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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
天地始めて粛す
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集落

「これ以降、ゆきちゃんにも颯くんにも会えていないの

 だからお話はおしまい」


 お婆ちゃんが悲しそうに話を閉じた




 励ますつもりが、結局悲しい気持ちを呼び起こしてしまった


 むしろ、桃太郎が励まされた気分だ

 頑張らなければいけない気持ちにさせてくれた




 そして目的が一つ増えた 

 洞窟で暮らす女性たちに、外の世界を自由に見せてあげたい

 外の世界で自由に生きてもらいたい


「さくらさん、もし鬼を退治できたら、ゆきさんを連れ帰ってこれたら、一緒に雪を見ましょう」


「…………そうね。私との約束ね。あなたはちゃんと帰ってくるのよ」


「はい。必ずや」










 お婆ちゃんの話にも出てきた。あの男が…………


 また登場した

 頬に傷がある男

 おそらく桃太郎と何かしら関係がある男


 ようやく、その素性が少しわかった

 名前を颯というらしい



 この後、鬼ヶ島で何が起こったのかは彼女達にはわからない

 知りたければ、もう鬼に直接聞くしかないだろう


 鬼ヶ島へと行く目的がまた一つ増えた




 鬼ヶ島に乗り込む日は近づいてきている




 そのためにも、準備を万全にする必要がある


 伯智は今頃上空から桃太郎を探していることだろう

 別れた時が夜だったこともあり、完全に見失ってしまっているに違いない


 桃太郎一行は全員でどこかしっかりと休める場所が必要だった

 それも、この洞窟の外で

 武蔵と青雲は頑張ってくれたが、伯智にまで泳ぎを期待するわけにはいかない




 作戦会議が必要だ


 鬼ヶ島までの移動方法に検討はついているが、それだけでは十分じゃない

 何より、鬼ヶ島の実情がまるで分からない

 それが1番の問題点だ



 皆で集まって身を隠せる場所を探さないといけない


 だが、これほどまでに鬼がウジャウジャいる空間でそんな場所はあるのだろうか

 少なくとも桃太郎には、見当はつかない


 分からないことは知っている人に聞くのが手っ取り早い


「どこか、外でしっかり休める場所はないでしょうか」

 桃太郎はダメ元で、女性たちに質問をした


「…………1箇所だけ、その可能性がある場所はあります」

 刀を持つ女性が答えた


 そう話しながらも、その女性は少し涙目になっていた

 刀なんて似合わないと思うほどに、感情豊かで優しい女性だと思った



「数年前、海の出入り口付近の集落が鬼の手で潰されています。

理由は二つ。


一つ目は、その集落の住人を労働力として確保するため。

二つ目が、私たち女性に対する罠です。潰した集落で待ち伏せれば、安易に拐えると考えたのでしょうね」


「その話し方だと誰も捕まらなかったのですか?」


「私たちにも、自衛手段くらいあるのですよ。その最たるものがこの刀です。


妖刀『紅鏡(こうきょう)』半径2キロ以内の日光に当たる範囲を自由に確認できる力があります。

その力で確認する限り、今その集落は無人です。


鬼も同じ認識なのかその集落で金銀財宝など探し物をする鬼もいません。もう既に価値のあるものを盗み終えているのでしょう。

きっと鬼に見つからないで休むこともできるはずです」


 想定外の、けれどとても有力な情報が得られた


 やることが決まったのであれば、すぐに行動すべきだ


 桃太郎一行は洞窟の中に住む女性とお別れをする

 特に、桃太郎に優しくしてくれたさくらおばあちゃんとは、名残惜しい気持ちを抑えながらお別れをした








 桃太郎は海を泳ぐ。

 洞窟に入った時とは別の穴から外に出る


 水面から顔を出すと目の前には美しい浜が広がっていた

 朝日がキラキラと白い砂を宝石のように輝かせている



 今なら確実に半径2キロの範囲に鬼はいない

 洞窟を出る直前に、紅鏡をつかって確認してもらった


 だから今だけは安心して行動できる


 砂浜にたどり着くと、武蔵が遠吠えを上げた


 鬼からしたらただの野良犬の鳴き声だ

 だが、きっとその声に伯智は気づくだろう


 武蔵と同じくきび団子を食べている伯智にはその遠吠えが言葉に聞こえているはずだ

 集合場所を叫んだように聞こえたはずだ




 桃太郎、武蔵、青雲はそのまま一直線に集落跡地へと向かう


 3人が茅葺き屋根の廃屋に辿り着く頃には、上空に伯智が飛んでいるのを発見できた


 桃太郎は集落をざっと見回して、最も状態が良く身を隠せそうな家へと隠れた

 部屋の中はかなり荒らされて入るものの、宿泊ができそうな程度には畳の状態はよかった


 ここなら、身を隠しながら作戦会議ができる



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