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飛輪警察団物語り  作者: 星鈴トキオ
3、慈善活動延長戦
24/26

3-7

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いしますって、もう一月も末ですね。

何とか間に合った!!

今年もこんな感じのゆっくりペースで更新していきますので宜しくお願いします。

 

 わたしがその記事をみつけたのは今朝の事。


 理不尽な理由で昨夜朝輝と七生の喧嘩に巻き込まれたわたしは、二人が無事に仲直り出来るかを見届ける為、いつもより少しだけ早く起きて、こうして朝輝の朝食に付き合っている訳である。

 ちなみにいつも朝食を一緒に食べる約束はしていない。

 それが何故かは皆さんのお察しの通り、わたしがお寝坊さんだからってだけです。

 でもね、村に住んでいた時はわたしも早寝早起きとかちゃんと出来ていたんだよ?お寝坊さんになったのは飛輪おうとに来てからなんだ。  


 村では見れても使う事があまり無った便利道具が、飛輪学園にもはいっぱいある。

 わたしが一番驚いたのは、夜でも明るい事!寮の部屋で使われるランプも輝鉱石を燃料にして作られている輝術道具で、自分で燃料を補充すればいいから付け放題。夜更かしして宿題をする事も可能になったのだ。

 うちにも輝術道具の照明はあったんだけど、輝鉱石に燃料を補充しに来てくれる輝術師さんが村へと訪れるのが月一だから、夜に明かりを長く付けておくことが出来なかった。暗くなったら一部屋に集まって、朝も早いから夜も更ける前に就寝、そんな健康的な生活を続けていたわたしに、飛輪での生活は夜更かしを筆頭に便利すぎて誘惑が沢山だ。

 これはもう飛輪を知り尽くして《あそびつくして》、良い所は村に持って帰ろう。うん、それがわたしの使命だったのかも?便利な暮らし最高!


こほん、話が少し脱線したがここで少し七生について語っておこう。

 七生はわたし達と同じショコラ寮で暮らす普通科の一年生。朝輝とはクラスも一緒。

 三ヶ月も同じクラスで一緒に勉強していれば、その中の誰か一人とくらいは仲良くなってるものじゃん?同じ寮ってしか接点の無いわたしにでさえ、人見知りすること無く話しかけて来た子だし。学園でも七生の周りにはいつも人がいて、わたしは彼が一人で居る姿を見た事が無い。

 そんな彼は同じクラスの中に、ボッチなクラスメイトが存在してるのが許せなかったらしく、それがまた同じ寮の顔見知りだった事もあり、面倒見の良い七生は事あるごとに朝輝に絡み始めたのだ。

 ……まあ、それが朝輝にとってはただのお節介に感じられた様だったんだけどね。


 ショコラ寮で新聞を取っている寮生に七生は、帰宅のついでとばかりに毎日朝刊と夕刊を直接配達してくれている。それは勿論時勢を知る為に新聞を取っている朝輝にもだ。大体今くらいの時間、朝食の時や夕食の時に朝輝を見付けて態々手渡しに来てくれるのだ。

 王立飛輪学園は王立である為、庶民にも通いやすいよう学費自体は他の学園と比べても割と安い方らしい。しかし、輝力持ち生徒や奨学生の様に全ての学費が免除されている訳では無い。七生は学費以外の諸経費は自分で支払うと約束し親を説得して、飛輪学園に入学したんだって。だから七生は自分で『オレ苦学生やねん』と良く言っているし、学園側で用意された安全《′′》なアルバイトを何件も掛け持ちして働いているらしい。

 ……それでもいつ勉強しているんだかってくらい朝輝と同じで成績は良いんだよね。何故だ?わたしは徹夜してもテストで平均点以上取ったことが無いのに、やっぱり持ち前の頭脳の差ってやつなのかね。


 いつも通り七生が朝輝に朝刊を手渡しに来てくれるのなら、このまま食堂で朝食を食べながら待ってればいい。昨日の今日で七生の方も気まずく無いかな?とは思ったけど、これは七生が引き受けた賃金の伴う仕事だもの新聞は絶対に朝輝の元へと配達してくれる筈。「仕事は信頼関係が大事なんだよ?」って星明兄さんも良く言ってたもの。


 何故だか、七生に謝りたい朝輝の方がこの場から逃げ出したそうな顔しているよな~っと朝ご飯を食べていたら、いつも間にか朝食もデザートのチョコレートプリンを残すのみになっていた。


 わたしは悩んだ。デザートは貴重だ。飛輪学園に来てから三日に一度の朝食と二日に一度の夕食にはデザートが付くようになった。村で暮らしていた時は、誰かの誕生日とか、朝輝のお家に遊びに行った時にしか甘い物は食べられなかったから。村ではまだまだ甘味は高いらしいけど、飛輪ではそんなに高いって訳でも無いらしい。それでも飛輪の街中で見掛けるお菓子屋さんのお菓子の値段は、わたしの懐には打撃を与える値段なので、無料でデザートまで付く三日に一度の朝食のデザートを密かに楽しみにしていた訳だけど、今日はもう仕方ないかな。


「……じゃあ、これから頑張る朝輝君にこれをあげよう!!」


 そう勿体ぶって朝輝の前に差し出したのは、わたしの貴重な甘味チョコレートプリン。


「何だよ朝食のデザートじゃないか?俺にも付いているけど」


 と不思議そうに言う朝輝にわたしは、


「ふっふっふ。これを唯の朝食のデザートだと思うことなかれ!!このチョコレートプリンは今わたしが思いっきり勇気と言う謎の輝力を込めた、特別なチョコレートプリンなんだよ!?これを食べれば勇気はビンビン、元気も振り切れるちゃうってもんだよ!」

「嘘つけ!!」


 ……嘘だけど。そもそもチョコレートプリンに輝力なんて込め方分からないし。


「でも、好きでしょ?チョコレートのプリン」


 朝輝は素直にコクリと頷く。朝輝は甘い物の中でもチョコレートと名の付く甘味がとっても好きなのだ。


「でも、お前も甘い物好きじゃないのか?毎回食事に付くデザート楽しみにしてるだろう?」

「バレてたの!?」

「いや、最後に好きな食べ物を残す癖を持っていて、何故バレていないと思えるのかが不思議だ」


 いや、だってデザートって大抵最後に食べるもんじゃん?ってか、わたしのそれって癖なの!?わたしはただ嫌いな食べ物から先に食べてただけなんだけど。まあ、今はわたしの癖の話はいい。気になるけど横に置いておこう。


「言わなきゃ分からないかなー?朝輝が緊張して見えるからあげるの。わたしの優しさ応援プリン!!つまり頑張れって事!」


 自分で言っててちょっと照れた、恥ずかしい。

 照れた表情を隠しながら、ずずいッとデザートの乗る皿を朝輝の方へと寄せた。


「……ありがとう」


 最早視線が二個目のチョコレートプリンに釘付けだった朝輝は、少し恥ずかしそうにプリンの乗った皿を受け取ると、黙々とチョコレートプリンを食べ始めた。


 そうこうしている内に時間は過ぎ、寮の食堂にも朝食を食べに来た寮生が増え始めた。ぐっ、みんなわたしが食べられなかったチョコレートプリンを美味しそうに食べているじゃないか!!

 やっぱり庶民に甘味は貴重だよね~と思いながら、ふと見た食堂の入り口の所に、朝刊を手に持った朝輝の待ち人の姿を発見してしまって、何だかわたしも一気に緊張してきた。


 やっぱ見届けるとか無理だわ~。


「じゃ、じゃあ、食堂込んで来たしわたしもう行くね!」

「え!?ちょっと、夜宵!?」


 急いで朝食のトレイを持って立ち上がれば、逃がさんとばかりに必死な形相をした朝輝に、ガッチリと腕を掴まれた。


「は、放せっ!朝輝!!後は自分で何とかしろ!」

「ここまで一緒に居たのなら、最後まで付き合えって!」

「応援プリンあげたじゃないかー!」

「……何やってんねん?お二人さん」


 どうにかして朝輝の腕を外そうと藻掻いていた所に、不審そうな顔をした七生がやって来た。

 七生に声を掛けられてピクリと身体を硬直させた朝輝から、わたしはやっと掴まれた腕を取り戻せた。


「おはよう七生!今朝も新聞配達お疲れ様。今日の一面はやっぱり第一王子のパレード?今か今かと朝輝も朝刊楽しみに待ってたんだよ」


 何故わたしの方が気まずさを感じなきゃならない。先ずはきっかけが必要なのか!?それならっと。

 「ねっ!」と無理やり興味の無い新聞の話題をだして朝輝に振る。これで七生も朝輝に躊躇わずに新聞を渡せるでしょう!!


「あ~。あさひん、遅くなってもうてすまへんな……これ今日の朝刊」

「あ、ありがとう」


 七生が朝輝に新聞を渡し、お互いに気まずそうにしながらも二人で話し始めたのを見届けて、ホッと一息付いたわたしは、ふと朝輝が手に持つ新聞の一つの記事の見出しに目が行った。


 そこには「宝石強盗事件発生!」と書かれていたんだ。


お読み下さり有難うございました。

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