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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

正義の魔術師クリーミー

額から二本の角を生やした屈強な身体つきの赤鬼が棘つきの棍棒を片手に買い物帰りの少女を追いかけ回していた。建物ほどの大きさの鬼は容赦なく棍棒を振るって少女を叩き潰そうとするが懸命に逃げる少女にはギリギリのところで命中しない。

悔しさと苛立ちで鬼は吠える。単なる暇潰しだったが予想外に時間がかかったことで本気の狩りを決意し牙の生えた口でニヤリと笑うと少女を掴まえんと手を伸ばした。

その時、鬼の視界から少女の姿が消えたのだ。幻かと思ったが違う。忽然と姿を消したのだ。どこにいったのかとキョロキョロと周囲を見渡すも姿は見えない。すると、上空で声がした。


「探しているのは私かな?」


声に反応し鬼が上を見上げるとひとりの少女が浮遊していた。先ほどの少女とは違う。

黄色のシルクハットにタキシードを着て、黒のステッキを携帯している。

スレンダーでボーイッシュな外見と男装姿がよく似合っていた。少女は白い歯を見せてニッと笑うと鬼に言った。


「君が獲物にしようとしていた子は私が避難させたよ」


鬼は少女の言葉を反芻し意味を理解すると凄まじい声で吠えた。

少女は高らかに笑って帽子の唾を少し持ち上げて。


「私は正義の魔術師クリーミー。

君を素敵な魔術の世界にご案内して差し上げよう」

「ウガアアアアアアッ」


クリーミーは地面に降り立ち優雅に胸の前に手を当てて一礼し、棒立ちになる。

力の抜けきったとても構えとは言えぬ姿に赤鬼は激高し棍棒を振るう。

命中したと思うが手ごたえがない。


「ウフフフッ、私はこっちだよ」


背後から声がしたので振り返り再び一撃。


「違う違う。こっちだよ」


今度も背後から声がしたのだ。

三度目の棍棒。しかし潰れた感触がない。

困惑している鬼にどこからともなく声が響いた。


「教えてあげよう。私は無数の分身を生み出すことができるのさ」


高笑いと共に鬼を囲うようにして幾人ものクリーミーが現れた。

しゃらくさいとばかりに棍棒で薙ぎ払うと分身たちは煙のように消える。

しかし本物は上空で逆さまの状態で鬼を観察していた。


「赤鬼君。本物はここにいるよ」


告げられて上を見るが鬼は飛行能力がないので唸ることしかできない。


「君は大きさに自信があるようだけど、これならどうかな?」


ニヤッと笑って逆立ちをやめたクリーミーは一瞬で鬼の何倍もの大きさに変身した。

巨体を誇るはずの鬼が足元までしかない。あまりに圧倒的なサイズに見上げ呆然とすることしかできない赤鬼にクリーミーは右足を上げた。

それが何を意味するか悟った鬼は棍棒を投げ捨て背を向け逃走を選択。

しかしクリーミーの足裏が迫る方が早かった。


「今までの報いを受けるんだね」


プチッという音と共に踏みつぶされた鬼は消滅した。

これまで自分が小さき人間たちにしてきたことを返される。

まさに因果応報な最期だった。


「お仕事終わり。帰るとしよう」


シルクハットの唾に触れ、クリーミーはその場から幻のように姿を消した。

正義の魔術師クリーミーは今日もどこかで困っている人々を救い続けているのかもしれない。


おしまい。


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