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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
振舞水
23/73

鬼ごっこ

 桃太郎は船の中で、青雲を慰める

 少女に怖がられたのがだいぶショックだったらしい。


 加えて、武蔵は好かれていたのがそれ以上に気に食わないと。


 …………

 …………


 武蔵は嫌そうだったと話しても、青雲の機嫌は直らないのだろうなぁ

 ぼんやりとそんなことを考えながら、青雲の毛繕いを手伝う




 そういえば、あの少女たち3人は、時間差はあったが全員が正気を取り戻した。


 しかし、自分達がどこの村から攫われたのか、どちらの方角へ帰ればいいのか、見当もつかないと言った様子だった。


 桃太郎たちは、鬼ヶ島へと向かう危険な旅の途中なので、一緒に連れてはいけない。


 お互いに途方に暮れていると、そこへ猿王の部下がやってきた

 なんでも、日鬼真宗を徹底的に殲滅しするつもりだったらしい。


 そう、猿王sv日鬼真宗の戦いは結果だけ見れば猿王の大勝利に終わったらしい

 流石に教祖の首は日鬼真宗の戦意を喪失させるには十分であった


 それまで互角の戦いをしていた戦況が一気に猿側に傾いたそうだ



 そんな話を猿王の部下達から聞いた

 中には、桃太郎と一緒に戦場で戦った猿もおり、いっぱい感謝された



 色々とタイミングがあまりに良かったのだろう

 猿達は戦うつもりできていたから、元気も時間も有り余っていた


 だから、桃太郎は少女達を猿達にお願いすることにした

 青雲のおかげで話し合いはすんなり進み、そのまま3人の少女は猿に託してきた。


 桃太郎が武蔵と出会った、あの麓の村までは送り届けてくれるらしい。

 その先は彼女たち次第だ。


 その村に止まるのか、故郷を探すのか…………




 そして今、桃太郎たちは日鬼真宗の船で銀山湖を進んでいる。


 乗っているこの船には、一応オールがあった。

 片側10人分くらい。

 


 流れの少ない湖では、無風の時にはオールを使わないといけないのだが、武蔵はねねの匂いを追っているので、船首に立っている


 つまり、桃太郎と青雲で漕がないといけない。

 剛健で強健な二人にとってもそれは流石に大変だった。


 お互いに一本ずつ、力を入れすぎてオールを折ってしまったのだ。

 それはもう、綺麗にポキっと


 力を入れすぎれば折れる、入れなすぎれば進まない

 ギリギリオールが折れない力加減に調整して、漕ぐのはかなり神経を使った。



 二人にとっては長い、湖を抜けた。

 ようやく、甲板(かんぱん)で新鮮な空気を吸える


 周りの山々が、青々とした木々を纏っている。

 対して頂上付近は、いまだに残る雪化粧とのコントラストが美しい

 水面には、逆さに映る山々、地面に抜けていく青い空が反射している


 桃太郎がもし、こんな命懸けの鬼ごっこをしていなかったら、この絶景に感動していたことだろう


 ……残念なことに桃太郎の頭はねねでいっぱいだった








 武蔵が何も言わないと言うことは、まだある程度ねねとの距離があるのだろう。


 頭ではそのことを理解してはいるが、桃太郎は目を凝らして川を隅々まで観察してしまう

 時として、本能は理性を押し退ける


 隅々まで注意深く観察する

 敵の船を見つけることはできないが、代わりに川辺に幾つかの小さな村は見つけられた。


 他にも、鉱山の跡地だろうか

 開発を試みて、失敗したような後も発見した。


 所々、小さな社や鳥居なんかも所々建てられている。


 人々の息遣いの欠片を見つけたような気がした




 そんなこんなで、日が沈み目視での探索が厳しくなった頃に、一度船を岸につけて一泊した


 次の日、日の出と共に目を覚ます。

 また前日と同じように、川下りが始まった








 湖を進んでいた時から、ずっと静かだった武蔵がついに口を開いた


「主人様、匂いが近くなっています。もう少しで追いつけるかもしれません。」


 大きく川が湾曲する

 少し進むとまた武蔵が話す


「ねね様の匂いが消えました。……いえ、これは通り過ぎたみたいです。やつら、この付近で森の中に入ったと思われます。いかがいたしますか?」


 それは桃太郎からしたら予想外の展開である

 間違いなく、このまま川を下って鬼ヶ島まで行くことになると思っていた


 それまでのどこかで必ず、ねねに追いつくつもりでいた

 船vs船の展開を想定していた


 桃太郎は次の一手を思案した


「…………このままもう少しだけ川を降ろう。川辺に、ねねを乗せたと思われる船が見当たらなかった。もしかしたら私たちが追いかけていることに気がついて船ごと隠れたのかもしれない。この船を隠せそうな場所を探しつつ、もう少しこのままで。」


 少し川を下るといい感じの川辺が見つかった

 桃太郎の指示通り、船を木々でカモフラージュして隠蔽した


 元々、隠すことに特化した船を拝借しているため、結構簡単に船を隠すことができた。


 あとはこのまま、川辺を進みねねを見つけ出せば、この鬼ごっこは桃太郎の勝利である。

 その時、背後の木々の間から音がした。




 何かが、すぐ後ろにいる。



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