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長くなるので分けました。
渡教師の指示通り、わたし達は西区のパレードコースを中心にゴミを拾う。
お互いがお互いを視界に入れられる距離で、黙々と。
でも、こう言った作業はやっぱり向き不向きと言うのが如実に現れると言うもので、まだわたしのゴミ袋の中身は半分も埋まってないのに、もう腕と腰が痛い。
出店が多かったと言っても、出店の近くには皇都で設置した仮設のゴミ箱が置かれているので、あまり出店とかのゴミのポイ捨ては多くはなかった。そりゃ定期的にゴミ拾いとかやってるんだもの、皇都民ポイ捨てマナー良し。
じゃあ一体わたし達が何を拾っているのかと言えば、それはパレードの時に大量に使われた紙吹雪なのだ。
これがまた細かいんだー!!
路面に落ちているのをトングを使って、腰を曲げながらチミチミチと取り、ゴミ袋へと入れていく。元はただの紙、色とりどりの小さく切ったのを紙を、紙吹雪として撒いた。輝術を使いで風に舞わせ、ゆっくりと空から落ちて来る様は、目には鮮やかで綺麗だったけど、その紙吹雪の後始末を自分たちでするとは思っていなかったわ。
パレードコースに大量に残された紙吹雪を見た時、お嬢様な筈の花桃が「チッ」と舌打ちしたのを、わたしは隣でしっかり聞いてしまった。
花桃が苛立つ気持ちも少しわかる。彼女の母親は元皇女で、降下して現公爵の父親と結婚したらしい。
つまり今日、パレードで馬車に乗り、ニコニコと能天気な顔して両手を振っていた第一皇子は、花桃の母方の従兄弟なのである。その彼の為に撒かれた紙吹雪の後始末を花桃はしている訳だ。きっと彼女の腹の中は煮えくり返ってる事だろう。
それにトングで紙吹雪を拾うのは結構難しい。こんな小っちゃい紙をトングで挟んでゴミ袋に入れる作業は慣れないとイライラすると思う。
蛍火なんて、先程そこで重い荷物を持って歩いているおばあちゃんを近くのお家まで送り、箒と塵取りを手に持って戻って来た。蛍火曰く「おばあちゃんが快く貸してくれたのだ」らしい。
確かに、紙吹雪を拾うならトングより箒と塵取りだ。
路面に落ちている紙吹雪を、掃いて集めた方が効率も良い。
と、言うわけで只今一番ゴミ袋の中をいっぱいにしているのは蛍火で、そろそろわたしも蛍火に、その箒と塵取りを借りようかと思っている所だ。
「おーい、夜宵。そのゴミ袋も我に寄越すがいい!」
「え、良いの?」
「構わんぞ。ほーれこれを見るがいい」
ふっふーん♪ふふーん♪と鼻歌を歌い自慢げな蛍火の横には、紙吹雪で一杯になったパンパンのゴミ袋が二個も置かれている。自分の分のノルマは元より、もう既に渡教師の分のゴミ袋まで一杯にしていた様で、早い本当に構わない。
初期装備のトングで、まだゴミ袋の半分しか紙吹雪を拾えてないわたしには、段々そのどのご家庭にも必ずあるだろう箒と塵取りが、超便利な道具に見えて来たよ。
「……失礼、蛍火。わたくしに先にその便利道具をお貸し下さらない?」
げんなり。まさにそんな感じの雰囲気を纏いながら花桃が言った。
「便利道具」ってただの箒と塵取りなんだけどねー。
まあ、確かに今の状態ならこのパレードコースのゴミ拾いで、箒と塵取りが一番の便利道具だ。
「別に構わないぞ?」
ほら。と蛍火が花桃に箒と塵取りを貸してあげ、今度は使って無かった自分のトングを使って、ヒョイヒョイっと器用に紙吹雪を拾い始めた。
「や、やっぱり、道具も使う人によって、向き不向きがあるよねぇ~?」
「……わたくし今それを一番実感しておりますわ」
トングを使っても余裕で紙吹雪を拾い、ゴミ袋にゴミを溜めていく蛍火の姿を見て、
花桃とわたしはお互いに顔を見合わせ、ガクッと肩を落としながらも、ゴミ拾いに戻るのだった。
お読み下さり有難うございました。




