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1話 1人目の入居者は出稼ぎ村娘

第1話は入居者視点から始まります。

「くきゅるぅ…」

 夜の帝都、人気の少ない路地に小さく響く音。

 その音の中心にいた村娘のような装いをしている娘、アリシアは、音の発生から少し遅れてそれが自身のお腹の音であることに気が付いた。

 今いる場所は住宅地であり、今は夕飯時に差し掛かった頃合いだ。先ほどのお腹の音はどこかの家から漂ってきた食べ物の匂いにお腹が反応してしまったのだろう。


 アリシアの空腹はとうに限界を迎えていた。

 帝都に訪れて最初に泊まった宿での食事から2日間、殆ど食べ物を口にしていない。


「帝都の宿があそこまで高いと知っていれば、宿代節約してご飯代に充ててたのになぁ」


 口から漏れ出た弱気なその言葉は元来前向きであった彼女が精神的に酷く疲弊していることの証左である。しかし、そんなことを口走ったところで後の祭りでしかないうえ、誰かが助けてくれるわけでもないということは彼女自身が一番よくわかっている。


 今まさに頭を悩ませている原因とも言える初日の宿。実は帝都では有名なぼったくり宿であったということを今のアリシアに知る術はない。

 そもそもぼったくられたという発想にもならない。

「良く言えば人が好い。悪く言えば騙されやすい」

 アリシアをよく知る者は総じて彼女の人となりをそのように評価する。



 ――――――――――



 事の発端はひと月前、村に訪れた商人の世間話を聞いたのが始まりであった。

 帝都の景気が非常に良く、うまくやれば一攫千金も夢ではないという話をされたアリシアは、畑仕事に勤しむ村娘の身でありながら、家族の生活を少しでも楽にするためにと幾ばくかのお金と旅の荷物を持って勇み足で帝都に訪れた。


 一攫千金とまではいかずとも、村で暮らす家族にいくらか仕送りができるようになれればと考えていたが、現実は厳しかった。

 帝都に来てから幾多の店の戸を叩いたが、未だ職にありつけず、初日の宿代で有り金が殆どなくなってしまい、金貨13枚ほどあった手持ちも、今では金貨2枚に銀貨8枚となってしまった。


 二日目になって職業斡旋所なる場所の存在を知ったが、そこでは帝都内に住所を持つ者しか職の紹介はできないと言う。そこで冒険者になってはどうかと勧められて冒険者ギルドにも伺ったが、アリシアと同じような人が帝都に押し寄せてきているようで、アリシアにもできるような依頼は彼らに取りつくされてしまっていた。


 そんな中でもめげずに職を探していった中で、いくつか話を聞いてくれる店はあったが、どこの宿に身を置いている訳でもないアリシアを訝しんでか雇ってもらうには至らなかった。



 ――――――――――



 アリシアに残された選択肢は3つ。

 このまま職を探し続けるか、村に帰るか、娼館の戸を叩くか。

 人並の貞操観念を持つ彼女にとっては、たとえ家族の食い扶持を稼ぐためだとは言え娼館で働くというのはやはり忌避感を覚える。

 しかし、このまま村に帰っては笑顔で送り出してくれた親兄弟に申し訳が立たない。何より自分が不甲斐ないばかりにこれからも家族にひもじい思いをさせてしまうことになる。

 とは言え、もしもの時の選択のために帰るためのお金は残しておかなければならない。それが丁度今の手持ち分程度。もうこれ以上の浪費はできない。


「そもそも、ただの村娘が身一つで来ることが無謀だったのかな」



 ただ、今はこれ以上後悔に思考のリソースを使っている場合ではない。

 今晩どこに泊まるべきかを考えなければならないのだ。

 夕方頃から雲行きがどうにも怪しかったのだが、先刻からぽつりぽつりと小雨が降ってきていた。それに、徐々に雨の勢いが強まってきているような感覚がある。


 月明りすら通らぬ曇天の暗さも相まって、雨が強まっていくのを感じる度により一層気持ちが沈んでいく。


 冬は越えたとはいえまだまだ肌寒い今の季節。せめて雨風を凌げる場所で休みたいと想うアリシアであったが、昼間に職探しの中で見つけた目ぼしい場所はホームレスと思しき者が場所を取っていた。

 もしかすると同じ境遇の人かもしれないと、どこか親近感を覚えつつも流石に全く知らない人の傍で野外泊というのはお人よしのアリシアと言えど抵抗を感じていた。


「最悪衛兵さんに相談するしかないのかな…」



 そうして力なく、当てもなく路地を歩くこと数分。アリシアの視界に立ち並ぶ家々の中でも一際目立つ家が飛び込んできた。


 窓から漏れ出る灯りによって夜闇の中でも存在感を示すその家は、建物の大きさからして隣り合う建物と比較してまるで違うのは一目瞭然であり、敷地面積はパッと見ただけでも他の建物の3,4倍はありそうな3階建ての建物だった。

 その造形も独特で、白を基調とした清潔感のある色合いをしており、建材の材質はどこか艶やかさを感じるものであった。

 立ち並ぶ建物の中では明らかに浮いた存在となっているのは言うまでもない。


 また、電気という概念のないアリシアの住む世界では、街外れの立地に夜でも灯りを強く灯す建物は夜に本営業を行う店くらいのものである。それもこれだけの灯りを灯しているとなると、高額と知られる魔道具の類で灯しているのだろうかとアリシアは思考を巡らせる。


「もし何かのお店なんだったらお手伝いとかすれば一晩泊めてくれたり…しないかな?でもお客さんが出入りしている様子も暖簾や看板が立ってる様子もないけど…」


 図々しい考えだとはわかりつつも、淡い期待を抱きながらその建物に近づいていく。


 近づいていくと、建物を囲う塀に一枚の張り紙が貼られているのがわかる。



 『シェアハウス 木天蓼荘(またたびそう) 入居者募集中!

  犯罪歴なければ経歴人種不問!家賃相談可

  入居希望の方は目の前の建物へ!』



 雨の影響を受けていてもふやけている様子のないその張り紙は、どうやら"木天蓼荘"という物件の入居者を募集するためのものだった。

 ふとそのチラシの横、門扉の脇に位置する場所を見てみると、『木天蓼荘』と印字された表札があるのを見つける。目の前の建物がその"シェアハウス"ということで間違いないのだろう。


「シェアハウス…?要するに宿舎みたいな建物ってことで良いのかな?」


 都合の良すぎる、如何にも怪しげな内容が堂々と書かれている張り紙。アリシアはそんな怪しい箇所以上に"シェアハウス"という文言が気になった。


 見る人が見れば、犯罪者お断りをしているこの張り紙自体に犯罪臭を感じるだろう。とは言え、藁にも縋りたい想いのアリシアにとってはこれは天からの一筋の蜘蛛の糸と言うべきか。そんなことは気にもならなかった。

 アリシアにしてみれば、先に住所が決まれば腰を落ち着かせて仕事探しができる。何より…


「家賃相談できるってことは…家賃後払いでも良かったら斡旋所で仕事貰えるかも。でも後払いって虫が良すぎるよね…。

 それにこれだけの大きさの建物で夜にこれだけの灯りを付けているってなると、宿舎とは言えやっぱり家賃も相当額するのかな…?後払いが許されても払えないような額だったら…いや!考えるのは後。少なくとも話だけでも聞いておいて損はないはず!」



 新しい形で将来の希望が垣間見えたからか、少しばかり本来の前向きさを取り戻す。

 そんな新たな希望を見出しながら、門扉を開けて敷地に入り、扉の前に立つ。


 その扉もまた異質で、ドアノブが長く平べったいコップの取っ手のような、帝国でも村でも見たことのない形状をしていた。また、扉の上部にある、狐と猫、何かの花が太極図のように入り混じった彫刻が扉の前に立った人間に強い印象を与えてくる。

 一般的についていることの多いドアノッカーがこの扉には付いている様子がないため、仕方なしにドアを直接ノックする。


「ごめんくださーい!」


 近所迷惑にならないよう、少し抑えめにしつつも、よく通る声で玄関前にて声を上げる。

 待つこと数秒。返事がなければもう一度戸を叩いてみようかと考えていると、


「ちぃと待ってな。すぐに出迎えがあるからよ」


 とどこか中性的な声が扉の方から返ってくる。

 その声が思いのほか近くで聞こえてくることに妙な違和感を持ちつつも、返事が返ってきたことに安堵する。



 しかし、ほっとして間もなく、人と対面する直前になってアリシアは自分の身なりに意識が向いた。

 アリシアの髪や服は先ほどから強まってきていた雨に打たれ続けた影響で水気を多分に含んでおり、びしょ濡れと言って差し支えない状態となっていたのだ。

 玄関部には屋根があるため、今は雨に打たれている訳ではないが、雨に打たれなくなったことで逆に雨による身だしなみの崩れが気になってしょうがなくなってきてしまった。


 自分の状態を認識したアリシアはあわあわと慌てて髪や服を整えようとするが、中から扉を開けられるのが早いか。


 「待たせたの」という先ほど聞こえてきたものとは違う女性的な声と共に中から獣人の女性が扉から顔を出し、アリシアと目を合わせる。

 その瞬間、アリシアは慌てて身なりを整えようとしていたために、どこか素っ頓狂なポーズを取ってしまっていた。

 この時、アリシアが顔を赤らめたのは風邪をひいたからではないだろう。

 幻聴か、どこかからか「くくくっ…」と笑い声が聞こえたような気さえしてくる。


「何をやっておるのだお主?

 …あぁ、雨に濡れてきたのか。して、何用じゃ」


「あ、あの!ここの家主…いえ、管理人の方でしょうか?

 表の張り紙を見て入居についてお話をさせていただきたいのですが!」


 気を取り直して入居の話を切り出す。



 眼前の女性は猫の耳と尻尾が生えており、煌めいてすら見える長い銀髪が特徴的だった。帝都にも幾人か獣人もいたが、これほどまでに顔立ちも毛並みも綺麗な獣人はそうはいない。比肩する人と言えば、それこそアリシアが帝都に入るときに話をしたエルフ族の衛兵くらいなものか。

 余計に自分の恰好が情けなく思えてきてしまい、軽くうつ向いてしまう。


「ふむ。表の張り紙か。生憎と儂は管理人ではない故、ここで儂の方で勝手に入居の話を進めることはできぬ。

 奥に管理人がおるし、入居希望ということなら一先ず入れ。そちらの世界では雨が降っておるようじゃしな」


「そちらの世界…?」


 アリシアにとってこれまた聞きなれない言葉が出てきた。


「こっちの話じゃ。そのことについても管理人から説明があるじゃろ。

 タオルを持ってくるからしばし待て」


 "そちらの世界"という言葉に引っ掛かりを覚えつつも、説明があると言われたのだからこれ以上考えても仕方ないだろうと思い、誘導されるままに中に入る。



 そうして中に入り、内装を目にしたアリシアは思わず立ち尽くしてしまう。

 玄関口から見た内装だけでも周囲は見たこともない出来栄えの床材や家具、調度品等が揃っていたからだ。


 そのどれもが一目見て一級品であるとわかる代物ばかりだったのだ。

 床材は木材なのだろうが、これほどまで綺麗に整えられ、磨かれた床材は帝都においても非常に珍しい。

 壁には一枚の絵が飾られているが、どうやら神話上の一描写を描いたもののようで、描かれている神々の表情、動き、服の細部に至るまで緻密に描かれている。

 脇に置かれた木製の棚も、細部にまでディティールが施されていて見事という他なく、その上に置かれた狐の置物もこれまた独特な造形ながらも非常に完成度が高い物であることがわかる。


 どれも余程の名匠の手によるものだろうと農民出のアリシアの目からも推察できるほどであった。


 ふと足元を見ると、何足かの靴が並び揃えられており、その先が段差となっている。

 普段言えの中でも靴を脱ぐ習慣のないアリシアにとってはそれすらも物珍しい。ここで靴を脱げということなのかとも思いつつ、先ほどの女性が来るまでは大人しくしていようと辺りを観察し続けた。



「そんなに面白いもんかね」


 不意に誰かから声をかけられる。独り言が聞こえてきた、が正しいか。

 驚きつつ周囲を見ると、先ほどまで置物と思っていた狐が動き、こちらを見ていた。あまりの出来事に狐につままれたような表情になる。


「え…?魔道具?」

「まぁそーだわな。俺っちは喋って動く魔道具だ。どっちかってーと精霊とかゴーレムに近いけどな」

「初めて見ました…というか置物とお話する機会なんて…いえ、置物って言ったら失礼ですよね。ごめんなさい」


「気にするこたねーさ。元は置物だしよ。

 俺は狐狗狸(こっくり)ってんだ。狐狗狸さんって呼びな。ここに入居するつもりなんだったら、ま。今後ともよろしく頼むぜ」

「アリシアです。よろしくお願いします。

 そういえば狐狗狸さん、先ほど声をかけてくださったりしました?」

「おう、俺は言ってしまえば門番だからな。来客があればあんな風に内にも外にも声かけをしてるのさ。扉の彫刻もあれ、俺の一部みてぇなもんだし」



 そのような会話をしていると、先ほどの獣人の女性が戻ってくる。


「性悪狐よ、ちょっかいかけとらんじゃろうな」

「ひでぇ言いぐさじゃねーか。ここに入居するんだったらよろしくって挨拶してただけだっての」

「そうか。ほれ、これ使え」


 そのような会話をしつつ、アリシアに一枚の大きく真っ白なタオルを渡す。

 あまりに真っ白でふわふわな手触りに、使うのを躊躇ってしまう。


「さっさと拭けい。拭いてもらわんとこっちが困る。

 靴もそこで脱いで足も拭いてくれの」


 アリシアの躊躇を察したのか、獣人の女性が早く拭くようにと促す。

 有難さと申し訳なさの両方を感じつつも、頭や腕を拭く。タオルに包まれたことで、先ほどまで沈み切っていた気持ちが徐々に解れていくのを感じた。


 一通り拭き終わると、靴を脱いで木の床材に足を乗せ片足ずつ水気を拭う。床のひんやりとした温度感を素足で感じ、少し不思議な気持ちになる。


 粗方拭き終わったところで、獣人の女性がアリシアに手を差し出した。


「えっと…」

「タオルじゃタオル。そのまま持っていく訳にもいかんじゃろ」


 握手でも求められているのかと勘違いしたアリシアは再び赤面する。

 それを見てその横で「くくくっ…」と笑った狐狗狸さんは直後、獣人の女性にデコピンをされてしまい、痛みから棚の上を転がり回る。

 獣人の女性はそれを全く意に介さず、アリシアからおずおずと差し出されたタオルを受け取る。



「では居間の方に案内するぞ」

「は、はい。わかりました」

「またな嬢ちゃん。良きご縁を」


 淡々と話を進め、歩いていく獣人の女性に、ワンテンポ遅れつつも返事を返すアリシア。

 ひらひらと尻尾を振りながら見送る狐に軽く頭を下げて獣人の女性についていく。

 先ほどから続く不可思議な出来事に、狐に化かされたような、おとぎ話の世界に来たような気分になる。


 数歩歩いたところで獣人の女性が廊下脇の扉のノブに手をかけ、ガチャリと開く。


 扉が開けられたその先、居間と思しきその部屋も先鋭的なデザインで統一された空間が広がっていた。

 また、見たこともない家具…おそらくは魔道具であろうものがそこかしこに置かれているのを見て、管理人は著名な魔術師なのだろうかと考えるも、当の管理人と思しき人物の姿が見えない。



 辺りを見渡していると、獣人の女性が部屋のソファにスタスタと歩いていく。


「纏坊…ごほん、管理人様よ、客じゃ。起きんか」


 部屋の入口からではソファは背もたれ部分が壁になってシート部分が見えない。

 そこに例の管理人がいるのかと少し背伸びをする形で覗き込もうとするが、やはり位置関係で誰がいるのかわからない。

 声をかけても起きなかったためか、ソファの向こう側にいるであろう人物に獣人の女性は手で相手を叩く仕草を見せた。

 それに反応を示したのか、人影がむくりを起き上がってきた。


「…ん。何さ」

「「何さ」じゃないわ。客じゃ」


 少し頭に寝ぐせをつけたその男性は、ぼんやりと部屋の入口の方…つまりアリシアの方へと顔を向ける。

 アリシアと目があい、アリシアは気まずさを感じつつ軽く会釈をする。


 直後、意識が覚醒したのか、ハッと我に返った様なその男性は、慌てた様子で寝ぐせを直し、身なりを取り繕おうとするが、そのまま勢い余ってソファから崩れ落ちる。

 ドザッ!と少々派手な音と共に「いって!」と声をあげる男性。


 それを見て、アリシアは先ほどの自分を見ているようで共感性羞恥のような気恥ずかしさを覚えた。


「何をしておるかまったく…。この娘子が入居の話をしたいんじゃと。名前は…そういえば聞いておらんかったの?」

「アリシアと言います。この度はお忙しい中機会を設けてくださって…あ、いえ」


 職探しの時の名残でそう口走るアリシアだったが、明らかにくつろいでいた相手を前に言葉選びを間違えたかと思い、そのまま少し口ごもってしまう。

 普段アリシアはおしゃべりな方ではあるが、度重なる職探しによる疲労と自己肯定感の低下、先ほどの共感性羞恥のために言葉が思うように続かず、そんな自分にやきもきしてしまう。



「ふむ。見ての通り忙しくはしておらんな」

「はは…そんなこと言うなよ。

 アリシアさん、出迎えできず申し訳ありません。私、このシェアハウスの管理人をしております、(さかい) 纏真(てんま)と申します。こっちの女性は出雲(いずも)。まずはこちらの席へどうぞ」


 崩れ落ちたときに少し痛めたのか、腰を軽くさすりながら立ち上がり、アリシアを席へと案内した男性、堺 纏真。自らを管理人と名乗るその男は、黒髪短髪で中肉中背というどこにでもいそうな容姿をしていた。魔術について詳しくないアリシアの目から見てもあまり魔術師のようには見えない。



 人間観察はほどほどに、案内されるがままに席に座り、獣人の女性 出雲が出した飲み物を啜る。

 アリシアからしたらポーションを思わせるその濃い緑色の飲み物は、適度な熱さで冷えた体を少しではあるが温めてくれた。少し苦いが、飲んでいくとその苦味が癖になりそうな、そんな味をしていた。


「さて。当物件の入居検討ということでよろしいでしょうか?」


 飲み物を飲んで一息ついたところで、管理人が机の脇に置かれていたファイルを手元で開きながらそう尋ねた。


「はい。この物件についてお話をお伺いできればと思いまして…」


「当物件はシェアハウスとなっておりまして、要するに他の入居者様方と共同生活することを前提にした物件になっております。私や出雲もここに住んでおりますので我々との共同生活にもなりますね。もちろんプライベートスペースは各人に用意されておりますのでその点は心配いりませんが、よろしかったでしょうか?」


「そこは問題ありません。ただ…家賃相談可とありましたが大体いくら位になりますでしょうか?」


 最初にお金の話をするのは少し不躾だったかと思いつつ、アリシアとしてはそこを聞かないことには始まらない。



「うーんと。出雲、この人が来た扉ってどこの?」


 お茶を出して以降、ソファでくつろいでいた出雲に向けて管理人が尋ねる。


「地母神ミーラの世界のフランタール帝国じゃったな」


 ミーラとはアリシアの住む世界で広く信仰されている宗教上の女神、創造神とされる神の名である。敬虔な信徒も数多いが、"地母神"という呼び名をしているという話は聞いたことがない。


「(さっきの出雲さんの「そちらの世界」って発言と言い、一体どういうことなんだろう…?)」


 そのような疑問を頭に浮かべるが、どう尋ねていいかもわからなかったうえに管理人から説明があると言われていたことので、一先ず家賃の件の返答を待つことにする。

 管理人はその間、辞書をめくるようにパラパラと手元のファイルで何かを調べている。



「月計算はどこも同じって話で、1万円が大体金貨1枚くらいだから…。

 食費や管理費込みでひと月で金貨3枚ですね。難しかったら家賃交渉も受け付けてます。家事の類は当番制なのでその当番を増やす代わりに減額、とかも可能です。

 月末に来月分を支払ってもらう形になりますが、事前に言ってくれたら3か月くらいは待ちます。

 あ、それと入居の時には家賃以外こちらからお金は請求しないので。敷金礼金やその他清掃費だとかって概念がそっちの世界にあるかはわかりませんが…。

 でも家具とか搬入したいならそっちの業者の方で別途必要にはなりますね。備え付けのベッドはあるから身一つでも問題ないと思います」


「えっ」


 アリシアが驚くのも無理はない。

 住居を持とうとすると、賃貸だとしてもこの帝都、最低価格帯でもひと月に金貨5枚はすることをアリシアは斡旋所から聞いていた。このような形式の建物だから、そこまで安くなるものなのだろうか。しかし、今アリシアがいる場所も共有部として利用可能なのだとしたらそこらの住居よりも余程上等な住居となるのは疑いようがない。そのうえで家賃交渉も可能で入居費用はゼロ、食事もベッドもついてくると言うのだ。

 聞きなれない言葉が度々出てくることも相まって、この美味しい話に流石のアリシアも訝しむが、もとより選択肢などない。


 しかし、思った以上に安かったとはいえ、それでもギリギリ支払えない。銀貨10枚で金貨1枚になるため、今のアリシアの手持ち…全財産である金貨2枚、銀貨8枚では家賃である金貨3枚に届かないのだ。幸いなことに減額は可能と言っていたため、そこに賭けてどうにか交渉するしかないだろう。



「その…初月分の家賃なんですが、今手持ちがこれしかなくて…家事当番を増やすという形で住まわせていただくことは可能でしょうか…?」


 そう言ってアリシアは自身の手持ちを全て机の上に出す。

 改めて自分の手持ちがこれだけという現実を見せつけられたような気がして、つい目を背けたくなってしまう。


「はい、大丈夫ですよ。

 しかし…失礼ながら、見たところ随分と困窮しているように見受けられますが、何か事情がおありで?答えたくなければ答えなくても構いませんので、もし良ければお話いただけますか?」



 痛いところを突かれてしまった。

 これまでの経緯を話すことは自分の不甲斐なさを話すようでアリシアとしては気が引ける。それに仕事がないと明かすことで入居の話がなかったことになるかもしれない。

 しかし、このまま黙って入居する訳にもいかない。減額に快く応じてくれた相手に話さないというのは些か恩知らずが過ぎるというものだろう。


「…はい。実は数日前に帝都にやってきたものの、まだ仕事が見つかってなくて…住所が定まれば斡旋所からお仕事をもらえると思うんですが、今は持ち合わせがこれしかなく…。

 こう見えて家事全般心得ています。収入源がないということで不安ということでしたら家事当番は勿論ですが、他のことも言われれば全部やります。ですので、せめてひと月の間だけでもここに置いていただけませんか…!?」


 そう嘆願し、頭を下げるアリシア。

 家賃の支払い能力がないと言っているのと同義である今の発言は、管理人からすれば地雷でしかないだろう。

 ぎゅっと目を瞑り、じっと相手からの返事を待つ。



 その言葉を受けて、顔を見合わせる管理人と出雲。出雲がこくりと頷くと、管理人は彼女に向き直る。


「わかりました。

 うちは張り紙に書いてある通り、犯罪歴のない方でなければ歓迎します。

 今は我々以外でここに住んでいる人はいないのであなたが初めての入居者になります。今後入居される方々とも仲良くしていただけるのでしたら問題ありません」

「…!

 ありがとうございます!」


 入居を許してくれたことで心の中でほっと胸を撫でおろす。


「一先ず一か月間家事当番を多めにやってもらうということで。他のお手伝いも必要があればお願いいたします。

 今後の家賃の支払いも仕事を見つけた後で大丈夫なので、一か月だけと言わず好きなだけいてください」


 これまで溜め込んでいたものがあったのか、温かい言葉に涙が出そうになる。

 しかし、ここまで優しくしてくれるのは大変ありがたいが、賃貸としての儲けは大丈夫なのだろうかと逆に相手の方が心配になってしまう。家賃が金貨3枚という時点で儲けはあまり考えていないのかもしれない。



「とまぁ。家賃のことを先に話してしまいましたが、このシェアハウス、入居にあたって注意点というか、このシェアハウスの特徴を知ってもらっておく必要がございまして」

「特徴…ですか?」



「このシェアハウス、異世界と繋がってるんですよ」



「???」

 まるで宇宙猫が如く固まり、頭に疑問符を浮かべてしまうアリシア。

 あまりに唐突に予想していなかった言葉を受け、脳内が混乱を極める。


「(イセカイって…異世界、別の世界?でもここって帝都だよね?異世界ってどういうこと?)」


 混乱する頭を必死に整理しようとするも自分の中で答えが出せない。



「うーんと、私の方からもなんと言えばよいか迷うところなのですが…」

「管理人様よ。そんな説明じゃ混乱してしまうじゃろ。

 娘子…アリシアだったな。儂の方から説明しよう」


 出雲が仕方がなさそうな顔を向けながら口を開く。



「まず前提として、神々の創世記の話は知っておるな?」

「はい。女神ミーラを含めた天界に住まう神々が各自それぞれの世界を作ったって話ですよね?

 どこかの世界で大災厄が発生したとき、他世界からその世界に何らかの干渉をさせることで大災厄を収める、といった形でこれまで各世界の安寧を保ってきたと伝わってますが…」


 アリシアの世界ではおとぎ話として広く伝わっている伝説上のお話だ。

 女神ミーラがこの世界の創造神として伝わっている関係からか、ミーラを主神として崇める宗教が一般的ではあるものの、他の神々も女神ミーラと同等の力を持つとされている。


 今の話から、アリシアはまだ自分が幼い頃にその創世記を基にした勇者物語の絵本をよく母親に読んでもらったのを思い出す。

 異世界から来た勇者様が巨悪を打ち倒し、お姫様を助けるという話。私もお姫様になって勇者様に助けられてみたいとアリシアが子どもの頃は本気でそう考えていた。今でも正直なところ憧れを抱いている。



「うむ、それじゃ。簡単に言えば、このシェアハウスはその各世界を行き来できるんじゃ。故に入居者、訪問者も各世界から訪れる。お主もその一人ということじゃな」

「えっと…?私がいた世界とは別の世界があって…そこで生きる人とも暮らすかもしれない、と?…とすると、管理人さんたちは異世界人ってことなんですか?」

「そういうことになります」


 にわかには信じられない。しかし、先ほどまでの言動や周囲の見慣れない家具類からもそう考えれば納得がいくが、おとぎ話が実は本当にあった出来事でしたと言われてもすぐに納得できる人間はそう多くない。アリシアも例にもれず、その一人である。


「つまり今いるここは既に異世界ってことですか?」

「そうとも言えるしそうとも言えんが…。

 おい、管理人様。実際にやって見せた方が良いのではないか?」

「そうだな。その方が早そうだ。

 論より証拠、ちょっと玄関までついてきてもらえますか?」


 そう言って両者席を立ち、部屋の外へと向かっていく。それに少し遅れて腰を上げるアリシア。



 二人が向かった先は先ほどまでいた玄関であった。狐狗狸さんはどうやらうたた寝をしていたようだ。


「よぉ、さっきぶりじゃねーか。

 もうお帰りかい?」


 気だるそうに顔をあげ、あくび交じりに問いかける。


「いや、入居前に実際に異世界を見てもらおうと思ってな。

 取り敢えず…日本でいいか」


 管理人がそう返すと、「あ、そう」と言わんばかりに二度寝を始める狐狗狸さん。

 そんな様子を気にすることなく纏真は玄関扉へと近づいていく。


 内側から改めて見てみても初見時と同じく、やはり奇妙な造りだ。

 ただ、外側にはなかったダイヤルのようなものが内側に付いているのを見つける。管理人はそのダイヤルを手に取ってぐるりと回し、そのままの流れで扉を開く。



 直後、アリシアの目に飛び込んできたのは、扉の向こうの見たこともない景色だった。


 先ほどこの扉で帝都の路地からこの家に入ってきたというのに、今開けてみればそこは見知らぬ土地。

 外は帝都と変わらず夜だというのに非常に明るい。帝都では先ほどまで雨が降っていたにも関わらず、外は雨が降っていた痕跡すらなく、空に広がるのは曇天ではなくうっすらと見える星々だった。

 また、そこら中の住宅が帝国の家々よりも余程この家と近しい造形であり、その多くに灯りが灯っている。自分が住んでいた世界、少なくとも自分の知っている世界ではこのような街を作り出すことは不可能だろう。


 パッと見ただけで自分がいた世界とはまるで違う世界が眼前に広がっているということがわかる。



「ここが、異世界…?」

「そうです。今開けた扉は俺…いや、私が住んでいる世界。地球と言う星の日本という国です」

「チキュウ…ニホン…。聞いたこともないですし、これは…」


 先ほどからの言動や不可思議な現象の解がアリシアの目の前にある。

 ここが魔術師の住む館なのであれば、目の前の光景は幻術の類ではないかと考えを巡らせるものの、それは違うと直後で自ら頭で否定する。

 扉から入る、まるで湿気を感じさせない夜風が肌に当たるたび、眼前の光景が幻術の類ではないと認識させられるからだ。ここ数日、帝国で感じていた空気感も、それが持つ匂いまでも違う。


 今にして思えば、先ほど家に入った時も外のジメジメした空気からの解放感のためかあまり感じることができていなかったものの、普段吸っていた空気とは少し違っていたようにも思える。



「…外に出てみても?」

「構いませんよ。道路には飛び出さないようにしてくださいね」


 軽く深呼吸して外に出てみる。

 敷地内は帝国で見たそれと違いはないように見える。強いて言うなら雨による水たまりがない程度だ。

 周囲を観察しながら門扉の前まで歩く。敷地外の様子を見ようと門扉の上に手をおき、敷地外の様子を眺める。

 道は見たこともない素材で綺麗に整備されており、道の脇に設置された街頭によって一定間隔で照らされている。見たところ住宅街のようだが、アリシアの知るそれとはやはりまるで違う。


 そうして顔を乗り出して周囲を観察していると、聞きなれない音が聞こえてくる。その音の方を見やると、その道の向こうから何やら鉄の箱のような物が走ってきているのが見え、思わず体ごと顔を引っ込めてしまう。


 間もなく、その鉄の箱はこの家の前を通り過ぎ、そのまま通り過ぎて行ってしまった。

 異世界の魔道具なのだろうかとあの鉄の箱の正体について考えるが、見当もつかない。



「どうでしょう?実際に見て聞いて感じて」

「……すごい」



「すごいですね!

 本当に異世界?異世界ってあったんですね!

 あっちこっち見たことがないものだらけで!

 異世界ってどこもこんなに明るいんですか?それとも何か特別な技術があるとか?

 さっきの走る箱も一体どういったモノなんですか?

 それにここの扉って他の世界にも行けるんですか!?

 ていうか勇者様ってこの世界にいるんですか!!?」



 異世界という言葉から子どもの頃に憧れた物語を連想したためか、童心に帰ったように興奮してしまうアリシア。

 興奮冷めやまぬといった面持ちで管理人に詰め寄る。


「ちょ、待って待って。一気に聞かれても答えられませんって」

「えと、えっと…」


「異世界見学は一先ず終わりじゃ。先に入居の話を済ませてしまえ。

その後に気になることを聞いていけば良かろう」


 明らかにキャパオーバーしているアリシアとその興奮にどう対応すればいいのかわからなくなる管理人。

 そんな両者を見かねてか出雲が間に割って入って仲裁に入る。


「…あ、すみません!私その、興奮してしまって…」

「いえいえ、急に異世界に連れてこられたら興奮もしますよ。

 それで入居の話ですが…」

「はい!ここに住まわせてください!」


 続きを話そうとした纏真の言葉を待たずにアリシアが入居を決める発言を返す。

 管理人としては入居に際しての細かい契約や注意事項などを話していこうとしていた矢先だったので出鼻をくじかれてしまう形となったが、あまりの即答具合がおかしかったのか笑みがこぼれる。


 しかしここに入居できるかどうかはアリシアにしてみれば死活問題であった。異世界の話を抜きにしても、この機を逃してしまえば行く当てもなく先の見えない職探しの続きをするハメになる。それは何としても避けたかった。


「わかりました。

 いったん入居するという方向で考えていただくとして、その前に各部屋をご案内いたします。

 あと、本契約の前にいくつか確認していただく書類があります。中に入ってそちらをご確認の上、問題なければ本契約ということにいたしましょう」

「はい!お手数ですがよろしくお願いいたします」


 管理人の冷静な物言いにあてられたためか、入居できる方向に話が纏まって安心したためか、少しばかり落ち着きを取り戻したアリシア。確かに細かい話を聞いておかなければ初日の宿での金欠の二の舞になってしまうし、相手にとっても「話が違う」と後でごねられても迷惑だろうと自省する。



 そうして一同は一度家の中へと戻り、各部屋の見学後、書類上の話へと進める。

 書類に一通り目を通し、問題ないと判断したアリシアは契約書にサインを行った。


「では契約と相成りましたので、本日から入居可能です。このまま入居ということでよろしかったでしょうか?」

「はい。家具や雑貨の搬入もありません」


「それではこれからは同居人ですね。シェアハウス『木天蓼荘(またたびそう)』へようこそ」

「歓迎するぞ、アリシア。今後同居人としてよろしく頼む」

「こちらこそ、これからよろしくお願いします!」


 まだまだ先行きは見えないものの、一歩前進できたような気がするアリシア。

 異世界の興奮もあってか、いつの間にか本来の明るさを取り戻していた。


 こうしてシェアハウス『木天蓼荘(またたびそう)』の初めての入居者が決まった。


 アリシアにしてみれば帝国での生活の再スタートとなる。

 第一目標は安定した割の良い収入源の確保だが、異世界への興味・関心も尽きない。これからここでいろんな世界のいろんなことに触れていきたいと強く思うアリシアであった。



「くきゅるぅ…」

 そんな決意を抱く中、不意にお腹の音が部屋に響く。覚えのあるその音にアリシアの顔がまた赤くなる。一日の間にこんなにも恥ずかしい思いをしたのは初めてだった。


「そういえば今晩は夕飯がまだじゃったな。今晩は儂が作ろう。歓迎会も兼ねて少しばかり豪勢にするかの」

「でしたらお手伝いさせてください!私、こう見えて料理は得意なんです」

「それは助かるが、その前に風呂に入ってこい。疲れも溜まっておるじゃろ。その間に下ごしらえを済ませておくからの」


 もしかして匂っているのだろうかとも思ったが、ここは何も聞かず素直に厚意に甘える。

 そうして入った風呂はアリシアの人生の中でも最高に一番気持ちの良い、思い出に残るような風呂だった。



 その日の『木天蓼荘(またたびそう)』の食卓には大層なご馳走が並んだ。

 かき込みたくなる気持ちを抑えながらもアリシアは温かく迎え入れてくれた二人に感謝しながら食事を楽しみ、各々の背景を語り合うなどして交流を深めていく。途中からはアリシアによる異世界関連の質問の比重が大部分を占めた。


 そして夜も更け切った頃、アリシアは久方ぶりのベッドの感触と共に眠りについた。

 この異世界シェアハウスでこの先どんな出会いがあるのだろうかとワクワクする気持ちはありつつも、疲れが溜まっていたのか横になってすぐに眠ってしまった。



 一体どれほどの世界が、どれほどの人種が、どれほどの文化がこの世に存在し、シェアハウスを通じて出会っていくことになるのかは、神々のみぞ知る。





 ―・―・―・―・―・―・―



《シェアハウス『木天蓼荘(またたびそう)』 居住者一覧》

 ○堺 纏真(さかい てんま) 日本育ちのシェアハウス管理人

 物語の主人公。

 異世界シェアハウス『木天蓼荘』に管理人をしながら住んでいる。

 どういった経緯で管理人となったのか…?

 それはまた次回。


 ○出雲(いずも) 猫の獣人(?)

 爺臭い口調で話す猫の獣人。

 纏真のことを纏坊と呼んでいる。

 個人の部屋は持っていない模様。

 入居者募集で来た人物ではないようだが…?


 ○アリシア 地母神ミーラの世界出身の村娘

 101号室の住人。

 帝都に出稼ぎにきた村娘。

 好奇心が強いお人よし。

 素直で向こう見ずな性格のためか周囲から心配されることもしばしば。

 幼少から家の手伝いを積極的にしてきたため、家事全般得意。

 趣味は料理と土いじり。


 ○狐狗狸(こっくり)さん 狐の置物

 玄関で各世界の門番をする狐の置物。

 相手をからかうのが大好き。

初投稿です。

普段は専ら読んでばかりですが、書く経験をするのも良いと思い筆を執りました。

不定期にはなりますが、今後とも読んでいただけると幸いです。


次回は物語の前日譚、纏真が管理人となるに至るお話になります。

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