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桃太郎-recast-  作者: 星乃光
振舞水
21/73

祭壇

武蔵:犬

青雲:猿


 桃太郎は、お供たちと主に船を降りる。

 目の前に景鶴山(けいづるやま)が聳え立っている


 青雲曰く、ここにブラフだが日鬼真宗の総本山がある。



 3人は身を潜めることなく、堂々と登山を開始した。


 日鬼真宗の船は目立つ

 停泊中なら見つかりにくいが、運航し始めるとものすごく奇怪な船である


 それほど目立つ船できたのだ、もう隠れる意味はない。

 むしろ、迅速に制圧した方が効果的だ。


 桃太郎達は、すでに自分達が捕捉されている前提で行動を開始する







 足元が雨のせいでかなりぬかるんでいる。

 この山に登山道なんてない


 笹をかき分け、道なき道を進む

 幸いにも、木の上から青雲が誘導してくれているので、かなり進みやすい


 普通の人間の倍速で山を登る。


 青雲の誘導が終わった


 瞬く間に辿り着いた

 景鶴山の中腹にある大きめの洞窟。

 ここがブラフとして使われている総本山である


 まさしく電撃作戦

 青雲が先頭で、後ろから桃太郎と武蔵が続くように突入した。


 桃太郎は洞窟内を見渡す





 そこはもぬけの殻だった。



 目につくのは1箇所だけ


 洞窟の最奥に、祭壇がある。


 祭壇は、石の台の上にあり、前後左右4本の柱とその中央に、大きめの四角い岩

 さらにその上に複雑な細工が施された岩が置かれている


 柱や岩には、さまざまな模様が記されている

 さらに祭壇の前には真っ白な百合の花がお供えされている。


 その祭壇の左右には、魔除けのように2体の鬼の像が祀られている。

 その周囲を蝋燭の火が照らし、まるでその像が本当に生きているかのように揺らめいていた。


 なんとも不気味な祭壇である





 桃太郎が周囲を見回す間、武蔵は耳を澄ませていたらしい


「主人様、今わずかに物音が聞こえました」

 武蔵が小さくつぶやいた



 …………



「主人様、下です。どこかに、いや多分、祭壇付近に下へとつながる道があるはずです」

 武蔵の少し慌てた声が響く


 桃太郎は、祭壇の周りを迅速に一周する。

 周りに書かれている紋様が目に入る

 とても不思議な絵だ


 しかし今、それらはどうでも良い


 一周したことで気づいた

 祭壇の下部に違和感を感じる。


 若干だが、引きずられたような跡が見てとれた


 武蔵は祭壇付近に入り口があると言ったがそれは少し違うらしい


 祭壇の付近に入り口があるのではない

 この祭壇自体が、入り口をカモフラージュするためのものだ。


 きっとどこかに鍵穴があるのだろう

 地下へと赴くためには、どうにかして正しい手順で扉を開かないといけなそうだ


 しかし、桃太郎員は時間がない

 そもそも、正規の方法で扉を開く必要もない



「青雲。この祭壇をぶっ壊すぞ」

「了解っす」


 二人は息ぴったりに拳を振り翳した



 ビシッ



 二人の本気の一撃で、祭壇がガラガラと音を上げながら崩れ落ちる

 そして下に続く階段が出現した。


「さあ、行こう」

 3人は、下へと降りた。







 ここまでくれば桃太郎にも、物音が聞こえた。

 いや、これは物音ではない

 人間の、それも少女のうめき声だ。

 そしてそれを取り囲んでいる、男どもが歓喜する声だ


 吐き気がした



 階段を降りると、一本道につながっていた。

 物音に気づいた男が数名、様子を見にやってくる


 その男達の格好を見ればこの先で何が起こっているのか、なんとなく予想がつく

 道の先から響く胸糞悪い音を聞けば、何が行われているのか予想できる


 焦慮し、焦る気持ちを無理やり抑え込む


 少女の助けを求めることを諦めた、小さな声が悲痛さを物語っている

 男どもの罵声と歓声が、甚だ耳障りだ。


 嫌な汗が全身から吹き出している



 桃太郎は、無意識に霊刀『鬼喰兼親(おにばみかねちか)』を抜いていた。

 様子見に来た男たちは、自分の首と胴が別れたことに気がつかなかった。


 目の前に男と犬と猿がいることを認識し、突然視線が地面にまで落ち、そのまま世界が暗転した。

 彼らに理解できたのはそれだけだった。








 一本道を少し進むと、かなり開けた空間が現れた。


 天井は二階建ての建物くらいはあるだろうか

 周囲の壁は円形になっており、大きなドーム状を成していた。


 その空間の壁際には等間隔に六つの鉄格子が並んでいる。

 しかし中身は全て空だ。


 それ以外はなんの変哲もない空間

 山をくり抜いて造られた、だだっ広い空間


 ただしその中心に、人だかりができている。


 人間は堕ちるとこまで堕ちるとこうも醜くなるらしい

 今目の前に見えている生物が、本当に同じ生き物かさえ疑わしく思える



 桃太郎は、霊刀『鬼喰兼親』を左手に持ち、妖刀『狛犬』を抜く

 そしてそれを武蔵に渡した。

 最も信頼のおける最速の生物に


 武蔵は渡された妖刀を口に咥えた。


 洞窟の中とはいえ、これほど広い空間、しかも誰も桃太郎一向に気づいてはいない。

 それ以外のことに夢中なせいで…………


 男どもは武器を持っていない。

 と言うか、一部は服すら着ていないのだ。

 もはや、武蔵の独壇場だった。


 まるで、男たちの首が白い竜に食われ、一つずつ落とされていくかのような光景だった。

 幻想的ですらある


 しかし、それは桃太郎の気持ちを晴らすのには不十分である



 最後の方では僅かに悲鳴が上がり出したが、それもすぐに静かになった

 たった15秒で制圧が完了した。


 洞窟の中央に大きな血溜まりができていた

 その真ん中で、虚な目で倒れている少女がいる



 桃太郎は、中央で倒れている少女に近寄った



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