おふだ、えんぴつ、缶コーヒー
おふだはえんぴつと相性が悪い。文字を書かれたら効力を失ってしまうからだ。それより何より突かれたら穴が開いてしまう。破れたおふだはただの紙切れになってしまう。だからえんぴつを見ると恐怖でしなしなになってしまうのだ。
えんぴつは缶コーヒーには歯が立たない。文字を書くことも、穴を開けることだって出来ない。返り討ちで芯を折られるのが関の山だ。何より中身の液体を浴びせられたらおしまいだ。だから缶コーヒーにはいつもビクビクしている。
缶コーヒーはおふだが怖い。そのやわらかさはスチールの体当たりをやんわりと受け止めてしまう。守りに入れば貼られてしまう一方だ。賞味期限切れとでも書かれたら即死に等しい。誰も開けてくれる者はなくなり、中身は黒くなる。
彼らは三すくみの関係だ。誰が一番強いわけでもない。
みんな弱くて、みんな強い。
だから今日も日本のどこかで便利に使われている。
愛されるように、永遠に忘れられないもののように。
おふだ、えんぴつ、缶コーヒー。
えんぴつ、おふだ、缶コーヒー。
缶コーヒー、おふだ、えんぴつ。
あい、こで、しょ。