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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
龍淵に潜む
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鬼ヶ島

 桃太郎は朝日が煌めく中、伯智の足を掴み空を飛ぶ


 その手には妖刀『狛犬』が握られている

 その刀は燦々と輝く海上に、朝日の輝きに紛れた白銀の道を作り出す


 武蔵は背中に青雲を乗せ、その白銀の道を駆けている


 武蔵の顔は、青雲ではなく桃太郎を乗せたかったから少し不服そうだ


 しかし、妖刀『狛犬』は桃太郎と武蔵にしか能力を引き出せなかったため、仕方がないと割り切った

 拙と主人だけだ仕えるという響きで、青雲を背に乗せることなど大したこと無いとすら思えた


 太陽が、桃太郎の背中を押していた





 少しづつ、小さく見えていた鬼ヶ島が目の前いっぱいに広がってくる


 見つかりにくいように、水面近くを飛んでいた一行は鬼の拠点がある南端ではなく、比較的鬼の少ない東端へと辿り着いた

 そこは丘陵で本土からも近く、けれど島の北端ほどではないが鬼からは見つかりにくいと言う好条件の土地だった



 そこから、四人は別行動を開始する

 伯智が空から、青雲が地上から索敵を展開


 鬼が海上を移動するために使用している船舶の発着場を全て見つけ出す


 この2匹が自分のテリトリーから探すのであれば、見落とすこともないだろう


 その間、桃太郎は武蔵に乗り、可能な限り鬼の本拠地の偵察をする

 ただし、鬼とは戦闘しない

 絶対にしない


 せっかく見つからずに鬼ヶ島に上陸できたのだから、できるだけ隠密という優位性を手放さないために

 再集合は1週間後の夜

 島の東端にある津神神社の境内で






 伯智は空へ

 青雲は南へ

 そして桃太郎と武蔵は、まず西へと移動した


 武蔵の背中には新品の鞍がついている




 1週間という期限は伯智と青雲が船着場を一つも見落とすことなく見つけるために設定した時間である

 故に、桃太郎達の偵察のことは一切考慮されていない


 伯智によって鬼の本拠地の察しはついているので、無理にそこを偵察する必要もない

 本当に必要であれば、船着場を見つけた後でも十分に時間がある


 だからこそ、桃太郎は鬼ヶ島の全容を地上から判断することにした

 最終決戦を挑むにあたり、桃太郎にとっての想定外が少しでも起こらないようにするために





 東端から西へ少し移動すると、比較的大きな湖が現れた

 いや、よく見ると一部海と繋がっているようにも見える不思議な湖だ


 けれどそれ以上に驚いたのは、湖よりもさらに奥に見える民家の数だ



 この鬼ヶ島は、比較的大きな島である

 日の本の周辺にある島の中でも、かなり上位の広さを誇るだろう


 けれど、それを考慮に入れたとしてもかなりの数の民家が立っていた



 さらに気持ち異様さを増強している事実がある

 その民家には女性が誰一人としていないのだ


 全て働き盛りの男性だけである

 いや、働き盛りの人間だけでは無い

 もっと若い、10歳にも満たないようなこともから、腰の曲がった老人まで


 多種多様な男がいた



 ここに住む全員がきっと鉱夫なのであろう

 皆が肩に鶴橋のようなものを担ぎ、山へと向かっている


 遠く離れた位置からの観察では正確ではない

 しかしそれでも、間違いないだろう


 全員が洗脳状態になっている




 桃太郎は飛び出して皆を助けたい気持ちをグッと我慢した

 ここで飛び出したところで、桃太郎にできることなど何もない

 完全に無力だった 


 洗脳を解くには元凶の鬼を討伐するしかないのだから


 なにより、伯智との作戦会議であんなことを言っておいて、自分から見つかりに行くようなことなどできなかった






 鉱夫達が皆、移動をし終えたのを確認して桃太郎達も移動を始めた


 湖を超えて北へ


 南側の山々よりも高く見える、北側の山々の稜線を武蔵の足で駆け抜ける

 鬱蒼とした杉林を抜けあっという間に北端へ辿り着いた




 伯智の情報通り、北側では1匹たりとも鬼を見ない

 人間すらほとんど見ない

 おそらくその全てが、鉱夫として地中に潜っているのだろう


 気づけば鬼ヶ島の最北端


 まるで2匹の亀が寄り添っているような島が見える

 それ以外には、これと言って大した物がない場所だった




 きっと桃太郎が一人なら気づけなかった

 鬼でも気づくことはできないだろう

 けれど武蔵の耳はそれを逃さなかった




「主人様、あの島のこちら側から見えない面に何かがいます」


 その一言で、桃太郎と武蔵の間に緊張が走った





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