攻城戦7
桃太郎は吹き飛ばされ、視点が高くなったおかげで緑鬼の背後にいる存在が目に入った
桃太郎は自分のミスに気づく
伯智の話で聞いていたはずなのに、失念していた
そこには青鬼がいた
おそらく、伯智の話で出てきたのであろう、女性の鬼が
年齢は20歳前後に見えるが、鬼の歳の取り方など分からない
その青鬼がさらに3本、桃太郎めがけて矢を放った
案の定、その矢は桃太郎を追尾する
「兄上、なに遊んでいるのですか」
青鬼が緑鬼に不満を漏らす
「妹よ。あいつすげぇぞ。こんなに殺し合いが続くやつは…………」
緑鬼は興奮のあまり妹の不満に気づかない
しかし、妹が話をぶった斬る
「兄上、私は長旅で疲れました」
ジトっとした目つきで兄上を見る
「ああ、本当にお疲れ……それであの人間がさ…………」
妹のわがままと戦闘の興奮を天秤に乗せ、ぎりぎり興奮が勝った
しかし、その声に最初ほど勢いはない
「労ってください。……この私が休みたいと言っているのですよ?」
「…………ああ……わかった」
天秤は妹のわがままに傾いた
桃太郎は、妖刀『狛犬』を使って力をうまく受け流しながら、滑り台のような道を生み出す
おかげで先ほどとは異なり、石垣にぶつかることもなく転がりながらも鬼から離れた地点に着地した
けれど、背後から三本の矢が迫ってきている
桃太郎は妖刀『狛犬』で防御を作る
矢のうち一本はその防御に阻まれる
もう一本は、防御を避けたはいいが、そのままあらぬ方向へと跳んでいった
最後の一本が、防御を避けて桃太郎に肉薄するも、霊刀『鬼喰兼親』に阻まれた
桃太郎が立ち上がると、緑鬼が少し離れたところから大太刀を構えていた
その目は物語っている
もう、遊びは終わりだ、と
右手一本で支える大太刀を体ごと回転させることで振り回している
そしてその勢いを殺すことなく、空高く飛んだ
跳躍ではなく、飛翔した
『大蛇』の能力で自らの体重を限りなくゼロにできるのであれば、空高く舞い上がることも可能になる
そして、緑鬼が跳べば青鬼の射線が通る
さらに3本、矢が放たれた
桃太郎は、緑鬼の攻撃も青鬼の攻撃も無視して駆け出した
それも、反り立つ石垣とは反対側
普通の人間であれば、墜落して死んでしまうであろう崖の方へ
桃太郎の足が地面を離れ、体が空中へと放り出された
「チッ」
青鬼の舌打ちが聞こえた
青鬼の矢は桃太郎を追尾する
緑鬼は桃太郎がいなくなった地面に着地する
桃太郎は妖刀で足場を生み出し、それを蹴りつけることで駆け出す前の位置へと出戻る
緑鬼と剣が交差した
桃太郎の背後からは、矢が1本追尾してきている
残り2本は巻いたらしい
緑鬼は桃太郎の体重を軽くし、桃太郎を押し戻す
そのまま押し戻されていたら、背中に矢が刺さり致命傷だっただろう
しかしそうはならない
桃太郎は、体重が軽くなる瞬間を待っていた
大蛇の力は敵に一秒間体重変化を強制する
それは、必ず1秒であり刀が触れていない瞬間には操作が効かない
そう、来る瞬間を読めば利用もできる
桃太郎は強く地面を踏み込んだ
その結果、空高くに飛び上がる
さらに妖刀で足場を作り位置を調整する
体重が戻ると同時に足場を蹴った
緑鬼めがけて上空から刀を振り下ろされる
2本の霊刀『鬼喰兼親』と『大蛇』が火花を上げる
その瞬間、『鬼喰兼親』は形を変えた
まるで蛇のように
頭身が曲がり、緑鬼の右目を切り裂いた
対する鬼も、もう一度桃太郎の体重を軽くし、吹き飛ばした。
気づけば、桃太郎は山城の山頂まで登ってきていた
そこには広く平らな土地があった
そして、桃太郎から最も離れた位置に武蔵と青雲がいる
けれど、桃太郎の目に一番最初に入ってきたのは、彼らではない
さらにその奥にいる最愛の人だった
桃太郎は瞬時に、鬼からねねを一番守りやすい位置に移動した
少し遅れて、緑鬼が
そのさらに後に青鬼が登ってくる
ついに最終決戦が始まる
青鬼の名前はザイルです




