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惑星ガイアのものがたり  作者: Tossy
はじまりのものがたり 1
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6N.街の灯り

ダムに名前が付いた。


「マリムダム」って、そのまんまじゃない。


そのマリムダムが満水になるまで、まだ時間が掛りそうだ。

あれから2週間経って、水位は1/3ぐらい。

交代のために帰ってきた騎士さんがそんな事を言っていたらしい。

移動に何日も掛るので、現在の状況は分らないけど、まだ1月近く掛るんだろうね。


次に、マリムダムに行く機会があるとすれば、満水になってからだろう。

マリムダムに水が溜って、溢れそうになっても両岸にあるオーバーフローで、川の水は下流に流れる。放っておいても大丈夫。

それに、水が流れるようにならないと船で近くまで行くことができない。


このまえ、アイルのSFXスペクタクルを見せられたけど、私はほとんど何もすることが無かった。4日ほどで領都に戻ってこれたけれど、次は、私が行く必要は無いはずだ。

無いと思う。

無いと思いたい。


アイルは、送電するために色々と悩み中だ。


私は、化学合成したアセトアミノフェンの試験結果を見ている。今のところ副作用とかアレルギー反応などの報告は無い。

そろそろ、神殿に薬を卸しても良い頃合いかもしれない。

気温が下り始めたから、風邪を悪化させる幼児も増えてくるかもしれない。


今年は、収穫量が倍増して、人口が増えたことに対応できているみたいだ。魔法で肥料を作ったり、下水処理場で肥料を作ったりした結果が良い方向に進んでいるのは嬉しい。


で。

何で、アイルは、私の研究室に居る?


『なあ、ニケ。送電線用のコネクタが作れないか相談に乗って欲しいんだけど……。』


何で……それを……私に……聞くかな?


私は電気化学ならともかく、普通の電気の知識は皆無だよ。

ましてや超伝導体なんて、知らんがな。


『だって、ニケのお父さんって、光通信のエンジニアだったじゃない。何か聞いていない?』


そう、私の父は、某通信キャリアの研究所勤務だった。

いや、だったじゃないな、今もそのままだったら、勤務していると思う。

あれ、定年が近かったかな。

ん?今って何時のことだ。

もう……。何がなにやらワカらん。


テレパシーでも無いかぎり、父に意見を聞くことなんて、出来る訳がない。

テレパシーが有ったとしても聞けるのかどうかワカらん。


『何で、そんな事聞いているの?

そもそも、光通信用のファイバーって、電気通さないよ。』


『流石にそれは知っているよ。』


それから、アイルが説明をする。


アウドおじさんとアイルが相談した結果、領都からダムまでの街道を整備することになった。

保守点検や、電気容量の増加などに対応しなきゃならないから、まあ、当然なのだろう。


そして、街道を整備する際に、道の地下に洞道とうどうを設置することになった。人が作業できる地下トンネルだ。


150Kmもの距離の地下トンネルなんて……と思ったけれど、下水道を造っているところを見ているので、まあ、出来無い話では全然無いなと思う。


そして、洞道に、送電線を敷設することになる。


ただし、ダムに設置した変圧器から、領都に設置する変圧器までの距離を一繋りのケーブルにすることは難しい。

長いケーブルであっても、どこかで接続しなきゃならない。


しかも、あの距離になると、何十ヶ所にもなる。


まあ、そうだろうね。


どこかで接続するとしたら、その度に、アイルが作業しなきゃならない。


ふむふむ。

光ファイバーケーブルもコネクタを使うとコネクタ不良が発生するかもしれないから、熔接していると前世のお父さんから聞いたことがある。


まあ、今回の、あの作業は、アイルにしか出来無いだろうから、仕様が無いよ。


ただ、移動するだけで、何日も掛る距離で、作業も平行してやるとなると何日も野宿しなければならない。


そうね。

そうなるでしょうね。アイル頑張ってね。


私はやらないわよ。


私は、他にやる事が山積みよ。

新しい料理のレシピも思いついたから、そんな事やるなんてトンデモ無いわ。


『別に野宿はかまわないんだけど、野宿前提で移動するとなると、警護の騎士さんや侍女さんたちの大軍団が移動することになじゃない。

負担が大きすぎると思うんだよね。

コネクタが出来れば、道路を敷設する人に頼めるから、随分と負担が減るはずなんだ。

それで、前世の記憶で、あんな細くて脆い線を繋げる方法が無かったか考えたら、光ケーブルを繋ぐコネクタが有ったのを思い出したんだ。』


ふーん。私に助けを求めないだけでも、良い人だね。御人好しというのかもしれない。


『それで、光ファイバーのコネクタの事が知りたいんだね。だけど、アイルも使ってたんじゃないの?』


『そうなんだけど、光ファイバー用の機器って高くて繊細じゃないか。普通なら分解してみるんだけど、躊躇したんだよな。

その所為で、構造を全く知らないんだよ。

ニケは知っていたりしないか?』


実は、私は、光ファイバーのコネクタの構造を知っている。


確か、私が大学院に入ったころじゃなかったかな。


お父さんが、実家の家の中の通信ケーブルを光ファイバーにしようとして、光ファイバーやコネクタの組み立てキットを購入した。

端面を研磨しないとコネクタが組み立てられないからと言って、研磨機を会社から借りてきた。


その時、色々と教えてもらった。


お父さんの目論見は、お母さんの当然の主張で崩壊する。

光ファイバーに対応している機器は、高い。

お父さんは、家の通信機器やパソコンのネットワークボードを刷新したかったみたいだ。

残念ながら、お母さんの反対意見で、我が家の、光ファイバーを理由にした機器の刷新計画は挫折した。

そもそも家庭内通信で、光ファイバーを使う必要性は全くないと思うんだよね。


まあ、そんな経緯があって、私は光ファイバーコネクタの構造や組み立て方を知っているのだが……。


なんか、モヤモヤしてきた。


アイルがお父さんの事なんか言い出すから……。思い出してしまった。


あの頃の暮らし。知人や友人、そして私の家族。


私が大好きだった妹の柚樹ゆうじゅ。この頃は、まだ大学に入ったばかりだったな。

私と違って文系だった妹は、商社に入社して、5年ほど勤めたら、エリート商社マンと結婚して寿退社していた。

私と違って、要領が良かったわ。

妹と違って、いつまでも結婚しない私は、素見ひやかされたりしたけど、家族は、皆、私が恭平の事が好きだと知っているから気遣われたりしていた。


同じ理系だったから色々教えてくれたお父さん。家の中では浮きまくっていたけど、お母さんや私達を大切にしていた。


そして、家族を纏めていたお母さん。


私は、お父さんとお母さんに何をしてあげていただろう。


私は、誰とも別れを告げることなく、この世界に来てしまった。


『オイ。ニケ。どうしたんだ?』


アイルの声で、この世界に引き戻された。

目から涙が溢れていたみたいだ。


『体の具合が悪いのか?オレが、なんか、変な事を言ったか?』


『ううん。何でもないよ。ちょっとだけ前の家族の事を思い出しちゃって……。』


『あっ。オレがニケのお父さんの事を話したのが悪かったのか……。ごめん……。

そうだよな。前の世界の家族の事は……辛いよな……。』


それからアイルは、その話を、誤魔化すように、ちょっと前に、ボロスさんのお父さんにメガネを作ってあげた時の事を教えてくれた。


あの、ボロスさんが泣いていたって?

吃驚だ。


『でさ、オレも随分な親不孝息子だな、と思ってしまったんだよな。』


少し、悲し気な表情をするアイル。


ここにも、前世の記憶で、気持を乱されている人が居る。


なんで、前世の記憶なんか持って生れ変わっちゃったんだろう。

そんなもの無ければ、悩んだり悲しんだりしなくて済むのに……。


あぁぁぁ。ダメだ。こんな事考えてても意味がない。


『アイル。光ファイバーケーブル用のコネクタの事は分るよ。』


『あっ。ごめん、分る訳ないよな。変な事……。ん。今、分るって言った?』


『うん。お父さんに教えてもらったことがあるんだよね。』


お父さんから、折角教えてもらったものが、この世界で役に立てば、教えてもらったものも本望だろう。


それから、アイルに、光ファイバコネクタの構造を教える。


光ファイバーは、コア部分に通信信号が通る。シングルモードファイバーだとコアの直径は10μmほどだ。

2本のファイバーを突き合せて、信号が御互いにやり取りできないと、コネクターの意味が無い。

だから、突き合せるときの許容できるズレは、1μm以下だ。多分実際には、もっと精度が高いはず。


この精度を実現しているのが、フェルールという部品だ。1mmほどの円筒形のセラミックスに光ファイバーの直径の穴が正確に中央に空いている。

円筒形の外径も、中央の穴の径も極めて正確に作られている。セラミックスであの精度を出すのに、焼結収縮などを全て考慮しているのだろうな。

凄い技術だね。


そして、このフェルールを正確に付き合わせるための仕組みとして使われているのが割りスリーブという部品。


これが地味に精度を担保してくれる。構造はとても簡単。円筒形のリン青銅のパイプに縦に切れ目が入っている。

この割りスリーブの中にフェルールを両側から挿入すると自動的に中心が合うという仕組みだ。


そして、さっきのこのフェルールには鍔が付いている。

コネクターの後方には、バネが入っていて、この鍔を押している。コネクタを繋げるときに、このバネが、密着するように背後から押してくれる。


ざっとこんな構造だ。


そして大切なのは、先端。


一般的には球面で研磨する。突き合せるときに、先端の中央が密着するようにする。隙間が開かない平面の方が良いんじゃないかと思ったのだけど、エバネッセントがどうとか言っていたような気がする。


それを伝えたら、


『あっ、エバネッセントね。光子のトンネル効果みたいなものだね。ふーん。良く考えられているんだな。

これ、考えたのは日本人だとか聞いたことがあるけど。本当かな?』


そんな事は知らない。大体、これを考えたのが日本人とかいうのは、半分ぐらい間違いだったりする。

どんだけ、自国技術を誇りたいんだってことだけど。


磁器をチャイナウェアと言って、漆器をジャパンウェアと言うのだけど、最初に漆器を作ったのが、日本か中国かで、論争になっていたな。


どうでも良いよ。


少くともこの世界では、ここらへんの事は全て私達ってことになりかねないけど、大いなる誤解だからね。


アイルは、光ファイバー用のコネクタを応用して何か作っていた。

コネクタは上手くいったらしい、アイルの長期出張は回避できたと言っていた。


私の方は、助手のキキさん、ビアさん、文官のボルジアさんが頑張って、化学合成したアセトアミノフェンを安定生産できるようになった。

ただ、使用している硫酸や硝酸は私が魔法で作っているんだよね。

これは、これからコンビナートで製錬や精錬をする時に対応したいな。


ある程度、薬剤の在庫ができたので、いよいよ神殿で解熱剤の投与をすることになった。

これまで、バンビーナさんとカリーナさんが、神殿と綿密な打ち合わせをしてくれている。

寒くなる前に、実施できるようになって、良かったよ。

ただ、最初は、少量の服用で、効果が見られるかを見ながら、慎重に進めることになっている。


子供たちの命が助かる役に立ったら良いんだけど……。


そんな事をしていたらダムが満水になったらしい。

150kmの街道整備も完了したそうだ。

街道が出来ても、馬だと片道4日かかる。

こんな長い街道、魔法が無かったら何年もかかってるんじゃないかな。


マリムの街でも、受電用の変電設備の建築が進んでいた。

マリムダムで発電した電気を最初に受ける変電設備は、領主館の敷地の中に作った。ここで、電圧を監視して、マリムの街に配電することになっている。


街中の街路の下に、洞道が設置された。

下水の流路と平行に設置した。


今回は引越しを伴わないので、かなりスムーズに実施できた。

全ての土地の管理は領主だというのは、ある意味便利だね。


この街は最初から地下配線なんだ。電信柱なんて無い。


街中でも、街路ブロックごとに、給水設備に併設する形で、配電設備が設置されていった。

街灯の整備が終ったら、給水設備にはポンプを設置すると言っていた。

各家庭にも、順次給電するらしいけど、電気製品って……まだ無いよね。


何に使うんだ?


噂を聞いた大きな商店は、アーク灯を店内に灯したいらしいけど、危くないんだろうか……。

工房の軸流コンプレッサーをモーター駆動にする準備をしているとも聞いた。


私も何度も駆り出された。


あまりする事が無いんだけど。素材が足りなくなったら対応してもらうって……。

事前に十分な素材は準備しているはずなんだけどな。


ちなみに、銅線ケーブルの絶縁被覆は、やたらに細い石英ファイバを編んだものになっている。

アイルが、光ファイバケーブルを真似たのかもしれない。

銅線が万が一熱くなっても、ケーブルが焼けて火が出たりしない。


街灯は、主に警務団の騎士さんたちが、総出で設置していった。

どこに設置すれば、街路の隅々まで、光で照すことができるか、領都の地図を基に準備していたみたい。


マリムの街の街灯の準備が出来た頃。


私たちの薬の効果についての初めての報告が上ってきた。


領都民の人口は、もう7万人になっていたよ。


それでも、神殿に運び込まれる病気の赤ちゃんは、例年の2/3ぐらいに減っている。上下水道による衛生環境の改善が大きかったね。


そんな状況でも、神殿に運び込まる赤ちゃんは大半は、衰弱しきっていて、9割方亡くなっていた。


薬を投与するようになって、2/3は元気に退院した。


神殿では、重篤な状態になる前に、発熱した赤ちゃんを連れて来るように指導し始めたらしい。


以前は、そんなことを領民にさせると、神殿の中は病気の赤ちゃんで溢れてしまっただろう。


何にしても上手くいったみたいだ。良かったね。助手さんたちの頑張りのお陰だよ。

そのまま、アウドおじさんたちに報告をしに行った。


また、金一封だって。


マリムダムで発電して、マリムの街に電気を通すための準備が完了した。

お父さんたち、街の警護を担当している騎士さんたちが待ちに待ったイベントだ。


結局、送電線は、大体5kmぐらいの長さのものを32本繋げた。

繋げてあるところには、電流遮断器があって、今は、3ヶ所を除いて、通電状態になっている。

発電を開始した後、下流に下るときに、その3ヶ所を順にまわって、上流からの電圧を確認をして通電していく。


今回も護衛のための騎士さんたちは先行した。ただし、今回は整備した街道を移動するから、随分と楽だと言っていた。

アイル達は、資材を沢山積んで、川を北上する。


早朝、マリムの街から船が出発した。


なぜか、また、私は船上の旅人になっている……。


だから、私は、やる事が無いんだってば。


万が一の船のエンジン代りだと言われた……。


船の速度はかなり速い。

アウドおじさんがかなり頑張っている。


昼過ぎには、マリムダムに着いてしまった。


ダムに近付いたとき、ダムの両岸のオーバーフローから、大量の水が流れ下っていた。

これだけでも凄い景色だ。


川の水量は、ダムを作る以前の状態に戻っている。


ダムの下流側に作った階段の下に船着場を作って、船を停泊させた。

持ってきた資材を資材置き場に格納した。


ダムの一番上まで上ったとき、上流側にあるダム湖を見た。

とても大きな湖になっている。

向こう岸が、遠すぎて見えない。


アイルと助手さんたちは、これから、発電機を動かすための作業を開始する。


私は、高見の見物けんぶつだ。


発電機が設置してある水路の水門を開ける。

大量の水が、水車に向っている水路になだれ落ちていく。

完全に、水路が水没した。


見物けんぶつと言っても、アイルがしている事をただ見ていても詰らないので、助手さん達と、湖の周りを散策してみた。

今回は、私の助手さんたちも同行している。

薬開発のご褒美らしい。


秋が深まりつつある時期なので、周辺の山々が色付いている。

それが、沢山の水を湛えた湖に写っている。


綺麗だなぁ。


アイルたちは、水車の回転数を調べて発電機を繋いだり、電圧の調整をしたりしていた。幸いな事に、もとい、残念な事に、私達が出来ることは何もない。


夕刻には、調整が終了したみたいだ。


ダム周辺には、駐在の騎士さん達が、アーク灯を設置していた。

日が沈んで、マリムダムで発電した電力で、アークとうともり、湖とダムの幻想的な風景が浮き上がった。


せっかくなので、少し寒いけれど、湖のほとりで夕食を食べることになった。

アーク灯があるので、畔も十分に明るい。


夕食後は、船に戻って就寝だ。

大人の人たちは、船の中でも宴会をしていた。

私とアイルは、眠気に勝てず、早々に寝た。


翌日、マリムダムを離れて、上流側から電流遮断器を接続しながら下流へ向う。

電流遮断器の接続を行なうところでは、騎士さん達の一団が河原で待機していて、アイル達を攫うと何処かへ向い、四半時ほどで戻ってくる。


そんな事を3回繰り返して、その日の内に、領都に帰還した。

今のところ、電圧はきちんと出ているらしい。

領主館の変電設備や、領都内の変電設備の確認が済めば、領都に電気が供給される。


結局、私は何もしなかった。

観光地に一泊二日の船旅をしていただけだよ。

私の助手さんたちや、ウィリッテさん、カイロスさんが喜んでいたから、まあ良いでしょう。


アイルの助手さんたちは、それから3日をかけて、領主館の変電設備を立ち上げて、領都内の変電設備の確認をしていった。


アイルは、流石に疲れていて、立ち上げに参加していないんだろう思ったら、天文計算をしていた。


随分とデータが溜っていたらしい。


幼児の体を労わらないと、早死にするよ。


いよいよ、その日になった。

事前に布告により報せてあったが、今晩から、領都マリムには、街灯が灯る。


領都民は、街灯と聞いても、分らない。当然だ。「街灯」って日本語だしね。


いちおう説明として、夜間、領都を明るく保つためとは記載されているけど、これも普通に意味が分らないと思う。

ただ、街灯の言葉の響きから、神の国の偉業と思われている。


まあ、分らないものに対しての評価なんて、そんなものだよ。


この日の7とき丁度に一斉に街灯が灯ることになっている。

この季節だと、日の入りから、4刻後(地球の時間感覚で40分後)ぐらいだ。


私とアイルは、天文台に居る。マリムの街を見渡すのなら、ここが特等席だ。


そう思ったのは、私達だけじゃなくて、ウチの家族とアイルの家族、カイロスさんの家族、ウィリッテさんも居る。


助手さんたちは家族の居る街に戻って,家族と点灯するところを見るらしい。


神殿の鐘が7時を打った。


鈍い音を出しながら領主館の変電設備が動き出した。


マリムの街路という街路が光に包まれる。


領都マリムが、闇のなかで浮び上って見えた。


領都の人達の歓声が、風に運ばれてきた。

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