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惑星ガイアのものがたり  作者: Tossy
はじまりのものがたり 1
130/369

N6.反攻

無線会議の時間になった。

昼食は、お父さんたちと一緒に、早めに食べておいた。


「すると、ファッブリ司教も同じ見解ですか?」


今日は、王都側は、王都の司教のヴィタリアノ・ファッブリ司教が同席している。

アイルのお祖父さんのオルムート・ゼオン宰相が進行役だ。


「ええ。明かに、ノルドル王国は、停戦協定に反する行為を行なっています。」


「そうすると、我々ガラリア王国としては、ノルドル王国を糾弾できるという訳です。

さて、どう対応しましょうか?」


「ノルドル王国は、ノアール川で、大敗を喫したことを、未だ知らない。隙を突いて、攻め込み、領土を奪うこともできる。」

私のお祖父さんのシアオ・サンドル近衛騎士団長が言う。


「幸い、ノルドル王国北東部には、あの大軍を無傷で敗北に追い遣った、アトラス領軍が居ます。ガラリア王国北部の領主達に呼び掛けて、ノルドル王国南部から攻めることで、両面作戦を遂行することができる絶好の機会ですな。」


「これで、あのならず者達に、我々が受けてきた仕打ちへの報いを受けさせてやることができる。」と国王陛下が呟いた。


ん?ノルドル王国がならず者って、どういう事なんだろう?


それほど議論をする事もなく、ノルドル王国に反攻することが決まった。


色々と細かな話をしていたけれど……。


アトラス領軍は、先行してアトラス山脈を北上して、ノルドル王国北部から攻め込む。

それに呼応する形で、ガラリア国王北部の領主達が南部から攻め込む。


まあ、そういう事だ。


あとは、各領主の名前が出てきてたけど……。なんか聞いた事はあっても覚えていない。うーん。教えてもらったような気はする……。


この世界の人の名前って、覚え難いんだよね。


大枠の戦略が決まった後は、細かな戦略や戦術の話になっていく。


「すると、その雪上車というのは、馬の3倍の速度で移動できるのか?」


まあ。そうだけど。燃料が沢山必要だよ。


「この時期の、ノルドル王国北部では、寒くて馬は使えませんな。」


馬で移動できないと、物資を運ぶのも人手か。ノルドル王国は大変だな。


……


「その船は、本当に、マリムから、王都まで2日かからずに移動したのか?」


輸送革命だね。マリムから王都まで陸上を移動するとどのぐらい掛るんだろう?


「すると、王国軍を船で移送できるんじゃないか?」


「人数に依りますが、石炭運搬船なら可能かと思われます。」


……


「王国軍の防寒装備が必要ではないか?」


「毛織物をマリムに運び込めば、対応は可能かと思われます。」


おいおい、リリスさんを殺す気か?


…………


「鉄の武器は、王国軍用に準備することはできるのか?」


「いえ、鉄の武器は、今在庫しているだけとなります。」


「今日の午前中に、マリムでは新しい武器が完成しました。」


オイオイ。もう実戦配備確定なのか?

空気銃はアイルが直ぐ作っちゃうんだろうけど、ゴムを大量に作らなきゃならないじゃないか……。


「その武器を使えば、敵の四肢を砕くだけで、敵騎士の無力化は可能ではないかと思われます。」


「おい!その道具や武器を作った孫達の声を聞かせろ!」

これは、私のお祖父さんだな。


あ~ぁ。新しい武器の話なんかするから。


それから暫く混乱していたけど、国王陛下が居るので、大事に至ることも、私達が挨拶する事もなく、戦術の話に戻った。


途中、何度かカオスになりかかったけれど、今回の反攻についての概要は決まった。


戦争に関わる通信装置は、今現在、マリムと、王都と、北部の戦闘領域にしか無い。

アトラス領内には、ミネアやマリムダムなど、沢山あるんだけどね。


そして、ノルドル王国南部からは、3ヶ所から北上することになった。

そこにも通信装置が欲しいという事で、アトラス領から通信兵を3ヶ所に派遣することになった。


そして、石炭運搬船で、d1,000人の、王国騎士団を一旦、マリムに輸送し、防寒装備を装備させて、ノルドル王国北部へ派兵する。

ノルドル王国軍とアトラス領軍で北部からノルドル王国に攻め込む。


ウチの領地が関係するのは、これぐらいだ。


反攻に関しての命令書はその日の内に作成されて、国王陛下が署名、玉璽を捺印した。ファッブリ司教もその命令書に記載されている内容の承認の署名をしたんだそうだ。

それらは、何部も作成されて、アトラス領、ガラリア国王北部の領主達に送られた。

アトラス領には、小型船で、持ち込まれる。それを北部の国境に運ぶんだそうだ。


ちなみに、北部戦線の指揮官はお父さんになった。以前、近衛騎士団副騎士団長をしていたので、すんなり決まった。


会議が終って、途中で疑問に思っていたことをお父さん達に聞いた。


「なんで、国王陛下は、ノルドル王国をならず者と言っていたの?」


お父さんとアウドおじさんが説明してくれた。


東部大戦で、テーベ王国が苦境に立ったため停戦になった。その時、ノルドル王国は、まだまだ余力があった。大軍団を編成して、ガラリア国王に攻め込もうとしていた矢先だったらしい。

テーベ王国が周辺の国々と停戦協定を結んでしまったため、止むを得ず、停戦協定をガラリア国王と結ばざるを得なくなった。

それが相当、気に入らなかったらしい。

その後、その恨みからか、ガラリア国王北部に盗賊に扮した傭兵や王国兵を送り、様々な悪さをしていたそうだ。

巧みに証拠を隠していたため、国同士の紛争には至らなかった。


相手もこちらを恨んでいるようだけど、こちらも、これまで、相当煮え湯を飲まされていたみたいだ。


ウィリッテさんに、敵対関係に有ると教えてもらったけど、その通りなんだな。


ほどなくして、王国騎士団が領都マリムにやってきた。

北部に居たアトラス領軍は、先行して、ノルドル王国に進軍を開始した。


私とアイルは一向ひたすら準備に忙殺された。


1000万個のゴム弾を作った。

王国軍を輸送するための雪上車も170台作った。

コークスを大量生産、輸送するため、新たにもう1隻の石炭輸送船を作った。

鉄が足りなくなるのが明白だったので、雪上車と石炭輸送船は、近隣の酸化鉄から魔法で鉄を作り出した。


リリスさんの所も、突然の受注でテンテコ舞いになった。


鉄の武具と防寒装備を揃えた王国軍兵士と共に、お父さんは戦地に移動した。

王国軍の食料や装備の代金としてアトラス領は、大量の貨幣を王国から受け取った。


戦時景気が更に加速して、領都マリムには、さらに大量の移民を受け入れることになった。

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