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飛輪警察団物語り  作者: 星鈴トキオ
2、ゴミ拾い騒動?
15/26

2-8


「……また何をやっているんだ、夜宵は」

「だって、神々しくて見れないんだもの」


わたし達が強面の団員さんの背中を追いかけて辿り着いた場所、そこには誰よりも光り輝くわたしの『尊敬する人』が居た。

ううぅ…直視出来やしないと、バッと両手で顔を覆う。


ちなみにこのわたしの不審な行動、ここに連行される時からやっていたから、もう蛍火くらいしか突っ込んでくれない。飛輪警察団本部の団員さん達なんて、普段から本物の不審者の相手をしているせいか、恥ずかしいから顔を隠して歩いているだけの学生の異常行動とか、変には思われているかも知れないけど、特に反応してやる程では無いらしい。わたし見逃されているぅー。まあそれはそれで少し寂しい様な?今は有難いような?不思議な気分。


「漸く来ましたね」


その凛とした爽やかな美声を耳にするだけで、わたしの思考は一時停止してしまう。

再起動には少し時間が掛かる。つまりわたしは現在ポンコツ状態。


強面の団員に案内された場所は、警察団本部内にある食堂。

団員達が食事を取るテーブルの置かれてた一角には、わたし達を引取りに来た渡教師と花桃、そして『尊敬する人』が同じテーブルに一緒に座って、わたし達がやって来るのを待っていた。


蛍火が一撃でのした引ったくりの側にいたと言うだけで、連行された時は明らかに『不審者』を見る様な目で見られた。それが多少ショックだったけど、それでも『尊敬する人』の視界に入ったと言うだけで、わたしの心臓はバクバクと鼓動を刻み、張り裂けそうな程痛かった。


『尊敬する人』に会うと言うのが、これほど自身にダメージを伴う事だったなんて思わなかった。


唯一の露出媒体である王国新聞には、顔写真とかも載っていたから(そこの記事だけ切り抜いてファイリングしてる)飛輪でバッタリとお会い出来たらなーとか、何度も何度も想像していたりもしたから、突然会ってもきっと大丈夫!だと思ってたんだけど、直接会ったご本人はわたしの陳腐な想像など軽く飛び越えちゃっていて、なんかもうとんでも無くわたしの中では、神をも超えちゃうレベルで神々しく光り輝いていたのだ。


……ねっ!もう直視出来ないでしょ!?


どれだけ尊敬しているんだよ自分!いや、もうこれは愛だな!敬愛ってレベルに昇格だよね!!

容姿を真似るだけでその人に近づけると思っていたわたしなんて烏滸がましい。

この一度見て目に焼き付けてしまった生身の雅様のお姿と髪の艶は、わたしの脳内に焼き付いて最早一生消えはしないだろう。


何度かその美声を耳にして、今は一瞬思考が一時停止するくらいのポンコツ度で済んでいるけど、本人と目も合わせられないし、直接お姿も見てられない、そんなそんな恐れ多い。

こうやって蛍火に背中を押して貰わなきゃ、彼らが座るテーブルへも近付けない。ダメダメだねわたし。


一颯かずさ有難う。貴方はもう下がってくれて結構です」


そう雅様に言われ一礼し、食堂を出て行く強面の団員さんの背中をボーっと見送った。

あの人一颯かずさって名前なんだー……強面な顔に似合わず可愛い名前だな、なーんて頭の中で考えていたら「お前達いい加減にしろよ!!」と言う、渡教師の真っ当な怒声が飛輪警察団本部の団員食堂に響き渡った。


「取り敢えず、お二人もそこにお座りになって下さい」


ガタンっと椅子から立ち上がり、肩を怒らせて拳を握っている渡教師をチラリと横目で確認した雅様は、やってきたわたし達にそう言うと「そのお怒りはごもっともですが、取り敢えず今は教師もお座り下さい」と、今直ぐにでも説教を始めそうだった渡教師までも諭してくれた。


なんて良い人!雅様にそう命令されちゃ即座らねば。

顔を隠した指の隙間から、渡教師が納得のいかなさそうな顔で着席するのを見届けて、わたしも蛍火の手を借りながら、同じテーブルの雅様から一番遠い位置にある椅子に座った。


6人が一緒にすられるテーブルの斜め向かいの端と端。雅様から少し距離を取れたことによって、わたしの気持ちも大分落ち着いて来た。いっさい雅様の方向を見ないで、視線は怒れる渡教師に固定しているわけだけど。……見知った人を見ていると気分は落ち着くけれど、この後待っているお説教の事を考えると胃が痛いな。


警察団本部の食堂は、学園の学生食堂より少し狭いくらいの場所だが、学園の食堂より新しく内装も綺麗だ。

警察団本部の建物の外装自体は古くレンガ造の建物で、なんかレンガの隙間から蔦とかも伸びてたし、正直見た目はお化けでも出そうな建物だったので中にはお化けでも住んでいそうだね!って話を、ここへ連行される時蛍火と話していたんどそんな事は全く無かった。「お化けが出たら我が倒してやるぞ!」と意気込んでいた蛍火もガッカリなレベルで、内装は綺麗にリフォームされていて、年季が感じられたのは外装だけでした。


……年季で言えば外装も内装も、ウチの王立飛輪学園の方が勝ってるぜ!


「伝言、渡教師に伝えてくれて有難うね。迎えに来て貰わなきゃ帰れない所だったよ」

「別によろしくてよ。誰か一人はあの場に残らなければなりませんでしたし。その代わり、わたくしが教師に怒られましたのと同じ分だけ、渡教師のお説教されて下さいね」

「……あーう~ん、それはわたしの分も蛍火が引き受けてくれるよ」


流石に激オコの渡教師の顔ばかり眺めているのも胃に来るので、そっと目を逸らせば渡教師の隣に座っていた花桃が苦笑いしながらこちらを見ていた。

花桃があの場に残ってくれなかったら、きっとこんなに早く渡教師が迎えに来てくれなかっただろう。下手したら学園の方へと連絡され、問題になったりしたら最悪だっただろう。

……ほら、わたし達一応補習前の慈善活動中だった訳だし。問題行動起こしたら、補習を受けさせないって渡教師に言われてたのに、そう考えるとの状況ヤバくない?

今日も渡教師に説教されるだけで済むと良いんだけどなー。一応わたし達がやった行動は『人助け』だった筈だし。


……はあ、あっ!!


「そう言えばさ、引ったくりに遭った女性は大丈夫だったの?怪我とかしてなかった?」


彼女の証言があれば蛍火の行動の正当性の説明も出来る…かも?

確かに引ったくりをのしちゃったのはやり過ぎだったかも知れないけれど、蛍火のお陰で引ったくり犯を逃すこと無く捕まえられたのも確かなんだしねー。


そう思って何気なく聞いてみただけだったんだけど、わたしの言葉を聞いた花桃が不意に表情を変えた。何故かとても難しい顔になったのだ。


「……その事なんですけど、夜宵は彼女の顔を覚えていますか?」

「はい?」


お読み下さり有難うございました。

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