間が出来上がった

 小さな公園ほどの空間だ


 武蔵と伯智からしたら、少々攻めにくくなっただろうがエドワードからしたら狙撃がしやすくなった


 加えて、青鬼たちは完全に待ちの姿勢を貫くらしい

 おそらく狙撃を吊り出す狙いもあるのだろう…………




 エドワード的には良い感じに状況が整ってきている

 完全に、主導権がこちらに傾いた


 攻めの鬼狩り、守りの青鬼


 この攻守が逆転するのは、間違いなくエドワードの狙撃が失敗した時だろう

 つまり、この戦いの命運はエドワードが握っている



 少なくともエドワードはそう思った

 青鬼とは違って



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