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惑星ガイアのものがたり  作者: Tossy
はじまりのものがたり 1
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93.誘拐計画

ガイロンの再登場です。


リシオ男爵から4歳のガキ二人の誘拐を依頼された。

簡単な仕事だと思っていた。


領都マリムに潜伏して、ガキ達の動向をじっくり調べるハズだった。

ところが、潜伏はおろか、マリムの近傍に拠点を作ることすら出来なかった。


何日も、マリム周辺を、ガイロン傭兵団の部下たちを連れてウロウロしていただけだ。

まったく間抜けもいいところだ。


どうして、こんなことになったんだ?


結局、オレ達は、リシオ男爵領の野営場所を拠点にするしかなかった。


ここなら、目を付けられる心配はねぇんだが……。

マリムまで、歩くと往復で6日掛る。


情報を得ようにも、簡単じゃねぇ。

とてもじゃぁねぇが、すぐに計画なんて立てられっこねぇ。


仕方がねぇ、部下を何人かずつ、マリムに遣って、調べさせるしかねぇな。


それから、毎日2人ずつ、マリムに送って、日中マリムに滞在させて拠点に戻らせた。

戻る途中の街道で、引き継ぎをして、攫う予定の子供の動向を調べた。


なんとも非効率な調べ方だが、しょうがねぇな。


金も、以前もらった金額じゃぁ足りねぇ。

ほんの1、2週間ぐれぇの心算だったんだが、一体どのぐらい時間が掛るか分ったもんじゃねぇ。


拠点は、部下に任せて、料金の金額を上げてもらう交渉のために、リシオ男爵の元に向った。

どうせバックには、オルシ伯爵って金蔓が居るんだろう。


男爵様に、お目通りした瞬間に、こう言われた。


「もう、攫って来たのか?

攫ったら、オレの元には来るなと言ってあっただろう。

それで、攫った子供は何処に居る?」


「いえ、それが、未だなんで。

マリムに潜入することが、どうしても出来ないんで。」


「何をしているんだ!

もう、あまり時間が無いんだ。

さっさと攫ってきてくれ。」


「そうは言われても……。本当にマリムって街はヤバいんでさぁ。」


それから、オレ達が拠点を作ろうとして作れなかった理由を伝えてみたんだが、領主様は、ただ早くしろの一点張りだ。


金と時間が掛ることを伝えたら、金は幾ら掛っても良いからと、前に貰った金額の倍を渡された。

とにかく急げと言われたんだが……。


何をそんなにアセってやがるんだ?


領主様の元を離れて、領都の根城に向った。


道すがら、領都の様子が何か変だと気付いた。

何というのか、寂れてる感じだ。


何もかも華やかだったマリムを見た後だからと思ってたんだが……。

そういやぁ、贔屓にしてくれていた商店の幾つかが閉まっている。


根城に戻ってみると、団員たちが、ダラダラしてやがる。


「てめぇら、何やってんだよ。仕事はどうした。仕事は。」


「あっ。親方。お帰りなせぇ。

今、仕事らしい仕事がねぇんでさぁ。

そういやぁ、親方の方はどうなんですかい?」


「オレは、今、領主様から金を貰ってきた。

ところで、向けぇのご贔屓さん、店が閉ってるが、どうしたんだ?」


「あっ、あの店ですか?

なんだか、商売にならねぇって言って、東の方に店を移すって言って出ていっちまいました。

他の店もそんな感じで、出ていっちまって。

そんな訳で、今、仕事がねぇんでさぁ。」


この領地の東って言ゃあ、アトラス領しかねぇじゃねぇか。


領主様がアセっていたのは、これの事か?

するってぇと、早えとこ、あの仕事を片付けねぇと、この領地そのものがヤバいのか?


オレ達は、もともと、もっと西の方の領地に居た。

それが追い出されたり、流されたりして、今は、リシオ男爵領だ。

ここを離れたら、もう行く場所がねぇ。


これは、相当ヤバいんじゃねぇのか?

気が付かねぇ内に、オレ達のケツにも火が点いてるのか……?


急いで、オレは、野営している拠点の場所に戻った。


部下たちには、この仕事が上手く行かなけりゃあ、オレ達に明日が無えんだと脅して、何でも良いから、二人の子供の情報を取らせた。


それでも、なかなか情報は集まらなかった。断片的な話しか集まらねぇ。

同じ人間を何日も滞在させてれば、裏も取れるんだが、そうも行かねぇ。


4ヶ月ほど、情報を集め続けた。

最近は、リシオ男爵から、矢のような催促を受けている。


リシオ男爵の代理人というヤツがひっきりなしに来ては、何時攫うのかと言ってくる。


毎日、部下をマリムに派遣しているのだが、全く情報が取れない日が多い。

そして、情報が取れても、ほんの断片のようなものが多い。


それでも話を繋ぎ合せていくと見えてくるものがある。


その子供二人は、良く連れ立って、領主館の外に出る。


外に出るときには、バシャという箱の中に入って、馬に曳かせてるらしい。


まわりには沢山の騎士が居るので、そのバシャというものを襲撃することはムリだろう。


出掛ける先は、タタラなんとか、コンビなんとか言う場所が多い。


そこは、バシャのまま敷地の中に入っていく。

敷地の中には騎士が居て、そこも襲撃するのはムリだ。


嵐の翌日は、あちこち立ち寄っていたらしいが、それは、その日だけだった。

都合良くいかねぇもんだ。


あの嵐の時は、オレ達は、拠点で、吹き飛ばされるかと思ったもんだ。

宿に泊まれてたら、どんなに良かったかと思った。


いつだったか、ある時以来、周りに居る騎士の数が減った。


それはオレ達にとっちゃ、良いことなんだが、襲ったり攫ったりするのに都合の良い時が、なかなか見付からねぇ。


商店を訪問することもあるみたいだが、大通りにバシャを止めて、すぐに商店の中に入っちまう。外には騎士たちが居るので、そこを襲撃するのは難しい。


先週から、路地の奥にある工房を訪問するようになった。


その工房へは、バシャというものを大通りで降りて、工房の前まで歩いて向う。


最後に訪問した時に、その翌週にも訪問すると約束する話声を部下の一人が聞き付けていた。


「するってぇと、その工房に毎週通っているのか?」


「えぇ。そんな話をしてました。あと何回か訪問すると言ってました。」


「その路地はどのぐらい歩くんだ?」


「大通りから3区画ぐらい中に入ったところが工房ですから、大通りでバシャってやつを降りて、3区画ぐらい歩いていました。

騎士に囲まれてますが、幼い子供の足ですから、かなりゆっくり歩いてます。」


「今週は間に合わねぇから……来週か。

それまでには、全員ここに戻ってくるな。

根城のヤツラも呼び寄せよう。

決行は、来週だな。」

何の話だか忘れてしまった人は、71.オルシ伯爵、72.ガイロンあたりを参照してください。

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