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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
振舞水
41/73

攻城戦10

 桃太郎は、ねねの前で膝をつき顔を伏せていた

 戦う気持ちはある

 しかし立ち上がれない

 足が動かない



 数匹の雉が順番に少女達を安全なところまで運んでいる

 最後にねねの番が訪れた



 その時だった

 声が聞こえた


 あるいはそれは幻聴だったかもしれない

 けれど桃太郎は確かに聞いたのだ


「桃様、私との約束を守ってくださいね」


 それは間違いなくねねの声だった




 必ず生きて帰る

 桃太郎はねねとそう約束をした

 それを違えることを許せはしない


 今ここで、立ち上がらないで何が約束か



 やはりねねはすごい

 たった一言、それだけで桃太郎に気力を与える


 桃太郎は立ち上がる

 もう後悔はない

 もうその顔に、弱さなど微塵も存在していなかった


 霊刀『鬼喰兼親』を地面から引き抜いた





 桃太郎は鬼に向けて歩き出す

 それはまさしく強者のオーラを纏っていた

 その姿を見て、お供達は道を開ける


 桃太郎がお供に声をかける

「ここは私に任せてくれ。皆は後ろで待っていてくれ」


 桃太郎は2匹の鬼と5メートルほどの距離まで接近した

 鬼は警戒して動かない



 数秒沈黙が訪れる

 先に動いたのは青鬼だった


 上空に3本の矢を放つ

 さらにそれが落ちてくる前にもう3本を番て桃太郎に向けて放った

 同時に6本の矢が桃太郎を襲う

 ……けれど、桃太郎はその矢を無視して、霊刀『鬼喰兼親』を地面に突き立てた


 青鬼は矢の制御で手一杯で動かない


 緑鬼は地面に刀を突き刺すことが意味するところを理解していた

 だからこそ、駆け寄った

 妹を守るために

 そして叫んだ


 けれどその言葉は、青鬼には届かなかった





 桃太郎はまだ鬼に霊刀の二つ目の力を見せていない

『鬼喰』の名前の由来になった力


 周囲の金属を自らの刀身へと吸収することができる

 ただし、上限があり通常の刀身よりも大きくなった場合、数秒で過剰分は崩壊し元の金属に戻る



 ここで大切なのは、上限はあれど一時的に刀の一部として動かせるという点だ

 もし手元に有り余るほど大量に金属があれば、理屈としては数秒間だけ超巨大な刀を作ることもできる


 ただし、それほど大量に金属を持ち歩くことは現実的ではない

 ……ではもしその場所に大量に金属があったなら…………



 この山城は銀山である

 桃太郎の足の下には大量に銀が埋まっている


 ただし、それらを一度に全て吸収することはできない

 銀の鉱石は、その全てがつながっているわけではないから



 だから、ちまちまと集めた

 お供達に戦闘を任せ準備をした

 銀鉱山の銀を可能な限り、地表付近へと動かした

『鬼喰兼親』の時間制限を回数のゴリ押しで乗り切った


 いま、桃太郎の足元には一塊になった銀塊が埋まっている

 そこに『鬼喰兼親』を突き刺す


 超巨大な変幻自在の刀の完成である



 桃太郎の目の前には、長さ5メートルはあろうかというほどの巨大な剣山が所狭しと生えていた

 それは全て、地面から生まれ二人の鬼を貫いた


 あっけなく、けれど決定的に、勝敗がついた











 地面から突き出た無数の銀の槍は、数秒後ボロボロと崩壊した

 それら全てが銀塊として地面を転がる


 そして、その上に2体の鬼が残っていた

 両者共にかろうじて生きて入る

 けれどもう長くはない



「おい、人間。約束の残りだ」

 緑の鬼が話しかけてくる


「まさか俺をここまで楽しませてくれるとは思っていなかったぜ。聞き逃すなよ…………鬼の王が気に入るものを貢ぐとな褒美がもらえるんだ。俺らはそれを『神の美酒』と呼んでいる。……一つ忠告だ。神の美酒には手を出すな」


 そう言い残して、緑鬼は青鬼と手を繋ぐ

 優しさを繋ぐように


「兄上……ようやく死ねますね」


「ああ……あの幸福からようやく解放されるな。お前一人を残すような結果にならなくて……本当に……良かった……よ」


「私も……兄上と一緒にいれて……とても…………楽しかった……です」

 その言葉を最後に二人の鬼は息を引き取った


 それと同時に、体表の色が変化していく

 青が緑に

 緑が黄色に

 黄色が赤に

 そして、全身が溶けるように変化し、後には銀色の液体だけが残った


 初めて戦った赤鬼と同様に



 直後、桃太郎は気を失った






ようやく、攻城戦が終りました!

長かった

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