表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
惑星ガイアのものがたり  作者: Tossy
はじまりのものがたり 1
127/368

N3.防衛戦

北の国境地帯で、戦闘が始まりそうだという緊急無線が入ってきた。


アウドおじさん、お父さん、グルムおじさん、アイルがバタバタとし始めた。

まあ、このメンバーがバタバタするのは判る。


でも……また……何故……私が……ここに呼ばれているんだ……。

私は女の子なんだから、お母さんや、フローラおばさん達と一緒に居るのが普通だよね?……ね?

この訳の分らなさは……もう……諦めてるよ……。


王都に向けて無線機を積んだ小型船が出発したのだそうだ。

アイルが作った例の小型船だ。

王都までの移動に、丸二日掛るらしい。


お父さんが無線でノアール川沿いの砦に、ノルドル王国の軍が川を渡るまでは、戦闘を行なわないようにと命令していた。

どうやら、ノルドル王国の兵は、中流にある大きな砦に向って進軍しているらしい。


神殿の、ヘントン・ダムラック司教が無線室に呼び出されてきた。


神殿は、国と国の戦争とは、無関係と聞いていたのだが……。


お父さんの説明では、神殿は第三者として、国と国の争いなどの証人という位置付けなのだそうだ。


なるほどね。


300人程が川を渡り、砦に近付いているところで、例のスタジアムライトを点けたらしい。


うわ〜ぁ。ノルドル王国軍の騎士さん達は、明日には雪眼確定だね。

きっと、目を開けることも困難になるんだろう。

なんか、同情してしまうな。


砦の物見の騎士さんの報告で、川を渡ってきた人数が、d200(=288)人ぐらい、後方に待機している人数は、d3,700(=6,192)人ぐらいだそうだ。

総勢400人程度で守っている3つの砦を落すのに、随分と沢山の兵が攻めてきたもんだ。


装備や指物で、どの領地の騎士なのか判るらしい。

後方に待機している兵を見ると、王国軍も加わっていると言っていた。


完全に、ノルドル王国が、宣戦布告無しに交戦を開始したようなものだ。


ダムラック司祭は、時刻や敵兵の人数なんかを一向ひたすら記録している。


ノルドル王国が侵攻してくる間に、川下の砦と川上の砦の騎士さん達が、雪上車で、川の中流の砦に集結していた。

無線の威力だねぇ。


それから、ウチの騎士さん達は、雪上車で戦場に出て、敵を蹂躙したらしい。

淡々とした、戦地報告が、無線で伝えられている。


越境した敵の兵士を仕留めた後で、川の対岸に居る敵の兵士に向って、雪上車は侵攻していく。

やはり同様に敵を蹂躙していく。

これも、淡々とした戦地報告が無線で入ってくる。


1時ほどして、スタジアムライトを消して、雪上車が砦にもどった。


ん。被害報告はどうなったんだ?ウチの騎士さんたちは無事なのか?


「ねぇ。ウチの騎士さん達の被害は?」


どうなっているのか皆目分らなかったので聞いてみた。


ウチの騎士さん達は、雪上車に乗っているだけで、相手の兵を蹴散らしていた。


そんな訳で、こちらの騎士さん達は、無傷だった。


お父さんは、こちらの思い通りになったと喜んでいた。


詳しく聞くと、雪上車を知らない騎士が雪上車を見たらどう思う?と逆に聞かれてしまった。


「うーん得体の知れない動くものだな。どう思うんだろう?」


「多分、魔物が攻めてきたと思うはずだ。そうなれば、雪上車に騎士達が集団で打撃を加えるために、集ってくる。それを雪上車で蹴散らせば、多数の敵兵を短時間で無力化できるはずだ。」


「なるほど。そういう作戦だったって訳ね。それで、こちらの騎士さんたちの被害は無いんだ。」


「ただ、魔法使いが攻撃してくるとやっかいだ。

多分領主といった大魔法使いも戦場に居るんじゃないかと思われるからな。

その場合には、その魔法使いのところへ向って、排除しなければならない。

白兵戦になるから、こちらにも被害が出るかもしれない。」


「さっきまでの無線連絡では、魔法使いという言葉は無かったけど。」


「最初から、魔法使いが攻撃してくるとは思っていないよ。次からは気を付けないとならないな。」


次は、どうするのかを聞いたら、4とき(=8時間)ほどしたら、再度スタジアムライトを点けて、攻め込むらしい。今は、休憩時間だと言っていた。


あれ?そう言えば、1とき(=2時間)ほどで、休止したのは何故だろう?


それは、アイルが説明してくれた。雪上車に積んでいるコークスで、動き回れるのが、1とき(=2時間)ちょっとなんだそうだ。

なるほど、それで、照明を消して戦闘を止めたんだ。

照明が消えると、完全に夜闇になってしまうから、自動的に戦闘は休止になる。


ふーん。なるほど。

スタジアムライトが消えている間は、先方が何かを仕掛けて来なければ、何も無いはず。

ということで、今後の打合せになった。軍議って言うのかな。


無線機の前で、皆が席に着く。アウドおじさん、お父さん、グルムおじさん、ダムラック司教、アイル。騎士さん達も居る。


あれ、副騎士団長のおじさんは?


今、援軍の騎士と追加の雪上車と共に、現場へ急行しているんだって。なるほど。


やっぱり、私が居るのは変じゃないの?


幼女だよ。


お父さんに良いから座れと言われて、座らされた。


「アイルと、ニケには知恵を授けてもらわなきゃならないからな。」

とアウドおじさんが言う。


うーん。戦争の事なんか全然知らないんだけど……。


現状までの経過をお父さんが、司教様に確認しながら纏める。

渡岸してきた敵の騎士、d200 (=288)人を無力化。

こちらから、ノアール川を渡り、やはりd500 (=720)人ほどを無力化した。

こちらの被害は皆無。

魔法使いの攻撃は無かった。


司教さん曰く、現状は、ノルドル王国が大軍を以って一方的に侵略をしてきて、こちらが防戦しているという状況だ。

これは、ノルドル王国がガラリア王国に、宣戦布告したのと同じと見做せると言う。


それって、大切な事なの?


それを聞くと、どちらが、先に戦争を仕掛けてきたかによって、大義名分が変わるんだそうだ。


今の状況であれば、ガラリア王国が、ノルドル王国に賠償請求をする際には、神殿からは、異を唱えることは無い。


ふーん。真珠湾攻撃みたいなものかな。日本は、広島と長崎に原子爆弾を投下されて、筆舌に尽し難い被害を受けた。

ただ、それを話題にすると、かならずと言って良いほど、宣戦布告無しに真珠湾を攻撃したことが引き合いに出される。

日本人としては、同列に扱うような事では無いようにも思うのだけれども、他の国の人だと見方が変わる。


今回の件は、神殿が第三者として立ち合っているのは大きいのか。


その後、魔法使いが参加してきたときの対処の方法の確認とか、今移動している船舶や、各砦との連絡などをして、会議は終った。


次の戦闘は、4とき(=8時間)経った後という事で、私とアイルは就寝時刻を過ぎている。


気にはなるけど、私達が戦ってる訳でもないので、夕食を食べて就寝した。


翌朝になった。今日もセアンさんが摘んでくれた花を愛でる。クリスタルパレスに咲いていた花だな。

こんな時だから、花は嬉しいね。


朝食を食べたところで、また呼ばれた。


お父さん達は、夜にちゃんと寝られたのかな。目が赤い。

仮眠は取ったと言っていたけど、寝てられる状況でも無いんだろうな。


私達が寝ていた間の戦況を教えてもらった。


魔法使いの兵は、6人居たんだそうだ。大きな岩が飛んできたと言う。

やっぱり、大魔法使いは、厄介なんだな。

その6人は、砦の物見の騎士さんが、雪上車に無線指示して、即座に無力化した。


岩なんて飛んできて、雪上車は大丈夫だったんだろうか?


雪上車には特に問題は無かったみたいだ。魔法使いを倒すために白兵戦をしたけれど、こちらに怪我人は出なかった。

私達が寝ている間の戦闘で、敵の兵士をdN60(=1,512)人ほど無力化したらしい。

まだまだ、沢山居るから、そうは簡単に終らないんだろうな。


これから、間も無く3度目の戦闘が始まるらしい。

今回は、兵をきちんと休ませるために、5とき(=10時間)休戦していた。


とき半(=午前9時)になったところで、戦闘が開始した。

相変らず、淡々とした戦時報告が聞こえてくる。


新たに3名、大魔法を使う魔法使いが居たみたいだ。

即座に、雪上車が詰め掛けて、制圧してしまう。


そのまま、1とき(=2時間)ほどして、戦闘は終った。

今回も、敵の兵士を、dN60(=1,512)人ほど無力化することに成功して、こちらの被害は無かった。


なんか、これで良いのか?こちらの被害が無いから良いのか。

あんな大軍で、400人ほどしか居ない砦を攻めようと思った方が悪いよね。

多分……。


でも……なんとなくモヤモヤするな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ