2-5
遅くなりなしたが、今月も頑張ります。
「それは、良い考えだな!」
「それは、良い考えですわね!」
花桃と蛍火も快く同意してくれたので、わたしはこの方法で行けると思った。
持てる力は使わなきゃ!使い方も習っている事だし。多分大丈夫。
「わたくしが起動させましょうか?」
「体力は限界ですが輝力は有り余っているので」と花桃は言う。
「我も力を貸すぞ?」そして蛍火の方も、体力はまだ有り余ってそうに見えるのだが、このちまちまとした紙吹雪を拾うという作業の集中力が切れた様子で、先程から言葉数が増えた。
最早これが補習の一環だとか、慈善活動なんだとかが頭の片隅に追いやられてしまうくらいには、わたし達みんなこのゴミ拾い作業に飽きていた。
目に見えて分かる監視役(渡教師)も居ない事だし。
残りノルマの半分をあっという間に片付けて早く帰りたい。
わたし達3人の意見は一致した。
「じゃあ、お願いしようかな?」
「呪文はこれで良いのですね」
「あ、待って!花桃が起動してくれるなら、わたし風の威力抑えるよ」
先程書いた呪文を一旦消して、また新しい呪文を書く。
正直わたしの微々たる輝力を込めて、また新しく呪文を書き直すのは、二度手間で疲れる行為だけど、輝力的には元気な花桃の輝力で起動してくれるならば、起動に使うはずだったわたしの輝力は必要無い。その分わたしは丁寧に輝力を込め呪文を想像し書く。
呪文が上手に仕上がれば輝術の想像も容易になるし、花桃の輝術の成功率も上がるのだ。
「我は何をすれば良い?」
「じゃあ、蛍火はパレードコースの上に居る人達を移動させて?」
「よし、任せろ!」
一応、紙吹雪だけを飛ばすつもりの風だけど威力は蛍火の輝力次第な所あるし、突風だから輝術の範囲内に人は居ないほうがいい。風に驚いて怪我でもされちゃ事だしね。
自分の体内から輝力を動かし、指先から輝石チョークへ輝力を流す。すると輝石チョークが仄かに輝き出し、動く手の動きに沿って、これから使われる輝術を想像しながら、わたしは宙にキラキラと金色に輝く言葉の式を書き上げる、これが呪文。
「これで良し!」
完璧。ふうっと汗を拭って心の中で自画自賛していた宙に書き上げた呪文を、花桃が手の平でなぞるように触れ、金色の呪文を体内に読み込んだ。
「あら?」
わたしの書き上げた呪文を読み込んだ花桃が、上品に頬に手を当てながら不思議そうに首傾げたのだ。
「ん?えっ?何か変だった」
「いえ、そうではありませんわ。何と言うか想像していた以上で…ええ、つまり」
「つまり?」
「素晴らしい呪文ですわね!」
俄然やる気が出ましたわ!と、ニッコリと笑った花桃が制服の袖を捲り、輝術を放つコース上へと腕を伸ばす。
「おーい!いーぞー!!」
コース上で活動する人を避難させていた蛍火が、大声で大きく手を振って人の移動が完了を伝えてくれた瞬間、わたしの隣で、芳しくも爽やかな花の香りが舞った。
「〈セキナ・ウィントス〉!!」
彼女の身体全体を薄い黄緑色のキラキラが包み、伸ばした手の平から薄い黄緑色のキラキラが、勢い良くちょっと強めの風へと、姿を変えて飛び出して行った。
それは宛ら、春一番のような強風で……
わたしが指定したコース上を駆け抜け、紙吹雪を含む軽い物を巻き込み、終了地点となっている建物の壁へとガシャーンと大きな音を立てて叩き付けたのだ。
わたしはその音の大きさに慌てて終了地点へと走って行き、建物の壁の無事を確認した。
少し傷ついている気もしないでも無いけど、た、多分大丈夫?
終了地点の地面にはわたしの想像通りに紙吹雪が集まっている、がしかし。
輝術に巻き込まれてしまったんだろう、バケツやゴミ箱、看板など、その他ゴミなのかゴミじゃ無いのか、判断のつかないような物まで集まってしまってる。
「こ、これは成功?」
「成功っぽいよね」
「大成功じゃないか!」
突然吹いた強風よりも、強風によって起こった大きな音に驚いたのか、建物から人が飛び出して来たりもして、少し人が多くなってきた。出てきた人達が皆んな、壁ぎわの路上に落ちている大量のゴミや紙吹雪を見て驚いている。全員がわたし達が輝術を使っている姿を見た訳では無いので、突然起こった強風に不思議そうな表情をしている人が殆どだ。
「あー…でもこれじゃあーゴミ袋の方が足りないよね?」
「そうですわね。でもこれでこの辺りのゴミ拾いは早く終わりそうです。実に素敵な輝術でしたわ!」
「いや、その輝術を使ってくれたのは花桃だし……」
「それはそうなのですが、わたくし、あれ程脳裏にはっきりとしたイメージの浮かぶ呪文を読み込んだのが初めてで、とても感動しましたの」
花桃が絶賛してくれるので、流石にちょっと照れた。頑張って呪文を書いたかいがあったな。
恥ずかしさを誤魔化すように、集まってしまったゴミへと目を向ける。思ってた以上に紙吹雪もゴミも集まっちゃった。綺麗に見えてもゴミって意外と落ちているものなんだねぇ……。
まあ、運営から貰えばいいか。後は箒と塵取りが大活躍してくれる事だろう。
とても効率の良いゴミ拾いにはなったなっと、自画自賛しつつ自分も最後のゴミ拾いに戻ろうとした時、それは起った。
「ドロボー!!誰かー!捕まえてぇー」
お読み下さり有難うございました。




