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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
振舞水
40/73

攻城戦9

 桃太郎はねねを目の前にして、胸の奥底に小さな炎が湧き上がる

 悲しみや後悔が、怒りと殺意に色を変える


『鬼喰兼親』を握る手に力が入る

 必殺の一撃のための準備を始める…………





 犬、猿、雉の3匹は緑と青の2匹の鬼の前に立つ


 犬、猿、雉の勝利条件は鬼を打ち倒すこと、または桃太郎が復活するまで時間を稼ぐこと

 3対2が4体2になれば間違いなく勝てるためだ


 鬼の勝利条件は3匹を倒すこと、または隙をついて背後の桃太郎を殺すこと

 桃太郎が死ねば、お供3匹は戦う最大の理由、そして心の支えがなくなり瓦解する


 長期戦は鬼に対して不利益しかない

 だからこそ、最初の一手で決めに来た




 青鬼が、緑鬼の持つ大太刀『大蛇』の(みね)に足をかける

 そのまま、緑鬼が大太刀を振り上げ青鬼が空高く飛んだ


 遮る物のない上空から脅威の膂力で放たれる、豪速で軌道が変えられる矢

 通常であれば、初見でそれを防ぐのは不可能に近い


 しかし驚いたことに、空高く飛んだ青鬼に張り付いて飛んだ者がいた

 伯智である


「まあ、そうだよな。某でもそうする」

 伯智は独り言を呟いた


 本来であれば、桃太郎を狙って放つはずだった矢を伯智に使わざるを得なくなった




 空中戦が始まった

 青鬼は、同時に3本の矢を放つ技量がある

 しかも、かなりの連射が出来るほどの腕前だ



 連続して3本矢を放ちそのうちの1本は常に自分を空中で動かすために用いる

 器用にも足場にしたり、服に引っ掛け無理やり動いたり


 その繊細な操作をしながら、雉を相手取っていた


 しかし、もともと空中で生きている伯智は、自分に襲いかかる全ての矢を華麗に交わし続けていた


 さらには、何本も青鬼が矢を放ったために、その妖弓『雷』の能力を把握した


 そこから感じ取る違和感

 どんなにチャンスであっても、矢の軌道が変わる場合がある

 それに共通する特徴は、一度も軌道を変えていない矢であること


 そこで伯智は、青鬼が3本矢を番た瞬間急接近した

 その動きを見て、青鬼は番たはずの矢を放てなくなる


 放ったところで、その矢はすぐに砕けてしまい意味をなさないから


 その一瞬の隙で、伯智が青鬼の頭に翼で平手逸をし青鬼を上空から叩き落とした










 一方その頃、緑鬼は武蔵と青雲に翻弄されていた


 青雲が武蔵の背に乗り、武蔵がものすごい速さで鬼の周りをぐるぐると回っている

 鬼は、その余の速さに狙いをつけられずにいる


 片腕を失ったことがかなり響いていた

 ワンチャン狙いで適当に振っても、全て武蔵の技量で避けられてしまった


 さらにムカつくことに、青雲がずっと小石を投げつけている

 鬼にも劣らない強肩で


 実際それは満身創痍の青雲が安全に攻撃する手段で考え付いた方法なのだが、偶然にも霊刀『大蛇』の全ての能力を無効化していた


 鬼からしたら、その攻撃はただの嫌がらせ程度

 ちょっと深めの切り傷ができるくらいのものだったが、時々急所に向けて飛んでくるため無視できるほど軽い攻撃でもなかった


 そんな時、緑鬼の上から青鬼が降ってくる

 武蔵と青雲からしたら絶好のチャンスだったのだが、あまりにも回転しすぎたせいで青雲が酔った


 青鬼と同時に青雲も転げ落ちた


 真っ青な顔している青雲に武蔵が話しかけている


「……何と情けない」

 その顔には不敵な笑みがある


「お前、わかっていてやりやがったな…………このクソやろう」

 その言葉と共に青雲が完全に沈黙した

 心配そうに伯智が隣に降り立った




 その時、3匹の後ろから声がした

「みんな待たせた。準備が完了した」

 そこには、鬼を見据えて凛々しく立ち上がる桃太郎がいた


 桃太郎が、鬼の元へと近づく

 その距離は5メートルくらいだろう



 桃太郎と鬼の最後の戦いは、この後10秒もたたずに決着がつく



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