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飛輪警察団物語り  作者: 星鈴トキオ
1、補習な少女たち
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1-2


「「「は?ゴミ拾い!?」」」

「は?じゃないだろう君達!!自分達何故が呼び出されたのか、分かってて来てるんでしょうが!?」


呼び出しを受けてやって来た職員室で待っていたのは、一年の学年主任である渡先生だ。青みがかった黒髪に若葉色の瞳を持つ、まだ二十代のはずなのに、何だかいつも疲れた顔をしている先生だ。やっぱり一学年の総責任者って大変なんだなぁ〜苦労とか多そうだし。教えている教科は歴史で一年四組の担任もしている。わたしとの接点は歴史学の授業くらいかな?こうして呼び出されたのも今日が初めてだし。


渡先生の所には、わたしの他にも呼び出しを受けて集まったらしい生徒が二人も居た。二人とも一年生界隈でだけではなく、学園の中でも目立つ生徒だったので、同じ組では無いけど、わたしでも顔と名前くらいは知っていた。


「今回、夏の学期末試験で補習となったのは、君達3人だけです。補習を受ければそれで良しと思われても困るので、学園の夏季休暇の補習とは別に、一年教員の総意で罰も用意しました。それが明後日に行われる“お帰りなさいパレード”後の、ゴミ拾いです」


“お帰りなさいパレード”とは、近隣国を遊学していた第二王子が、約五年ぶりに暁桜国へと帰国する事を祝い、飛輪の街で行なわれるパレードの事だ。

折しも明後日は、三ヶ月に一度やってくる花の祝祭の日で、毎年夏季の花の祝祭日には、花の女神フルールセアの訪れを祝って家や店の軒先に花を飾る。飾られた色鮮やかな花を見て歩くのは、目にも鮮やかで楽しいけど祝祭としては、それだけだから祝祭にしては常々地味だと思ってたんだよね。でも今年は違う。


花の祝祭日に合わせたのかどうかは知らないけれど、その日に『第二王子の帰国を祝い西門から城門広場までパレードが行う』と、前もって政府からお知らせが出された。新聞でも一面に載ってたくらいだもの、パレードに集まった国民達でお祭り騒ぎになるだろう事が予想されている。


パレードは明後日なのに、もう飛輪のあちこちでは露店が出ていたり、宿では部屋も取れないと言った混雑っぷりなんだそうな。


「本来なら慈善活動の一環として学園側でも生徒を募って参加しなければ行けなかった所なんですが、このパレードが急遽決まった事と、丁度補習を受けなきゃいけない成績をとった生徒が居たと言う事で、君達への罰として今回の慈善活動に参加してもらう事になりました」


ゴミ拾いは明後日の“お帰りなさいパレード”後。パレードは午前中だと言うので、正午の鐘が鳴るまでは自由にしてて良いと言う。ゴミ拾いの範囲は、お帰りなさいパレードが行われる西門から城門前広場までと言う事らしい。


本来、何もなければ明日の雨の日と次の花の祝日は連休だったので、わたしも暇だし野次馬根性を出して、五年も帰国する事の無かった王子の顔を見に出かけようか迷ってた。でも田舎出身だからまだ皇都の人混みに慣れてないんだよね。


なお、この慈善活動に参加し尚且つしっかりとやり遂げなければ、夏季補習を受けられずに留年すると言う。もう一回一年生をやれとか、何それ怖い。


慈善活動への参加は大変そうだけど、留年なんて朝輝に白い目で見られる様な事は嫌だし、仕方ないかーっと肩を落としたところで、「明後日の慈善活動への参加は強制です。後は個別に夏季補習の連絡をして行きます。きちんと聞いて忘れないようにしっかり受けて下さい」と、渡先生は一人一人に補習についての説明をし始めた。



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