表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

即興短編

おふだ、えんぴつ、缶コーヒー

 おふだはえんぴつと相性(あいしょう)が悪い。文字を書かれたら効力(こうりょく)を失ってしまうからだ。それより何より()かれたら(あな)が開いてしまう。(やぶ)れたおふだはただの紙切れになってしまう。だからえんぴつを見ると恐怖(きょうふ)でしなしなになってしまうのだ。



 えんぴつは(かん)コーヒーには歯が立たない。文字を書くことも、(あな)を開けることだって出来(でき)ない。(かえ)()ちで(しん)を折られるのが関の山だ。何より中身の液体(えきたい)を浴びせられたらおしまいだ。だから(かん)コーヒーにはいつもビクビクしている。



 (かん)コーヒーはおふだが(こわ)い。そのやわらかさはスチールの体当たりをやんわりと受け止めてしまう。守りに入れば()られてしまう一方だ。賞味期限(しょうみきげん)切れとでも書かれたら即死(そくし)に等しい。(だれ)も開けてくれる者はなくなり、中身は黒くなる。




 (かれ)らは三すくみの関係だ。(だれ)が一番強いわけでもない。



 みんな弱くて、みんな強い。



 だから今日(きょう)も日本のどこかで便利に使われている。

 愛されるように、永遠(えいえん)(わす)れられないもののように。




 おふだ、えんぴつ、(かん)コーヒー。


 えんぴつ、おふだ、(かん)コーヒー。


 (かん)コーヒー、おふだ、えんぴつ。


 あい、こで、しょ。




 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] コーヒーに無理やり感があるのを除けば、納得のいく関係で、なるほどと思ってしまいました。鉛筆がチョキってのも分かるし(他は自明) [一言] 無理に缶コーヒーにしなくても。語呂悪いし。えんぴつ…
[良い点] この発想はなかった! [一言] 言われてみれば、確かに! 納得です。
[良い点] なるほど、そういう話だったんですね! 選んだ物のチョイスと例えが上手くて、おぉ〜、と声がでちゃいました(^^)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ