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飛輪警察団物語り  作者: 星鈴トキオ
3、慈善活動延長戦
21/26

3-4

遅ればせながら。まだ説明は続きます御免なさい。

 

 お昼ご飯は、何故かもう既に注文されていた松竹梅学園定食を食べた。

 松、竹、梅と値段でグレードが分けられている学園定食の中で、花桃が注文しておいてくれたのは一般庶民のお財布には厳しい、一番グレードの高い松定食だった。


 「ここはわたくしの奢りですわ!」


 彼女のその一言が泣ければ、わたしのお財布の中身は酷い打撃をくらった筈だ。一週間が三時のおやつを我慢しなきゃいけなかったかも?


 基本的に学生は飲食無料な学生食堂のメニューの中で、唯一有料なのがこの竹梅学園定食なのである。

 まあ、お金に余裕のある人しか頼めない定食だけに、とっても豪華で美味との噂は聞いていた。一番グレードの低い梅定食であってもそうなのだから凄いよね。卒業するまでにはわたしも一度は食べてみたいと思っていた定食だったんだーー。


 それが今!自らの懐を痛めることも無く口に出来ている!!

 花桃よ!有難う。この幸運を噛みしめながら、おいしく味わわせていただきます!

 そんな訳で初めて食べた、超高級な松定食の味は、わたしの陳腐な語彙の言葉では表現出来ないくらいっ、もう涙が出るほど美味しかった。


・*・*・*・


 「……では、昼食も食べ終わった事ですし、始めましょうか?」


 美味しい昼食の余韻に浸る暇も無く、わたし達は作戦会議を始めた。お昼休みも有限って訳じゃないしね!

 ……ってか、既に定食を味わって食べていたせいで、お昼休みの時間も後半分くらいしかない様な?


 「で?どう彼女を捜す?こんな人の多い飛輪の街中を、我は顔もうろ覚えな女性を、手当たり次第に歩いて捜すなんて言う愚法したくは無いぞ?」


 「それにつきましてはわたくしも同感ですわ。あても無く捜し歩くなんてとんでも無い。何より時間が足りませんわ。警察団の方が指定した期間は一週間ですのよ?」

確かに雅様に指定された期限は、今日から六日間。


 わたし達三人だけで飛輪の街中を虱潰しに歩いて捜す時間は無い。授業がある平日の日中に、人捜しが出来る時間は放課後の数時間だけだし、飛輪学園の門限には必ず間に合うよう戻る事を厳命されているのだ。


 「学園の門限以降に街中でうろうろしている姿を見掛けたら、問答無用で補導する様に言ってありますからね?」っと、雅様に笑顔で告げられた言葉に、何故だか冗談では無い圧を感じた訳で……。

 雅様の脅しが聞いたと言う訳では無いが、期限が決まっているミッションに、より時間の掛かる方法なんて試してられないし。


 「……実は、考えてきました!」

 「「本気か《マジ》!?・本当ですの!?」」


 そんな、如何にも期待してなかった風に驚かれても?ちょっと傷つくわ。

 二人も多少何かしら、捜す方法でも考えてきてくれたのかな?なーんて思っていた、そんなわたしの淡い期待は、二人が瞳に浮かべているキラキラした輝きを見た瞬間に打ち砕かれたけども。


 ガッカリの溜息を一つ吐いて、わたしは自分が考えて来た事について説明を始める。

 

 「わたしも、こんなに大きい飛輪の街中で一人の女性を捜すのは難しいかも?っと思っていたんだけど、昨日の出来事について思い返していたら、彼女に限ってはそうでは無さそうだと思い直したんだ」 

 「……どう言う意味ですの?」


 雅様がご提案してくださった慈善活動延長戦の人捜し、期限だけで見れば蛍火や花桃の言う通り、普通に人探しをしている時間も無く、飛輪に土地勘も無い今のわたし達にはかなり難しい。しかも、わたし達は自分で言うのも恥ずかしい事だが、それぞれが頭脳に偏りのある劣等生三人組なのである。そう考えるとこの件に関して過度な期待はされていない筈だ。


 「雅様ってね?この国の皇族の中で割とまとも…っと言うか、一般的な思考の持ち主でさ」

 「まあ、確かに帰国するだけでパレードを開くような皇族も居るものな」


 お帰りなさいパレードで、意気揚々と民衆に向かって馬上から手を振っていた第二皇子の姿でも思い出したのか、蛍火がふんっと鼻白む。確かに初めて生で第二皇子の姿を見た、わたしの目から見てもあの姿は皇族の気品はどこへ行った?と思うほど、ちょっと滑稽に映ったものだ。あの人は確かに一般的思考の持ち主には見えないね。


 「つまり、何が言いたかったかと言うとね。雅様は常識人だから、わたし達に絶対に不可能な課題は出さないだろうと言う話で、この慈善活動延長戦は、『わたし達になら可能』と雅様が判断した物だと言う事なんだ」

 「夜宵が言うポイントは、『わたし達になら可能』って所ですわね?」

 「そう、そこだよ!花桃大正解!!」


 そう。わたし達はこう見えて、王立飛輪学園輝術師科の一年生だ。まだ、輝術師の卵としても未熟で、知識も少なく出来る事も僅か。


 低学年で教えられるのは、輝術師としての心構えや基礎知識中心で、基本輝術や輝術具の扱いについても、この一二年でみっちりと詰め込まれるらしい。それら輝術の基礎をしっかり覚えられなければ、高度な輝術を教えられる輝術師見習いの三年生へは進級は出来ないらしい。つまり留年って事ね!流石にわたしも卵のままは嫌だと思ってるから、今勉強を頑張っている訳。それでも補習組だけどもさ。


 ……そう言う訳で、雅様は補習組のわたし達に、高度な知識や輝術での解決を期待してなのだ。まあ、期待されてたとしても出来ないけどね。

 なら、わたし達が注目すべき答えは、今まで勉強してきた輝術の基礎知識の中にある筈だと思った訳。


 「そこでわたしが目を付けたのは、今回の輝術のテスト範囲の一つ『輝鉱石の正しい取り扱い方法』だよ!」



お読み下さり有難うございました。

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