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相変わらず短くてスミマセン。
ザッザッと気持ち良い音を立てて、花桃が路上の紙吹雪を掃く。
彼女のイライラも紙吹雪と一緒に掃かれている様で、鼻歌まで歌って心無し楽しそう。
ん?今歌っている、そのメロディは飛輪学園の校歌ですか?
入学してから一番聞くことが多くなった曲、わたしの耳にも馴染みが有りすぎで、多少花桃の鼻歌がズレていても何となく分かる。
……うん、でも、何か味のある鼻歌だね。
花桃の鼻歌をバックミュージックに暫く黙々とゴミ拾いを集め、わたしのゴミ袋も紙吹雪だけでいっぱいなった頃、わたし達はパレードコースのほぼ真ん中くらいまで来ていた。
「けーこーぉ。ゴミ袋どのくらいまで溜まったの~?」
反対側の通りでゴミを拾っている蛍火に聞く。彼女のノルマはゴミ袋二つ分。渡教師の分のゴミ袋はパンパンにし終わったけれど、まだ自分の分が残っている。
いくらトングでゴミを拾うのが上手でも、箒と塵取りの様にはいかない
「わたくしの分は終わりましたわー!!お手伝い入りますかー?」
「おー」
返事をしたのは少し後方で作業していた花桃で、わたしが振り返ると彼女がパンパンになったゴミ袋に箒と塵取りを持って、蛍火がいる向かい側の通りに駆けて行く姿が見えた。
よくよく目を凝らせて見れば、蛍火の持つゴミ袋も半分くらい溜まっている。
花桃の持ってった箒と塵取りを使えば、残り半分なんて直ぐ終わりそう。
「こりゃあ、新しいゴミ袋貰いに戻らなきゃダメなのかな?」
一応ゴミを拾えと指示を受けた、西区のパレードコースは後半分も残っているのだ。この場所で紙吹雪を拾っているのはわたし達だけじゃないけど、正直この規模の紙吹雪を拾うのには圧倒的に人手が足りてない。
蛍火がおばあちゃんから借りて来た箒と塵取りでの紙吹雪拾いが、紙吹雪を拾う上で一番合理的な方法に見えたようで、それを真似してか何処かから箒と塵取りを持ってきて紙吹雪を拾うボランティアが増えているけれど、それでもこの人数でやってると時間は掛かりそう。
帰りは夕方かな?夕飯に間に合うと良いんだけど。
でも、何かもっと画期的な方法で紙吹雪だけでも集められたらなー。
と、わたしは何気無く制服の上着のポケットに手を手を突っ込んで、そこにジャラリと音を鳴らした物に「あっ」と思わず声を上げた。
そう言えば、これを持って来ていたんだ。
ならばとわたしは、パレードが通った道の真ん中に出て、一番拓けている場所に立つ。
確か必要になるのは、西区のパレードコースの残りの距離と風の強さ。
西区のパレードコース自体は直線一本道コースで、最後中央区へと入って行く道へと曲がっている。暁桜国内で一番長い幅の広い一本道であったから、この場所がパレードコースに選ばれたと言われている。確か全長800メートルくらいだったはず。
その半分だから、残りの距離は400メートルくらいにして、風の強さは紙吹雪が舞って、人や物が倒れる事のないくらいの強さ……それってどれくらいの強さなのよ?
「……ねぇ、人のスカートを捲れるくらい風ってどれくらいの強さなの?」
「何を言ってるのだ、夜宵は」
わたしが道の真ん中に立ち、ゴミも拾わずに呪文を書き始めたのを見て、蛍火と花桃も集まって来た。
「これは呪文じゃないのですか?」
「うんそう。もっと効率的に紙吹雪を集める方法を考えてたんだーそしたら思い出したのよ。これを持って来てたって事」
「ほら」っと、二人に手の中にある物を見せる。
わたしが制服のポケットに忍ばせていた物は、つい先日調合の授業で作った物だ。
輝力に自信の無いわたしはとても有益なアイテムで、一生懸命完成させたうちの一本。
「ほう、輝石チョークか可愛いな!」
星の模様が入ったちょっと洒落た口紅のケースの中には、琥珀色をしたチョークが口紅の代わりに入っている。これは、わたしが調合の時間に自分の輝力を込めて作った輝力の結晶、輝石チョークと呼ばれる物だ。
自分の輝力を込めて作ってあるチョークなので、これを使えば不足分を補う少ない輝力だけで、大きな輝術を使う事の出来る、元々輝力量の少ない平民にはとても有り難い便利道具なのである。
「輝術を使って、ここから向こうの曲がり角の壁まで、紙吹雪をびゅーんっと風で集めちゃえば良くない?どう?」
お読み下さり有難うございました。




